Halkion Questその5 (131-415)

Last-modified: 2010-12-30 (木) 12:47:35

概要

作品名作者発表日保管日
Halkion Questその5131-415氏10/08/03,09/24,12/2610/12/30

 

Halkion Quest<はるクエ!> 第18話 (415)

キョン「それにしても、こんなに早く出発しても良かったのか?
   引き止めに応じてもっと滞在してれば贅沢出来たと思うんだが」
ハルヒ「キョン、あたしはお礼が欲しくてモンスターを倒したんじゃないのよ。
   いつまでもロクに修行もせずにのんびりしてたら、
   魔王を倒す前に腕がなまっちゃうじゃない!」
コイズミ「さすがは団長。目先の甘い汁に惑わされずに、
    目的意識を持って行動なさってるのですね」
ハルヒ「分かってるじゃないコイズミ君!
   あたしが副団長に選んだだけのことはあるわね!」
コイズミ「ふふ、恐縮です。……おや、この辺りが国境のようですね」
アサヒナ「じゃあ、ここからミノ王国に入るんですね」
シャミ「もうすぐ日が落ちるがだが、人が住む町までは距離があるぞ」
ハルヒ「あっちにちょうど川があるわ。あの辺にキャンプをはりましょ」
ナガト「……今夜はフナズシ、明日の朝はカレー」
 
ハルヒ「てやっ!」
キョン「いい動きだ!そりゃっ!」
ハルヒ「うわっと!やったわね!これでも喰らいなさいっ!!」
キョン「うお!三段突きか!危ねぇっ、そりゃ!!」
ハルヒ「きゃっ!」
 ステン
 
キョン「ハルヒ、いい動きになったな。ヤギュウ名人の修行の後からも上達し続けてるぞ」
ハルヒ「っ!……ぜ、贅沢のし過ぎでキョンの腕が鈍ったんじゃないの?
   あんた前より隙があるわよ。戦闘の経験はあたしよりあるくせに」
キョン「隙を見せてるつもりはないんだがな。ただ、お前の成長に
   俺が追いついて行けてないって言われれば否定はできん。
   そのうち追い越されそうな気がして、複雑な気分だ」
ハルヒ「情けないわね。そりゃ、あたしだってあんたを追い越す気で練習するけど、
   努力しなくなったあんたを追い越したってうれしくないからね!」
キョン「そりゃ当然だ。俺だって、いざってときにハルヒを守るつもりでここにいるからな」
ハルヒ「なっ!」/////
キョン「それに、お前よりも強くなってないと、お前が暴走したときに止められなくなる」
ハルヒ「何よそれ!あたしがいつ暴走したっていうのよ!!」
キョン「それはひょっとしてギャグで言ってるのか?」
 
アサヒナ「スズミヤさん、キョン君、トレーニングお疲れ様ですぅ。
    はいこれ、タオルとお飲み物」
キョン「おお。アサヒナさん、いつもありがとうございます」
ハルヒ「ありがとうミクルちゃん。本当に気が利くのね」
アサヒナ「それにしても、お二人のトレーニングって久しぶりじゃないですか?」
キョン「そうですね。町にいると忙しくてトレーニングどころじゃありませんでしたからね」
ハルヒ「昼も夜もパーティーとかお祭りとかに招待されちゃってね。
   贅沢は出来ても、ゆっくりは出来なかったのよね」
アサヒナ「でも、スズミヤさんって普段は、毎晩キョン君と
    トレーニングしてるときが1日で一番輝いてるって思いますよぉ」
ハルヒ「そ、そうかしら」
アサヒナ「……あっ、こんなに早くオーミ王国を出てきたのってもしかs」
ハルヒ「そんなことよりミクルちゃん!今日は一緒に水浴びするわよ!!」
アサヒナ「ふえぇ?!」
ハルヒ「さ、早く行きましょ!キョン!覗くんじゃないわよ!!」
キョン「覗かねぇよ。見張ってるから早く行ってこい」
 
