スマブラ個人小説/Shaillの小説/スマブラキャラの毎日 16

Last-modified: 2013-12-14 (土) 09:57:04

始めに

オリジナルキャラクター

第47話 一周年記念作品 デュラゴン・クエスト/五章

魔城門前
カービィ「ぽよ!」
ピット「着いたよ・・・最後の扉に」
メタナイト「長い道のりだった」
ギャラクシア「・・・いや、そこまで長くはなかったぞ」
ピット「ゲームなんて夜更かししたら2日で終わるしね」
メタナイト「・・・」
カービィ「ぺぽー・・・」
以前は開かなかったが、どうだろう
ギャラクシア「三人で協力したらどうだ?」
メタナイト「そうだな。では・・・」
ピットの上にメタナイト、メタナイトの上にカービィが乗り、団子三兄弟のようになると
ピット「ぐ・・・っ!」
ギャラクシア「せーの」
ピット「うわぁ!」ガクン
カービィ「ぽ!?」
ドタドタバタ
ギャラクシア「崩れた」
メタナイト「・・・土台がしっかりしてくれないと」
ピット「その前になんで縦なの!?ふつう横だろ!」
メタナイト「それもそうだな。では改めて・・・」
改めてピットの上に
ピット「だから乗るな!」
ギャラクシア「もうそのへんでいいだろう」
メタナイト「本格的に開けにかかるとしようか」
今度こそ門の前に横に並び
ギャラクシア「せーのっ」
ゴゴゴゴゴ・・・!
重層な門が徐々に開いてゆく
ガゴンッ!
ピット「・・・開いた」
ギャラクシア「これで最後だ。気を引き締めろ」
カービィ「ぽよ」
メタナイト「よし、行くぞっ!」




魔城内
ピット「うわー、暗・・・」
カービィ「ぽよぽ?」
メタナイト「LEDライト?あるわけないだろう」
ピット「ここに電灯って書いてあるスイッチがあるけど」
メタナイト「!」
カービィ「ぽよ!」
メタナイト「ダメだ!押すな!」
ポチッ
・・・・・・
ピット「・・・明るくならないな」
カービィ「・・・?」
ギャラクシア「---おい。落石注意だぞ」
ピット「は?まさか・・・!」
ガラガラガラガラ!
天井に穴が空き、そこから大量の岩を降り注いできた!
カービィ「ぽよ!?」
メタナイト「吸い込め!」
カービィ「ぺぽ!」無理!
ピット「うわああああああ!!」
ギャラクシア「くっ・・・!」
カービィ「ぽよーーー!!」
三人(と一つ)は、為す術なくして完全に埋もれてしまった





ピット「うっ・・・けほ!みんな、大丈夫?」
・・・・・
ピット「・・・?あ、あれ?あれれれれ?まさか、僕・・・一人!?」
ギャラクシア「ああ。確かに一人だな」
ピット「!」
手元から声がすると思ったら、岩の隙間からメタナイトが落としたであろうギャラクシアの刀身が輝いていた
ピット「よ・・・よかったあぁぁーー!」
ギャラクシア「私は人じゃあないんだがな・・・」
その発言に、ピットは埋まっていた下半身を引き抜くと、高らかに宣言した
ピット「いーや関係ない!剣だろうが話相手には変わりない!はっ、こうしちゃいられない!さぁ、彼奴らを探しにいこう!」
ギャラクシア「承知した」





がらがらがら・・・
メタナイト「う・・・なんという華麗な罠だ。だから押すなと言ったのに・・・」
瓦礫をのかせ、一面に敷き詰められた岩の中から這い上がると、
カービィ「ぽよ~・・・」
ギリギリ手だけが露わになっている勇者が助けを求めてきた
メタナイト「・・・」
→引きずり出す
メタナイト「よっ!」
カービィ「っぷぃ」
メタナイト「ふぅ、世話の焼ける。そういや・・・天使が見当たらないな、はぐれてしまったか。・・・む!?ギャラクシアもないぞ!さてはあの天使め、勝手に持ち去ったな・・・!」
カービィ「ぺぽ!」それはない!
メタナイト「行くぞカービィ。我が宝剣を取り返すのだ」
カービィ「ぽよー!」だから違うって!
間違っては・・・半分は、ないが





入り口から離れ、なんの宛もなく先を歩く。ロウソクもない通路を進み、時折、部屋を覗いては別れた二人を探す
ピット「やっぱり一人は危ないよ・・・敵との戦闘は避けたいな~」
ギャラクシア「・・・・生憎ここは魔物の巣窟なのだから、それは叶わん願いだな」
ピット「む。もうちょっと・・・ポジティブに考えようよ?」
ギャラクシア「ネガティブ思考のほうが危機に敏感だろう」
ピット「いや、ポジティブのほうが人生軽いよ」
ギャラクシア「その人生の中身も軽いものになるが」
ピット「・・・何事も笑い飛ばせて楽になる」
ギャラクシア「しかと受け入れることも必要だ」
ピット「わぁもう!ああ言えばこう言う剣だな!!」
ギャラクシア「・・・」
ピット「・・・メタナイトとカービィは一緒なのかな・・・?」
ギャラクシア「さてどうだか。邪気の感知は得意だが、どうも正気は苦手でな」
ピット「宝剣の曲なんだからふつう逆だろ。いや、両方だろ」
ギャラクシア「宝剣の界隈にそんな定義はない」
ピット「あぁ・・・そうですか」
ギャラクシア「・・・そうだ」
ピット「?」
ギャラクシア「宝剣の界隈といえば『世界最強の剣』の噂は知ってるか?私たちの間では話題になってるが」
ピット「何それ。実は自分でしたーって自慢?」
ギャラクシア「いや、私じゃない。その使い手にもよるが、ソードビームを凌ぐらしい」
ピット「僕の神弓よりも?」
ギャラクシア「当たり前だ」
ピット「・・・あ、そぅ。でもそれって凄いよね、誰が創ったの?ゼウス?スカアハ?まさかパルテナ様?」
ギャラクシア「ふん、その剣は神が鍛えた聖剣でも神剣でもないぞ」
ピット「え?」
ギャラクシア「現代人が最近創ったんだ」
ピット「普通の剣が聖剣を超えたってこと!?」
ギャラクシア「まさか。聖剣を超す時点で普通じゃない、特別だ。が、人工物だ。風の噂では、その剣は何物をも切断するらしい」
ピット「何物をも、って。ビルとか剣で斬れ」
ギャラクシア「斬れるだろう」
ピット「・・・マジかよ」
ギャラクシア「誰から聞いた訳でもない、確証のない話だが。噂の限りでは、あれは極めつけのイレギュラーだ。どうあれ、人造が神造を超したんだ。お前たちも負けていられないぞ」
ピット「ははっ、そんなの親衛隊長が悩むことじゃない。他の神民の管轄さ。お門違いってやつだよ。僕らは今有る武器を使うだけ」
ギャラクシア「そうか。まぁ、アレと戦う時はまずないだろうしな。・・・聖剣最強の原則を破られたに違いはないが」
ピット「ん?何か言った?」
ギャラクシア「言った。が、独り言だ」
ピット「ふー・・・ん」


・・・・・・


・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・


ピット「・・・」
ギャラクシア「・・・」
気まずい


・・・・・・・・・・・・・・・!?

