Dialogue III (Sunlight of spring) (85-218)

Last-modified: 2008-03-27 (木) 01:56:14

概要

作品名作者発表日保管日
Dialogue III (Sunlight of spring)85-218氏08/03/2708/03/27

作品

「あら、みくるちゃん。有希と二人だけ? キョンの奴ってまだ来てなかったの?」
「あっ、はい。涼宮さん――――キョンくんと一緒じゃなかったんですか?」
「あいつ、あたしより先に教室から出て行ったのに、一体どこに行っちゃったのかしら、もう! ……って、なによ有希? 窓の外なんか指差して――まさか、キョンがそこにいるの?」
「そう」
「んもう、中庭にいるんならいるで最初からそう言っててくれたらいいのに! 急いで来たから渡り廊下通るとき気付かなかったじゃないのよ! まあいいわ――みくるちゃん、あたしちょっと行ってくるから。 ああ、お茶ならいらないわ。じゃあ後でね!」
「は、はいぃ!」
 
 
「こら、キョン! ちょっとあんた、こんなところでなにしてんのよ?」
「ああ、ハルヒか――――別に、大して意味はないんだけどな。ただの気紛れみたいなもんだ。……んで、俺に何か用か?」
「あっ、ううん、特に用事があるってわけじゃあないんだけどね」
「そっか…………何なら、ハルヒもここに座るか?」
「――うん」
 
「――――はぁ~っ」
「ちょっと、なによキョン! そんなに不景気そうな顔して溜息なんか吐いちゃって。…………ねえ、あんた、何かあったの?」
「いや、何でもないって」
「ダメよ、キョン! いい? 溜息を一つ吐く毎に幸せってのは逃げて行っちゃうの。あんたが溜息ばっかり吐いてたら、あたしが困っちゃうじゃないのよ」
「――何でハルヒが困るんだ?」
「んぐっ、いいでしょ、そんなのはどーでも! それよりほら、もっとシャキっとしなさいよ、マヌケ面ばっかりしてないで!」
「へいへい――――ふわぁ~~」
「って、こらっ! 溜息の次はアクビ? あんた、よっぽど弛んでるんじゃないの?」
「しかたねーだろ。何か最近妙に暖かくて、今の陽射しだって結構気持ちいいし、『春眠暁を覚えず』ってわけじゃないが、俺は眠くてしょうがない」
「なによ、あんた散々授業中寝てたじゃ……ふわぁ~」
「そらみたことか。ハルヒ、お前だって眠たいクセに」
「違うわよ! あんたのアクビがうつっちゃっただけなんだもん」
「――――ほらよ」
「えっ、何のつもりよ、それ?」
「肩貸してやるから、こっち、もたれても構わんぞ」
「なっ…………バカっ! あたしは、別に、その――――ありがと」
「…………やれやれ」
「――ねえ――キョン?」
「……何だ?」
「あんた――あたしと一緒に……ううん、じゃなくって、その、あんたって、SOS団に入ったことを、後悔とかしてないかしら?」
「えらく唐突だな…………まあ、最初はわけ解らんうちに巻き込まれて、気が付いたらもう、部室に顔を出すこと自体が毎日の習慣みたいになってたけどな。もし本当に嫌だったら、もっと早い時期にオサラバしてると思うぜ」
「そ、そう?」
「ああ。……ハルヒ、お前こそ、俺みたいな何の取り柄も無い平凡な普通人を団員にしちまって、失敗した、とか思ってたりしないか?」
「まあ、確かにあんたの団に対する貢献度とか能力的なところを考えたらそういう結論に達してもおかしくもないわね。……でもね、キョン」
「なんだ、妙に改まって?」
「今までのSOS団の活動……あんたはつまんなかったことが一度でもある?」
「いいや、つまらないどころか、正直勘弁してくれ、ってぐらいアレコレ振り回されたからな。まあ、退屈だけはしなかったと言わせてもらうぞ」
「でしょ? ……だから――あたしは――キョンの………反応を見てると――とっても…………」
「――ハルヒ?」
「………………」
「おい? どうしたんだ?」
「……すー、すー」
「って、こいつ――いつの間に眠っちまいやがったんだ?」
「――――くー、くー」
「全く、マイペースなところは本当にお前らしいよ、ハルヒ。……俺、さっきまでなんで悩んでたのか、すっかり忘れちまったぜ。……それに――そうやって静かにしてたら……寝顔とか…………結構――いいかもな…………」
「…………ん~むにゃむにゃ――――キョン――――」
「――くかー、んご――」
 
 
「おや、朝比奈さんに長門さん。本日は涼宮さんも彼も来てないのですか?」
「あっ、古泉くん――――あれ、ちょっと見てください」
「――ほほう、これはこれは――ご両人とも、実に気持ちよさそうにお休みのご様子ですね」
「予測では、下校時刻を過ぎても目覚めないものと思われる」
「あんなに幸せそうなお二人を起こしちゃうの、なんだか勿体無いですよね。えへへっ」
「全く、嫉妬を通り越して、見るもの全てを和ませてしまうオーラに溢れていますからね。本当にご馳走様、と言ったところです」

イラスト

恒例ラクガキは今回SS先行で描き終わってたんで、肝心の文章の方がgdgd orz
 
85-218 haruhi_kyon_ohirune.png

関連作品