ハルヒ「……ここ、ミノ王国の首都よね?」
キョン「ああ、ここはイノグチの都だな。間違いない」
アサヒナ「それにしては、静か過ぎない?」
ハルヒ「静かというより、暗いわね。雰囲気が」
コイズミ「この国は先代の王が有能な方だったのですが、
    若くして病死し、今の王が13歳で後を継ぎました。
    以来、重臣達が国政を牛耳ることとなったようで、
    そうなってからは良い噂を聞きませんからね」
ナガト「……物価が高い」
ハルヒ「え?あ、ほんと!この店の大根1本でセッツ王国に家が建つわよ!」
キョン「物価が固定されているのか、よほどの重税がかけられてるのか」
アサヒナ「ハイパーインフレにしても、ここまでひどくはないですよぉ」
コイズミ「意図的に国をつぶそうとしているとしか思えませんね」
ハルヒ「……むぅ。宿も高すぎるわ。こうも高いと、軍資金がすぐになくなっちゃうわね。
   仕方がないわ。町から離れたところで野宿しましょ」
 
 スヤスヤ……
ナガト「起きて」
ハルヒ「……ぉが?なんだ、ユキじゃない。こんな夜中にどうしたの?」
ナガト「トラップ魔法が発動。侵入者を捕縛した」
ハルヒ「え?!」
 
「ごめんなさいなのね!あなたたちの陣地だとは気づかなかったのね!
 決して怪しい者じゃないのね!命だけは助けて欲しいのね!!」
ハルヒ「デコボコで血の付いたフライパンを持ったメイドを見て
   怪しくないって思う奴が居たらあたしのところに連れてきなさい!!」
「ひぃっ!」
キョン「ハルヒ、あんまり脅かすな。怯えられたら話もロクにできん」
アサヒナ「そうですよぉ。何か事情があるのかもしれませんし……」
ハルヒ「それもそうね。話くらいは聞いてあげようかしら」
「あ、ありがとうなのね!えっと、何から話せばいいのね?」
コイズミ「それでは、簡単に自己紹介をお願いします」
「私はサカナカ。イナバ山のお城で女中をしていたのね」
キョン「この国の王がいる城じゃないか。そこのメイドさんがどうしてここに?」
サカナカ「お城が怖くなって、逃げ出して来たのね!」
ハルヒ「どういうこと?」
サカナカ「この国は今の王様の代になったときからおかしかったのね。
    でも、ここ3ヶ月くらいでお城の中の様子がもっとおかしくなったのね」
コイズミ「どのようにおかしくなったのですか?」
サカナカ「王様をとりまく大臣たちが急に減って、
    気味が悪い人たちばっかりが残ったのね。
    一番おかしいのは、王様なのね。いつも顔色が青ざめていて、
    声も低くなって、何より食べ物が蛇とか蛙とか動物の生のハラワタとか、
    とにかく様子が尋常じゃないのね!!」
キョン「そりゃ、確かに尋常じゃないな」
サカナカ「そんな料理を用意するのも嫌だし、そんな場所で
    働くことも嫌なのね!だから、逃げ出してきたのね!!」
シャミ「お嬢ちゃん。食べ物の趣味が変わったのは、突然かな?」
サカナカ「突然だったのね!ある日、王様がいつも食べてるような食事を
    王様のところに持っていくと、王様は激怒して、処刑されるかと思ったくらいなのね。
    王様は結局その食事には手を付けずに、気持ち悪いものを用意するように
    私たちに言いつけてきたのね。
    それ以来、王様は気持ち悪いものばっかり食べてるのね」
シャミ「ふむ。そうだとしたら、何者かが国王に化けている可能性があるな」
アサヒナ「えぇっ?!」
サカナカ「やっぱりそうなのね?!実は私も、そう思ってたのね!」
コイズミ「ほう、それはどうしてですか?」
サカナカ「私が王様の部屋の前を通ったとき、王様の部屋からくしゃみが聞こえたのね。
    でも、そのときくしゃみの後に……」