 

戦闘画面
ギャムギャとギャムギャベースが現れた!
ピット「・・・なんの前触れもなく始まった」
ギャラクシア「さっきの恐ろしいほどの沈黙はなんなんだ」
ピット「だって喋ることないもん」
ギャラクシア「ああ、だけにそのは軽く流してもらいたい」
ピット「よし早く斃そう」
ギャラクシア「無視するな」
ピットのSK
→エンジェリング
ギャムギャに34のダメージ!
ギャムギャベースに37のダメージ!
ギャラクシア「・・・」
ギャムギャのAT
ピットに32のダメージ
ギャムギャベースのAT
ピットに27のダメージ
ピット「うわ!二連続とかなんて卑怯な!」
ピットのSK
ギャラクシア「僭越ながら・・・お前たちも今まで似たような手法を取っていたのだから、因果応報だぞ」
ピット「言ってる場合か!」
→エンジェリング
ギャムギャに36のダメージ!
ギャムギャベースに36のダメージ!
ギャラクシア「・・・気を悪くしたのなら済まない。傍らで見ていて、下衆な戦法に思えてな」
ピット「相変わらず!口の減らない剣だな!集団戦法は基本!だろッ!」
ギャムギャのAT
ピットに34のダメージ
ギャムギャベースのAT
ピットに32のダメージ
ピット「これッ、そろそろヤベェ・・・!」
ギャラクシア「総計125ダメージ。土壇場だぞ」
ピット「なんとか、するさ・・・」
ピットのSK
→エンジェリング
ピット「斬るッ!」
ギャムギャに29のダメージ!
ギャムギャベースに28のダメージ!
ギャムギャとギャムギャベースを倒した!

 

ピット「Kill・・・したったよ」
ギャラクシア「もう瀕死間際だぞ」
ピット「・・・早く合流しないとな」
ギャラクシア「そうだな。・・・ん?」
---カチッ
ピット「何か踏んだ?」
ギャラクシア「ああぁ、踏んだな」
すると
真下の床が開いた
ピット「なんとォ!?」
ギャラクシア「落とし穴だと・・・なんて初歩的な罠だ---」
少し滞空した後、見事に穴におっこちた

 

 

ピットとギャラクシア 落とし穴にはまる
ギャラクシア「人生ゲームか」

 

 

メタナイト「ギャラクシア、いたら返事しろー!ピッ・・・じゃない、ギャラクシアー!」
カービィ「ぽよぽ!」間違えてない!
メタナイト「バカだな勇者は。ギャラクシアがいる=天使がいる、だろ。どっちを探そうが同じことだ」
カービィ「ぺぽぺぽ」なら余計に間違ってない
メタナイト「・・・ギャラクシアー!」
カービィ「ぅ・・・ぽよよ・・・」嗚呼・・・だんだん壊れてきた・・・
そんな嘆きはおかまいなしに、ずんずん先に進むと・・・
メタナイト「おっ、トラップ発見」
カービィ「?」
その罠とは・・・いつぞやの看板だった
カービィ「・・・」
そういや誰かさんにぶっ壊されてたっけな
メタナイト「とりあえず読んでみようか」


『ボスの部屋→』


メタナイト「・・・」
カービィ「・・・」
メタナイト「これは・・・ないぞ」
カービィ「ぽよよよ!」これに騙されるほど馬鹿じゃない!
スルー
矢印とは逆方向に進む
しかし。しばらくすると
メタナイト「むっ」
カービィ「ぽ?」
・・・また看板が立っている
メタナイト「こ・・・このパターンか・・・」


『やっぱりこっち←』


メタナイト「な、読まれてる!?」
さっきの看板は右を指していた。だから左の道を選んだのだが
今度は同じ左を指していた。これじゃあどちらを選んでも標識に従い、背くことになる
メタナイト「阿保看板だと思ったが、やはりなめて掛かってはいかんな」
カービィ「ぽよー・・・」微妙にしりとりになってるけど・・・
メタナイト「さもなん。結局は二択ということか。カービィ、選択してくれ」
カービィ「ぷ・・・ぽよ!」じゃあ・・・左!
今度は看板に従って直進する
てくてくてく

 

『違った。こっちかも→』
メタナイト「また看板だ!」
カービィ「ぺぽー・・・・。ぽよ!」やっぱりしりとり・・・。左で!
→指示に背く
てくてくてく


カービィ「ぽ!ぽよぽよぽ!」あ!向こうのほうにまた看板が!
カービィが指したのは、道を曲がった所の奥にある看板だ
メタナイト「いや、壁に当たるまで直進だ。ルートが拗れるだろ」
カービィ「・・・」
てくてくてく

 

『もうウンザリしてきた←』
メタナイト「   」
カービィ「ぽよ!」左!
→命令に従う
てくてくてく

 

『待望のゴールかもボ←』
メタナイト「・・・ボ?なんだ、ボって」
カービィ「ぺよぽよぽぽ」ゴールかもしれないなら行ってみる
→命令に従う
メタナイト「はっ!ボ・・・って、まさか・・・!」
てくてくてく

 

『ボスの部屋→』
メタナイト「・・・・戻ってきた」
カービィ「・・・・」
まさかのループ。下手すれば、無限ループ・・・
メタナイト「・・・全部、読まれてるのか?」
カービィ「ぽよ」分からない
メタナイト「・・・、もう一回いくぞ」

 

道に迷った
メタナイト「まったく・・・格好つかないな」
カービィ「・・・ぺぽぺぽ、よぽよむ」・・・初めての道なんだから、迷うのはおかしくないけどね
すると---
---カチッ
カービィ「?ぽよ?」ん?何か踏んだ?
メタナイト「みたいだな。どこかの仕掛けが作動し」
パカッ
メタナイト「ーえ」
カービィ「!」

 

 

メタナイトとカービィ 落とし穴にはまる
本日二度目!

 

 

ヒューーーン・・・ドサ!
カービィ「ょぷ!」
メタナイト「っ!」
落とし穴の底に着いたようだ
しかし、先が何も見えない。まだ上のほうが明るいくらいに。そして 狭い
メタナイト「カービィ、そこに居るのか?」
ピット「・・・ん?誰の声?」
カービィ「ぺぽ!」
ギャラクシア「・・・」
メタナイト「ん。待て、ちょっと待て・・・」
カービィ「ぽよ」
ギャラクシア「主よ。この状況、整理してくれ」
ピット「・・・・・って-」


「「いたーーー!!ッ!」」
壁に挟まれた所で大声をあげたせいで、頭がぐわんぐわんする
メタナイト「ッ・・・何シレッとしてやがる!落とし穴にはまるとか下手すぎるだろ!」
ピット「どっちもどっちだ!どんだけ淋しかったと思ってる!」
メタナイト「知らんがな」
ギャラクシア「まあ。ひとまず合流出来たではないか。まずはここからの脱出法を考えよう」
カービィ「ぽよ!」そうだよ!
ピット「・・・・はいはい、分かったよ」
メタナイト「床は開閉式だったな。上まで登れば簡単に出られるだろ。じゃあ誰か・・・」
ピット「僕らはアイスクライマーじゃないよ?」
メタナイト「・・・」
カービィ「・・・」
メタナイト「じゃあ・・・えーっと・・・・・・」
ー・・・・
ギャラクシア「・・・お前ら、それで本気か?」
ピット「それはなにか方法があって言ってるんだね?」
ギャラクシア「無論」
メタナイト「では、お聞かせ願おうではないか」
ギャラクシア「うむ・・・・・飛べよ」
「「あ・・・(-▽-;)」」
メタナイト「・・・」
カービィ「ぽよー・・・」
ピット「・・・気付かんかった」
ギャラクシア「・・・ー」

 

脱出

 

ピット「ふぅ、久々のシャバの空気だー」
メタナイト「まだ城の中だがな」
カービィ「ぽよよ?」
メタナイト「これからどうしよう?」
ピット「このまま突き進む」
メタナイト「それは駄目だ。看板ループに抜けられない」
ギャラクシア「ループ・・・?異界化させられているのか?」
メタナイト「異界化?どういうことだ」
ギャラクシア「ループした空間を作るには相応の下準備が必要だ。循環する空間を創るには、その初端と末端を繋げばいい。そこに足を踏み入れた者は、末端に着くと同時に初端に戻る。これが無限ループだ」
ピット「???」
ギャラクシア「・・・例えるなら、ハムスターの回し車だ。あれには終わりがないだろ。つまり、終わりと始まりがつながっているんだ」
ピット「・・・で、それがどうしたの?」
ギャラクシア「そこまで歪んだ空間なら、私が感知出来ないはずがない。だからループは有り得ないってこった」
カービィ「ぽ、ぺぽ・・・」
メタナイト「では・・・ただ手中にはまっていただけ・・・?」
ギャラクシア「私の予想では」
ピット「んーっと・・・よく分かんないけど、取り敢えず確かめようよ」

