500年後からの来訪者After Future9-12(163-39)

Last-modified: 2017-02-12 (日) 14:30:10

概要

作品名作者
500年後からの来訪者After Future9-12163-39氏

作品

男子日本代表チームが来訪し、前々から男子のセッターの采配を読ませると伝えてあったのだが、さすがに練習用体育館に紅一点というのは可哀想だとして、異世界支部の電話が落ち着くまでの三日間だけ待ってもらうことになった。それ以後は俺も練習試合に参加し、男子日本代表のセッターを徹底的に鍛え上げることになった。そして迎えた運命の日、情報統合思念体が襲来する可能性は極めて薄くなったものの青古泉を俺たちの時間平面のガードとして残し、時間跳躍。予定時刻を過ぎても何も起こらず、囮作戦に出るためにこの時間平面のジョン達四人が俺たちの前に現れた。

 

「食料の支給に来る度にカレーを堪能させてもらっていたが、ようやく闘える瞬間が訪れたようだ。1対4じゃ正々堂々とは言えそうにないが、手合わせしてもらえないか?」
「それは構わない。ただ、バトル用のフィールドを作ってからにしよう。建物を破壊しても元に戻せるが、一瞬たりとも閉鎖空間を解除したくはない。その隙をついて侵入されかねないからな」
「では、我々はそのバトルをフィールドの外から見させてもらうことにします。ジョンの言葉が本当かどうか、この眼で確かめさせてください」
「じゃあ、青古泉たちに連絡をしておいてくれ」
「了解しました」
事情を知らない四人が古泉のセリフを不思議に感じていたが、手合わせを心待ちにしていたようでそんなことはもうどうでもいいらしい。バトルフィールドの中央で対面した俺にこの時間平面上のジョンから疑問が投げかけられる。
「超サ○ヤ人にならなくてもいいのか?」
「髪や眉を染めなくても力の開放ができるよう修行したんだ。変身時に出ていたオーラも体内に留めることができた。あとは気のコントロールをマスターしようと修練を積んでいる最中ってところだ」
「準備は万端ってことか。なら、こっちから仕掛けさせてもらう!」
問答は無用とばかりに四人が同時に仕掛けてくる。青俺と青古泉、朝倉は除外されているだろうが、残り全員でかかっても負けるのかどうか試させてもらおう。ジョンも特等席とばかりに俺の頭の中に戻ってきたようだしな。しかし、映画の方は見てないのか?てっきり『超サ○ヤ人ゴッド』というフレーズが出てくるものだと思っていたんだが……この状態ではそれにも値しないのか?
『あとで文句を言われそうだな。アニメの方はすべて渡したが、映画の方は一本も見せていないのをすっかり忘れていた。それより、そんな雑念に駆られている状態で闘っていると、大打撃を喰らうことになるぞ』
涼宮体相手ならまだしも、力の探り合いをしている現段階でそんな攻撃は来ない。だが、そろそろ攻撃に転じてもいい頃だ。
「困りましたね。僕も修行に励みたくなりましたよ。ジョンが言っていたことが良く分かりました。僕ではあの四人のうちの一人を相手に闘ったところで時間稼ぎにすらなりそうにありませんよ」
「あたしも混ぜて欲しいところだけど、ピッチングの練習をしないといけないし、本体で闘わなきゃ修行にならないわよ!」
「あら?力の探り合いをしている状態でそんなことを言っているようじゃ、あの四人を相手に闘うのも大分先になりそうね。どちらもまだ本気じゃないわよ?」
『まだ本気じゃない!?』
「今でさえ眼で追うのがやっとの状態なのに、これより上があるわけ!?」
バトルフィールド外からどんな顔で見ているのか振り向きたいところだが、初めてこの四人と会ったときと同様、微塵たりとも隙が見えやしない。だが、修行内容の違いからか、いつの間にやらジョンの方がこの四人を抜いていたらしい。いくらレベルが高いとはいえ、同じレベルの者同士で闘うより、絶対的な強者と闘っていた方が伸びしろが良かったってことか。この時間平面を訪れるたびに手合わせを願い出てきたのが良く分かったよ。しかし、このまま四人で修業を続けていれば涼宮体が襲来してもこの時間平面上の未来を守れるような気がするな。数多の時間平面上から急進派が襲ってきたときは駆け付けるべきだろうが、それも大した頻度で来る必要はない。仕事をせずに修行を続けるなんてそれこそサ○ヤ人のようだが、それを言ったらシェルターに隠れている人間はどうなるんだって話だ。『オーラを体内に取り込んだ分、一発が強くなった』と先日ジョンが話していたのを思い出した。こちらは攻撃しているだけだから、強くなったのかどうかは実感がわかないが、ガードしたり紙一重でかわしたりを繰り返していくうちに、四人にダメージが蓄積されていく。ようやく見せた僅かな隙を突いて、バトルフィールドの端に飛ばしていく。一人残ったこの時間平面上のジョンが、これで最後とばかりに気を溜め始めた。
「か~~め~~○~~め~~……」
フ○ーザの初期形態の戦闘力を軽々と越えた今なら地球を破壊してしまうことになるかもしれん。それはそれで人類滅亡の危機とも言えそうだが、ここは要望に応えることにするか。
「か……め……○……め……」
相対した俺を見て口角が上がっているのがはっきりと分かる。全力のかめ○め波が繰り出され、俺もそれに合わせた。放ったタイミングのズレで最初は俺の方が押されていたが、押し返すまでに大した時間はかからなかった。倒れていた三人もテレポートで駆けつけ、それぞれで構えるとエネルギー波を発射。この時間平面上のジョンのかめ○め波に上乗せされ、五分五分の勝負に持ち込まれてしまった。おい、ジョン。いくら手合わせでも、このままだとあの四人が消し飛んでしまうぞ!?大丈夫なのか?
『力の差がはっきりすれば、あとは四人とも避ける。それより、自分の放ったかめ○め波で閉鎖空間を破壊してしまわないように注意してくれ。一瞬でも閉鎖空間を消すわけにはいかない』
了解。そういうことなら全力でも構わないわけだ。「4倍だ!」………じゃない、ギア2!!
 ドーピング技で一気に膨れ上がったかめ○め波が四人を襲い、敵わないと悟った四人がテレポートで緊急回避。四人の後ろに用意しておいたテレポート膜に包みこまれ、閉鎖空間の外側から彼方へと飛んで行った。エネルギーを使い果たして肩で息をしていた四人がゆっくりと地上に降りていく。地面に足が付いたと同時に座り込んでしまった。さて、バトルフィールドも解除したし、このあとどうなるかな?