 国王「へっくしょん!まもの」
 
サカナカ「くしゃみしてから、確かに『まもの』って呟いたのね!」
ハルキョン「なんでやねん!!」
ナガト「人間も動物もモンスターも、くしゃみのときには、本性が出やすい」
キョン「マジかよ」
サカナカ「そうと分かったら、こうしちゃいられないのね。
    皆さんにお願いがあるのね!私を、ハンベエさんの家に連れていって欲しいのね!」
ハルヒ「ハンベエさん?」
コイズミ「あの天才軍師シゲハル・ハンベエ・タケナカ氏のことですか?」
キョン「この国の参謀じゃないか。城にいるんじゃないのか?」
サカナカ「今は出奔して、オーガキの町に隠棲してるのね。
    でも、事情を話せばきっと力になってくれるのね!」
ハルヒ「それじゃ、早速行きましょ!」
サカナカ「わぁ!ありがとうなのね!あと、早くこの縄をほどいてほしいのね」
 
──
 古泉「くしゃみのくだりが、某ギャグマンガで見たことがある気がするのですが」
 朝比奈「あと、お城から逃げ出してくるっていうシチュエーションも……」
 鶴屋「細かいこと気にしてたら大物になれないっさ!!」
 長門「ホシガキ、コイノサシミ、ナマズノカバヤキ、カラシドーフ、チャワンムシ……ゴクリ」
 ハルヒ「ねえ、キョン。剣道とか、興味ある?」
 キョン「ん?何でだ?」

Halkion Quest いままでのあらすじ (133-440氏)

俺は、ハルヒ率いるSOS団の雑用係として、魔王討伐のための旅をしている。
 
オーミ王国の危機を救った俺たちは、リクゼン王国を目指して東進。
オーミ王国の隣、ミノ王国に入った。
 
ところが、賑やかなはずの都、イノグチが閑散としており、物価が異常に高い。
そこで、中心街から離れたところにテントを張って野宿することにしたんだが。
 
その夜、城から逃げてきたという、血まみれのフライパンを持ったメイドさんが
俺たちのテントに迷い込んだ。
彼女の話では、モンスターが国王に化けているようだ。
 
俺たちは詳しい話を聞くべく、ミノ王国の参謀をしていたハンベエ氏の元へと出発した。

Halkion Quest「はる☆くえ」 第19話

ハンベエ「……おや、これはこれはサカナカさん。久しぶりだね」
サカナカ「こんな朝早くにごめんなさいなのね。」
ハンベエ「構わないよ。これでも早起きだからね。後ろにいる方々はどちら様かな?」
ハルヒ「あたしたちはSOS団!魔王を倒すために旅をしてるわ!」
ハンベエ「SOS団と言えば、盗賊団やフォルネウスを退治したあのSOS団かな?」
ハルヒ「よく知ってるわね!あたしたちって結構有名になったかしら?」
ハンベエ「それはもう。このホンシュー大陸の人間なら名前を知らぬ者はいないでしょう」
ハルヒ「あたしたちの今までの活躍を考えたら、当然よね!」
アサヒナ「良かったですね、スズミヤさん」
ハンベエ「玄関先での立ち話もなんですから、どうぞ中へ」
 