 

『ボスの部屋→』
ギャラクシア「これか。看板ループの始まりは」
メタナイト「ああ。ここで左に進んだんだ。だから今回はこれに従えばいい」
てくてくてく


『待望のゴールかもボ←』
カービィ「・・・」
メタナイト「・・・あれ?」
ピット「ん?どうしたの」
メタナイト「戻ってきた・・・」
ギャラクシア「それはおかしいな。主よ、ここではどう曲がったんだ?」
メタナイト「・・・・カービィ、覚えてるか?」
カービィ「ぅー」
メタナイト「・・・それは参ったな・・・」
ピット「覚えてないのね、分かります」
ギャラクシア「鶏並みの記憶力だな」
カービィ「---」
ピット「でも本当に困ったぞ。僕らまで道に迷いかねない」
ギャラクシア「・・・いっそのこと全て命令通りに行ってみるか」
メタナイト「敵の罠にはまりにいくのか?」
ギャラクシア「その逆だ。敵の裏の裏をかくんだ。指示に従わない、と予測して看板を立てていたなら、指示に従っていけばいいだろう」
カービィ「ぽよ!」
ピット「うん、それで行こう」
来た道を引き返す
てくてくてく


『ボスの部屋→』
・・・は無視して、
『やっぱりこっち←』
突き当たりを左に曲がった
次は、
『違う。こっちかも→』
の看板があった
この矢印が指している道は、まだ踏み入れてない
ギャラクシア「まだ奥に続いているな。私の勘では、この先にいる」
メタナイト「ついでに思い出したぞ。ここだけだった。看板の指している、ループ以外の道は」
カービィ「ぽよ・・・」
ピット「元凶が、この奥にいるのか・・・。長い旅の終止符だな」
メタナイト「いや、そこまで長い旅ではなかったぞ?」
ギャラクシア「実質、2日もあったら(ry ピット「わーーーもう同じこと言うな!!」
メタナイト「ギャラクシアを解放してから臨みたかったところだが・・・まぁ、仕方ないか」
カービィ「ぽよ!」

 

 

決戦の地へ赴いた!たぶん

 

 

先の通路にあった階段を下りると、地下に突入したようだ。重々しい扉が立ちはだかる
ピット「また扉か・・・今回はボケ倒してられないぜ」
メタナイト「当たり前だ。そこまで弁えのない訳じゃないぞ」
カービィ「ぽよよ」じゃあ開けるよ
ギャラクシア「ああ」
ゴ、ゴゴゴ ゴ ゴ ゴ---・・・
ギャラクシア「これが最終決戦だ。強力な邪気が現れている。準備は万全か?」
ピット「125ダメージ残ってる」
メタナイト「・・・・気合いだ、気合いで耐えろ」
ピット「ゲームじゃポイントオフだよ!アイテム使えよ!」
メタナイト「もったいないだろ」
ピット「有効利用だからもったいなくない!」
メタナイト「はいはい・・・」
ピットのHPが回復した!
メタナイト「アイテム・・・もう底を尽きたな」
ギャラクシア「一つしか持ってなかったのか?」
カービィ「ぽよ!」
ピット「ぜんぜん準備万全じゃねーじゃん」
ギャラクシア「ガイアナの王女から貰った金があったはずだが」
メタナイト「今更後戻りは出来ない。このまま突き進むぞ」
ピット「いや大丈夫なの!?ねぇ!?」

 

扉の先に広がる部屋は、何処かの研究室のようだ。堂々と佇む数々の装置がそう物語っている
メタナイト「それだけじゃない。これは・・・」
カービィ「ぺぽ」
ピット「え?どうしたの?」
ギャラクシア「デジャブだな。私たちはこれを見たことがある」
ピット「え?」
メタナイトがある装置の前に立ち止まると
ギャラクシア「これだ。我々の力を抑制させている機械は」
ピット「じゃあ!それを壊せば力も元に戻るの!?」
ギャラクシア「恐らくな」
ピット「なら壊さない手はないな!」
ピットが神弓を取り出し、その装置を壊し・・・
???「ちょっと待つゾイ!」
・・・かけたところで、開けっ放しだった扉から声が聞こえた
ギャラクシア「---ハァ・・・」
カービィ「!」
ピット「・・・ゾイ?」
メタナイト「ゾ、だ・・・・大王!?」
そこには、なんと、巨大な木槌を携えたデデデ大王がいたのだ
メタナイト「まぁ、予想出来なかったわけではないな」
ギャラクシア「人気投票でまだ登場権が生きていたからな」
ピット「みんなカービィシリーズ・・・僕だけ仲間外れじゃん」
カービィ「ぽ!」
メタナイト「いつもそうじゃないか?今や茶飯事だと思っていたが」
ピット「    」
デデデ「?」
メタナイト「デデデ大王、貴様の目的は何だ?」
デデデ「いつもと同じゾイ」
メタナイト「そうか・・・やはり聞くまでもなかったな。くだらん夢物語に命を懸けるほどのものか」
ギャラクシア「世の浸食は貴様の仕業だろう。その装置を守る限り、私たちは全力で妨害しにいく。さぁ、叩き伏せるぞ、マスター!」

 

