Dialogue IV (ファミレスにて) (96-233)

Last-modified: 2008-08-18 (月) 23:05:19

概要

作品名作者発表日保管日
Dialogue IV (ファミレスにて)96-233氏08/08/1808/08/18

作品

「ちょっと、キョン。いくらなんでもこんな在り来たりなファミレスなんてどういうことよ? せっかくあんたの奢りだってのに、もうちょっとましなとこに連れてってくれてもいいじゃないの」
「おいハルヒ、お前なあ……人から奢ってもらうって立場でそういう駄目出しは図々しいとか思わないのか? ってそんなことを微塵ほどにも思わないか、傲岸不遜傍若無人な団長様の場合はな」
「あ、すみません、オーダーお願いします。あたしはこのパスタのWにドリンクバーのセットで――」
「って人の話、全然聞いてねえ! しかも俺まだメニュー見てないんだがな」
「もう、相変わらずキョンはトロいんだから……、ほら、ちゃっちゃと決めなさいよ、三秒以内!」
「えーい、無茶言うな! ……うーん、あ、すみません、じゃあこのハンバーグプレートに、俺もドリンクバーのセットで」
「ねえキョン、ドリンクバーあっちだから。あたしの分もお願いねっ! あ、あたしはC○レモンよC○レモン、解ってるわね?」
「ハルヒ、そのぐらい自分で取りに行ったらどうだ? 何で俺がそこまでしなきゃならんのだ?」
「決まってるじゃない! あたしは団長で、あんたは雑用係なんだもん。ほら、グダグダ言わずにとっとと行ってらっしゃいよ!」
「ったく、しょうがないな。あーハルヒ、お前――氷は抜きでよかったんだよな?」
「え、あ……うん――――お願い」
「やれやれ、最初からそういう感じで頼んでくれたらもっと可愛げもあるだろうに」
「ん? キョン、今なにか言った?」
「いーや、なんも」
 
「ほらハルヒ」
「あっ――ありがとキョン」
「ふぃーっと……さて、とりあえず今日もまあ色々あったが、お疲れってことで」
「そうね――キョン、お疲れ様!」
「ってこら、あんまり勢いよくぶつけるな! ガラスだし割れたらどーすんだよ?」
「あら、平気よこのぐらい」
「駄目だ、危ないから止めてくれ。お前のグラスが割れて怪我でもされたら俺が堪らん」
「んな――なによもう、いきなり……キョンのバカ」
「ん、ハルヒ、何か言ったか?」
「べ、別に何でもないよ」
「やれやれ」
 
「どうしたハルヒ? 全然手もつけないで。冷めちまったら勿体ないだろ。俺のなんて待たずに先に食っちまえよ」
「い、いいでしょ、あんたのが来るまで待ってても」
「? ――って、来た来た」
「それじゃ、いただきます。…………ところでキョン、あんたって炭水化物ダイエットでもしてるわけ?」
「ん? どういう意味だそりゃ?」
「だって、あんたのそのプレート、ライスをセットで頼んでなかったじゃないの」
「何ぃ? しまったな、これだけでライスもついてくるって思ってたんだが」
「ほんと、キョンっておマヌケなのよね。どうすんのよ、追加で頼んじゃう?」
「いーや、何か悔しいから止めとく」
「ふーん、変なの」
 
「あらキョン、なに残してんのよ、いらないの? じゃあ、あたしが食べてあげる」
「って、こら! お前何で人のメインディッシュを強奪しやがるんだ――チクショウ、一口でこんなに齧りやがって」
「えへへっ、ごちそうさまっ!」
「あー、ただでさえ何か物足りないって感じだったのに………………すみません、ライスとサラダ単品、追加でお願いします」
「なによ、結局頼んじゃったわけね? キョンったら案外意志が弱いんだからそんなんじゃ、あたしも将来が心配よね」
「あのなあ……元はと言えばハルヒが俺のハンバーグを勝手につまみ食いしたせいだろうが!」
 
「……んー、ちょっと失敗だったかしら」
「どうしたハルヒ? ってまさかもう腹一杯になっちまったのか?」
「ちょっと、きついかもね。……なによキョン、だって、シングルだと少ないかな、って思っただけなんだもん」
「それにドリンクバーだからって水分ガブガブ飲んでるし、俺のハンバーグまで横取りするし、当然と言えば当然なんじゃないか?」
「ふんだ、だって、暑いから喉渇いてたし、ハンバーグはそもそもキョンが変な食べ方してるんが悪いんじゃないのよ」
「人のせいにするな。で、残すのか?」
「うん、あたしって出されたものは全部食べる主義だからちょっと悔しいんだけどね」
「でもよく考えたらそういうのって女子にしては珍しいかも知れんな。俺にはよく解らんが、昼飯とかでもえらい小さな弁当箱だし、しかもそれを残してたりするからな」
「ねえキョン?」
「何だ?」
「その――あたしみたいにたくさん食べちゃうのって、やっぱり……女の子らしくないのかしら?」
「何だ、お前でもそういうの、気になるのか?」
「ん……わ、悪い?」
「別にそうは言ってないだろ。それに俺はハルヒが何かを旨そうに食べてるときの幸せ一杯って感じの表情が結構好きだぞ」
「す、好きって――いきなり恥ずかしいこというなアホキョン!」
「何も怒鳴ることないだろ? 全く――ほらハルヒ、それ寄越せ。残りは俺が始末する」
「ってちょっとキョン! これってあたしの食べ残し……」
「そんなの気にしても始まらんだろ。それにさっきのハンバーグの分はキッチリ返してもらわないとな」
「んもう……仕方ないわね」
「どれどれ……ほう、結構いいな、これ」
「ああもう、なにもそんなに一気に頬張ることないでしょ? ほら、口の端に付いちゃってるじゃないの」
「――なあハルヒ。今俺の口元を拭った指、どうしてお前が舐めるんだ」
「――!」
「こ、こら、殴るなって。せめて人が物食ってるときは止めてくれ」
「うっさいわね、このバカキョン!」

イラスト

 
96-283 haruhi_kyon_dialogue4.png

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