「1日遅れのひな祭り」 (82-869)

Last-modified: 2008-03-04 (火) 16:13:08

概要

作品名作者発表日保管日
「1日遅れのひな祭り」82-869氏08/03/0408/03/04

作品

「起きてください。ご助言いただきたいことがあります」
なんだ、まったく……人がせっかくいい気持ちで寝てるってのに。
「安眠の妨害は心苦しいですが今は起きるべき時かと思います」
ん……? なぜ俺はお前に起きるよう言われにゃならんのだ?
……目を覚ますと畳の上。
古泉に肩を揺すられて起こされていた。
「何でお前が……いや、それよりもここは……俺は……」
家のベッドで寝たはずなのに畳の上。しかも結構広い部屋。そして着ているのは寝間着のスウェットじゃなく制服。さらに窓の外は灰暗色。
これは……この感じは……
「古泉、『ここ』はどこだ?」
「確かに僕は知っています。ですが殊『ここ』に関してはあなたの方がお詳しいのではないですか?」
その言葉で俺は悟ってしまった。知りたくも無い事実に。
寝てる間に古泉に運ばれた、とかではないようだ。
だが、認めたくない気持ちもある。
「この際だ。お前の口からはっきりと現状を聴こうじゃないか」
「いえ、百聞は一見に如かずです。直接見ていただいたほうがわかりやすいかと」
古泉が襖をさっと景気よく開く。そこにはハルヒが―――、
 