サカナカ「……カクカクシカジカエコカアゲンゼエというわけで、
    お城から逃げ出してきたのね」
ハンベエ「やはり、そんなことだろうと思っていたよ。
    一昨日も、暴動を起こした民がことごとく皆殺しにされたばかりなんだ。
    でも、町や村が賊に襲われても全く取り締まらない。
    今の陛下のやり方は国政をほったらかしているなんてレベルじゃない。
    明らかに、意図的に国を潰そうとしている」
アサヒナ「ひどい……」
ハンベエ「これがモンスターの仕業であるとしたら、納得出来る。
    シャミ様、特定の人間に化けるモンスターにはどんなものがいますか?」
シャミ「人間の姿に化けるモンスターはたくさんおるが、
   特定の人間の姿に姿形を変えて、人語を操れるモンスターはあまりおらん。
   かつての魔王軍の中でも、高級な魔法に長けた参謀や司令官クラスの奴等だな」
キョン「かなり厄介な相手だな」
サカナカ「スズミヤさんたちが戦ったフォルネウスよりも?」
ナガト「フォルネウスは魔力と力が強いだけで、魔法のレベルは低い」
コイズミ「魔王の本拠地は、このホンシュー大陸の遥か東にあるムウ大陸。
    軍団を組織して攻めてくれば、ある程度の段階で察知出来るはずなのですが、
    今のところムウ大陸に目立った動きはなさそうです。
    彼らはひょっとして、表立って力攻めする前に、内側から我々人間を崩壊させる気なのでしょうか?」
ハンベエ「魔王が再び世界征服を企んでいるとしたら、可能性はゼロではないね。
    もし陛下に化けているモンスターが魔王の手のものだとしたら、
    魔王が何かを企んでいると見て間違いないだろう」
ハルヒ「大変じゃない!早くそのモンスター何とかしなきゃ!」
キョン「待てハルヒ。いくら何でも、俺たちだけで城に立てこもる国王を攻めるのは無茶だぞ!」
ハルヒ「何言ってるのよキョン!魔王の城を攻めようっていうあたしたちが、
   人間の城相手にそんな弱気でどうすんのよ!!」
キョン「待てよ。ミノのイナバヤマ城は難攻不落の名城だぞ。
    それに、俺たちはまだ修行段階で、解放も受けてないんだ。
    ここで無理をして犠牲を出すのは得策じゃないだろう」
ハルヒ「……分かったわよ。じゃあ、どうすればいいのよ」
ハンベエ「実は、陛下の暴政に反感を持つレジスタンスに協力を要請されてるんだ。
   今までは規模が小さくて、挙兵しても3日持つか持たないかというほどだったので返答は保留としておいたが、
   今は幸か不幸かレジスタンスの志願者が増えて、規模が大きくなった。
   それに、SOS団が味方をしてくれるとしたら、勝算は一気に上がる」
ハルヒ「それなら話が早いわ!早速、レジスタンスのところに行きましょ!」
 
ハンベエ「突然押しかけて申し訳ない、コロク殿」
コロク「なんのなんの。ハンベエ様のお越しとあらばいつでも歓迎でさあ!」
ハンベエ「ありがたい。今日訪ねてきたのは他でもない。
    コロク殿。私と、ここにいるSOS団と共にミノ王国の平和のために戦おう」
コロク「何と!ハンベエ様に、あのSOS団が力を貸してくださるか!
   これならば鬼に金棒!これ以上頼もしいことはありませぬ!
   ぜひとも、お力をお貸しくだせえ!」
 
ハルヒ「それで、戦況はどんな感じなの?」
コロク「今は、メンバーのほとんどはミノ各地に散っております。
   今のところ当局に我々の存在は気づかれていないようでさあ。
   最近になって、レジスタンスのメンバーが増えました。
   国王のやり方が頭に来てるやつらがそれだけ増えたってことでしょう。
   集合をかければ、それなりに戦えるくらいの人数が集まるんですが、
   確実に城が落とせるほどの人数かと聞かれたら、自信がありやせんね」
コイズミ「なるほど、戦い方に工夫が必要ですね。スズミヤさん、何か良い案はありますか?」
ハルヒ「そうねぇ……」
 

 気合と根性で力攻めよ!
→城を攻めるなら、こっちも城を作りましょ!
 火薬をかき集めて、城ごと爆破しちゃいましょ!
 面倒くさくなったわ。やっぱり、協力するのやーめた!

