リレー「涼宮ハルヒの転居」 (133-779)

Last-modified: 2011-02-19 (土) 00:58:47

概要

作品名作者発表日保管日
リレーSS 涼宮ハルヒの転居133-779、798、809、826、856氏、134-238氏、135-486氏、136-909氏、137-328(◆1/dtGJfhU6.F)氏、138-133、882氏10/10/0311/01/30

 
リレーSSです
まだまだ続きを募集中です!
 

プロローグ (133-779氏)

数ヶ月前、うちの隣の一家が、東北へと引っ越して行った。
何でも、ご主人の会社が東北に支社を作るとかで、ご主人が支社長に任命されたそうだ。
まさに、ご栄転ってやつだな。この不景気のさなかに、よくやるもんだ。
 
それから2週間もしないうちに、隣の家に業者やら重機やらが入って、工事が始まった。
てっきり家を取り壊すものかと思っていたが、どうやら違うらしい。
なんと、日を追うごとに家は増改築され、以前よりも立派な作りになっていったのだ。
ある日、学校から帰ってきて部屋の窓の外を見たら、
すぐ目の前に、今までは存在しなかったベランダが設置されていたのには驚いた。
売りに出すための改修工事にしては、やけに大掛かりだなーなどと、
のんきに構えていたら、嵐は唐突にやってきたのだ。
 
その日は土曜日であった。
珍しく不思議探索も休みということで、俺は心置きなく、
温かい布団の中で安眠を堪能する、
……………………
………………
…………
……予定だったのだが
 
 
妹「キョンくーん!!ハルにゃん来たよー!!」
 
妹に叩き起こされた。
ハルヒめ、今日は団活休みだって言ってなかったか?
 
ハルヒ「おっそい!いつまで待たせんの!!」
キョン「お前、今日は団活休m……っておい!いきなり手を引っ張るな!」
ハルヒ「早くこっち来て!荷物運ぶの手伝いなさい!!」
キョン「……は?荷物?何のこっちゃ」
ハルヒ「あたしん家、そこの家に引っ越したから」
キョン「そこの家?……って、うちの隣の家か?」
ハルヒ「そーよ」
キョン「/(^o^)\」
 
こうして、天上天下唯我独尊年中猪突猛進のSOS団団長こと涼宮ハルヒは、
俺の隣人となったのである。
 

涼宮ハルヒの転居 そのいち (798氏)

朝食も摂らずに外へと引っ張り出された俺はそのまま涼宮家の敷居を跨ぎ、家主への挨拶もそこそこに(主にハルヒの)大量の荷物を運ばされる羽目になった。
そしてやはりというかお約束というか、もう何といえばいいのかわからんけれども。
ハルヒの部屋は、俺の部屋の真正面に位置していた。あのベランダ付きに改修されていた部屋だ。
 
ハルヒ「へー、そこキョンの部屋だったのね。気付かなかったわ」
キョン「ホントか?下見とかで来た時に気付きそうなもんだが」
ハルヒ「アンタん家の間取りまで覚えてるワケないでしょ?まったく…」
 
その後もハルヒは「身の危険を感じるわ…」とか「勝手にあたしの部屋覗いたりしたら罰金だからね!」などとぼやいていたのだが、そんなにイヤなら今からでも部屋移動すりゃいいだろうに。
…あと、台詞と表情が合ってないのは突っ込むべきだったんだろうか?
 
兎にも角にも、まるでマンガかなにかの幼馴染シチュエーションとでも言うべき環境が、俺とハルヒとの間に出来上がってしまった。
ベランダを経由すれば、俺の部屋とハルヒの部屋を行き来するなんざ妹でもできるだろう。
…現実にあっていいのかコレ。建築基準法とか大丈夫なのか、業者さんよ。
 
まぁいい、この事についてはあとでジックリ考えることにしよう。
今俺が何を置いても言いたい台詞は一つだけだからな。…そう、それだ。大体予想付くだろ?
よければ皆さん、御唱和下さい。
 
せーの、
 
 
 
「…腹減った」
 
 
 
誰だ、今「やれやれ」って言ったの。

涼宮ハルヒの転居 そのに (809氏)