いや、ハルヒだけではなかった。
嫌がる朝比奈さんに執拗に背後からイケナイことをしようとするハルヒがいた。
それどころか面白そうにごっついカメラのシャッターを切る鶴屋さんが、面白そうに付いて回る妹までいた。
さらに、いたいけな朝比奈さんの姿をじっと見ている谷口と国木田も、止めた方がいいのかとおろおろしている阪中も。
苦々しげにハルヒを睨んでいる会長に、喜緑さんまで。コンピ研の部長氏までいるじゃないか。
「あらキョンじゃない。ようやく目が覚めたのね。ちょっと待ってなさい、今みくるちゃんをひぃひぃ言わせるところだから」
ハルヒが俺に気づいて声を掛ける。それはやめとけよ。見てはみたいが朝比奈さんが可哀想だろ。
呆れる俺に対し、古泉がまさに俺の考えていることを代弁してくれた。
「さて、僕たちはどうやったら通常空間に回帰できるでしょうか。それが今回の命題です」
なるほどね、現在の状態はわかったよ。わかったけども。
「俺にはもう少し説明が必要だ。長門、頼めるか?」
襖近くの柱の所に座って本を読んでいる長門が頷く。今日はやけに字の大きな本だな。というか本なんてこの空間に持ち込めたのか?
「元の空間における3月4日午前3時17分03秒、我々全員が元空間から消失し、涼宮ハルヒが創造したこの空間に出現した。この空間でも時間の流れが同一であれば現在は3時24分」
ううむ、相変わらず正確無比な奴だ。
「このままだと世界はどうなる。お前らの力ではなんともならないのか?」
「内側にいるか外側にいるかの違いだけで、僕は以前と同様1人ではこの空間の出入りが不可能のようです。以前の僕のように外から仲間が力を合わせて不完全な形で入ってくるかもしれませんが……」
あの赤い光の人型状態か。
「ええ、ですがとりあえず今のところ世界の危機は遠そうです。空間が拡大していく感覚も世界と入れ替わってしまう感覚も僕は感じてませんから」
本当だろうな。長門はどうなんだ。お前の親玉とは連絡付くのか?
「元空間との完全な断絶は現状では起こっていない。元空間の情報統合思念体との接続は可能」
つまり連絡は取れるんだな。なんて言ってんだ。
「静観し、この空間での観測を続行する結論を出している。古泉一樹同様、情報統合思念体はこの空間による涼宮ハルヒの元空間消失を現段階においては危機的状況とは捉えていない」
のんびりやさんなことだ。こっから急展開で3秒後くらいに世界全部飲み込まれちまったらどうする。
危機に陥る前に何とかすべきなんじゃないのか?
「また、」
おっと、長門の話には続きがあったようだ。腰を折っちまったか、スマンな。
「朝比奈みくるも彼女の所属時間軸より静観の指示を受けている」
なんだと。朝比奈さんはここからでも未来と連絡が取れるのか。そりゃ確かに安心材料だな。
頭の中で朝比奈さん(大)が「大丈夫だから心配しないでキョンくん」とウインクしつつ投げキッスをくれた。
ううむ、なんだかやる気が出てきたぞ。
「じゃあ、ここで何をすればいいかお前らはもうわかってるのか?」
教えてくれれば楽なんだが。
「何を、と言いますか。これもまあ見ていただければわかると思います」
そう言って古泉が手を差し伸べた方向には――、おい、あれは。
「はい、ご覧の通りです」
緋毛氈を垂らした階段状の土台にめでたそうで春らしい飾りつけをしているメイドと執事は、
「森さんに新川さんまでここにいるのか!?」
「ええ。ですが僕が言っているのは誰が準備をしているのかではなく何を準備しているかですよ」
わかってる。驚いただけだ。
うちには妹がいるからな。俺だって飾り付けを手伝わされたりするからよく知ってるさ。
だがあれは――デカい。デカいにも程があるだろ。
なるほど、「見ればわかる」か。朝比奈さんイジリをやめた女性陣が大きなつづらを開けて中の着物を見て目を輝かせている。ああ、ありゃ十二単か。
「正確には唐衣裳装束。女房装束とも称され、十二単などと呼称されるようになったのは」
長門よ。そう言う時代考証はいらん。俺にはどうでもいいことだ。
「とにかくあれか。俺たちはこれから等身大雛人形になって雛祭りをやり直せということなんだな」
長門が持っていた本の表紙がその時俺の目に入った。タイムリーだな、俺へのいやがらせか長門。
そこには、『十五少年漂流記』と書かれていた――。
「そういうことです。涼宮さんは満足できなかったんでしょうね、普通の雛祭りに」
なにが満足できなかっただ。
昨年同様に校舎の上から3人で巫女服着て雛あられ撒いて。1人500円で巫女姿の朝比奈さんと長門に甘酒注いで回らせて。
その上みんなで鶴屋さんの庭の梅の花を見ながら「桃の花はまだなのか」と派手に雛祭りを祝っていたくせにこれ以上なにが不満だと言うのか。
「まあ今回はわかりやすく道具も揃ってることですし、めったに無い機会ですから楽しんではいかがですか?」
今日のお前はやけに嬉しそうだな。問題が解決したわけじゃないってのに。
「やはりそう見えますか? 仰るとおり、僕は嬉しいんですよ。あの時涼宮さんに選ばれたのはあなただけだった。けれど今回僕らSOS団の全員が選ばれここにいます。仲間としてこれほど光栄で、嬉しいことはありませんよ」
ニコニコしながらハルヒたちのところへ向かう古泉の顔は珍しく年相応に見えた。
そうかいそうかい。超能力の出番が無いようなら好きに楽しんでくれ。邪魔する気は無い。
それに俺だって楽しむ気がないわけじゃないからな。
ハルヒが呼んでる。俺も行くか。
「ほら長門さん。わたしたちも行きましょう」
聞き覚えの無い声が、いや違うな。正しくは、久しく聞いていなかったせいで一瞬誰かわからなかったと言うべきか。
とにかく俺はその声を知っていて、けれど認識したくなかった。
それでもこの声には振り向かざるをえない。
「久しぶりね。元気だった?」
朝倉涼子の声を、リアルに死の恐怖を、しかも2度も与えてくれた奴の声を俺が忘れるわけは無かった。
「……なんでお前までがここにいる」
「涼宮さんが呼んだから」
そんな理由でほいほい出てこられてたまるか。
「本当よ。雛人形役にわたしも呼ばれたの。安心して、もう殺したりはしないわ」
知ったことか。俺はお前が怖い。俺がお前に話しかけることは無いと思え。
「まあ、仕方ないわね。長門さん、行きましょ」
言われるまま本を閉じ、朝倉に手を引かれていく長門はいつもどおりの無表情だったが、どこか嬉しそうに見えるのは気のせいか。……昔のことを引きずってるだけかもな。
いいや、俺の知ったこっちゃねえさ。俺のすべきことは、明日の朝ちゃんと部屋のベッドで起きられるよう全力で――「楽しむ」だけだ。
「じゃあ役者も揃ったことだし早速キャストを決めていくわよ!」
臨時に団員を増やし大所帯となった拡大SOS団全体会議で議長兼最高指導者である団長殿が笑顔全開で宣言をした。
こいつは自分の夢だと思ってるんだろうなあ。
生徒会長も苦虫を噛み潰したような顔こそしているものの異議を唱える様子は無い。
この人は古泉からどこまで聞かされているんだろうなあ。
「主役のお雛様は当然みくるちゃんよね~♪」
「あ、あたしですかあ?」
「あったりまえよ! これ以上のお姫様は存在しないと言っても過言じゃないわ! 三人官女はそうねえ……」
ぽんぽんと役が割り振られていく。見事なはまり役ばかりを選んでいくハルヒのキャスティング力はなかなかのものじゃないだろうか。
ん? だがなあハルヒ。お前は一体何をするんだ?
「あたしは撮影をするわよ。みんなはあたしの雛人形なんだから」
そんなもんかね。この女王様気質は何とかならんもんか。
「なあ涼宮、俺男雛に立候補するぜ!」
何、谷口のやつ朝比奈さんの隣を狙ってやがる!
馬鹿野郎、お前ごときにそこは渡さんぞ。
「何言ってんの! あんたみたいなアホにみくるちゃんの隣を許したら日本はおしまいよ!」
そうだ、言ってやれハルヒ!
やれやれ、分不相応な望みを持った人間てやつは哀しいな。
どれ谷口、そこをどけ。俺の出番、真打登場ってやつだ。
 