 
キョン「おいおいハルヒ。城なんて、そう簡単に出来るもんじゃないぞ。
   第一、そんな目立つようなことをしたら作ってる間に攻め込まれるだろう」
コロク「確かに、イナバヤマ城を攻めるための城を作るとしたら、イナバ山の西、スノマタという場所でしょうが、
   ここで土木作業なんかやったら一発で見つかっちまうでしょうな」
シャミ「だが、お嬢ちゃんの言う通り、今の兵力で城を落とすつもりなら、
   こちらも城の1つくらいは必要だろうな」
ナガト「……川がある」
アサヒナ「そういえば、こっちの山の方から大きい川が流れてるんですよねぇ」
ハンベエ「…………なるほど、川か!」
コロク「川が、どうかしやしたか?」
ハンベエ「スノマタから川を遡ると、山の裏手だ。そこは、イナバヤマ城からは死角となる。
    山で城の部品を作って、夜中のうちにイカダで一気にスノマタまで流す。
    急いで組み立てれば、城を完成させられるかもしれない」
コイズミ「大胆な作戦ですね」
キョン「命がけの突貫工事だな」
コロク「……やりやしょう。命がけなのは元より覚悟の上でさあ。
   早速仲間を集めやす!」
ハンベエ「コイズミさん、あなたはイガ自治区で忍びの修行をされた方なのだとか」
コイズミ「はい。免許皆伝をいただきました」
ハンベエ「あなたを見込んでお願いがあります。
    こちらの3通の手紙を、城の者に発覚しないように届けていただきたいのです。
    彼らはミノ王国の重鎮ですが、これを読めばきっと味方をしてくれるはずです」
コイズミ「宛先は、イナバ将軍にウジイエ長官、アンドー司令官ですか。
    ミノ三人衆と呼ばれる彼らが味方になれば、かなり有利になりますね。
    ……お任せください。必ず彼らの元に届けましょう」
キョン「見つかったらお前もただじゃ済まないぞ。気をつけろよ」
ナガト「気をつけて」
コイズミ「んふ、ありがとうございます。それでは、行って参ります」
 
 
 ザーーーーー
コロク「こりゃあ恵みの雨ですね。木を切る音も、俺たちの姿も、
   みんな雨がかき消してくれてやさあ」
ハンベエ「天は味方をしてくれているようだ。だが、雨の中の作業は危険だ。
    くれぐれも、事故や病気に気をつけるよう徹底させてくれ」
コロク「お気遣い、ありがとうございやす」
コイズミ「作業は順調のようですね」
ハンベエ「おお、コイズミさん。手紙は届けてくださったか?」
コイズミ「もちろんです。3人とも、喜んで協力してくださるそうです」
ハンベエ「そうか!それは何よりだ」
コイズミ「ところで、SOS団の他のメンバーはどこでしょうか」
ハンベエ「アサヒナさんはあちらでけが人の救護をしてくださっている。
    他の3名は、東側に回って注意を引きつけてくだっている」
 
ハルヒ「ユキ、あんまり本気出さなくていいから、
   城壁をちょっと壊すくらいのダメージを与えてみて」
ナガト「わかった」
 バリバリバリバリドカーン!!!
 ガラガラガラガラ……
キョン「……すげえな。崩れた瓦礫で外堀まで埋まっちまったぞ」
ナガト「オーミ王国からもらったマジックアイテムで雷属性の魔力を増幅した。
   しかも強い雨の中で使ったから、効果は抜群」
ハルヒ「すごいじゃないユキ!……あ、城から兵士が出てきたわ」
キョン「逃げるぞ!」
 
──
 古泉「豊臣秀吉の墨俣一夜城がモチーフのシナリオですね」
 長門「竹中半兵衛の稲葉山城乗っ取りとのミックス」
 鶴屋「このゲームをプレイする人の中で、元ネタに気づく人がどれくらいいるんだろうねっ!」
 ハルヒ「SOS団の名を世界に轟かせるためには、やっぱりお城くらい作らなきゃダメかしら」
 朝比奈「えぇ~っ?!」
 キョン「……盗賊退治とか、琵琶湖の怪物退治とか言い出さないだけまだマシなのか?」

第20話 いままでのあらすじ

俺は、ハルヒ率いるSOS団の雑用係として、魔王討伐のための旅をしている。
 
ミノ王国に入った俺たちは、国王に化けていると思われるモンスターを倒すべく、
天才軍師ハンベエ氏やレジスタンスと共に、イナバヤマ城の攻略に乗り出した。
 
城の死角となる山の裏で城の部品を組み立て、その部品を川に流して、
一晩で一気に組み立てる作戦だ。
うまくいくといいんだがな。
 
それにしても、自分の国でさえまともに戦闘を経験していない俺が、
外国でいきなり戦争に参加することになろうとは。
誰かさんと一緒に行動するとトラブルが付き物ってのは覚悟していたが、
今回のは超弩級だな。
 