 

 ジョンが再び情報結合で姿を現し、古泉たちが俺たちの元へと文字通り『飛んで』やってきた。
『キョン、今夜からはあたしと勝負しなさい!』
「俺たちもそうさせてくれ。未来の俺の世界に入り込んで、眠ったままでも修行ができるなんてどうやったら可能になるんだ?」
『俺がキョンの脳内に入り込んだときにできてしまった世界だ。最初は何とも思っていなかったが、キョンを引きこんで修行することができるとは俺も思っていなかった。俺の横にいる同位体二人が入り込んできたことも予想外だったが、他の人間も入りこむようになって今では24時間、毎日行動を共にしている。ただ、地球上のどこにいようが俺の世界に入り込むよう意識すればいつでも入ってこられるが、時間平面が違うとどうも無理らしい』
「ハルヒ達は青古泉を相手に闘っていればいい。というより、どちらもそんなことをしている場合じゃないのは分かっているはずだ。それに、この四人を相手にするとなると、急進派の人形より厄介だ。手合わせをしている間は影分身で別の仕事をすることもできん」
「そうか……残念だ。だが、どうやら回復しなくてもいいらしい。一向に攻めてくる気配が感じられない」
「なら、あたし達も帰りましょ。『来るのが遅いから帰った』って伝えておいて頂戴!」
「ジョン、俺たちだけ先に戻してくれないか?さっき話していたものを渡してからの方がいいだろ?」
『さっき話していたもの?』
「仲間からも過去の遺物と言われた例のアレだよ。映画版を渡してなかったらしくてな。今晩からしばらくは徹夜になりそうだ。アニメを見ていたときもそうだったようだしな」
「そんなものがあったのか!?全部見せてくれ!」
「20作品以上あるからな。全部見終わるまで丸二日はかかりそうだ。何度もみたい作品も出てくるだろう。閉鎖空間の条件も変えておいた。これで閉鎖空間が破壊されない限り、急進派の襲来はない。もし来たとしても、攻撃してきた時点で俺のサイコメトリーにひっかかる。そのときはすぐにでも飛んでくる」
「この時間平面上の未来から食糧の支給まで、本当に世話になった。またカレーを食べさせてくれ」
「ああ、作ったときは必ず届けにくる。持ってくるときは俺じゃないかもしれないがな。また予知が覆っても困る。手合わせなら時間がこっちの時間平面に来てくれれば、ジョンの世界でバトルが可能だ」
「本当か!?映画を全部見終わったら必ず行く」
「『映画を全部見終わったら』じゃないだろ!『修行を続けてもっと強くなったら』だ!」
『青チームの古泉一樹や試合に参加しているメンバーが待っている。早く行って安心させてやれ』
『問題ない』

 

