2022年6月24~26日の、ヤクルト対巨人(神宮)3連戦における総スコア。
概要
2022年はここまで記録的とも言える投高打低のシーズンで、この3連戦スタートまでに佐々木朗希(ロッテ)の完全試合を始めとする4度のノーヒットノーランが飛び出していた他、防御率トップがセ・パともに1点台前半と異常な程の好成績を出している状況から、一部では飛ばないボール疑惑も囁かれていた。
そんな中で迎えたこのカードは、2位以下に10ゲーム以上も差をつけて独走状態の首位・ヤクルトとそれを追う2位・巨人の対戦という形となったが、蓋を開けてみれば3戦ともノーガードの激しい乱打戦に。
大方の予想を大きく裏切る展開に「このカードだけボールが違う」「(神宮球場に隣接する)秩父宮でラグビーの試合をしている*1」などと揶揄される事態となった。
試合結果
第1戦
2022年6月24日(金) 神宮 10回戦(ヤクルト6勝4敗0分) |
試合時間3:26(開始18:00 終了21:26) 入場者26,767 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
巨人 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 2 | 6 | 12 | 2 | |
ヤクルト | 4 | 0 | 3 | 0 | 0 | 4 | 4 | 1 | X | 16 | 19 | 0 |
バッテリー | 巨 | ●菅野(6勝5敗)、桜井、戸田、高木、鍵谷-大城、小林 |
---|---|---|
ヤ | ○高橋(6勝1敗)、木澤、コール、大西-中村、嶋 | |
本塁打 | 巨 | 岡本和20号(2) |
ヤ | 中村1号(3)、2号(2)、村上24号(2)、25号(2)、長岡3号(1) |
ヤクルトは高橋奎二、巨人は菅野智之の両先発で始まったこの日は菅野が大乱調。初回、3回と中村悠平に2本のホームランを浴びるなど9被安打の滅多打ちにあい5回7失点でKOされると、2番手・桜井俊貴、3番手・戸田懐生もそれぞれ2/3回で4失点の炎上。9回を任された5番手・鍵谷陽平も1失点でダメを押され、終わってみれば合計16失点。打線は9回に岡本和真が2ランを放つも、大差を覆すには至らず惨敗に終わった。
一方のヤクルトは中村と村上宗隆のマルチ本塁打*2を含む5本塁打が飛び出し大勝となった。
上述の通り、試合前時点で首位と2位のチームの対戦ながら、その間には実に10ゲーム差がついており、両チームの実力差が如実に現れた結果と思われていたのだが……
第2戦
2022年6月25日(土) 神宮 11回戦(ヤクルト6勝5敗0分) |
試合時間3:34(開始14:00 終了17:34) 入場者27,159 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
巨人 | 4 | 1 | 1 | 0 | 1 | 5 | 3 | 0 | 4 | 19 | 19 | 0 | |
ヤクルト | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | 5 | 9 | 1 |
バッテリー | 巨 | ○シューメーカー(4勝4敗)、鍬原、高梨、平内、戸根-大城、小林 |
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ヤ | ●サイスニード(4勝2敗)、坂本、木澤-内山壮 | |
本塁打 | 巨 | 増田陸3号(1)、ポランコ9号(1)、10号(3)、ウォーカー16号(1)、丸14号(2)、湯浅1号(2) |
ヤ | 青木3号(2)、オスナ7号(1) |
先発がヤクルトはサイスニード、巨人はマット・シューメーカーという外国人マッチアップとなったこの試合ではサイスニードが炎上。初回から4点を失うとその後はソロでじわじわと加点され、結局5回7失点と前日の菅野と同じような内容でKO。2番手・坂本光士郎は2回で3被弾を許し8失点*3、3番手・木澤尚文も2回4失点と、今度は逆にヤクルトが大量失点。打線も青木宣親、ホセ・オスナに本塁打が飛び出すも焼け石に水で、大勝の翌日に大敗を喫する結果となった。
一方の巨人は昨日のお返しとばかりに6本塁打を浴びせ、中でもグレゴリー・ポランコが2本塁打の大活躍。昨日の雪辱を果たす大勝とともに、自力優勝消滅の危機を免れることとなった。ちなみに16失点以上した試合の翌日に16得点以上を挙げたのは球界全体で2回目のこと*4。
なお余談ではあるが、この試合の試合時間は3時間34分であった。
第3戦
2022年6月26日(日) 神宮 12回戦(ヤクルト7勝5敗0分) |
試合時間4:02(開始13:00 終了17:02) 入場者25,440 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