「ど、どうでしょうか……」
用意されていた衣装の中でも一際豪奢で綺麗な衣装を身に纏った朝比奈さんおひな様バージョンの登場だ。ううむ、眩しいったらないね。
こりゃ色恋好きの平安貴族でも敵わんな。和歌のひとつも詠みたくなる気持ちがわかる。帝も求婚するさそりゃ。
「実によくお似合いですよ」
思わず見惚れていたため褒め言葉を述べたのは俺ではない。束帯を身につけ現れた本日の帝役、古泉であった。
なぜだ。
「やっぱ美男美女で絵になるわよね! 次の映画でこの衣装使いたいわね!」
そりゃあれか、お前が「古泉イツキの覚醒」とか言ってた完結編か。
しかし見た目は確かに絵になっているため代われとも言えない。
やれやれ、分不相応な望みを持った人間てやつは哀しいな。……はあ。
自分の姿はこれ以上無いほど五人囃子だ。ああまったくぴったりだね。
さて、ここで並びに注目してみよう。
ハルヒ指導の下俺たちは実際に段に並んで座ってみることにした。
 

  男雛    女雛         古泉    朝比奈さん
    三人官女         長門  喜緑さん  朝倉
    五人囃子      妹  国木田  谷口  俺  阪中  
 右大臣    左大臣       森さん    新川さん
    三人仕丁       部長氏   鶴屋さん   会長

 
こんな感じになっている。
宇宙人三人娘を三人官女に据えるとはなかなかハルヒも粋なことをする。知らないくせに。
妹は太鼓を与えられて実に楽しそうにとんとん音を立てている。
新川さんも実にはまり役だ。全日本ミスター執事服コンテストなんてのがあったら上位入賞確定だと思っていたが、こういう衣装もなんと似合うことか。和洋を問わないダンディズムというやつだろうかね。
三人仕丁も思わず頷いてしまうな。ハルヒにやられて泣き顔の似合う部長氏が泣き上戸、鶴屋さんと会長は言うまでも無く笑い上戸と怒り上戸。
今まさに2人は与えられた役を無自覚ににこなしきっている。
最初こそ恥ずかしかったが、ハルヒも楽しそうに写真を撮っているしこれはこれでいいかもしれん。
惜しむらくは朝比奈さんの隣が俺でないことだが。古泉、代われって。
しかしなんだ、ハルヒ。もう3月4日だぜ。早くしまわないと嫁き遅れるって言うのにお前は3日過ぎてから雛人形飾りやがって。嫁にいけなくなってもしらねえぞ。
まあ、ハルヒをもらおうとする変人がいたらの話だけどな。
 