 いつもの風景が目の前に広がり、ようやく一息ってところか。まずは報告からだな。
『今戻った。結局、敵の襲来は無かったよ。あとはシェルターにいる人達の不安を払拭するだけだ。今後も食糧の支給を続けていくから、手伝えるメンバーは時間が空いたら調理場にきてくれ。宜しく頼む』
『問題ない、お帰りなさい』
さて、第三人事部を占拠しに行くとしよう。おススメ料理も早々に仕上げないとな。そういや、OG達六人は今夜はどうするつもりだ?様子見ついでに聞いてくるか。エレベーターの中でユニフォームにドレスチェンジ。練習用体育館に足を一歩踏み入れると自動でサイコメトリーが発動した。レギュラーメンバーが妻一人に大苦戦。だが、ネット際に落とされたボールに対して恐怖心を拭いきれない……か。それについては夜練を重ねていけばどうにでもなる。まずはセッターの采配をできるだけ他国に読めなくすることと、妻の自信をつけさせること。試合を重ねて集中力が高まっていけば零式改(アラタメ)も安定して撃てるようになるはずだ。平日で、この観客の多さには呆れ果てるものの、さすがにもう慣れた。しかし、妻一人でこれだけ観客が集まるんじゃ、今週末はどうなることやら。監督と二言、三言話をして、妻とは反対側のチームに入った。これで互いに条件は同じ。あとはレシーブ力で勝敗が分かれることになるだろう。攻撃参加しても良かったが、それでは対等にならない。高身長のMBがいるのはこちら側。ブロッカーに「下がれ!」という指示は出す必要はない。WSも含めてブロッカーが揃ったときは三枚壁が相手のスパイクを塞ぎ、ブロックアウト、ブロックアウト封じの練習。ダイレクトドライブゾーンのトスだけなら練習してもいいかとも思ったが、他のコートで試合をしていたセッターと入れ替わり、なるべく相手国に采配を読まれないことを優先するらしい。俺が入って三セット目の途中で時間が来てしまったが、明日の新聞は『司令塔同士の師弟対決』なんて見出しが付きそうだ。妻と二人で専用エレベーターに乗ろうとしたところで報道陣に止められた。『今後化ける可能性を秘めた選手が揃っている』と言ったのは俺自身だから、自分で蒔いた種ってことになるんだろうが、いくらチャンスを逃したくないからといって毎日のように来られるのもちょっとな。当たり障りのないコメントをして二人で体育館を去った。
「三日間、待つんじゃなかったの?」
「日曜以降は俺もフォーメーション練習や練習試合に参加する。今日は特例みたいなもんだ。第三人事部も圭一さんがほとんど占領している状態でな。おススメ料理の仕込みに影分身を割いてもゾーンに入れるだけの意識が残っていたからこっちにきた。何も三日間ずっと来られないわけじゃない。可能な限り、こっちの体育館にも来るつもりだ」
「嬉しい!!」
「ところで、このあとのディナーはどうする気だ?本体でディナーを食べて、影分身でライブを見るか?」
「うー…どっちも本体で出たいけど……みくる先輩や古泉先輩のことを考えるとそうするしかないかな……他のみんなも同じ反応をすると思う」
「それなら、ディナー後に異世界の天空スタジアムに来い。ディナーの片付けは俺がやる。五人にも伝えておいてくれるか?」
「問題ない!」
嬉しい!と叫んで跳びついてきたときはどうしたものかと思ったが、その光景を見られると誰がどういう行動に出るのか察したらしい。今夜はブラインドフィールドと遮音膜を張ってシングルベッドでピロートークになりそうだ。

 