腹が減っては戦はできぬ。
昔の人は上手いことを言ったもんだ。
朝一番からカロリーの補給も無しにハルヒ宅の引越し作業に駆り出された今の自分の疲れた顔を見れば嫌でも思い知らされる。
俺が運んだ荷物のほとんどはハルヒの物で、そしてハルヒの自室は俺の部屋の目と鼻の先、つまりは家の二階に位置している。
重たいダンボールを抱えて一体どれだけ階段を登り降りしただろう?
我ながら頭の一つも撫でて労ってやりたくなる健気さだ。
そんな健気な俺の為にも早いところ胃の中に何か食い物を放り込んでやらなければなるまい。
時刻は既に11時近く、昼食まであと少しという所だがウチの両親はハルヒの親御さんと目下歓談中。
俺とハルヒがクラスメイトであり、何かと一緒につるんでいる事もあって(こっちとしてはハルヒに引っ張り出されているだけと言いたい所だが)、やたらと話が弾んでいる模様だ。
いつも通りの時間に昼飯にありつくのは無理だと諦めた方がいいだろう。
台所まで行けば昨日の残り物でもカップラーメンでも、何か食べられる物が手に入る筈だ。
というわけで、空きっ腹を抱えたままの俺は階段を降りて、台所の扉を開いたのだが……
「あら、キョン?ちょうどいい所に来たわね」
なんかいた。
頭に手ぬぐいを巻いた我がSOS団団長殿がボールの中に入ったパン生地みたいな何かを捏ねていた。
ただし、色が小麦粉のソレとはちょっと違う。
これは恐らく
「引越しそばを打ってたのよ。アンタも手伝いなさい」
ああ、そういえばそうだったな。
ハルヒはこういうイベント事には乗り気で参加するタイプだ。
今じゃすっかりすたれてしまった古き良き日本の慣習の一つ、引越し先のご近所に蕎麦を配って挨拶回り。
ハルヒがこの機会を逃すはずなんてある訳がない。
「……というかだな。引越しそばは良いとして、どうしてそれを俺の家の台所で作っているんだ?」
「バカね、キョン。引っ越したばかりの何も置いてないキッチンで料理なんて出来るわけないでしょ」
「それなら出前でも何でも頼めばいいだろ」
「せっかくのこのチャンスに、それじゃあ意味が無いじゃない」
以上、予想通りのハルヒの回答。
俺の至極真っ当な抗議の言葉を軽く受け流して、ハルヒはそば打ちに没頭する。
「そりゃあ、アンタの所のご両親が駄目って言うんだったら、私だって無理にソバなんて作ろうとはしないわよ。
正直、断られるかもしれないなってちょっとは思ってたんだけど、凄く嬉しそうな顔で『気にせず使っちゃって』なんて言われて、私もちょっと驚いちゃったわ」
そういえばハルヒはこういう時、割と人当たりがいいからな。
息子と同じクラスの女子がわざわざそばなんて作ってくれるとなれば、家の両親も一も二もなく快諾しただろう。
ハルヒの言うところの『凄く嬉しそうな顔』とやらが俺の脳裏にもありありと浮かび上がる。
おのれ、親父にお袋よ、既に裏切っていたとは……。
「ふう……ちょっと疲れてきたわね。キョン、交代しなさい」
「へいへい」
で、当の俺もハルヒの命令に文句は言いながらも従っているのだから世話はない。
どうにもコイツのこういうノリに俺は弱いようだ。
「ああ、そうじゃないわよ。もっと優しく揉むような感じで」
「こうか?」
「そうそう。やれば出来るじゃない」
ハルヒの指導を受けつつそば打ちをする俺はふとある事に気がついた。
ハルヒが何故だか自分の腕の辺りを揉んでいる。
「なあ、ハルヒ。腕、どうかしたのか?」
「ああ、これ?引越し作業で私も久しぶりに筋肉使ったしね。それに、練習の疲れもあったから……」
練習?
ポツリとつぶやいたハルヒの言葉が妙に引っかかった。
俺は視線を手元に落として考える。
目の前には俺とハルヒの手でこねられたそばの生地がひとつ。
もしかして………
「なあ、ハルヒ。ひょっとしてお前、今日の引越しそば作る為に練習してたのか?」
「へ?な、な、な、なんでアンタがそれを……って、ああ!」
やっぱりな。
図星を突かれて赤面するハルヒを横目に、俺はひとり納得する。
料理の腕はそう悪くないハルヒだが、そば打ちはそれなりのコツが必要だ。
さっきから妙にハルヒの手際や指示が手馴れている感じがしたのだ。
しかし、事前練習がたたって当日に筋肉痛を起こしてるんじゃ本末転倒だ。
「何よ……引越し先のお隣さんに礼を尽くすのがそんなに悪い?」
「いんや…お前が作ったソバってのもなかなか悪くないと思うぞ。まあ、俺も手伝ったから純粋にお前の作品では無くなっちまったけどな」
「むう………」
俺の言葉を聞いたハルヒは、頬を赤く染めたまま黙りこんでしまった。
別にそんな顔をせんでも良いだろうに。
お前の言う通り、引越し先の隣人にそばを振舞うってのは悪い考えじゃあない。
文化祭でバンドの助っ人をやった時だってそうだ。
コイツは自分が他人に向ける好意とか親切心、そういう物をもっと素直に認めても良いと思う。
「さてと、そば生地の方はこれぐらいで良いか?」
「そうね。悪くない出来だと思うわよ」
「んじゃ、ここから後は頼むぞ、ハルヒ」
「何よ、いきなり。指示を出すのは私よ!」
「この後はめん棒でのばして切るとこだろ?一番、お前がやりたがりそうな所だ」
「むぐ……」
「それからだな」
俺はそば粉まみれの手を洗ってから、ハルヒの足元のビニール袋に手を伸ばした。
「やっぱりな。ここまで手作りでやっといて、お前が市販のそばつゆなんかで妥協する筈がないもんな」
ビニール袋の中身は予想通り、醤油だとか鰹節だとか、そばつゆの材料と思しきものだった。
「俺にはそばを上手に切る自信はないし、二人揃ってそば打ちだけにかかずらわってたら時間が掛かり過ぎる。
実は俺、今朝から何も食ってないんだ。分担作業で手早く済ませようぜ」
「だからそれを決めるのは私なのに………まあいいわ。二面同時展開の作戦に異論はないわよ。
やるとなったら、不味いそばつゆなんか作ったりしたら承知しないんだからね!」
「了解」
というわけで、ハルヒは自前のめん棒を、俺はコンロの上に鍋を取り出して、それぞれの仕事に取り掛かったのだった。

涼宮ハルヒの転居 そのさん (826氏)