戦闘画面
メタナイト「恐れるまでもない、突き進め!」
メタナイトのSK
AWAKE!
メタナイト「ktkr!」
→シャトルループ
デデデに45のダメージ!
メタナイトの回避率が上がった!
カービィ「ぺぽ!」
メタナイト「ここでも霊格を取り戻したか。ついてるぞ」
カービィのSK
→ハンマー
二回当たった!!
デデデに210のダメージ!
カービィ「ぽ!?」
ピット「スゲェ、今回は運がいいな」
ピットのSK
→パルテナアロー
デデデに35のダメージ!
ピット「ぉお・・・ふ、ふつー・・・」
デデデのSK
→メガトンハンマー
ピットに360のダメージ
カービィ「!」
メタナイト「な・・・!?360だと!?」
こんなに桁違いな数値・・・リンクか、スネークにも匹敵する
ピットが倒れました
ピット「ハハッ。早い幕引きだな・・・無念だけど、先にいかせてもらうよ」
カービィ「ぽ・・・!」
ピット「後は任せた」
ギャラクシア「・・・」
メタナイト「くそっ・・・私たちの10倍もの威力を叩き出すか。あの木槌・・・大したダメージソースだ」
ギャラクシア「いきなり不利な状況だな。このままだと、あなたが落ちるのも時間の問題だぞ」
メタナイト「・・・なんとかするさ」
とは言っても。相手は単純な強さだけで、なんら小細工はしていない
次のターンで必殺しなくては自分がやられる。だがそこまで強いスキルは持っちゃいない
一気に詰んだぞ・・・!
メタナイト「ギャラクシア!」
ギャラクシア「ダメだ。まだ扱えない」
メタナイト「~~~!」
メタナイトのSK
→シャトルループ
デデデに40のダメージ!
メタナイトの回避率が上がった!
メタナイト「ッ・・・どうする・・・!」
カービィのSK
AWAKE
→ストーン
デデデに115のダメージ!
カービィのDFが上がった!
カービィ「ぽょ・・・」
まだ、倒せない
デデデのSK
→メガトンハンマー
メタナイトのSK
デデデ「ゾイ?」
メタナイト「!」
→ディメンジョンマント
デデデに45のダメージ!
メタナイト「カウンターか・・・僅かだが、なんとか積み上げれば・・・」
ギャラクシア「或いは、な。まだ希望を捨てるには早いぞ。後を任されたのだから」
メタナイト「やるしかないか・・・!」
メタナイトのSK
→シャトルループ
デデデに41のダメージ!
メタナイトの回避率が上がった!
メタナイト「極限まで高めるんだ。あの重撃さえ当たらなければ勝機はある!」
カービィ「ぽよ!」
カービィのSK
→ストーン
デデデに100のダメージ!
カービィのDFが上がった!
デデデのSK
→メガトンハンマー
デデデの攻撃は外れた
デデデ「ゾィ!?」
ギャラクシア「馬鹿の一つ覚えが。連打していたらOFF相殺で威力が下がるだろう。ましてや主に攻撃を当てることすら難しいというのに」
カービィ「ぺぽよ!」
メタナイト「いけるぞ、頑張れば・・・!」
メタナイトのSK
→シャトルループ
デデデに32のダメージ!
メタナイトの回避率はもう上がらない!
メタナイト「もう最後か・・・」
カービィのSK
→ストーン
デデデに84のダメージ!
カービィのDFが上がった!
デデデのSK
→メガトンハンマー
カービィに84のダメージ!
カービィ「・・・っ!」
ギャラクシア「うまく耐え凌いだな。だが、DFの上限もこれまでだ、畳み掛けるぞ」
メタナイトのSK
→マッハトルネイド
デデデに40のダメージ!
カービィのSK
→スマッシュキック
デデデに97のダメージ!
ギャラクシア「・・・」
デデデのSK
→メガトンハンマー
カービィに74のダメージ!
カービィ「ぺよぽ!」
メタナイト「このまま押し切るぞ!」
ギャラクシア「・・・いや」
メタナイトのSK
→MPがありません
メタナイト「ッ!しまった・・・」
ギャラクシア「SKの使いすぎだ。MPを消耗しすぎたな。致し方ないが、ATで押し切れ」
メタナイト「こんな火急の時に!」
メタナイトのAT
デデデに25のダメージ!
カービィのSK
→ハンマー
カービィの攻撃は外れた!
カービィ「よょ!?」
メタナイト「なんてことだ・・・振り出しに戻った気分だ・・・」
デデデのSK
→メガトンハンマー
メタナイトに411のダメージ
メタナイト「ぐ・・・ッ!?」
ギャラクシア「---恐れていたことが」
メタナイトが倒れました
カービィ「!」
ギャラクシア「いくら回避率が上がったところで、攻撃が当たらなくなる訳ではない。この作戦は元より綱渡りだった。ただそれだけだ」
カービィ「~~~」
デデデ「あとはカービィだけゾイ。ワシの勝利は決まったようなもんゾイ!」
カービィ「・・・」
仲間も失った
アイテムも無い
後戻りも出来ない
打開策もない
たとえデデデの背後にある装置を破壊できたとしても、勇者には加護はない
メタナイトのように、最初から力を抑制されていないのだから
ギャラクシア「・・・それは大きな間違いだぞ、勇者よ」
カービィ「?」
ギャラクシア「初めから力が抑えられていない?馬鹿言え。真の勇者ならば、ステータスが吹っ切れている筈だろう」
カービィ「ぽ・・・?」
ギャラクシア「スキルもまだまだ未熟だった。主が霊格を取り戻した、と言っていただろう?ならお前はどうだ。初めからスキルを全て修得していたか?違うだろう。つまり、勇者といえど、完全な力が解放出来ていない。あれを破壊することはお前にとっても有益だということだ!」
デデデ「・・・!なら破壊させないまで!ゾイ!」
カービィ「ぽよ・・・!」
デデデが装置を完全に守る形になる

 

・・・カービィだけには
ギャラクシア「安心しな、勇者よ。お前は、まだ一人じゃない・・・!」
それは、どういう・・・?


-----バリンッ!


カービィ「!」
デデデ「な・・・ゾイ!?」
慌てて振り返ると
デデデが死守していた機械が、黒煙をあげていた
なにかで貫いたような孔が空いている。再起不能とみた
デデデ「い・・・いったい誰ゾイ!?」
カービィじゃない。メタナイトでもない。ピットでも・・・
???「ハハ・・・後は任せた、なんてよく言ったもんだね。まぁ、出番がなくなるのは勘弁だったから、後からこんにちはする予定だったんだけど。こんな危険な状態で出なくちゃならないとはなぁ・・・」
おかしな光景だった
地に伏せた弓兵は、大ダメージを喰らっているにも拘わらず、なお力なく笑っている
???「ハァ・・・さて。あとはカービィだけゾイ、だって?でも、あながち間違いでもないな。もう・・・少しもない体力なんだし。でもその僅かな命でも、ここまで出来たんだ・・・まだ、やれるさ・・・!」
カービィ「ぽ・・・ぽよ!」
ピットが、神弓を構えていた。死んだフリをして完璧なノーマークになった彼が、パルテナアローをうまく軌道修正しながら、装置を狙い撃ちしたんだ
でもどうして生きていられる?
ピット「生きてて悪い?・・・これだよ。このタスキが、一撃必殺から凌いでくれたんだ」
そう言いながら差し出したのは・・・ボロボロになった「きあいのタスキ」だ!
アイテムは尽きていたんじゃなかったか・・・?
ピット「あぁ、僕もそう思ってた。君たちと出会う前からの持ってたわけだし、僕自身も完璧に忘れてた!いやぁ・・・やっぱり、イベントづくしで、持ち物も忘れるくらい長い旅だったんだよ!」
カービィ「!」
ギャラクシア「・・・すぐさま機転を利かせ、好機を逃さず窮地に追いやる。お前の狡さは褒められるものだ。瞬時に頭を利かせ、死んだフリを選んだのだろう?」
ピット「あ・・・あぁ。かなりキツかった。なにしろ初心者だからね。でも、なんとかお灸を据えてやれたよ・・・」
デデデ「ゾイッ・・・!」
ピット「さぁ・・・思い知ったか、なんちゃって大王!死んだからって侮るな。そして・・・パルテナ様の親衛隊をなめんなよ!!
カービィ「ぽよ!」
ギャラクシア「幕開けといこうか。真の勇者の力を見せてやれ!」

 

 

真の力が解き放たれた!

 

 

戦闘画面
ピット「僕の体力の残量は1しかない。だから防御に専念するよ。カービィは・・・ゴニョゴニョ・・・いいね?」
カービィ「ぽよ!」
ギャラクシア「?」
カービィのSK
→すいこむ
メタナイトを吸い込んだ!
ギャラクシア「な、なにをしている貴様!?」
ピット「まぁ見てなって」
ピットのSK
→鏡の盾
鏡の盾は ピットを守った!
デデデのSK
→メガトンハンマー
ピットに0のダメージ
デデデ「ゾイ!?」
ピット「仕込みは万全、と。じゃ、そろそろ逝きますか・・・」
カービィのSK
→コピー
メタナイトカービィに変身した!
メタナイトに10のダメージ
ギャラクシア「・・・」
ピットのSK
→鏡の盾
鏡の盾は カービィを守った!
ピット「玉砕覚悟だ。今度こそ、後は任せたよ・・・」
デデデのSK
→メガトンハンマー
ピットに380のダメージ
ピットが倒れました
ピット「ふんッ・・・はまってくれたな、なんちゃって大王!」
デデデ「ど、どういう意味ゾイ?」
ピット「すぐに分かるさ、ゴフッ・・・」
カービィのSK
カービィ「ぽよ・・・!」
AWAKE
→イマジン・ギャラクシア
ギャラクシア「なんだと!?」
カービィ「ぺぽ!」
メタナイトのギャラクシアを振りかぶる
デデデ「!!」
ギャラクシア「そうだな・・・私をうまく扱えるか?勇者よ・・・!」
言われるまでもない
カービィ「ぽよーーーーーーーーーー!!!」
振るわれたギャラクシアから、黄金の光線が放たれた


デデデに99999ダメージ!
デデデ「ゾ、ゾイ!?なんたる、チートゾィ・・・!!」
カービィ「・・・」
ギャラクシア「思い知れ。そして、ゆめ忘れるな。お前に・・・カービィは倒せないと」
~Fin