 二人で81階に戻る頃にはテーブルの上は豪華絢爛な料理で埋め尽くされ、俺たち待ちだったらしい。OG五人の席の前に何も置かれていないところを見ると、本体ではなく影分身か。伝える必要もなくなったようだ。他のメンバーは自室に着替えに行ったらしいな。
「じゃあ、キョン。私も自分の部屋に戻るね」
「ああ、影分身だけ置いていけ。説明するまでもないようだからな」
「分かった」
「お疲れ様です。その様子ですと、男子の方の試合に出ていたようですね」
「ああ、圭一さんが電話対応に出てくれた分影分身を割く必要が無くなった。最後に来た人間のセリフじゃないが、早く始めてしまおうぜ」
テーブルや椅子、料理や飲み物も含めてすべて天空スタジアムへとテレポート。ステージから……幅の狭い道のようなものがスタジアム内を一周するかのように左右合わせて二本の道が情報結合されていた。催眠もかけてあるみたいだし、どうやら例のパフォーマンスで使うらしいな。舞空術で浮き上がるより、実際に走らせた方がいいという判断のようだ。
「何やってんのよあんた!さっさと乾杯の音頭を取りなさいよ!」
「は?俺がやってもいいのか?」
「今日はあなた以外に考えられません。作るのに丸一日かかるカレーを何度も作り、足しげく未来へ通ったからこそ生まれた平和です。是非お願いします」
「じゃあ、異世界支部の件については昨日やったし、これであの時間平面上の平和を取り戻すことができた。未来に連れて行けず、心細い思いをさせてしまったメンバーには申し訳なかったが、それももうこれで終わりだ。たった一つだけだが、人類存続の時間平面ができたことを祝して……乾杯!」
『かんぱ~い!』
「それじゃ、すぐライブを始めましょ!」
ハルヒのかけ声とともに席を立ったのがSOS団、ENOZ、古泉、青俺、青みくる、そしてさっきまで一緒に練習試合に参加していたOGの計13人。スタジアム全体の照明が消え、閉鎖空間の条件が切り替わった。天空スタジアムでしか堪能できない絶景を拝んでいる間に、ステージではSOS団が楽器を持ってスタンバイOK。照明がハルヒ達を照らすと同時にSuper Driverから演奏が始まった。ドラマでは見ることのできないギターアレンジに一曲目から鳥肌が立ってきた。明日は生でライブが見たいところだが、夜練があるのでは仕方がない。今回のSPは青俺に任せよう。青古泉の方は影分身の意識のパーセンテージよりも美姫から授かった超能力を操る方の修行をしないといけない。俺も残りのパーセンテージでストレートが投げられるか確認しないとな。一曲目が終わり、いよいよカバー曲。照明がステージの両端を照らし、古泉と、ジョンに化けた青俺がバイクに乗って現れた。キーを差し込んでエンジン音を鳴らすと、バイクが中央ですれ違ったところで一時停止。
「朝比奈さん、行くぞ!」
「一樹君、お願い!」
例のイヤリングは一曲目から付けていたが、今回のライブの衣装からドラマの女刑事役の衣装に早変わり。演出上仕方がないとはいえ、観客に見えるように前から後部座席に座りこんだ。青俺と古泉が爆音を鳴らして幅の狭い道を走りだすと有希のギターが鳴る。ハルヒが曲名をコールすると後ろの大画面に古泉やみくる、ジョンに化けた青俺が映し出されていた。俺がこの曲をカバー曲として演奏すると聞いたときにふと思ったのは、サビの部分でハルヒ以外の誰がそのフレーズを発するのかずっと疑問だったのだが、青佐々木と朝倉にはマイクが用意されておらず、有希のギターの前にだけマイクがスタンドで固定されていた。ホントに大丈夫なんだろうな……曲としては高音域が多いせいか、女性ボーカルがカバーして丁度いいくらい。俺の懸念していたフレーズも有希が通常よりも大きな声で歌っていたが、原曲では複数の人数でやっていたような気が……ダメだ、どうだったか思い出せん。ダンスのときのようにマイク付きヘッドホンで残り三人でやった方がいい気がする。古泉と青俺は狭いあの道を辿って既にステージ裏へと戻っていた。

 

 ディナーの方はようやく熊肉料理が出始め、舌鼓を打ってはいるがどうやら肉の違いに選手たちが気付き始めていた。各テーブルで場の雰囲気を壊さない程度の声で話していた。
「君に聞くのが一番早そうだ。確かに美味いんだが、私もこんな肉を食べたのは初めてのような気がする。何の肉を使っているのか教えてもらえないかね?」
「では、皆さん一度箸を置いていただけますか?食べ続けていると吹き出してしまうことも考えられますので」
箸を置いたのはいいがフロア内が騒然とし始めた。まぁ、当然か。知らず知らずのうちに何を食べさせられたのか分からないんじゃな。
「今、皆さんに召し上がっていただいた肉は羊でも、ヤギでもありません。熊肉を使った料理をご用意させていただきました」
『熊肉!?』
寿司を振る舞ったときは俺が捕まえてきたと説明したが、北極で白熊を倒して捕獲してきたなんて言うわけにもいかん。取り寄せたということにしておこう。ざわついていたのが治まったところで説明を始めた。
「日本ではあまり知られておりませんが、中国で熊肉は超高級食材。中国人は山道を歩く途中で松茸を拾ってもそのまま草むらに投げ捨てる程ですが、熊肉、特に熊の手は稀少価値が高く、日本では約六~七万円程の値段で取引されているくらいです。今回は全身の肉を使ってみました。熊肉は身体を温め、滋養強壮の効果もあり、何よりもコラーゲンが豊富に含まれています。熊肉と聞いて驚いた方も多いでしょうが、疲労を和らげ、美容と美肌に繋がります。今、このフロア内にいる皆さんにとって一番効果的な食材がこの熊肉というわけです。日本であまり使われない理由として、匂いを消すのに時間がかかり過ぎてしまうことが挙げられます。正直、途中で挫折して別のものに切り替えようかと何度も考えたくらいなんですが、折角の機会に召し上がっていただこうと思い、ご用意させていただきました。調理に丸二日以上かかっているので「もう一回!」と言われると苦笑いをするしかなくなってしまうのですが、少しでもコラーゲンを体内に吸収し、疲れを癒していただけると幸いです」
「調理に丸二日以上とは驚いた。熊肉というのはそこまで臭いがするものなのかね?」
「ええ、同じフロアで別の料理を作っていたメンバーの服にも臭いがつくくらいで、ここにいるハルヒもちょっと臭いを嗅いだだけですぐに鼻をつまんでいました。本社の換気機能でも換気が間に合わない程のものです」
「しかし、君の作った料理からは一切そんな臭いはしなかった。臭いを消すのにどれだけ時間を費やしたのか、よかったら教えてもらえないかね?」
「時間を計っていたわけではありませんので大体で……としか言いようがありませんが、消臭作業に半分以上費やしているのは確かです。臭いを消すための食材と一緒に何時間も煮込んでは取り除き、また別の食材を入れて煮込む。この作業の繰り返しです」
「途中で挫折しようと考えたというのが良く分かったよ。そこまで手の込んだ料理と聞いては食べずにはいられない。選手たちもコラーゲン豊富と聞いて喜んでいるようだからね」
監督のセリフ通り、熊肉と聞いたときの表情とは雲泥の差というべきか。手間をかけている分、そういう表情が見られるとこっちも嬉しいと思える。とりあえず、熊肉に関しての説明は済んだ。本体と同期しておこう。

