ソリロキー・モノローグ (14-965)

Last-modified: 2007-02-21 (水) 00:18:42

概要

作品名作者発表日保管日(初)
ソリロキー・モノローグソリロキー・モノローグ06/08/1706/09/04

作品

「朝起きると、何らかの違和感があった。
 また例のごとくハルヒ的能力のせいなんだろうと考え、とりあえず何か変化が無いか
 部屋の中を見回してみる。
 フライングボディープレスを見事に成功させた妹が不思議そうな顔をしてこちらを見て
 いるが、他には何も変わったところはなさそうだ。今度は一体何をしたんだハルヒ?」

 

「キョンくん?さっきから一体何をブツブツ言っているのぉ?」

 

「と妹はそう言うと、不思議そうに俺の顔をのぞき込む。なんだ?俺の顔に何か付いてい
 るか?」

 

「そうじゃなくて、さっきから変だよキョンくん?」

 

「ああ、俺もさっきからようやく何が変なのか気が付いたよ。俺のモノローグのはずが、
 何故か全てカギ括弧が付いているじゃないか?つまりこれは俺が思っていることを全て
 喋っていると言うことなのかい?教えてくれマイシスター」

 

「うん。そうみたい」

 

「なるほど、さっきからの違和感の正体はこれだったわけだな。とりあえず、聞かれては
 まずいことを口走る前に、妹を部屋の外に追い出すとしよう」

 

「聞かれちゃまずい事って何?ねぇねーーーーーぇ」ばたん。

 

「ふう。しかしこいつは参った。俺がいつものように独白で皆様に解説をしようとすると
 すべて、登場人物に全てばれてしまうって訳だな。
 俺がまったく解説をせずに普通の会話だけでこの話を成立させるという手も残っている
 のだが……。
 ただ、思ったことを全て口に出してしまうってことはだな、
 『朝比奈さんの巨乳を一度でいいから揉んでみてー』とか、
 『長門のあそこは一体どうなっているのだろうか』とか、
 『あぁ、ハルヒ今日も可愛いなぁ…あーもうキスしてェ…超キスしてェ…ハァハァ…』とか
 そうちょっと考えたことも全て喋ってしまうって事なのか?
 って、やっぱり喋ってるよおい。

 

 いまのは、試しに考えてみただけで本心からそう思っている訳じゃないからな。
 俺がそう言う人間じゃないのは、みんなもわかってるよな?な?
 とりあえず、今日は休みだからおとなしくしておこう。誰とも出会わないようにっと」

 

♪ある晴れた日のこと~♪魔法以上のユカイが~♪

 

「唐突に着メロが鳴り始めた。
 ああ、やっぱりそんな気がした。こういう電話をかけて欲しくないときにかけてくるの
 があいつだ。

 

 着メロが鳴り続けているが、たぶんでない方がいいんだろうと思う。
 だが、出ないともっと恐ろしいことが待っている予感がする。

 

 ハレ晴れユカイがもう一度ループする前に、俺は覚悟を決めて電話に出ることにしたさ。
 とりあえず気持ちを落ち着けてなるべく平常心でよけいなことを考えずに……」

 

プチ

 

『あたしを待たせるなんて、あんたいい度胸ね!
 携帯はワンコール以内に出なさい!でないと死刑よ!』

 

「ああ、予想通りの反応だ。ちょっとは俺の都合も考えろ、このわがまま女。」

 

『はぁ?!今なんてった?!』

 

「しまった!ついうっかり。通話口を押さえおけばいいじゃねえかよ俺!とそう言う前に、
 俺は携帯のマイクの所を指で押さえる。
 これで多少思ったことを喋ったとしてもあいつに聞かれることはないはずだ。
 俺は、再び心を落ち着けてと、指をマイクからずらし
 『いやなんでもない、妹が近くにいてだな、さっきからまとわりついて鬱陶しいので、
 ちょっと叱っただけだ。』と言い訳しておこう。『で、なんのようだ?』とうまく言い
 切ったぞ。ちなみに『』は指をずらしてハルヒに聞こえるように調整している部分だ。
 俺ってなかなか策士だな。」

 

『なんか怪しいわね……でも、まあいいわ。今からいつもの駅前に集合よ。
 定例の不思議探索パトロールをするわよ!30分以内に来なさい!』

 

「それはまずいっ!俺は今この状態でいけるわけない。ハルヒに本音を聞かれるのならま
 だしも他人に本音を聞かれるのだけはさけねば。
 ハルヒが電話を強制的に切る前に、ごまかせ俺!
 『ちょっと待て!実は今、体調が悪くて熱が39度ある。というのはウソだが、今日は
 いけそうにない。本当はハルヒの顔が見たいけどな。今すぐ会いたいくらいだ。
 大好』きだハルヒって、
 おい、俺!今なんてったよ!しかも焦って途中からマイクをふさぐの忘れた!
 『いまのは無し!聞かなかったことにしてくれハルヒ!』」