 とはいえ、鍋を取り出したまでは良かったんだが、いかんせん俺はそばつゆ作りに一から取り組んだことなど今だかつて無い。
 そもそも料理離れが進む昨今、中食なんてのは技術と時間を省略してこそなんぼのもんだ。だいたいの目分量でお茶を濁しつつ、ハルヒの目を盗んで市販の麺つゆでも混ぜときゃあ、それなりの味にはなるだろう。
「あ、ちなみに冷蔵庫にあった麺つゆは貰っといたから。今頃あたしの部屋で熟成中よ。あんたの考えてることなんて麻薬中毒者が小麦粉だって主張するくらいバレバレなんだから、邪な考えなんて捨てちゃいなさい」
 長い麺類の歴史のおいて、パッケージ化された麺つゆを熟成させた人間など、かつて存在しただろうか。それを成功させたんなら、きっと駄菓子屋の粉ジュースだっていつか熟成させてしまうに違いない。
「……解ったよ」
 こうして盗人猛々しいにも程があるこの団長様の発言によって、女々しい俺の目論見は儚くも消え去ったのだった。
 まあいい。要するにここに用意された材料を使えば出来上がるわけだ。簡単じゃないか。至高だろうが究極だろうが、最後に笑うのは普通の俺だ。
「出来たぞ。こんなもんだろ」
「ちょっと味見させなさい」
 程なく切る作業へと移ろうとしていたハルヒは、おたまを手にして俺の鍋へと突っ込んでくる。
 ひと口だけ喉へと流し込み、まるで健康を維持せんと意気込む青汁ユーザーのような顔をして、
「やり直し!」
 突き返された。
「ちょっと待て。少なくとも不味くは無いだろうが。無知の素人が作ったならこんなもんだろ」
 ましてや料理どころか皿洗いすら数える程しかやったことの無い俺だ。
「あんた、材料をどんだけ使ったのか、それぞれの分量をちょっと言ってみなさい」
 というお達しにより、俺はこと細かにどれをどれだけ鍋に投入したのかを料理長様に伝えてやる。
 かと言って、あまねく材料を余すところ無く計量したわけではないので、大体の記憶に沿った詳細である。
「何それ。要するに1対1対1じゃないの。全部同じ量な上に使ってない材料もあるとか、あんたアホでしょ」
 世間のデジタル化の風潮に倣っただけだ。0か1か。使うか使わないかの二択で全ては事足りる世の中になったんだよ。
「あんたの死刑方法はアナログに切腹だから」
 そう言って包丁を俺に手渡してくるハルヒ。真っ赤に染まったそばつゆとか、逆に斬新かもしれない。
 とにかくそんな寸劇を繰り返し、ようやくそばが完成したのはブランチどころかおやつと言っても過言ではない時間帯だった。
 もう俺の腹はさっきから悲鳴をあげまくっている。
「せっかくいっぱい作ったんだから、妹ちゃんも呼んであげなさい。上に居るんでしょ」
 どうやらそばに有り付くにはまだ早いようで、俺は我が妹の部屋へと足を運ぶことになった。

涼宮ハルヒの転居 そのよん (856氏)

 早く空き容量を埋めろと要求し続ける胃袋を宥めつつ、俺は妹の部屋を目指して再び階段を登る。
 …これほど階段を憎く思ったことはないぞ。
 
「おーい、ハルヒが引越しそば作ってくれたぞ。食うだろ?」
「おそば?食べる食べるー!」
 ベッドに寝転がって漫画を読んでいた妹は、勢いよく起き上がり満面の笑みを浮かべた。
 コイツもよっぽど腹が減っていたんだろう。
「わざわざ事前に練習までしてたらしいから、味には期待していいと思うぞ」
 結局俺担当のそばつゆも、ほとんどハルヒの指示に従って作ったようなもんだしな。
 少々申し訳ない気がしないでもないが、その分味は保証されたも同然だろう。
「そっかー!やっぱりハルにゃん、おひっこしするのすっごく楽しみにしてたんだね!」
「楽しみっていうか…アイツはこういうイベントには必要以上に乗っかろうとするタチだからな。半端な出来はプライドが許さないってだけだろ」
「違うよー!だってずっと前『キョンとお隣さんだったらよかったのに。そしたらもっと…』って言ってたもん!」
 
 …妹よ、いつの間にハルヒの声真似なんか出来るようになったんだ。今のはもうハルヒそのもの…
「って待て。ハルヒがそんなことを?」
「うん!前にハルにゃんが遊びに来てたとき、ハサミ借りようとしてお部屋に入ったら言ってたの……あ!これ誰にも言わないってやくそくしてたんだ!」
 いっけなーい!と部屋を飛び出す妹を視界に捉えつつ、俺は今の言葉を脳内でリピートさせていた。
 今のが本当だとしたらつまり…ちょっと順を追って考えてみようか。
 
 ハルヒには、宇宙人や未来人や超能力者が言うところの『無意識に願いを叶えてしまう力』がある訳で。
 そんなあいつが『俺の家と隣同士になりたい』と願った(?)ことでその力が発動した、と。
 すると以前のお隣さんが見事にご栄転なされたのもあいつの力によるものであり…ようするに……
 
ぐぅ~
 
「…いかん、もう腹が減りすぎて頭が回らない。続きは食べてからにするか…」
 
 
 
「「「いただきます」」」
「んー!おいしー!」
「おぉ…こりゃ美味いな。普通に店出せるレベルじゃないか?」
「あったりまえよ!このあたしが作ったんだから!」
 やっとありつけたハルヒ特製引越しそばは、もうこの世のものとは思えないくらい美味かった。
 空腹は最高の調味料だってのは誰の言葉だっけ?それ言ったらハルヒにものっそい睨まれたけど。
「なぁ、お代わりもらっていいか?」
 あっという間に自分の分を平らげ、ハルヒにお伺いを立てる。
「まったく、しょうがないわね。もっと味わって食べなさいよ」
 口ではそう言いつつも見事な破顔っぷり。台詞と表情が合ってない/part2だ。
 やっぱりコイツも自分の作ったものを沢山食べてもらえるのは嬉しいのかね。
 