「少々よろしいでしょうか」
撮影会も終わって甘酒、菱餅、雛あられで宴会中、宴もたけなわという所でお内裏様に耳元で囁かれた。
「顔近いぞ、なんだ」
平安時代って結構普通に男色多かったって言うからな。気をつけなければリアリティを追求されてしまうかもしれん。
「そんなことはありませんよ」
なんだ、聞こえていたのか。で、なんだ。
「実は、閉鎖空間が消滅する気配が一向に見られません」
なんだと、じゃあ。
「ええ、涼宮さんは実に楽しそうでしたがまだ何か足りないものを感じているのでしょう」
確かに、ただ楽しむだけなら学校や鶴屋さんちで楽しんでたのと大してかわらん。
だがこの空間でこれ以上どうすればいい。
「そうですね、元の世界への回帰に繋がるかどうかはわかりませんが僕に考えがあるので任せてもらっても構いませんか」
「好きにしろ。内容によっては手伝ってやるさ。何する気だ?」
「たいしたことじゃありません。涼宮さんも女の子ですから典型的な願望があるなら叶えて差し上げたい、と。それだけですよ」
なんだそりゃ、まさかお前……。
 
「そういえば涼宮さんだけ衣装変えをされていませんが、涼宮さんもいかがですか?」
そのまさかだった。そんな短絡的でいいのかお前。
「あたしはいいわよ。みんなの写真いっぱい撮ったし」
ほら、そう言うのはハルヒは自分でやりたかったら隠さずに堂々と「あたしが先陣切ってやるわよ!」ぐらい言うだろ。
「涼宮さんのお雛様姿も是非見てみたいですね。そうだ、内裏雛からの命令というのはどうでしょう」
褒めちぎり、さらに権力使って力技。本当にどうした古泉。
「実を言うと僕も他の役を試してみたくて。映画の方でも演技の幅を広げられると思いまして」
「あらそう、どの人形の役がやりたいの?」
「そうですね、左大臣なんか実に魅力的ですね」
「そんなに頼まれちゃ断りづらいわねえ」
おい、ハルヒ? お前もなにのせられてんだ。
「みくるちゃんもいいかしら」
「はい、あたしも涼宮さんのお雛様見てみたいです」
ま、状況が変わるんならそれでもいいがな。ところで古泉も左大臣に動くということは、男雛はどうするんだ。
新川さんと交代ってのはさすがに見た目的にどうなんだ?
「おい谷口、国木田。阪中に鶴屋さんまで。何ニヤニヤしてんですか?」
「いやいやキョンくん、これはこれは。祝辞を述べさせてもらうっさ」
「大出世だねキョン」
「次に涼宮が言う台詞が見え見えだぜ」
「キョンくんも、応えてあげてほしいのね」
精神的に逃げ道を塞がれていくような気分になるのはなんでなんだ?
「キョン」
ハルヒの声がする。ううむ、あいつらのせいで呂布に一騎打ちを申し込まれたような気分になるね。俺には負ける以外の選択肢が存在しないのか?
「古泉くんも別の人形役がいいって言ってるし、あんたに男雛をやらせてあげるわ。一番偉いやつ」
俺が、か?
「嫌ならいいけど、あんたにたまには権力者の座に就かせてやろうって言う団長の気遣いなんだから……」
やれやれ、どうしてそこで「あたしもお雛様やってみたい」と素直に言わないんだ。それなら快く承諾できるってのに。
「あたしはいいけど、古泉くんが可哀想じゃない? それに」
「わかった、いいぜ」
「みんなだってまだ……キョン?」
「やるよ男雛。俺にやらせてくれるのか?」
なんか場が静まった。ニヤニヤ度が増すのがすげえ腹立つ。
朝倉ぁ、その手はなんだ。「親指立ててグッジョーブ」のつもりか? やめなさいはしたない。間違ってるからそれ。中指以上にヤバイからそれ。
「じゃあ今から入れ替えで新規キャストにして再撮影会よっ!!」
その時のハルヒの笑顔は、いつもよりもさらに眩しい130Wくらいの明るさを発していて、しばらく忘れられなさそうだ。
 