 

「なんですって!……今からそっちに行くから待ってなさい!!」

 

「だから来るんじゃねーーー!!俺が叫んだときには団長様はすでに電話を切っていた。

 

 ハルヒの前で思っていることをべらべら喋る俺。どんなことになるか想像できない。
 終わった……俺の全てが終わった気がする。
 さらば青春の日々よ……そうだ、もうこれは夢だと思うことにしよう。
 寝直そう。寝て起きればきっと……なんだかねむいよパトラッシュ……
 ていうかマジで熱がないか俺?
 ……俺はそのまま倒れるようにしてねむ……」

 

………
……

 
 

おでこにコツンと何かが当たる。ほのかにシャンプーのいいにおいがする。
俺がそっと目を開けると、目の前にハルヒの顔があった。ドアップだ。こんなに近くで、
ハルヒの顔を見たのは例の閉鎖空間以来だな。あーそうだこれはまだ夢なんだ。だったら
ついでにあのときの感触を思い出してみたい……俺は顔を起こしてハルヒに近づき……

 

「なにすんのよ!バカキョン!」

 

ぐおおお。見事なエルボースタンプが俺のみぞおちにヒットした。
お前は俺を殺す気ですか?ていうか、なんでお前がここにいる?ハルヒ?

 

「あんたまだ寝ぼけてるの?大至急来てくれって言ったのあんたでしょ?」

 

そんなこと言ったっけか?今すぐ会いたいとか言った気はするが……まあいいか。

 

「なんか変だと思ってあわててきたら、あんたがのびててね。
 妹ちゃん一人でおろおろしてるし。
 あたしがあわててお医者さん読んで……って覚えてないの?」

 

なんだ、やっぱり夢だったのか。全然覚えてない。

 

「ふーん。まいっか。朝からずっと寝てたからお腹すかない?
 何か食べる?おかゆ作ってあるけど」

 

時計を見るともう16時過ぎだ。
朝から何も食べてないんだなそう言えば。俺のお腹がぐーうっと鳴った。

 

ハルヒの作ったおかゆは塩味しか付いていないが、夏の孤島で食べた完璧執事の新川さん
の豪勢な料理より、今の俺には数倍おいしく感じた。

 

「どう?おいしい?」

 

「ああ、うまいぜ。おかゆ専門店を出店してもいいくらいだ」

 

俺は鍋の中のおかゆを全て平らげると、ハルヒは

 

「それだけ食べれればもう大丈夫そうね」
と安堵の息を漏らした。

 

「心配かけた。ありがとうな。ハルヒ。」

 

俺がそう言うとハルヒはにやりと笑う。なんだ?そのニヤニヤ顔は?

 

「キョンってちょっと素直になった?それとも熱のせいかしら?
 あたしあんたが寝ている間に、いいこと聞いちゃったのよね。」

 

なんのことだ?
俺がそう言うと、ハルヒは自分の携帯をじゃじゃーんって感じで取り出し、例のいたずらっ子が
とびきりのいたずらを見つけたときのような笑顔を見せる。

 

「最近の携帯ってね、ボイスレコーダー代わりになるの知ってた?」

 

しらん。俺は必要な機能しかほとんど使わない。で、それがどうした?

 

『あぁ、ハルヒ可愛いなぁ…あーもうキスしてェ…超キスしてェ…ハァハァ…』

 

と、ハルヒの携帯が俺の声でしゃべりやがった。
ハルヒはニヤニヤ笑っている。俺の背筋から何か冷たいものが流れる感覚が……

 

「さっきね。キョンが熱でうなされているときに言ってたのよ。覚えてない?」

 

覚えているわけないだろーーーー!!

 

「あたしが言った質問全部こたえてくれるのよ。あんたかわった癖があるのね」

 

『ハルヒ!好きだ!お前ともう二度と離れたくない!』

 

ぐおーーーー!だ、だレか俺を殺してくれ!出来れば6時間前の俺を!
ハルヒはニヤニヤしながら俺に拷問を続ける。

 

『ハルヒ!お前は俺のものだ!誰にも渡さないーーーーー!』

 

あぁ、これは夢なんだ。きっと夢だそう思う事にしよう。

 

『ハルヒ!夢の中でも俺は愛してるぞー!』

 

えーいしつこい!!おしまいだ!

 

おしまい!!