 まぁそんなこんなで食事タイム終了。
 エネルギー摂取も滞りなく行われたことで俺の腹も落ち着きを取り戻し、これでやっと休日らしく過ごせる。
 と思ったのだが…どうやらそうは問屋が卸さないようだ。勘弁してくれよ、もう。

涼宮ハルヒの転居 そのご (134-238氏)

荷物は午前中にあらかた運び終えたので任務完了、
腹一杯そばを食ったところで一眠り、
といきたいところではあったのだが、ハルヒはそんな甘い奴じゃないことは分かっているさ。
 
ハルヒ「ほらキョン!いつまでもボケっとしてないで!さっさと出かけるわよ!!」
 
分かってはいても、どうも釈然としないな。
キョン「出かけるって、どこに行く気だ?」
ハルヒ「あたし、引っ越してきたばっかりだからこの辺のことよく知らないのよ。
   あんた、昔っからここの住人なんだから案内しなさい!」
キョン「あー、そういうことか。お前のことだから下調べくらいしてると思ったんだがな」
ハルヒ「したわよ。でも、ここに住むからには知らないことは少ない方がいいじゃない。
   もしかしたら、あんたが当たり前だと思ってることの中に不思議が隠れてるかもしれないし!」
キョン「ったく、そう簡単に不思議とやらがゴロゴロ転がってるわけが……。
   ま、お前がそれで気が済むならいいか」
妹「キョン君、ハルにゃんとお出かけするのー?」
キョン「ハルヒが、この辺を案内してほしいんだと」
ハルヒ「妹ちゃんも一緒に来てくれるの?」
妹「いいの?行く行くー!」
 
午後は、妹と共に近所の施設をハルヒに案内することとなった。
最初は、家の目の前にある公園からスタートした。
 
妹「この辺の子はねー、ちっちゃいときはみんなこの公園で遊ぶんだよー」
キョン「お前もまだ充分小さいだろうが」
妹「あーっ!キョン君また子供扱いしてー!」
ハルヒ「今日も子供たちが遊んでるのね」
キョン「土曜日だからな。今日はまだ少ない方だ」
ハルヒ「この公園には不思議が落ちてないもんかしらね」
キョン「あんまり怪しい行動を取るなよ。通報されるぞ」
 
その後はスーパー、コンビニ、医療施設、運動場、工務店、パソコンショップなどなど、
めぼしい施設を一通り回ってみたが、
 
ハルヒ「普通ね。不思議なものが見つかんなかったわ」
 
当たり前だ。
お前は一体何を求めてるんだ……って、それは愚問か。
 
キョン「徒歩で行けるところはだいたいこんなところか」
ハルヒ「利便性は悪くないわね。妹ちゃん、案内ありがとね♪」
妹「えへへー、どういたしまして」
キョン「……」
ハルヒ「……何よ」
キョン「いや、別に」
妹「ハルにゃん、楽しそうだね」
ハルヒ「え?どうして?」
妹「だってー、さっきスーパーであたしのこと『あら、娘さんですか?』
 って聞かれてから口元がニヤけてるよー」
ハルヒ「えっ?!うそ!」
妹「うっそだよー♪」
ハルヒ「かっ、からかったわねー!」
妹「にゃはははははー」
 
やれやれ、賑やかな奴らだ。

関連作品

涼宮ハルヒの転居 その6 (135-486氏)

 はぁ、やれやれ
ハルヒが隣に引っ越して来て早くも一ヶ月がたった分けだか、ハルヒは何かに付けて俺の部屋に上がり込みゴロゴロ~と俺に無理難題を容赦なく突き付けてきやがる。
そういう俺の囁かな反抗としてハルヒが俺の部屋に入る時はポニーテールにするようにと注文したら、文句をいいながらもちゃんとポニーテールにしてくるハルヒは意外と……知らん
 
「お~い、ハルヒさん」
「スゥーむにゃむにゃ」
 言わずもがなハルヒは寝ている、俺のベットで。
また床でのご就寝になるわけだが、慣れというのは恐ろしいものである。
 
なんだかんだとハルヒと四六時中一緒に居ると
ついつい他の奴がいる場所でもハルヒへの気が緩みがちになっている。
 
例えば学校とかでは
「ハーハックショイ!」
「だらし無いわね、SOS団の団員が風邪引くなんて、気合いで治しなさい」
「気合いでなんでも治ったら医者様の存在が危ぶまれるだろうが」
「まったく、しっかりしなさいよね」
「あのな~元はと言えば、お前が悪いんだぞ」
「人のせいにしないでくれる」
「残念だか犯人はお前だよ、お前が俺のベッドで朝まで寝てるから……俺が風邪引くなんて事態に」
「な! ////」
 
 そう此処は学校の教室であり、残念ながら俺たちの会話はクラスメイツにまる聞こえ……俺の発言は勘違いを誘発させるには十分な意味を持っている分けだが。
 
アバよ谷口
 
俺たちがぶっ飛んだ関係になっていると言う噂は瞬く間に学校中に広がっていった。
 
つづく

涼宮ハルヒの転居 そのなな (136-909氏)