 

 

次元は移り・・・

 

 

ピット「・・・っていう劇はどう?」
マリオ「ダメだ、長い。ここはやっぱりおかしの家で出るぞ」
メタナイト「自分の出番がないから没にするのはなしだぞ」
マリオ「俺は監督だ。どの役にもならない」
・・・えっ?つーか、なにこれ?
カービィ「ぺぽ!」
ピット「ーピットが語る 文化祭の劇(案)ーだよ。ご清聴ありがと」
スネーク「なんで俺がネスに仕えなきゃならんのだ・・・」
デデデ「ゾイゾイゾイ!」
リンク「・・・」
・・・なんと、まあ
ギャラクシア「・・・夢オチより酷いな」
室内だが
どこからか 木枯らしが吹いた気がした

第48話 子ども隊長

季節は冬
直にクリスマスを迎えようとしていた
終点 ホール
アイク「ジングルベーるジングルベーる、鈴が鳴る~♪」
リンク「・・・」
三脚に乗りながら壁に飾りを付けているのは、生憎にもこのペアだった
アイク「お馬鹿なーサンタ・・・、ん?なんだっけ。真っ赤な鼻のトナカイさんは・・・んん?」
リンク「・・・口より手を動かせ」
アイク「メリークリスマス~・・・違うな、慌てんぼうの、サンタさん・・・あれぇ?」
リンク「聞いているのか」
アイク「おまえ続き知ってるか?」
リンク「知らん。それより俺をシカトするな」
アイク「はいはーい」
リンク「貴様ァ・・・!」
ラトビア「ちょっと!喋ってないで、クリスマスの飾り!しっかりやってよねー!」
手メガホンで叫びながらやってきたラトビアが、喧嘩が始まりそうだった場を諌めた。が
リンク「なんだ、俺に口出しするつもりか?」
ラトビア「いや、口出しとかじゃなくて」汗
リンク「身のほどを弁えよ」
ラトビア「・・・」
アイク「相変わらず、笑うようになってもその性格は残るのな」
リンク「俺をどうしようが俺の勝手だ。姫様は除くが」
ラトビア「う~・・・」
この二人は絶対に相容れないな
アイク「まぁ、俺に似た女だしな」
リンク「・・・第一、料理人が何故飾り付けなのだ!厨房に向かわせろ!厨房に!」
料理人がいなくても俺が完成した料理出せば済むだろ
アイク「なんとォ!?」
ラトビア「コピー食品みたーい」
リンク「いいのか、それで!」
わしゃわしゃわしゃ
フィジー「・・・なんだか楽しそうね」
リンク「む」
ラトビア「あっ、フィージーも混ざりなよ!傲慢騎士をいじめ・・・あいたぁッ!」
空手チョップ
ラトビアの頭から煙が上がってる
リンク「貴様如きが俺をいたぶるのは100年早いわ」
ラトビア「・・・ッ!ごめん、なさい・・・」
フィジー「・・・」
アイク「若い女にも手ぇ出すとはな・・・見損ね、いや、見直した。いっつもゼルダ姫に従順だから・・・」
リンク「姫様は特別だ。それに、姫様もそこまで若いワケでは---ごふっ」
フィジー「!」
リンクが倒れた
アイク「なんで急に気絶してんだ!ん?これは・・・石?」
彼の後頭部には、直径6cmほどの石がめり込んでいた
ラトビア「・・・あのお姫様・・・一番怖いかもね」




保健室
フィジー「・・・」
リンク「---」
気絶したリンクを保健室のベッドに横にさせる。そのベッドの隣には・・・
色「Zzz・・・」
未だに寝たままの色がいる。彼女は近ごろから体の調子が優れないので、一日中寝ていることが多い
一体どうしたんだろうか・・・
リンク「ん・・・む、あぁ・・・不覚だ、背後からの奇襲にも気付かんとは、俺も衰えたか・・・」
自分の主にやられたことは知ってるんだろうか
フィジー「早い目覚めね」
リンク「・・・何故お前がここにいる」
フィジー「看病」
リンク「こんなのは怪我にも値せん。それに、お前に俺を看る道理はないだろう」
フィジー「・・・あの二人に押し付けられた」
リンク「ほぅ。確かに、あんな奴に看られては俺も堪ったものじゃないな。そう踏まえてお前に頼んだとみえる。うむ」
フィジー「え?」
リンク「どうした」
フィジー「それって、私が看るのは平気、ってことなの?」
リンク「・・・ちっ、口が滑ったか・・・お前とは奇妙なつながりがある訳だからな。姫様とはまた別の意味で特別だ。俺が贔屓するのは滅多にもないぞ?喜べよ」
フィジー「よく言うわ。私を殺しかけたくせに」
リンク「・・・」
鋭く尖らせた目でリンクを睨む。たった一人で緊迫状態を作り出した
しかしそんなものはお構いなしとばかりに
リンク「あぁあぁ、昔の話はよせ。ぶり返すな、聞きたくもない。いいか、あれは救いの第一手だ。分かったか、殺人鬼」
フィジー「なんだと・・・?」
このぴりぴりした空気は
リンク「・・・・しっかし、そう嫌っている俺の看病をなぜ引き受けた?まさか、断る隙もなかった、など言うまいな」
その疑問をぶつけた途端、さっきまでバラ蒔いていた殺気が唐突に引っ込んだ
フィジー「えっ、えっとーいや、それは、あ・・・あれよアレ」
リンク「妙に口ごもるな?アレ、では分からない。ちゃんと言葉にして言ってみろ」
フィジー「~~~ッ」
なんとか言おうと口を動かしたが、ついになにも出ず。結局リンクから顔を背けた
フィジー「・・・!」
リンク「分からん奴だな。いきなりどうした?こっちを見ろ。理由を話せ」
フィジー「っ・・・大ッ嫌い」ボソッ
リンク「ん?なんだと?」
フィジー「何も言ってない・・・」
彼女の顔が、少しだけ朱に染まっていた
リンク「お前・・・赤くなってるのか?」
フィジー「なってない」
リンク「じゃあこっちを向け」
フィジー「・・・わたし、もう行くわ。寝たかったら寝てて・・・!」
リンクが返答する隙もなく、ドアを壊しそこねる勢いで出ていった
リンク「・・・」
色「ZZz」




ホール、再び
全員でクリスマスの準備に取り掛かり始めている。食堂の長テーブルと椅子が運び込まれ、ジュース瓶とコップが並べられていた
マスター「おっ、リンク。意識が戻ったか」
リンク「あぁ」
じゃあ飾りつけに戻ろうか
リンク「・・・アイク、任せた」
アイク「俺はお前が寝てる間に他の奴らとやってたぞ。まだ終われてないけど」
じゃあ二人とも・・・
リンク「いい加減にしろッ」
アイク「だいたい無駄にでけーんだよ!このパーティー会場は!端から端まで200m四方ってどういうことだよ!高さもあるし!」
飾りをするのは両サイドの二つだけだ
入り口と舞台は飾りは不要だからな
リンク「・・・寝ていればよかった」
アイク「そうだよな~・・・」
と、さりげなくジュース瓶を手に取る
何すんだよ?
アイク「飲料水の摂取」
いちいち難しそうに言うな!
リンク「では俺も一杯」
お前までもか!
アイク「じゃあこの一本共有すっか」
リンク「間違っても貴様の飲んだ後に口付けはせんぞ」
アイク「・・・じゃあほかのやつ選べよ」 ←ちょっと傷ついた
リンク「そうだな・・・では、炭酸飲料。清涼水でもこれに限るな」
御託はいいからさっさと飲んじまえ!
まずは蓋を開けて・・・
アイク「・・・あれ、これ蓋開いてるぞ?誰か飲んだのか?」
リンク「内容量にさほどの違いはないだろうが。貴様は他人の口付けなど気にせんだろ」
アイク「おう。俺はそういうの、いけるクチだから」
リンクの瓶の蓋も開いていたらしい。アイクと違って抵抗があるのか、コップに注いでいる
アイク「じゃ、一足先に乾杯」
リンク「・・・ふんっ」
ごくり