まったく、やれやれだぜ。

Halkion Quest『はる☆くえ』 第20話 (137-184氏)

ハルヒ「やれば意外と出来るもんなのねぇ。正面から見れば、大したものだわ」
ハンベエ「イナバヤマ城に面したところを重点的に補強してあるから、まだハリボテみたいなものだ。
    でも、城の方を驚かせるなら充分の出来だね」
キョン「おいおい、大丈夫なのか?裏側では、まだみんな必死に工事してるように見えるんだが」
コイズミ「何とかなるでしょう。足場さえ出来ていれば、最低限の応戦は出来ますよ」
キョン「救護班のアサヒナさんが疲れてきてるようだな。
   ナガト、そろそろ変わってあげてくれないか?」
ナガト「分かった」
コイズミ「朝霧が晴れてきましたね。そろそろ向こうも感づく頃でしょうか」
 
コロク「野郎ども!城の奴等が打って出てきやがったぞ!応戦だ!!」
「「「おおーー!!」」」
ハルヒ「思ってたより早かったわね。それじゃ、みんな行くわよ!」
キョン「ハルヒ、あんまり一人で突っ走るんじゃないぞ」
ハンベエ「では、SOS団の皆さん。手はずどおりにお願いしますよ」
コイズミ「ええ、お任せください。あなたも、どうかご無事で」
アサヒナ「い、行ってきます」
ハルヒ「じゃあユキ、例の式神よろしく!」
ナガト「……ダンモタッマコネヨダンウヤチツナクラヅキカタネヤチイヤチ
   インヨキルハトルギスレイラカチニルトバ……フージン!!」
 ゴゴゴゴゴゴ……ビュオーーーーーー!!
キョン「すごい大風を吹かせたな。これなら奴等は簡単にはここに近づけんだろう」
ハルヒ「さっ、行くわよ」
 
キョン「割と簡単に忍び込めたな」
コイズミ「一晩で出現した城に気を取られていて、
    イナバヤマ城の警備がすっかり手薄になっていますね」
ナガト「……待って」
ハルヒ「ユキ、どうしたの?」
ナガト「誰かいる」
キョン「ここは……会議室か」
コイズミ「おや、ここの閣僚たちが集まっているみたいですね。国王の姿はなさそうですが」
キョン「ん?奥で鼻くそをほじっているあのおっさん、どこかで見たことがある気がするんだが」
コイズミ「センゴク長官ですね。シコック大陸の人ですが、彼の悪名は世界的に有名ですから、
    新聞や本でもよく取り上げられますね」
ハルヒ「そういえば、あたしも本で読んだことあるわ。
   確か、外国人やモンスターが犯罪を犯しても、圧力をかけて釈放しちゃうのよね」
キョン「それなら俺も知ってるぞ。センゴクの嘘の証拠を告発した保安官が投獄されたんだよな」
コイズミ「この国の言論弾圧を始めた第一人者でもあります。
    国の軍隊を暴力装置呼ばわりしたことも有名ですが、我々の調べによると、
    実際に国民への暴力を推進しているのはセンゴク長官自身のようですね」
アサヒナ「でも、そんな悪いことばっかりして、どうしてクビにならないんでしょうか」
ナガト「国王が自分の失敗を認めたくないから。
   国王が登用した大臣を罷免して、任命責任を問われることを恐れている」
キョン「やれやれ、この国の王はモンスターに国を乗っ取られる前から、元々アホだったんだな」
コイズミ「だからこそ、モンスターに付け入る隙を与えてしまったのでしょう。
   ……向こうからまだ誰か来るようです。こちらへ隠れましょう」
 
アサヒナ「兵士がいっぱい会議室へ入っていきますよ」
キョン「あそこは普通、一般の兵士がぞろぞろと入っていく場所ではないはずだが……」
 
「うわっ!貴様ら!何をする!無礼であるぞ!!」
「イナバ!貴様裏切ったな!!」
「民をさんざん裏切ってきたのは貴様だ!神妙せんと命はないぞ、売国奴!」
「ひぃっ!命だけは助けてくれぇ!何でもするから!」
「まろは、国王陛下に言われて、仕方なくだな……」
 