 俺はその日、校内全域に拡散した誤情報を撲滅すべく奔走していた
「今更何を慌ててんだ? お前らの関係はとっくに全生徒が認めt」
 ああ、一大センセーションの発起口は目についた瞬間縛り上げておいた。
「とうとうそこまで至りましたか。いやおめでとうございます、僕たち機関も総力を挙げて祝h」
 お前らが真相を知らんわけがないだろうが。そこで逆さ吊りになってる「口」とでも仲良く話してろ。
「大衆が信じることがいつでも真実とは限らないのよ。真相は知る資格のある者だけ知ってれば十分でしょ」
 ……いや、お前こそ俺と同じく衆目の視線に晒されっぱなしのハズだろう。こんな誤解を受けたままでイイっていうのか?
「あんたがイヤだっていうなら自分で何とかしなさい。あたしは先に帰るけどね~」
 と言い残し、我が隣人は放課後になるや否や本当に帰ってしまった。マジかよ。
 ……とりあえずそんなワケで、帰宅する頃には疲労困憊青息吐息な雑用が見事に出来上がっていたのだった。
 
 何とか自室へとたどり着いた俺は、普段着に着替えるのもそこそこにベッドに倒れこんだ。
 ああ…足が棒のようだ。しかも実際誤解を解くことが出来たかどうかも甚だ疑わしい。まさに骨折り損だ。
 明日辺り、長門に全校生徒の記憶を改竄するように頼んでみようか。いやそれとも………
 
 …………待て、このまま横になっていては泥のように眠りこけてしまう事請け合いだ。何とか今日一日の疲れを落とさねば、明日の朝起きられるかどうかも怪しいぞ……
 …そうだ、風呂入ってスッキリしよう。
 
 古来より入浴は「祓い清め」の行為として世界に広まっている。「健全な精神は健全な肉体に宿られかし」というオリンピック精神の元となる考えにも関連があり、医学的にも皮膚の清潔を保ち、心身のストレスを取り除くといった効果がある。まぁつまり、疲労回復に最適な行為ってコトなのだ。
 そうと決まれば善は急げだ。早速沸かして……と思ったら、リビングの電気給湯器の表示が「給湯済み」になっている。
 
「なぁ、もう風呂って沸いてるのか?」
「うん! さっきわかしたのー!」
 おお、妹よ! お前がそこまで気配り上手になっていたなんて……兄は嬉しいぞ!
「あ、でも今ねぇ…」
 続けて何やら聞こえたような気もしたが、俺の脳内はゆったりと湯船に浸かって至上のリラクゼーションを得ているビジョンで一杯だった。
 一度自室に取って返して着替えを持ち、そのまま脱衣所へと一直線に向かった俺は楽園へと至る扉を何の躊躇も無く開き………中に入らず閉じた。
 やれやれ、どうやら俺は相当疲れているようだな。いくらなんでもあんなにハッキリ幻覚を見たのは初めての経験だ。……まぁ実際に徹夜明けなど極度に疲弊した状況において、五感からの刺激無しに意図せず興奮を覚えるという事例も報告されてはいる。余りに疲れすぎて生命の危機を感じた脳が、神経伝達物質の分泌量を増加させ「子孫を残せ!」と命令するということのようだが、つまりは疲労がピークに達することで思考能力が半減し、いわゆる日常的ストレスもその分減少することで、本能だけが突出した結果だと考えることも出来るだろう。
 よって俺が今見たのはそんな人体の神秘により呼び起こされた幻影で、中から聞こえている慌ただしい衣擦れの音も只の幻聴でしか無いのだ。もう一度扉を開けば当然そこには何も無く、そのまま湯気の立ちこめる暖かい空間に身を置くことが出来るハズなのだ。間違いない。
 そう思い至った俺は再び楽園に至るべく、廊下と脱衣所を隔てる扉を開「このっ…エロキョンがぁ!!!」
 
………………………………
 
………………………
 
………………
 
………
 
「……ん」
 …いかん、少し寝てしまったようだな。ほんの少し横になっただけのつもりなのだが、時計を見るとそれなりの時間が経過している。危うく朝まで夢の中に居るところだった。
 ……つーか、なんて夢を見てるんだ俺は! 状況からしてありえない、わざわざ他人の家の風呂に好き好んで入りに来る酔狂な奴が居るハズないだろうが。……まぁボイラーが壊れて入れなくなった~とかなら近所づきあいのある家の風呂を借りるコトもあるかもしれんが、改築したての新居でそんな不都合が起こるわけも無い。だから今のは……そう、疲れていたからだ。極度の疲労により生命の危険を感じた脳が……
 ……いや、夢に捉われては元も子もない。さっさと風呂に入って飯食って寝る事だけ考えよう。
 
 浴室内に見覚えの無いシャンプーがあったことも、就寝間際になってハルヒから「責任取りなさいよ!」といった文面のメールが届いた事も、全部ただの勘違いか何かなのだ。間違いない。

涼宮ハルヒの転居 その8 (136-328氏)

