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耳掃除verB (68-195)

Last-modified: 2007-11-10 (土) 23:44:49

概要 Edit

作品名作者発表日保管日
耳掃除verB68-195氏07/11/1007/11/10

作品 Edit

「…え」
将来に思い悩むなんてことも学生時代の特権のように思えるが今の世の中転職ブームらしい。
「…えってば」
終身雇用も瓦解し従来の日本的雇用制度は変化しつつある。
「…ョン」
なんて思うもののとりあえず大学に行こうくらいしか思いつかないのが現状なわけで。
「ねえってば!キョン!」
「っ!?」
なんでこいつは耳元で怒鳴っているのか。ただでさえでかい声でこっちは迷惑してるっていうのに。
「何言ってんのよ。さっきから何度も呼んでるでしょ」
…どうやら俺が気づかなかっただけらしい。
「耳詰まってんじゃないの」
そういえば最近耳掃除をしていない。夜にでも自分でやるか。
「ならちょうどいいわ。あたしが耳掃除してあげる」
「いや、自分で出来る。子どもじゃないんだからな」
「さっきまでこの神聖なるSOS団団長のありがたい呼びかけを無視してた罰よ」
ハルヒはそう言って部屋を出て行った。おそらく階下のお袋に聞きに行っているのだろう。
自宅での勉強会は楽なんだがこういうことがあるから難しい。特に相手があのハルヒだからな。
 
騒がしい足音を響かせながらハルヒが戻ってきた。
「さ、横になりなさい」
逆らったら合気道とかで倒されそうだ。おとなしく従うか、とりあえず枕を…。
「はい」
自分の太ももを叩くハルヒ。意味不明な行動だったがなんとなく理解できている自分がにくい。
「他にやりようがないでしょ」
やっぱり自分で…なんて言っても無駄なのだろう。せめてすばやく終わらせてもらうしかないか。
 
同い年の女の子に膝枕をしてもらう。まるで夢のようだね。これが朝比奈さんだったら。
「ぶつぶつうるさい。あんまりうるさいと刺すわよ」
純粋に脅迫じゃないかそれは。恐ろしいので言えはしないが。
と、まあ始まったわけだが、なんというかうまいのだ。
手先が無駄に器用だからかしらないが心地よいといえばいいのかなんとも言葉にしにくい感覚だった。
「どう、痛くない?」
変に優しいのが怖い。普段だったら「人体の不思議を解体ー!」のような感じで荒っぽくしてきそうなもんだが。
「古泉くんが耳垢には二種類あります、とかいってたから気になってたのよ。で、あんたは…ふーん」
ニヤニヤ笑うハルヒ。
「お前な…」
「別にいいじゃない。結構楽しいわね、これ」
人のために何かするのを楽しいなんて思うなんてこいつも変わったもんだ。
ニコニコしながら俺の頭を撫でるハルヒ。そんなハルヒが違って見えて
「…ハルヒ」
見下ろすハルヒと見上げる俺で目が合った。
「お待たせしま…」
さらにドアを開けた古泉と目が合った。
古泉の後ろには朝比奈さんと長門もいた。
3人の目には膝枕される俺が映っていて、
「…お邪魔しました」
ハルヒの太ももから飛び起きて閉じられようとするドアを押さえた。
 
「いや、すいません。てっきり…」
てっきりなんだというのか。聞きたくもないが。
「しかし驚きました。あの涼宮さんがあんなことをするんですね」
「単に試してみたくなっただけだろ」
「なかなかあんなことはしませんよ。恋人でもなければね」
「言っておくがあいつにそういう貞淑さを求めても無駄だぞ。男女関係なくやりたいことはやるし、やりたくなければやらない」
それが涼宮ハルヒなのだ。
「しかし涼宮さんでもあなた以外の男性には膝枕なんてしませんよ。僕が保障します」
そんなことお前に保障されなくてもわかってる。俺だって短い付き合いじゃないんだからな。
それだけ気安い仲ということだろう。
俺とハルヒはそういう関係なのだ。言葉にはできないけどな。

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