がちゃんッ!
アイク「ぺぇ!!不味!うわッ不味!!なんだこの飲み物は!?」
リンク「!  !」
不味い物はフォックスの料理以来だな
気絶しないってことは、免疫力ついたんじゃねーか
アイク「言ってる場合じゃねえ!!ぺっ!ぺっ!あぁ・・・おさまった」
いや・・・リンクはまだおさまってないぞ
それどころか、身体が発光し始めている!
アイク「プ、プロメテーーウス!!」
おいどうなってんだこりゃあ!?なんで人が光ってんだよ!
アイク「大丈夫か!?毒か!これは!」
いや、そんな毒ねーだろ!
アイク「死ぬなよ!?こんなよく分からん状況のまま死ぬなよ!?」
リンク「---」
がくがくと揺さぶるものの、彼の光体に力はなく、光の強さは増すばかりだ
マスター「お前ら・・・それ、飲んだのか!?」
今更マスターがやってきた
そして
リンク「うがあああぁぁぁーーー!!」
アイク「!?」
一際大きな叫びと同時に、目も開けられないほどの強光が放たれた・・・


アイク「・・・ッ」
目を開けると
さっきまでのリンクの姿はなく、その代わりに足元に服が落ちていた
アイク「・・・え?」
服、だけ?本体は?まさか・・・体だけテレポートとか?
もしそうなら、リンクはいま何処かで全裸になってるってことになる
アイク「あれは何かの薬か!?マスタァ!」
マスター「そうだ。私が作った」
アイク「なんの薬だよ!光って瞬間移動するのか!?」
マスター「それは違うぞ。光のはただの副作用だし、テレポートしたわけでもない」
アイク「!?」
マスター「リンクなら、お前の足元に居るだろ」
アイク「な!!」
リンクの服がもぞもぞと動いた。何か、生き物いる
まさか・・・
そしてその中から、金髪の子どもが顔を出した
アイク「り、リンクぅーーーーー!!!」
それは紛れもない、少年期のリンクだった




さぁ。説明してもらおうか、マスター
リンク「んー・・・?」
マスター「今のリンクは、大体20才くらい若返ってる」
マリオ「どういう原理で!?」
マスター「うん。いやぁ、偶然作れたんだ。毒じゃないし、死んだりしないから安心しろ」
アイク「できるか!これが落ち着いてられるかよ!」
メリカ「元に戻らせられるの?」
マスター「分からない。なんとかして、大体20才くらい老けれる成長薬が作れたら出来るかもな」
スリナム「大体ってなぁ・・・一年ズレてもけっこうな事だぜ」
マスター「よし、じゃあちょっくら作ってくるわ」
アイク「待て待て待て待て!俺は!?」
マスター「・・・・は?」
アイク「は?じゃねえよ!俺もなんか薬飲んじまったぞ!」
マスター「あぁ・・・また違うやつ飲んだのか。えぇっと、その薬は確か記憶をだな・・・」
アイク「き、記憶を・・・?」
マスター「・・・ん?なんだったっけなぁ?あぁ・・・そうだ。忘れたわ、ハハッ」
アイク「笑い事じゃねぇよ!馬鹿野郎!」
フォックス「これは怖ぇな」
ラオス「いつ何が起こるか分かりませんからね」
アイク「いきなり記憶が飛んだりしねぇだろな!!」
メリカか
マスター「まぁ、取りあえず今はリンクだ。俺がいない間は子守頼むぞ」
ラトビア「了解!(面白そうだから)」
アイク「いやいやいやいや!」




子守りっていってもな・・・おとなしくしてりゃあ大丈夫だろ
アイク「そういう訳にもいかねぇだろ、小説的に」
リンク「おい、アイク」
アイク「・・・なんだよ」
リンク「オメー性格はブスだけど顔はフツーだよな!
アイク「!!!褒めれてねぇよ!!」
メタナイト「なんだ今の発言は!?」
どうやら性格まで変わってるっぽいな
マリオ「アイクの中身を知ってるから記憶は引継か」
ピット「それだといろいろ矛盾しない?」
リンク「うっせーな。オレがどう在ろうが、オレの勝手だろーが!」
アイク「本当に口の悪ィガキだな!大人のほうがまだマシだったぞ!」
いや、あれはまた別の意味で口が悪い
マルス「昔のリンクってこんなだったの?ゼルダ姫」
ゼルダ「・・・そうですね。大体6~8歳頃でしょうか」
この後のリンクに何があってあんなカチカチ野郎になったんだ
リンク「それよりこの服をなんとかしてくれ。だぶだぶで歩きにくいんだよ」
小学生サイズの服あるか?
リュカ「なーい」
ナナ「防寒服しかないわ」
それはそれで考えものだな
フィジー「そういや・・・お古でちょうどいいのがあったかも」
おっ、じゃあそれ引っ張りだしてこい

 

「「きゃあああああ~~!!」」
10年前のガチな小学校の女制服兼スカートを着たリンクに、女性陣が黄色い声を上げた
リンク「ふざけんな!なんで女物の制服なんか着なくちゃならねーんだよ!」
それしかねーもん
リンク「これじゃあ完璧なショタじゃねぇか!オレは嫌だぞ!」
フィジー「そぅ・・・あなたに似合うと思ったんだけど・・・」
本当に悲しそうな顔になったので
リンク「ぉ・・・おふう」
あ、大人しくなった
アイク「年上(年下だけど)の女に弱いとか、もうリンクじゃねえ!」
昔と今で違いすぎだ
マリオ「過去に何があったんだ?ゼルダ姫」
ゼルダ「はい、子どもリンクを調教してあそこまで仕上げました☆」
ポポ「子どもリンク・・・」
トゥーン「調教・・・?」
リュカ「・・・ましたぁ☆?」
チョーキョーとかさらっと言うな!
ゼルダ「あら。リンクの驚異的な身体能力も精神力も、ある意味では私のおかげなのよ?」
ガイアナ「監獄に入れたりしたのか」
ゼルダ「えぇ、あとは断食させたり、火中の物を取らせたり、あとは・・・」
ラトビア「わーーーー!!もういい!」
アイク「こいつも苦労人だったんだな・・・ちょっと同情するぜ」
ゼルダ「だからこの子は・・・鍛えられる前の、純真無垢のリンク。私に捕まらなかったら、ああには成らなかったでしょう」
遠くを見るように目を細め、リンクに手を伸ばして・・・
リンク「・・・?」
ゼルダ「あぁ・・・リンク、おいで・・・」
己の胸に抱き寄せた
リンク「むぐぅ・・・」
ネス「窒息しかけてるぞ」
・・・おいコラ、そこのバカ姫
ゼルダ「なぁに?」
リンク「~~!~~~!!!」
リンクが苦しんでるだろオが
ゼルダ「そんなことないわ。私の胸に挟まれて嬉しそう。ウフフッ」
フィジー「・・・」ギンッ!
フィジーが、闘牛でも睨み殺せるんじゃないかというくらいガンを垂れた。・・・なんでだ?
ラトビア「Hey、パス!!」
ゼルダ姫からパス・・・っつーか、無理矢理もぎ取った
ラトビア「こんなおいしいイベントを黙って見ていられようものか!」
リンク「あぁ?」
ラトビア「ボク、かーわいいー!!何歳でちゅか?ん?ミルク飲みまちゅか?出ないけど」
なんで赤ちゃん言葉なんだよ!
リンク「うるせぇ!小せえからってバカにすんな!」
ノーガードの顔面に右腕のストレートを放った
ラトビア「む。ほら、高い高ーい!!」
が、テンションMAXのラトビアの『高い高い攻撃』により、空を切るだけに終わった
リンク「く・・・!」
ピーチ「次は私にください!」
サムス「よ、良ければ私にも・・・」
フィジー「・・・」
リンク「俺を玩具みたいに扱うんじゃねぇよ!あぁ・・・!」
大人の女性に囲まれ、動こうにも動けない
その後、延々と女性の輪にキャッキャウフフされ・・・
ピット「・・・リンクが盥回し状態だよ」
アイク「これはもう、一生見れないシチュエーションだろうな」
男子陣は遠目に見つめるだけだった
リンク「おい!見てるんだったら助けろよ!」
アイク「いや、俺はその女子地獄には混ざりたくない。飛び込みたいとか言う変態がいるんなら、そいつを呼べよ。スネーク」
スネーク「・・・俺が変態だって言いたいのか?」
アイク「えっ?違うのか?」
スネーク「地で驚くな!」
リンク「使い物にならねぇな・・・」
マスターが戻るまでもみくちゃにされるってのか・・・そんなのは御免だ
でも今の自分じゃあどうしようもない
リンク「あぁ・・・もう、誰でもいいから助けてよ!!」
フィジー「・・・そう、分かった。あなたの期待に応えるわ」
リンク「は?」
何を言って・・・いや、待て
そういえばコイツ・・・さっきから輪の中に入ってない!(メリカもだけど)
見落としていた突然の味方に喜ぶヒマもなく、リンクの体は宙を舞っていた
フィジーが輪の間に滑り込み、リンクを奪い、なんか、頭上に放り投げたのだ
何故に!?
リンク(いや、これは何か策があってのこと・・・!)
以心伝心。フィジーは両手で、
パンッッ!
彼女たちの目の前で柏手を打った。つまり猫騙しだ
だが、ただの猫騙しじゃない。爆音を伴った、なにかの魔術を補助につけた・・・いうなれば、強力な拍手式音爆弾だ
完全に不意討ちだったこの奇襲は、リンクに夢中だった奴らには効果絶大だったらしく
ラトビア「ひゃん!」
特に夢中になっていたラトビアなんかは背中からぶっ倒れた
フィジーの反撃はそれだけでは留まらず、最速詠唱で杖を振り、深い霧を作り出した
これが煙幕の代わりか
リンク(巧いな・・・杖の出し入れもコンマ一秒を切ってるとこか)
そしてリンクを受け止めると、霧の中に姿を溶け混ませる
最後には仕上げとばかりに、逃げ道に氷を張るという即席のマキビシを仕掛け、ホールから逃走ッ!
後ろから「うわっ!滑る滑る!きゃあ!!」のあとの尻餅音を聞き、なんとか逃れたのをフィジーの腕の中で確認する
アイク「霧だ!なんで室内に!」
メリカ「・・・・手際悪」