巨人 | 3 | 0 | 2 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 2 | 10 | 14 | 2 | |
ヤクルト | 1 | 0 | 6 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | X | 11 | 14 | 1 |
バッテリー | 巨 | 戸郷、今村、H鍬原、高梨、赤星、●平内(3勝2敗)、鍵谷-大城 |
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ヤ | スアレス、小澤、今野、田口、○清水(3勝1敗)、Sマクガフ(22S)-中村 | |
本塁打 | 巨 | 中田7号(1)、丸15号(1) |
ヤ | 長岡4号(3)、村上26号(3) |
ヤクルトはアンドリュー・スアレス、巨人は戸郷翔征が先発。スアレスはここまで先発した全試合でKOと不安定で、一方の戸郷も中4日での登板。加えてこの日は6月ながら最高気温33℃という例年8月並みの異様な酷暑の中での屋外デイゲームとなった。これだけの悪条件が揃ったために試合前から乱打戦となる事が予想されてはいたのだが、案の定という結果となってしまった。
巨人は1回表、スアレスの立ち上がりを攻め一気に3得点。3回表にも2点を追加し1-5で未だ無死満塁。スアレスをマウンドから引きずり下ろし、この日も巨人ペースかと思われた。
しかし、ヤクルトはこの日支配下復帰・一軍登録されたばかりの小澤怜史が2番手でマウンドに上がると、このピンチを無失点で切り抜ける快投を見せ、打線も直後の3回裏に3点を奪い戸郷をKO。さらに長岡秀樹が緊急登板した今村信貴から逆転3ランを放ち、7-5と逆転に成功。
その後はお互いに点の取り合いとなり、8-8の同点で迎えた8回裏、ヤクルトは一死一・三塁から村上の3ランで3点を勝ち越して11-8に。最終回はここまで防御率0.66のスコット・マクガフが抑える……と思いきや、マクガフもまさかの2失点、11-10と1点差まで詰め寄られる。しかし最終的にはなんとか3アウトを取って試合を終わらせた。
ヤクルト先発のスアレスは、上述の通り度々KOされながらも、実は驚異的な援護運によって自身の黒星をここまで何とか回避していた*5のだが、流石にこの試合で見限られてしまい翌27日にあえなく二軍降格となり、その後一度中継ぎとしてあがるもパッとせずこの馬鹿カード最後の先発としてくらいしか記録が残らないまま自由契約となった。
この試合でヤクルトは12カード連続勝ち越し*6、巨人は2位にもかかわらず自力優勝消滅となった*7。
総スコア・まとめ
試合 | スコア (ヤクルト-巨人) |
---|---|
総スコア | 32-35 |
1 | 16-6 |
2 | 5-19 |
3 | 11-10 |
- 総安打…ヤクルト42-巨人45
- 総本塁打…ヤクルト9-巨人9
- 1試合2本塁打が計3人*8
- 登板投手全員失点(ヤクルト、2試合目)
- 両チームで計13人の投手が登板(3試合目)
- 巨人は3試合すべてで2桁安打、ヤクルトも2試合目が9安打のほかは2桁安打。
- この3試合中のチームOPSが両軍とも1以上。
- 自責点なしで投げ終えた投手は両軍合わせてもわずか5人*9、さらに言えば無安打に抑えたのは清水昇ただ一人である。
余談
- 神宮での次の対戦となった7月18日のヤクルト対巨人戦もまた序盤から激しい点の取り合いとなり、結局両軍合わせて30安打、7本塁打と、両軍の対戦は4試合連続で馬鹿試合になった*10。
- この3連戦は毎年恒例のTOKYOシリーズだったが、何の因果か「東京リベンジャーズ」というヤンキー漫画とのコラボであった為、この3連戦中は作中のセリフを捩った「これだけ点を取られて、日和ってる奴いる?いねぇーよなぁ!!?」などの声がTwitterで話題になった。
- ポランコは神宮球場を非常に得意としており、8月の試合では「ここに来たらボールがよく見える」と発言している。2022年における神宮球場での最終的な打撃成績は.357(42-15)・7本・15打点であった。
- 一方巨人軍本拠地の東京ドームでは6/25~6/26にかけてAqours6thライブが開催された両日試合を観戦しライブに参加したラブライバーも少なくなかった
- 最終的にヤクルト対巨人の2022シーズンの神宮成績(13試合)は下記のようになり、セーフティーリードが存在しない壮絶な燃やし合いは毎試合双方のファン
の胃を大いに痛めたを大いに沸かせた。
ヤクルト | 巨人 | |
---|---|---|
勝敗 | 4勝9敗 | 9勝4敗 |
得点/失点 | 78 / 92(自責82) | 92 / 78(自責69) |
被安打・被本塁打 | 143・29 | 119・23 |
防御率 | 6.30 | 5.50 |
- 1年後である2023年7月17日、神宮球場での試合では、両軍投手陣の炎上や延長戦の末、奇しくも第3戦と全く同じ11対10でヤクルトの勝利となった。