 

 二曲目が終わり、いよいよ青みくるとのコーラス。有希のギターから演奏が始まり、ハルヒが歌い出す。ギターを外してスタンドマイクにもたれかかるような体勢で歌っていた。そこへハルヒと同様にスタンドマイクに両手をかけた青みくるがコーラスで入ってくる。二部編成のあの映画をもう一度見たくなった。ついでにあのバラード曲の方も聞いてみたくなった。
「ちょっとあんた!いつまでそこに座っているつもりよ!早くドラムの配置につきなさいよ!」
ダンス無しでも結局やるのかよ!衣装の保管場所を有希から聞いてハルヒの声に合わせてドレスチェンジ。
『あ―――――っ!キョンパパ、わたしの衣装!!』
あとで着せてやるから今は黙ってライブを見てろ。ったく、色が決定した時点で翌日に言ってくるもんだとばかり思っていたらすっかり忘れやがって。しかし、あの衣装のまま保育園に行くのも問題だな。かといって自分で着替えろと言ってもおそらく無理だろうな。保育士にダンスのことを知らせて着替えさせてもらうしかないか。どんなダンスになるかは俺にも分からんが、二人で踊りきれるものだといいんだが……ハレ晴レユカイ同様、五人編成のダンスを二人で踊るなんて無茶な話だ。演奏を終えて自席に戻ると双子から衣装の件で責め寄られたが、「今はライブの方が先だ」と告げ、ENOZのライブを見守っていた。有希に負けじと中西さんのギターが冴えわたる。カバー曲、ドラマのエンディング曲、アンコールで歌う新曲を熱唱して自席に戻ってきた。
「81階に戻ってもいいか?ここで酔い潰れたら服に土がついてしまう。景色ならいつでも堪能できるだろ?」
『問題ない』
さすがに天空スタジアムで会議というわけにはいかんだろう。いくらパーティでも報告しなきゃいけないこと位はある。その前に早く着替えさせろと子供たち三人が声を荒げて急かしてきた。
『キョン(伊織)パパ、衣装!!』
「だから、色は決まったのか!?同じ色だったらじゃんけんだぞ?」
「わたし水色!」「わたし黄色!」「わたしはピンクがいい!」
間違いなく被ると思っていたのだが、三人がバラバラの色になるとは思わなかった。まぁ、幸はハレ晴レユカイのときもみくる役をやっていたし、美姫はハルヒのカチューシャをつけている。伊織も有希と同じ髪型だからな。選んだ理由としてこれ以上適切なものは無いだろう。情報結合した衣装に着替えさせると、三人で確認し合って納得の表情。自席についてようやく落ち着いた。
「古泉、すまないが明日のおススメ料理の火入れを二か所で頼めないか?このあとジョンの世界で試してみるつもりだが、20%の意識でストレートがしっかり投げられるかどうか、正直自信がない」
「了解しました。来週からは先ほどのダンスのこともありますし、少しでも低い意識でゾーン状態に入れるようにしないといけません。流石のあなたでも、おススメ料理と夜練、ライブの三つは厳しいようですね」
「ああ、50%程度で変化球が投げられるのならまだいいんだが……これもあとで確認してみるしかないな。ゾーンでなくとも変化球が投げられれば、今の女子日本代表なら対応できるだろう。青俺にはSPを頼みたいんだがいいか?」
「分かった。だとすると、俺は例のパフォーマンスと夜練、SPだな」
「ちょっと待ちたまえ。いくらなんでもキミ達の負担が大きすぎる。誰か代わりはできないのかい?」
「夜練だけでほとんどの意識を削ぐ必要がある以上は仕方がない。今夜は青俺も含めて変化球の確認だ。SPは慣れている人間の方がいいし、青古泉も自身の超能力をまだ使いこなせていない状態。男子の日本代表は夜練が始まったばかりなんだ。ただでさえ160km/hの球を受けるのに、デッドボールにでもなってしまえば、バレーのスパイクですら恐怖心が出てしまう。できる限り正確に投げる必要があるし、これについては今は負担が大きくてもやるしかない。男子日本代表選手がストレートに慣れて多少ブレても取れるようになることと、俺たちの影分身の精度を高める修行を同時に行う。青ハルヒが三ヶ所同時に火入れをすれば、ライブには俺が古泉の催眠をかけて出るし、古泉はその分夜練に集中できるんだが……」
「いいじゃない、それで!そんな策があるんなら先にいいなさいよ!あたしがおススメ料理の火入れをすればいいんでしょ?」
「………青ハルヒがそう言ってくれるのなら、それで頼む」
「では、涼宮さんに調理を任せる以外は元に戻ったということでよろしいですか?しかし、来週からバックバンドまで追加となると……僕はギターだけですから誰にでも交代はできますが、九人同時のドレスチェンジとなるとメンバーが限られてきそうですね」
「それも、あたしが全部のレストランに行くだけで済むわよ!金曜日のおススメ料理はすべてあたしが調理するわ!」
「それで決まりっさ!折角のパーティで考え事なんてしない方がいいにょろよ!」
「まったく、あんた達がリハで見せてくれっていうから演ってあげたのに、感想の一つくらい寄こしなさいよ!」
「ドラマのオープニングと違って一曲目から鳥肌が立っていたよ。あの主題歌の映画ももう一度見たくなった。明日のライブをスカ○ターでしか見られないのが残念で仕方がない。パフォーマンスも何一つ文句はなかったんだが……有希のマイクはスタンドマイクよりマイク付きヘッドホンの方が良くないか?折角のギターアレンジもスタンドに隠れてしまうし、見せるためには横にずれなきゃいかん。それに、あのフレーズの部分は有希だけでなく、青佐々木や朝倉も一緒にやった方が良いんじゃないかと思ったんだがどうだ?Glamorous ○kyの方は原曲もああいうパフォーマンスだから全然気にならなかったんだが……」
「分かった。明日はマイク付きヘッドホンに変更する。二人も歌って」
「来週からはアンコールまでマイクをつけたままになりそうね」
「ワンフレーズだけの方が音を外さないかどうか逆に緊張してしまうよ」
「ほとんど叫んでいるだけのようなものだから心配いらん。しかし、OG達の本体は結局ライブに間に合わなかったな。明日も夜練があるっていうのに……」
「心配いりませんよ、キョン先輩。めちゃくちゃ興奮したことも全部含めて同期しましたから。今皿洗いの手伝いをしてます!みんなお腹いっぱいでこれ以上入りそうにないって」
「だったら先にシャンプーと全身マッサージをやってしまうか。みくるももうこんな状態だしな」