 

ホールを抜け、色がリンクから武術を教わった小屋の裏へ逃げ込んだ
リンク「えっと・・・助けてくれてサンキューな」
フィジー「・・・」
素直に礼を言うと、彼女は気恥ずかしそうに目を逸らした
フィジー「・・・私はただ借りを返しただけ」
リンク「借り?」
フィジー「あ、あの夜・・・助けてくれたじゃない・・・・私を」
18人目を手にかけたときのことを言っているな
リンク「逆だ。殺しかけた詫びみたいなもんかな。あれで貸し借りはチャラ。だから今回の件で一個貸しってところだよ」
フィジー「・・・」
すると、なにかを考えるように暫く顎に手を当てる
そして子どもリンクに向き直り、真剣な眼差しで見つめた
フィジー「・・・じゃあ、さっそく返してもらうわ」
リンク「え?さっき貸したばかりだろ?」
フィジー「いいの。今じゃなきゃ出来そうにないから」
リンク「・・・なにしたらいいの?」
フィジー「・・・っ」
顔を赤らめ、言いにくそうにもじもじしてる
リンク(らしくないな・・・なんかスイッチ入れちまったか。でももういい、なんでも来い!)
フィジー「ー・・・・・来て」
リンク「は?」
今なんて言った
聞き間違いであることを祈るが・・・
フィジー「なんというか、その・・・ギュッ!としたいっていうか、それより・・・ハグって言うか・・・、つまり、抱擁・・・よ・・・」
リンク「   」
三回も聞き間違えるものか
顔を伏せてブツブツ言ってるコイツ・・・フィジー・ベラルーシは、オレことリンクに首を絞められた
ついさっきも大人のオレに、殺気を呼吸同然に放っていたような奴が・・・なんで・・・
うん、その件は『子どもになったから母性本能が湧いた』ということで片づけよう、今は
それよりも先に考えなきゃいけない事が迫っているからだ
フィジー「・・・嫌ならこっちから行くけど」
だんだんとこっちに歩み寄ってくる・・・!
リンク「な!!」
リンク(は、はめられたーーーーーー!!)
ここまで助けられたのは、独り占めしたいが為!
大人なら一蹴しているところだろうが、この小さな体では逃げることも出来ない。あっ、今じゃないと出来ないってオレの問題だったのか
しかし・・・なんだ、コイツ、彼奴らと同じか
リンク「~~~!!」
もはや選択肢もない。オレは仕方なく、心底仕方なく・・・・足を、前に踏み出した
これはオレの残された大人の思考回路で機械的に判断したまでだ
前も後も女。四面楚歌の状態を突破することはおろか、前門の虎ですら処理できない
リンク「・・・早く済ませろよ。女の中はついさっき苦手になったんだ」
フィジー「分かったわ」
リンク「ッ・・・!」
そして最後は自分から、彼女の胸に飛び込んだ。恥ずかしいな、めちゃくちゃ
しなやかな手が伸び、リンクの背中を抱きしめた
あの時は振り回されてそれどころじゃなかったが、女性の胸の中は・・・慈愛に満ちた温もりがある
すぐ隣にあるフィジーの顔を横目で見た
耳までピンクに染まり、目を瞑って・・・幸せそうな顔をしてら
リンク(あー・・・これじゃあまるで恋人じゃねぇか)
いや、年齢的にはギリギリ親子・・・ダメだな、姉弟か
そういえば・・・
初めて会ったときより、ずいぶんと人間味が生まれてきた。じゃない、明るみに出てきた、が正しい
本当はあんな物静かな性格じゃない。鉄面皮で心ごと覆って、殺人者の形を成しているだけだ。その証拠は、今のこの状況だ
あの事件さえ起きなければ、殺人鬼にならずに、地の性格・・・気の強い人間として生きていただろう
それを無理に押し込めて今までずっと耐えてきたが、最近になって抑えきれず、少しずつ出していってるわけか
オレに似てるな・・・
・・・ん?待てよ。こいつの人間らしさが露わになるのって・・・人前ではなくないか?
気が強くてツンツンする一面や、動揺して大泣きしたときも、今のようにデレているときも・・・いつも二人きりだったぞ
リンク(コイツ・・・まさかオレのこと・・・)
・・・いや、それこそまさかだ。考えの行き過ぎだ
でも、彼女の顔を見つめていると・・・どうしてか、先を問い質すことは出来なかった

 

その後
オレは腕からの脱出を試みたが酷いことに、ちっとも早く済ませてくれず。締めつけられ抱かれ続けの時間を、数十分かそれぐらい味わわされた
それぐらい、というのは、時間の感覚が狂っていたからだ
元は気の強い女だけあって、内が出たら大胆だな。加えてオレを焦らせたのは・・・Bだ
強く押されると子どものオレでも分かる、顔面になんか柔らかい物がくっつくのだ
オレが離そうとふんばると、もっと強く押し付けてくるから質が悪い。気付いてないのかわざとやってるのかもよく分からないし
だから、ふんばらずくっつきすぎずの絶妙な間合いを保持し続ける、という余計な精神力を消耗した。たぶん脂汗が額を流れたと思う
さらに、フィジーの長く垂れ下がった髪から、レモンような甘酸っぱい香りが漂ってくるのだ
溜まったもんじゃない!オレは何度か息を止めた
しばらくしてようやく満足したのか、胸中地獄から解放され、
・・・・どうしようか
フィジー「・・・」
なんか申し訳なさそうにしてる。約束を破ったからだ。ホント、マジでぇ
リンク「・・・取り合えずマスターの様子を見に行く。こんな格好じゃいられない」
フィジー「私はその姿、好きだけど・・・」
リンク「知るか。冗談じゃない。このままお前の抱き枕になってろってか?」
フィジー「・・・・ぅん」
リンク「・・・」
こいつ・・・・子どものオレは弱いから、内をさらけまくってデレッデレだな。どんだけ母性本能に目覚めてんだ