 
「昨日、と言うより先ほどはお疲れ様でした」
うるさいな、眠いんだから教室で寝かせてくれ。
「撮影に使ったカメラはこちらで預からせていただいてます。まさか『夢の中の写真』を現像するわけにも行きませんので」
しょうがねえ、当然だ。俺がこっそり持ってたってそのうちばれる可能性があるしな。
「いやあしかしおめでたいことですね。その仲睦まじさはまさに夫婦のようでした。僕はしばらく甘酒は飲みたくありません」
言ってろ。ちょっとハルヒがハイになってただけじゃねえかあんなの。
「ところで知っていますか。平安時代の結婚なんですが、男性が女性の家に三夜連続で通い二人で餅を食べるのだそうです」
それがなんだ。
「いえ、お二人が菱餅をおいしそうに食べていらしたものですから」
喧嘩売ってんのかお前は。
「僕はただ、どちらか一方でももう少し素直になればと思っているだけですよ」
「今の気持ちに素直になってお前のことをぶん殴ってやろうか?」
「失礼しました、退散します。おやすみなさい」
鼻歌を歌いながら去っていく。古泉のやつも意外に徹夜でハイだったりとかなんだろうか。
ってこの曲、「てんとう虫のサンバ」じゃねえか。どこまでもふざけやがって。
教室に帰るとハルヒと阪中と谷口、国木田も夢の世界に旅立っていた。
みんなあんまり眠れなかったんだろうかね。友よ、俺もすぐ行くぞ。
正直その日の記憶はあまり無い。

エピローグ

数日後、SOS団宛に古泉経由で絵が届いた。
「僕の親戚が画家見習いをしていましてね。僕が皆さんのことをアルバムを交えて話したところ1枚描いて下さったんですよ」
「古泉くんこれって……!」
「ええ、完成が遅れてしまって申し訳ないと謝られておりました。とっくにシーズンオフだと言うのはわかってるんですがせっかく描いて頂いたので涼宮さんにお渡ししようと……」
ハルヒが固まっている。おい古泉、俺にも見せてくれ。
ってお前これ……いいのか?
そこには記録に残っていない記憶が描かれていた。
笑顔の怖い最強の仕丁を配置し、左右大臣をやり手の会長とその黒幕で固める。
4人しかいない五人囃子に未来人、宇宙人、無敵の笑顔お嬢様と言うミス北高な三人官女。
雛壇の横には衣装こそ場にそぐわないが見事に溶け込んでいる執事とメイド。
そして――、
 
「キョン、これ額縁に入れて飾っておきなさい」
「へいへい、額縁とはまた大事なお取り扱いだな」
「この絵、この前のあたしの夢にそっくりなのよ!」
そうかい、そいつはさぞやいい夢だったんだろうね。……こんなに笑顔なんだから。
 
やはり雛人形の絵といえば見るべきポイントはここだろう。
手を男雛の首に回し自分に引き寄せる、太陽のような笑顔を浮かべたポニーテールのお雛様。
やれやれ、男雛もいい顔してやがる。こんなお転婆なお雛様のどこがいいって言うんだろうね。

おまけ 最後の並び

  男雛    女雛         キョン   ハルヒ
    三人官女         長門   みくる  鶴屋
    五人囃子        妹  国木田  谷口  阪中  
 右大臣    左大臣        会長     古泉
    三人仕丁         部長氏   朝倉   喜緑