 

 青ハルヒに調理をすべて押しつけることになったが、夜練の方は何も気にすることなく投球ができそうだ。あとはジョンの世界でどの程度の意識で何ができるのか確認することにしよう。みくるを抱きかかえて100階のシャンプー台で髪を洗い始めると、ようやくみくるが眼を覚ました。
「キョン君、今日はシャンプーらけにさせてくらはい」
「どうしたんだ?急に」
「今日はわらしのはらかをキョン君に見られるわけにはいかないんれしゅ」
「なるほど、確かに見せられないわな。アレを処理するタイミングを逃してしまったんじゃ仕方がない」
「えっ!?キョン君、ろうして分かったんれすか?」
「俺が今みくるのどこを触っていると思っているんだ?考えていることが直接伝わってきたぞ。それと、これはみくるだけに限ったことじゃなさそうだ。前回のアレの件と同じでな」
「意味が分かりましぇん」
「対応策があると言っているんだ。今後そんなことを気にする必要がないように」
「そんなことできるんでしゅか?」
「やってみた方が早そうだな」
みくるが全身マッサージを拒んだ理由は無駄毛の処理をするタイミングを逃してしまったこと。パーティさえなければ夕食後に自室で処理できただろうが、その暇も与えてもらえず酔いつぶれてシャンプー台に連れて来られたんじゃ全身マッサージを拒否して当然だ。母乳のときと同様、『みくるが必要としない毛はすべて抜け落ち、毛穴も塞がって二度と生えてこない』という条件でみくるの脳に催眠をかけた。眉の毛が十数本抜けて、効果が出たことがはっきりと分かる。それを払ってみくるに手鏡を持たせた。
「どうだ?自分の顔をよく見てみろ。いらないと思っていた眉毛が無くなっているだろ?」
「嘘!?キョン君これどうやったんですか!?」
あまりの衝撃にどうやら酔いが覚めたらしい。余程邪魔だったみたいだな。
「母乳が出るようにしたときと同じだよ。脳に催眠をかけたんだ。『みくるにとって不必要な毛はすべて抜け落ちて二度と生えてこない。毛穴も全て塞がる』ってな。気になっていたところを自分で触ってみろ。眉毛と一緒に抜け落ちているはずだ」
「キョン君に見られたくないです!」
「だったらこうしよう。シャンプーが終わったら自室に行って確認して戻ってくる。酔いも覚めたようだし、自分一人で行けるだろ?戻ってきたときに全身マッサージをどうするか考えればいい」
「分かりました。キョン君、ありがとうございます」