 適切なタイミングを見計らっているのか、それとも適当なのかは謎だが、何時もの様に長門
が読んでいた文庫本を閉じた事で
「じゃあ、今日はこれで解散!」
 放課後の部室にハルヒの声が響き、本日の活動も無事何の成果もなく終了した。
 さて、と。帰るとしますかね。
 空の湯飲みを片付けつつ立ち上がった俺の視界の隅で、ハルヒは朝比奈さんと何やら話をし
ている。
 最近のハルヒは大人しく……といっても、一般人から見れば元気すぎてはいるのだが、以前
の様に無意味なイベントを乱発しなくなった気がする。
 宇宙人や未来人、超能力者といったフレーズも、ここ一ヶ月ほど耳にした覚えが無い。
 現に今朝比奈さんと話してる会話の内容も、最近の服だとか髪型だのと、昔のハルヒからす
れば興味がなかったであろうジャンルの話ばかりだ。
「――でねー? 雑誌で見たんだけど、今はこうやって頭の上に髪を乗せるのが」
「え? え? あの、これって本当に流行ってるんですか?」
「もちろんよ! ほら、この雑誌に――」
 人間誰しも大人になる、それはハルヒも例外じゃない。
 多分、それだけの事――
「涼宮さんの変化が寂しいんですか」
 古泉。いきなり意味不明な発言は止めてくれ。
 ついでに、俺の耳元で話しかけるのもな!
 鞄越しに押し返された古泉は、何やら声を殺して笑っている。
 何がおかしい。
「いえ、貴方は以前、涼宮さんにもっと常識をと口癖の様に言っていたのを思い出しまして」
 それは今でも変わってねぇよ。
 誰でもいいから、あいつに私生活におけるプライバシーの概念を教えてやってくれ。
「それにしては、さっきの貴方は寂しそうに見えましたが」
 否定しても無駄ですよ、古泉はそんな顔で俺を見ている。
「……さあな」
 自分でもよく解らん。これが寂しいって感情なのかどうかもな。
 でもまあ、
「あいつだって人の子で、時間の経過が大人にしたって事だろ」
 それだけの事だ。
「僕はきっと、時間ではない違う要素が彼女を変えたんだと思いますよ」
 違う要素だと?
「はい。彼女が大人しくなったと感じたのは、僕の感覚からすると今から一ヶ月程前だったと
記憶しています。その頃、彼女の大きなイベントがありませんでしたか」
 わざとらしい口調の質問を無視しつつ、俺は綺麗になった湯飲みを茶器棚へとしまった。
 
 ま、確かにハルヒが大人しくなった時期と引越しの時期は重なってはいると言えなくはない
のかもしれん。
 でも、だからってそれが原因だと決め付けるのは安直過ぎる。第一引越しがいったいこいつ
に何の影響を与えたってんだ?
 同じ学区内の移動くらいで、そこまで人間変わったりはしないだろ。
 視線の先で笑っているハルヒ。あいつの変化は、また何かの前兆なのか? 
 ……ま、いいさ。どうせハルヒの事で俺みたいな一般人が頭を悩ませても無駄なんだ。前触
れもなくまた以前みたいに振る舞い始めたって驚きやしないな。
「ま、何かあったら頑張れよ」
 そう適当なコメントを返した俺に、古泉は意味深な笑みを返すのだった。
 
 
「――ねえキョン、あんたさっき古泉君と何を話してたの?」
 駅の近くで他の三人と別れ、二人っきりになった所で、ハルヒは俺にそう聞いてきた。
「さっきって……部室でか?」
「そう。何だかこっち見てた気がするんだけど」
 別に、どうでもいい事さ。
 例えるなら、古泉の名前を故泉と間違えるくらいどうでもいい話だ。
「どうでもいいなら教えなさいよ」
 隣を歩く俺の顔を見上げながら、ハルヒは口先を尖らせている。
 ふむ……アヒル口ってのも意外と悪くないな。じゃなくて、
「最近、お前が大人しいからどうかしたのかって話してたんだよ」
「あ、あたしが?」
 そう、お前だ。
「……どんな風に変わったの?」
 妙に緊張した面持ちで、ハルヒはそう聞いてきた。
 どんなって言われてもなぁ……。
 大人しくなったって正直に言ってしまえば、こいつの事だから反発して「ここ暫くの分を取
り戻すわよ!」とか言い出しかねないよな。
 となればここはやはり、穏便な線で行くべきだろう。
 
「……」
 じっと返事を待ちつつ、隣を歩いているハルヒ。
「ま、俺は今のハルヒの方がいいと思うぜ」
 俺が返した返答はそんな曖昧な内容だった。
 言い終えた所でちょうど自転車置き場に辿り着き、俺はハルヒの顔を見ないまま自転車を駐
輪場の外へと運び出した。
 俺達は二人、自転車は一台。
 俺がエンジン兼ドライバーで、ハルヒは乗客……これが団長命令なのは言うまでも無い。
 やれやれ、いい加減自分の自転車を買って欲しいんだがねぇ。
 冷たく冷えたサドルに座り、
「さ、帰るぞ」
「……」
 そう言いながら振り向いた時、ハルヒは何故か俯いていた。前髪に隠れたその顔は、今は見
ることが出来ない。
 俯いたまま荷台に座り、俺の腰にしがみつく。続いて、背中に当たる額の感触。
「ハルヒ、もしかして体の調子が悪いのか?」
 だったら歩いて帰ってもいいが。
 背中に触れたハルヒの額が横に振られる、大丈夫だって事か? これは。
「止まって欲しかったら言えよ?」
 頷く感触を背中に感じた後、俺はそっと自転車をこぎ始めた。
 ――今日はやけに強くしがみついてくるハルヒの体を、背中に感じながら。

涼宮ハルヒの転居 その9 (137-328氏)

