防御率詐欺

Last-modified: 2024-04-28 (日) 08:42:44
  1. 防御率は良いが貢献度は低い投手を指す言葉。
  2. 普段は好投するが、稀に炎上を見せるため防御率が膨れ上がった状態の投手を指す言葉。

本項では1.について解説する。


概要

下記の2種類に大別される。両方に該当する場合もある。

  • 自分に自責点の付かない走者(交代前の投手が出した走者やエラーで出塁した走者*1)ばかり生還させているので、自責点の割に点を失う*2場面が多い。一言で「他人のランナーは返す」とも*3
  • 大量点差時は抑える一方で僅差の場面では尽く打たれるので、チームの勝利に結びつかない*4

前者の詐欺度合いを評価する指標の一つとして、セイバーメトリクスにおけるWHIP(1イニングあたりの与出塁数)が挙げられる。WHIPが悪い割に防御率が良い投手は、防御率詐欺の可能性が高い*5*6

韓国のネットでは同義語として「粉飾会計」が存在し、なんJでも時折用いられる。


EXAシステム*7

EX者」こと江草仁貴(元阪神→西武→広島)が得意とした防御率詐欺テクニック。自分が出したランナーを後続に抑えてもらうことで、与出塁率の割に見た目上の防御率が低く保たれている状態を指す。
後を継いだ投手の能力に全面的に依存するため、所属チームによって通用するかどうかが大きく異なる。


阪神時代

江草は2002年ドラフトにて自由枠で阪神に入団。最速150km/hの速球とツーシームを武器とし、2005年はJFKに次ぐリリーフ陣「SHE*8」の一人としてリーグ優勝に貢献。2004~2009年の6年間で防御率が3点台以上だったのは1シーズンのみと、記録上は優秀な成績を残している。
しかし奪三振率が高い一方で四死球や暴投も多く、2005年の日本シリーズでは3連続暴投を記録している。2007年はWHIP1.50で防御率1.95を記録し、「JFKに尻ぬぐいしてもらっている」と揶揄された。

  • 「他人のランナーは返す」例
    2009年8月27日の横浜戦(横浜)にて、7回二死満塁から先発・久保康友に代わり2番手で登板。
    3者連続押し出し四死球を与えて久保の残した走者を全て返した上で、三振を取ってチェンジ(自責点0)という離れ業を成し遂げている*9
  • EXAシステムの発動例
    2009年9月1日のヤクルト戦(甲子園)にて、8回から3番手として登板。
    自身は3四球を与え二死満塁で降板したが、代わった4番手のスコット・アッチソンが後続を抑えたため自責点0であった。

2010年は勤続疲労のため球威が低下して成績が下降(21登板、防御率5.12)。同じ左腕の筒井和也や榎田大樹の台頭も重なり、翌2011年シーズン途中にトレードで西武へ移籍。


西武・広島時代~引退

俺達の一員として12試合に登板するも自身を火消しできるリリーフがおらず、逆に延焼させられるなどEXAシステムが通用せず防御率5.63に終わる。
翌2012年に地元の広島へトレードされた後は登板機会が減少し、2017年に引退。


関連項目



Tag: なんJ 阪神 西武 広島


*1 投手自らエラーして出塁させた走者も同様である。例えば二死走者なしから投手のエラーにより出塁しその後その投手が滅多打ちにあった、という場合でも自責点0となる。
*2 公式記録の「失点」ではなく、単純に当該投手の登板時における相手チームの得点を指す。
*3 KONAMIが発売している『プロ野球スピリッツ』シリーズにおいてもこれと同様、自責点にならないランナーがいると投手能力が下がる効果を持つ「責任感」というマイナス特殊能力が存在していた。
*4 同じくプロスピシリーズにおいて、6回以降の接戦の場面で投手能力が下がる効果を持つ「接戦」というマイナス特殊能力が存在した。
*5 ただし、四球や単打でランナーを出しつつも長打を避けている投手や、ランナーを出してから本領を発揮する「劇場型投手」も同様の傾向になるため、WHIPだけを見て一概に防御率詐欺と断定することはできない。
*6 逆にWHIPは良いのに防御率が悪いケースもある。これは主に飛翔癖(ランナーを溜めずに失点しやすい)か、「普段は抑えているが炎上する時は派手に燃える」後者の例寄りのパターンが多い。
*7 元ネタはセガ・サターン用ゲーム『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』に登場する「EXAM(エグザム)システム」。
*8 桟原将司・橋本健太郎・江草。JFKはリードしている試合の終盤で投げるケースが多かったのに対してこちらは試合中盤や同点・ビハインドでの登板が多かった。
*9 久保も降板直前に押し出し四球を与えており、合わせて4連続押し出しのセ・リーグタイ記録