 

 ディナーの間も厨房に影分身を向かわせていたおかげでおススメ料理の仕込みも終わり、大量のパンが焼き上がった。本体が多少酒に酔っていてもみくるや古泉のような状態にまでは陥らないことも判明したし、場面に応じて出来る限りの影分身で作業を進めていくことにしよう。お腹がいっぱいになったからと片付けを終えたOGと共に69階へと来たんだが……
「よかったのか?直接ここに来て。みんなまだ上で盛り上がっているぞ」
「キョン先輩の熊肉料理で十分満足できました!それに、同期したらライブの映像まで情報が入ってきたので、あとは影分身に任せることにしました!何かあればまた同期すればいいですし、洗濯機の件はみんな喜んでました!」
「そいつは朗報だ。また何かあったら聞いておいてくれ。ライブのことに関しては、俺が有希の前のスタンドマイクをやめて、マイク付きヘッドホンで青佐々木や朝倉も一緒に歌ったらどうかと提案したくらいだ。あとはみくるたちのアクセサリーを統一する程度で申し分ない出来栄えだったよ」
「スタンドマイクをやめたって、どうしてですか?」
「折角の有希のギターパフォーマンスが、スタンドマイクが邪魔で隠れてしまうだろ?パイプ一本でもギターを弾いている手元を隠すには充分な太さになる。それを避けるために横に移動するのも面倒だろ?小型カメラですぐ近くから有希を撮影してモニターに映すのなら尚更な」
「そう言われてみれば……曲が終わったらテレポートするだけでいいですけど、カバー曲を演奏している間は邪魔になりそうです!」
「それで、どうするつもりだ?残り六人が来るまで待つか?それとも先にシャンプーしてしまうか?」
「キョン、私は先にシャンプーして欲しい。少しでもサーブ練習がしたい」
『私もお願いします!』
てっきり妻とピロートークだとばかり思っていたが、これでは青OG達が来る前に寝てしまいそうだ。まぁ、そのときは影分身も解除することになるだろうから、あの六人も来るだろう。

 

 結局100階に来たのはランジェリーを変えてテレポートで戻ってきたみくるのみ。
「お風呂で確認したら吃驚しました。もう処理をしなくてもいいんですか?」
「ああ、毛穴もふさいでしまったからな。二度と生えてくることは無い。この前のアレと一緒で、いくら妻でも男の俺からは話しにくい内容だ。みんなに話してくれないか?OG達も含めて」
「分かりました!キョン君、マッサージの方もお願いします!」
青有希や青俺、青みくるは酔い潰れる前にこっちに来るものだとばかり思っていたが、いくらパーティをしたからとはいえ、戦争が起こるかもしれないという緊張の糸が張られた状態だったのがようやく緩んだようだ。俺も久しぶりに自分で自分の身体を洗うことにしよう。子供たちまで衣装に満足して81階でそのまま寝てしまったし、圭一さんやエージェント達が81階の床に転がって寝ているのも久しぶりに見た気がするな。99階のベッドで一人眠りについた。
 今回に限ったことではないが、たとえ酔い潰れても、ジョンの世界にはいつも通り全員が揃っていた。青OG達はシャンプーや全身マッサージをしてから眠りについたものの、他の妻たちは来て早々ショックを受けていた。ハルヒ達が叫び声を上げているのはいわずもがな。だが、その中でも特にショックを受けていたのは青みくる。今日は青みくるが俺のシャンプー担当の日だったからな。無論眠気は取り去ってしまうが、明日の早朝で良ければと提案したところ妻たちから快諾を得ることができた。まぁ、それでも、ハルヒ達や有希は抱き合えず仕舞いで残念そうな顔をしていたけどな。朝倉も今日からジョンと将棋に戻り、俺もどの程度の意識でなら正確に投げられるか試そうとしたところで意外な人物が現れた。外見だけではどっちなのか判断ができん。真っ先に気付いた古泉が声をかけた。
「一体どうされたんです?」
「いや、私も黄私のように影分身の修行に励もうと思ってね。すまないが、しばらくここで段ボール作りをさせてもらえないかね?確か、ランジェリーのセットを詰めるための小型の段ボール箱が必要だという話だったからね」
サイコメトリーならこの半年で十分修練を積んだ。圭一さんほど短期間というわけにはいかないにせよ、青圭一さんも影分身を使えるようになれば青古泉の負担も減るだろう。願っても無い申し出だ。古泉が見本の段ボール箱を情報結合して青圭一さんが情報結合の練習に入っていた。