キョン「騒がしくなってきたな」
コイズミ「ミノ三人衆が閣僚を制圧したようですね。彼らと合流しましょうか」
 
イナバ「ご協力感謝致す」
ウジイエ「ご高名なSOS団にご協力いただけるとは、何と幸運なことか」
アンドー「腐敗した祖国を立て直す、良い機会じゃわい」
コイズミ「さすがはミノ三人衆と呼ばれるお三方、お見事な手際です」
イナバ「いやいや、これもあなた方のご協力あってのこと」
アンドー「地下牢の一室が最近、我等重役でさえも出入り禁止ということとなった。
    モンスターが陛下に化けておるとすれば、本物の陛下は恐らくそこじゃろうな」
ウジイエ「どちらにしろ、国王陛下の身柄を確保せねばな。今はお食事の時間か」
イナバ「しかし、我等の手勢だけでは、地下牢と食堂の両方へ人手を分けるのは危険だ」
ハルヒ「だったら、あたしたちSOS団がどっちかに行けばいいんじゃないかしら?」
アンドー「おお!そうしてもらえるとありがたいのお」
キョン「じゃあ、どっちに行くんだ?」
ハルヒ「そうねぇ……」
 

 地下牢へ、本物の国王を救出しに行く
→食堂へ、偽者の国王をとっちめに行く

 
イナバ「では、我々は地下牢へ向かおう。頼んだぞ!」
コイズミ「将軍もどうかご無事で」
ハルヒ「行くわよ!」
 
 バンッ!!
ハルヒ「あんたが国王に化けたモンスターだってことはお見通しよ!神妙に……ぉぇっ」
アサヒナ「うぅっぷ……きっ、気持ち悪いですぅ」
キョン「ひどい匂いだ……しかも、グロい」
コイズミ「食事風景が、モザイクなしではお見せ出来ませんね」
「朕の食事を邪魔するものは即刻処刑だと申したはずだぞ」
ハルヒ「な、何よそれ。そんなものをおいしく食べてるわけ?」
「馬の生の腸は歯ごたえが格別でな。生きたまま引き抜いたばかりのものを食すのだ。
 本来の朕の好みは人の肉。怪しまれぬように人の肉は久しく食べておらんのだが」
キョン「いや、充分怪しいぞ」
「久しぶりに、そなたらのような若い人間の肉を食するのも良いな」
アサヒナ「ひゃあ!な、なんだか姿が変わっていきますよぉ」
キョン「うわ!でっかいハエに化けたぞ!!」
ナガト「ベルゼブブ。魔王戦争の時の魔王軍勲爵」
コイズミ「食料や兵士を食べてしまう厄介なハエ軍団の指揮官ですね。
    魔術にも長けていたという話ですから、人間に化けるのもお手の物ということですか」
ベルゼブブ「我が波動で切り裂いてくれる!受けてみよ!!」
 ブォワーーーー!!!!
ナガト「……」
 キュィン!!ゴーーーーー!!!!
ハルヒ「ユキ!ナイスバリアーよ!」
キョン「うわ!まわりの壁やテーブルがズタズタに切り裂かれてるな。かまいたちか?」
コイズミ「助かりました。直撃を受けていたら危なかったですね」
ベルゼブブ「むぅっ、やるな小娘」
ハルヒ「ミクルちゃん!ミクルビームよ!!」
アサヒナ「ふぇっ?!は、はいっ。み、ミクルビーーームっ!!」
 キュイィィン!!
ベルゼブブ「むぅっ!!」
 ビビビビバチィン!!
ベルゼブブ「グオッ!」
コイズミ「少しダメージを与えられたようですね」
ベルゼブブ「油断したかっ!貴様ら!このままで済むと思うなよ!
     この国の国力は充分下がった。今度は力づくで叩き潰してやる!!」
 ブーン!バリィン!!
ハルヒ「あっ、待ちなさい!!」
キョン「すごい勢いで飛んで行きやがったな」
コイズミ「あのスピードで逃げられては、追いつけませんね」
 