 視界のぼやけた浴室の中は考え事にはちょうどよくて、湯船に浮かんだアヒルに視線を合わ
せたまま、あたしはじっと自分の事を考えていた。
 それは、キョンに言われなくても、自分でも解っていた事。
 最近のあたしは……前みたいに不思議な事を求めていないって。
 なんでだろ、前はあんなに夢中だったのに。
 休みの日に不思議探索をする時だって、いつも真剣だった――けど。
 認めなくてはいけない、ここ最近のあたしはふと気が付くと目で追っている相手が居るって
事を。そいつが誰かと話していたら妙に気になって、いったい今何を考えているのか知りたく
なってしまう。
 緩やかに接近してきたアヒルを吐息で追い返しつつ、あたしは辿り着いた結論に無言で首を
振った。
 無いわ、無い。
 このあたしがは、初……恋なんてありえるはずないわ。それに、その相手があのキョンだな
んてそれこそ絶対ありえない。
 たまたま近所に引っ越してきたから、そうよ、状況がちょっと変わったから気になってるだ
けなのよ、これは。
 あいつと一緒に引越し傍を準備したり、買い物に行ったのもご近所さんだから、それだけ。
 ――結論は出たはずなのに、ここ一ヶ月ほどの間の出来事を思い出していく間に、自然と顔
が赤くなるのが解る。
 浴室の温度より明らかに熱い自分の顔。多分、今みたいに真っ赤だった自分の顔を見られる
のが恥かしくて、今日はついキョンの背中に抱きついてしまった。
 思ったより広かったなぁ……あいつの背中。
 自転車の荷台で揺られながら、あいつの体温を感じていた時間は、思い出すだけで何だか落
ち着かなくなる。
 なんなのよ……これ。絶対無いんだからね? あ、あいつがその……。
「す、好きなんかじゃないんだからぁ! ――ひゃぁっ!」
 湯船の底は不意に立ち上がったあたしの体を支えきれなかったらしく、反転する視界の中で
黄色いアヒルが空を飛んでいた。
 
 ……珍しい事もあるもんだ。
 その日、何時もの様に妹のサンセットフリップによって苦痛と共に目覚めた俺は、のろのろ
と学校へ行く支度を終え、今はキッチンで生の食パンをかじっていた。
 ……ああ、何が珍しいのかだよな。
 いつもなら、この時間にはハルヒが当たり前みたいに家に上がっていて
「ほら、さっさと食べなさいよ。あんたの分もついでに作ってあげたから」
 などと言いながら、多少焦げたトーストとかなり焦げた目玉焼きを食わされているはずの時
間なのだ。
 しかし、一向にハルヒが来る気配もない。
「キョンくん、あたし行くねー」
 おう、車に気をつけろよ。
「はーい」
 妹が家を出たって事はそろそろぎりぎりの時間だな。
 一人ならともかく、二人乗りで移動するとなるとそろそろ家を出ないとまずい時間だ。
 取り出してみた携帯の着信はなし……まあ、別にあいつと一緒に学校へ行くって約束してる
って訳じゃないんだけどな。
 それでも、何となく一人で出かける気になれず、俺は一度自分の部屋に戻ってみた。
 カーテンの向こうに見えるハルヒの部屋、その窓はカーテンが閉められたままになってる。
 寝坊? ……まあ、無くは無いんだろうが。
 消しゴムか何かを窓に向かって投げてみようかと探していると、
「キョンくーん! ねー!」
 下の階から、俺を呼ぶ妹の声が聞こえてきた。
 
「それでね? すっごい長い時間だったから真っ赤になってたんだって、でも身体は冷えちゃ
ってたんだって、あれ? でも冷えてたなら何で赤いのかな? 後ね、お風呂は怖いんだって」
 喋る台詞と丸で合致しないボディーランゲージを繰り広げつつ、我が妹の熱弁は続く。
 時々思う、こいつは本当に相手と意思疎通する気があるのだろうか、と。
 玄関を出たらばったりあったらしいハルヒの母親から聞いた話を、我が妹は興奮気味に語っ
ている。ただひたすらに長く難解な話だが――結果だけを言えば。
「つまり、あいつは風邪で休みだって事か」
「うん!」
 解った、お前は学校に行け。
「はーい!」
 妹を送り出しつつ、俺も外に出て玄関の鍵をかけた。
 ったく、出掛けに無駄に疲れちまったな……。
 こってしまった気がする首を回しつつ、ふと見上げる隣の家。そこに見えるカーテンのかか
った部屋の中で、ハルヒは今眠っているのだろうか。
 暫くの間その部屋の窓を眺めた後、俺は自転車を道路に運び出し軽い鞄を籠に入れた。
 相手が風邪じゃ、俺に出来る事はない……か。
 何となく、落ち着かない。とはいえ時間は迫っている。
 ようやく漕ぎ出した自転車は妙に軽く、まるで何かを忘れているみたいに感じられた。
 

『涼宮ハルヒの転居』その10 (138-133氏)

「……暇」
 
あいつが悪い、あいつのせい。
あたしがベッドで寝てないといけないのも、頭がガンガンするのも、全部、ぜーんぶ! あいつのせいなんだから……バカ
 
「ん?」
 
で、電話
 
ど、どうしよう~何話そう。と、とにかく出よう。
 
「も、もしもし」
「おう、大丈夫か?」
「ま、まあね~たいしたことないわよ」
「そうか」
「それより、あんた学校でしょ? ちゃんと授業聴いてるの」
「今日は土曜日だから、学校は昼で終了しました」
「そ、そっかぁ」
「と言う訳で。見舞いに行こうと思うだが、無理なら止めとくぞ」
「む、無理じゃない」
「それじゃ、直ぐ行く。適当に土産買ってくが、文句言うなよ」
「言わないわよ、バカ。さっさと来なさい」
「了解」
 
 
(ノ><)ノ……や、ヤッター
キョンがお見舞い~フラグ! これフラグよね。定番でベタベタだけど……どうしよ、どうしよ~キョンに優しく、看病される。
お粥とか、お粥とか、お粥とかーーキャーーーふゎ~キョン~顔近いー熱計らないで……チャンス。
 
ハルヒ、頑張ります。
 
 
ピンポンー
 
(>_<)……キター
 
トントン
「あ、開いてるわよ」
 
ガチャ
 
ドキドキ~
 
「よう、元気か」
「キ……あら?」
 
「涼宮さん、大丈夫ですか~」
「心配しないで、これを飲めば直ぐに治る」
「それだけは止めてください、長門さん」
「……ジョーク」
 
あらあら……揃い踏み。
 
SOS団、バンザイ……(´Д`)