 

 翌朝、本体と影分身数体が100階に赴き、社員食堂で焼きたてのパンを振る舞い、調理場ではジャム作りと昼食の支度を始めていた。今日のニュースは『司令塔同士の師弟対決勃発』、『コラーゲン豊富な熊肉料理の数々!女子日本代表選手がご満悦!』など、俺はともかく妻の司令塔としての活躍を記事にしたもの、ディナーに熊肉料理を出したことが一面として取り上げられていた。異世界の方は、鈴木四郎の規格外のパフォーマンスの解明のため、専門家に話を聞くという愚行を見させられることになってしまったが、今はそんなことはどうでもいい。本店に来店する客は入ることができてどうして自分たちだけ入れないのか、精々空っぽの頭で悩み続けろ。その間に俺たちが進展していくだけだ。81階で眠っていた残りのメンバーの酔いも醒まして青新川さんもすぐに朝食の支度を始めたし、時間には間に合うだろう。子供たちも衣装を着たまま眼を覚まし、小学校や保育園に行くと言い出したが、
「ダンスも覚えていないで衣装だけ見せてもクラスメイトは良く分からんだろう?」
とたしなめて着替えに向かわせていた。投球の方は20%程度の意識でストレートを投げることができたし、ゾーンに入らなくとも、これまで投げ慣れていた分変化球の方も問題ない。そこまで心配する必要もなかったな。だが、一度宣言した以上、金曜日のレストランは三ヶ所とも青ハルヒが占拠するだろう。昼の間にでもゾーン無しでどうなるか確認をしておけば良かった。野球に関してなら天空スタジアムという絶好の場所があるのをすっかり忘れていた。
「昨日暴れられなかった分、今日はライブで思いっきり暴れるわよ!」
「問題ない。わたしも同じ」
「あら、気が合うわね。わたしも思う存分楽しみたかったのよ」
「あのー…」
「どうしたの?みくるちゃん」
「わたしのネックレスとイヤリングはどうしたらいいですか?カバー曲を歌うときは青わたしに貸した方がいいかなって……」
「くっくっ、その心配はいらないよ。ライブの直前に、観客から朝比奈さんと同じネックレスやイヤリングに見えるよう、彼女のアクセサリーに催眠を施せばいい。明日のコンサートでは朝比奈さん自身に催眠をかけることになりそうだけどね」
「わたしも、こっちの圭一さんみたいに少しでも影分身のための修行をしないと……」
「兄貴がどうかしたのかい?」
「昨日、ジョンの世界に来て段ボール作りをしていたんですよ。圭一さんと同様、影分身ができるようになりたいとおっしゃっていました。青圭一さんが影分身を使えるようになれば、青僕の負担も大分軽くなるはずです」
「自分の負担も考えた方がいいんじゃないか?古泉」
「と、おっしゃいますと?」
「来週のディナーとおススメ料理の担当は、順番通りにいけば火曜が青ハルヒ、木曜が古泉、金曜が俺、土曜が青ハルヒ、日曜が古泉だ。だが、古泉は楽団員の打ち上げ用のビュッフェを作ると自ら名乗り出た。木・土・日の三日間の仕込みをすべて一人で背負うつもりか?」
「おっと、あなたに説明されるまで気が付きませんでした。木曜のディナーならまだしも、土日の打ち上げとおススメ料理となると一人では厳しそうですね。ですが、今から準備を始めればなんとかなりそうです。第二人事部も圭一さん一人で埋められてしまいましたし、異世界の第三人事部はあなた一人に占拠されていますからね。この二日間を有効に活用させていただくことにします」
「それで、あんたは今何をしてるのよ?」
「熊肉料理も好評だったし、日曜のおススメ料理の仕込みも終わった。今日の昼食ももう出来てる。今はジャム作りとパンを焼いているところだ。材料を大量に用意してもジャムにすると量が限られてしまうからな」
「キョン君、何もそこまでしなくてもいいんじゃ……」
「パンを振る舞うついでに朝食スタッフに指示を出したりしているから丁度いいんだ。影分身を料理や電話対応に割いているうちに大量に作っておきたいんだよ。日曜からは男子の練習試合に出ることになる。現状維持の閉鎖空間もあるし、パンの発酵時間を一気に短縮する方法を閃いたからそこまで手間はかからないんだ」
「くっくっ、なら聞かせてもらおうじゃないか。生地を練って一次発酵するだけで、最低でも30分はかかるはずだ。一気に短縮する方法とやらで一体何分になったのか教えてくれたまえ」
「三分だ」
『たったの三分!?』

 
 

…To be continued