イナバ「ハンベエ殿、無事に陛下を救出致しましたぞ」
ハンベエ「陛下も将軍も、SOS団の皆さんもご無事で何よりです」
国王「センゴクめ。こうなるなら、とっととあやつをクビにするべきだった。
  そなたら。此度は、すまぬことをしたな」
ハンベエ「我々と城兵との本格的な衝突になる前に陛下が動いてくださったことで、
    犠牲を出さずに済んだのです。
    お疲れのところ、本当にありがとうございました」
国王「此度のことで、本当に朕の無能さを痛感した。
  そなたのような忠臣を罷免し、センゴクのような売国奴を重用するとは……。
  朕は決めた。本日を持って、ミノ王国は王政をやめ、政権を民に譲る!
  ハンベエ。そなたが初代大統領となり、立憲共和制に基づいて国を治めよ」
ハンベエ「な、何とおっしゃいます!それがしにそのような大役なぞ……」
ハルヒ「適任だと思うわよ」
キョン「ハルヒの言う通りだな。今回最大の立役者だからな」
コロク「どこまでもついていきやすぜ!」
国王「決定だな!それでは、朕はしばらく身を隠すゆえ、事後処理は任せたぞ。
  コイズミとか言う忍びの者から聞いた話が本当であれば、
  今民の前に出ると朕の命がないだろうからな。頼んだぞ!」
アンドー「では陛下、こちらへ」
国王「うむ。民にもモンスターにも見つからぬように頼むぞ」
ウジイエ「お任せを」
一同「「「  ( ゚д゚)ポカーン  」」」
 
ハンベエ「というわけで、この国の主となりました。城は自由に使ってください」
キョン「コイズミ、お前は国王に何を吹き込んだんだ?」
コイズミ「ありのままの事実をお伝えしただけですが、何か問題でも?」
ハルヒ「むしろナイスよコイズミ君」
アサヒナ「一番丸く収まったんじゃないでしょうか」
コイズミ「それは良かった」
ハルヒ「でも、ベルゼブブを逃しちゃったのはまずかったわね」
コイズミ「思った以上の大物でしたね。フォルネウスに匹敵するほどです。
    あれを屋内で我々だけで相手にしたのですから、あれが限界でしょう」
ハルヒ「それにしても悔しいわ。空を飛ばれたら攻撃も届かないし、何か良い方法はないかしら」
???「それなら、あたしたちに任せるっさ!」
アサヒナ「その声は……ツルヤさん!」
ツルヤ「「やあやあ君たち。久し振りっさね!」
ハルヒ「ツルヤさん久し振り!」
コイズミ「お久しぶりです。本当に呼びかけに応じてくださるとは、大変助かります」
キョン「コイズミ、お前が呼んだのか?」
コイズミ「ハンベエ殿と連名で手紙を出しておいたのです」
ツルヤ「「ただのミノの国内紛争ならヤマシロ帝国のあたしたちは手出し出来ないんだけど、
   モンスターが絡んでるとなれば話は別だからねっ」
ハンベエ「モンスターの侵略については、周辺諸国と共闘出来るように条約を結んである。
    国王陛下が救出されたことでモンスターの介入が明らかになったので、
    オーミ王国やイセ教国、コーシンエツ首長国連邦なども近々協力してくれるはずだ」
ツルヤ「「あたしたちヤマシロ陰陽師軍は、天皇陛下やオーミのノブナリ公の協力で、
   早めに動くことが出来たにょろ」
ハルヒ「ありがとうツルヤさん、一緒にがんばりましょ!」
 

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 キョン「展開のバトル化がジャ○プっぽくないか?」
 鶴屋「ファンタジー世界の宿命だから大目に見てほしいにょろ」
 ハルヒ「あたしはこういうスケールの大きい話、嫌いじゃないわよ」
 古泉「しかし、見る人が見たら苦情が来そうな人物が登場しているようですが」
 長門「大丈夫。このゲームはフィクションであり、
   実在の人物・団体・事件・地名などとは一切関係ない」
 朝比奈「それが通じればいいんですけど……」