涼宮ハルヒの転居 あなざあ (138-882氏)

※キャラ崩壊注意
 
【引越してから、しばらく経ったとさ、ベンベン】
 
キコキコ キコキコ←自転車二人乗り中
 
ハルヒ「あら、こんなトコにコンビニがオープンしてる」
 
キョン「へえ」
 
ハルヒ「家の近くね。便利だわ」
 
キョン「そうだな……」
 
 ◇ ◆ ◇
 
【翌日】
 
キコキコ キコキコ←自転車二人乗り中
 
ハルヒ「あーケーキ屋が出来てる」
 
キョン「お、ホントだ。こんな住宅街のど真ん中で儲かるのか?」
 
ハルヒ「この店、前の家の近くにあったのよ」
 
キョン「へー」
 
ハルヒ「移転して来たのね。お気に入りだったからラッキー」
 
キョン「……」
 
 ◇ ◆ ◇
 
【部室だよ】
 
キョン「ということがあってだなぁ」
 
古泉「涼宮さんの力かどうか、という事ですか」
 
キョン「ああ、偶然かなとも思ったが」
 
みくる「うーん。何とも言えませんねぇ」
 
古泉「やはり偶然では?」
 
キョン「そうか、ならいいんだ」
 
【その後】
 
キコキコ キコキコ
 
ハルヒ「あれぇ、こんな所に美容院が」
 
キョン「え」
 
ハルヒ「移転して来たのね。腕が良かったから贔屓してたの」
 
キョン「……ふーん」
 
ハルヒ「ラッキー☆」
 
キョン「……」
 
 ◇ ◆ ◇
 
【ほんでもって】
 
キコキコ キコキコ
 
ハルヒ「あ、こんな所にパン屋さんが引越して来てる」
 
キョン「へ、へえ」
 
ハルヒ「ここの食パン美味しいのよ」
 
キョン「そ、そうか」
 
ハルヒ「今度、サンドイッチ作ってあげてもいいわよ♪」
 
キョン「お、おう」
 
ハルヒ(? 何動揺してるのかしら)
 
【んで】
 
キコキコ (略)
 
ハルヒ「大型ドラッグストアが新規開店だって」
 
キョン「あ、ああ」
 
ハルヒ「やっぱり近くにあると便利よね」
 
 ◇ ◆ ◇
 
【またまた】
 
ハルヒ「服屋が近くオープンするみたい」
 
キョン「……」
 
ハルヒ(略)
 
 ◇ ◆ ◇
 
【まだまだ】
 
ハルヒ「お惣菜屋さんが近所に(略)」
 
キョン(略)
 
 ◇ ◆ ◇
 
【略】
 
ハルヒ(略)
 
キョン(略)
 
 ◇ ◆ ◇
 

 
【部室】
 
キョン「なんか家の近所にプチ商店街が出来てるんですが」
 
みくる「べ、便利でいいですねぇ」
 
キョン「……今度は大型ショッピングモールの出店計画も持ち上がってるみたいで……何とかなんない?」
 
古泉「さ、さあ…」
 
みくる「…」
 
長門(……書店をマンションの近くにオープンさせるよう思念体に申請してみよう)
 
 ◇ ◆ ◇
 
【それから】
 
キコキコ キコキコ←自転車二人乗り中
 
ハルヒ「あら、住宅街にこんなの建てていいのかしら」
 
キョン「ん~?」
 
[ブティックホテル 〇〇〇 近日営業開始]
-ジャグジー&個室サウナ完備-
-御休憩 割安-
 
キョン「…」
 
【部室】
 
古泉(お二人の仲がそこまで進んでいたとは全く気付きませんでしたよ、はっはっは)
古泉「リア充め、死ねばいいのに」
 
みくる「こここ古泉くんっ! 本音と建前が逆です逆!」
 
キョン「な! ち、違! 偶然だ偶然! 俺とハルヒはそんな仲になってない!」
 
長門「…」ジー
 
キョン「長門、その軽蔑しきった目をするのはよしなさい」
 
 ◇ ◆ ◇
 
【そんでね】
 
キコキコ キコキコ←自転車二人乗り中
 
ハルヒ「もう。こんなのまで建っちゃうなんて」
 
キョン「こ、今度は何だ?」
 
[近日開店 大人玩具 桃色堂]
-充実のナイトライフ-
-各種エロコス完備-
 
キョン「…」ダラダラ
 
【部室】
 
古泉(プライバシーに口を出すつもりはありませんが、僕たちは高校生である事をお忘れなく)
古泉「モゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロモゲロ……」
 
キョン「古泉落ち着けぇっ! 目がすわってるぞ」
 
みくる「…」
長門「…」
 
キョン「二人とも汚物を見るような目で見るのはヤメテ! 俺は潔白だから!」
 
 ◇ ◆ ◇
 
【んで】
 
キコキコ キコキコ
 
ハルヒ「あら」
 
キョン「ま、また何か建つのか!?」アセアセ
 
[〇〇産婦人科 近日開業]
 
キョン(チーン)
 
 ◇ ◆ ◇
 
【部室】
 
古泉「てめぇ! 『機関』で領収書切ってでもゴム買えって言っただろうがぁあ!」
 
キョン「誤解だから! 誤解だから、首を絞めるなぁああ!」
 
みくる「…」シャキーン
長門「…」シャキーン
 
キョン「そこぉ! 何二人して『みくる☆ビーム』のポーズとってるのぉおお!」
 
 
 
 
 
キョン「俺は無実だぁあああ!!」

 

 

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