 

リンク「おいマスター!出来上がりそうか?」
フィジーを連れてマスターの部屋を訪ねた
マスター「おう。大体20歳くらい年をとる薬、もうすぐ完成だ」
リンク「っしゃーー!!これで元に戻れる!」
思わずガッツポーズ
マスター「でも、今ここで戻すわけにはいかないぞ」
リンク「え?なんでだよ」
マスター「・・・まずは、だふだぶの服に着替えてこい。その間に完成させておく」

 

リンク「なぁ・・・オレの服、ホールに置いてきちまったんだけど」
フィジー「・・・」
リンク「取りにいってくんねえかな。ほら、オレが行ったらまたてんやわんやだし・・・」
フィジー「私はそのままがいいと思う」
リンク「・・・やっぱりそうきたか」
がっくりとうなだれた。オレ単身だと、取り戻せるかどうかも分からないし、むざむざ盥回しにされに行くようなものだ
頼れるのはこいつしかいないのに。ここは意を決して・・・
リンク「また貸し作ってやるから!」
フィジー「え・・・じゃあ、もう一度」
リンク「い、今はダメだ。元の年に戻ってから何か借りを返してやる。だから行ってくれ!」
フィジー「・・・」
雷さんの家の窓を割ったのび太のように、頭を下げた。なんだそりゃ
大人だったら絶対できないだろうな。素直にものを頼めるのは、子供になって初めての長所だった
フィジー「・・・」
彼女は黙ったまま、リンクをひょいと持ち上げ・・・
すっぽりと腕の中に収めた
これは・・・合意、という意志表明だな
フィジー「・・・あなたのお姫様に力は及ばないかもしれないけれど」
リンク「大丈夫。お前ならゼルダでもやれる」
フィジー「・・・!」
・・・何か刺激するようなこと言ったか?本当、女という生き物は解らん
彼女はリンクを抱いたまま、服の在処へと向かった
リンク(ゼルダ、か・・・子どもだと忠誠心もへったくれもねぇな)

 

ホールでは、なかなか終わらない飾り付けを再開していた
アイク「クリスマスの準備を放り出しやがって彼奴ら・・・」
メタナイト「結果的にそうなっただけかと思うが」
入り口付近に女性陣(メリカ・ナナを除く)が仁王立ちしてる分、入るに入れないだろ
アイク「彼奴らもサボッてるのか・・・」
そのとき。入り口の扉が開いた
メリカ「あっ、帰ってきたわよ」
アイク「え・・・?まさか闘る気か!?」
フィジー「・・・」
今となっては敵のゼルダ姫が、先陣を切って口を開いた
ゼルダ「リンクが大人しく腕に収まってるってことは・・・何かご褒美でも与えたのね?」
フィジー「さぁ・・・どうだったか」
ゼルダ姫の眼光を物ともせず、リンクを足元に下ろす。そして長い髪を掻き上げ、前に立ちふさがる四人をなめるように見回した
その目が・・・据わっている
リンク(こ、怖ェ!!)
たとえ大人だったとしても、怖じ気ずいて逃げ出してしまいたくなる面貌だ。さっきまでのギャップも含めて
それは万人共通だったらしく、遠巻きに観ている男性陣も震え上がっている。それを間近で耐えているのだから、子どもにしては見上げた根性だ。さすがリンク。拮抗状態のサムスでさえ視線を逸らせたのに
だが・・・
ゼルダ「ふん・・・魅了の魔術でも使ったのね」
ゼルダ姫には効いていない
フィジー「・・・あんたは騙せないと思ってた」
ゼルダ「杖を出した素振りはなかったはずだけど。どうやったのか、とても興味深いわ」
フィジー「・・・魔術は身体の何倍よりも、感情の起伏によって左右されやすいんだってね。この子のおかげで、私も目醒めたわ。さっきの最速詠唱、そして・・・」
彼女の周りを光の粒が舞った。ダイヤモンドダストだ
フィジー「脳内で魔術を唱える『既済詠唱』。相手に悟られることのない、かつ杖の使用を無視出来る最強の魔術形態」
ガイアナ「な・・・!?」
同じ魔術を使用するガイアナが目を見張った
アイク「なんだ。既済詠唱とやらはそんなにすごいのか?」
ガイアナ「・・・あぁ。かなり上級の魔術士が使ってる。騎士団にも数人いるかいないかぐらいさ。なんの仕草もないから相手には超能力みたいに見える。これを修得した者は、魔術士から魔法使いに名前が変わるんだ」
アイク「超能力ときたか・・・」
終点にも2人くらいいるな
フィジー「・・・」
空気が次第に冷えていき、息が白くなってきた
頭の中で呪文を唱えているんだろうが、見ている側からはただ在るだけで周囲が凍てついているようだ
ゼルダ「・・・どうやら尋常な相手ではないようですね」
リンク「なぁ・・・やめろよ、いい加減。服さえ取り戻せたらいいだけだし。闘う必要なんか」
フィジー「絶対にダメよ。あんな奴等にあなたは渡せない。私が独占してあげるから」
はっきり言いやがった
ゼルダ「リンクはテメェの物じゃないわよ?むしろ主である私の物。それくらいアナタも知ってるでしょ?」
・・・・・ダメだ!前半の二人称を聞き流そうと思ったけど!今なんて言ったんだこの姫さんは!
フィジー「・・・ふんっ、地位だけをありがたがる箱入り娘が。知らないでしょう。リンクはね、私を選んだのよ」
ゼルダ「なっ・・・!」
リンク「えぇ!?」
魂の抜け落ちそうなゼルダ姫の反応を見て・・・口元を釣り上げた。これも怖ェ!
フィジー「前門の虎・後門の狼軍団でね。リンクは前門・・・私の胸に抱かれるほうが良かったみたいよ?」
ゼルダ「な、な、ななな・・・ー!」
はい、そんなつもりはまったくもって金輪際これっぽっちもありません。魅了の魔法を見破ったのに、頭が沸いて騙されちゃいかんよ
しかしなんだ・・・闘う乙女、何にでも自分の有益にして有利な立場に立とうとするな・・・
ゼルダ「は、破廉恥な!あなた、抜け駆けしてから彼に何をしたの!」
フィジー「・・・教えてほしい?お姫様は自分の騎士をどう思ってるのかな?身分の違いを主張する割には、まさか・・・」
ゼルダ「・・・ッ!」
涙目の彼女のディンの炎を始めとし、ついに魔術戦が繰り広げられた。サムスたちの入る一切の隙もなく
リンク(あー。目の前でやるのか・・・頼む、オレの服のために争わないでくれ・・・!)
彼は気付いていなかった
これはただ、リンクの服を奪い合う戦いではないことを




一頻り魔術と魔法が交錯した後
ゼルダ「・・・やるわね・・・私と肩を並べるなんて・・・」
フィジー「・・・」
息を切らし、疲れはてている感じだ
フィジー「これで互角、か・・・あっそう。私、まだまだ切り札があるんだけれど・・・」
ゼルダ「そ・・・それくらい私にもあるわ!」
負けず嫌いのゼルダ姫が食い下がった。それを見計らい
フィジー「いえ、無理に作ろうとしないでいいから、うん。私と同等に立つ必要なんかないです。彼のことなら私に全任せで」
ゼルダ「ッ・・・!ぅ・・・」
図星だったことが彼女の胸を抉った
あ、ヤバい、泣く
ゼルダ「うわあああぁぁぁぁぁー・・・!」
フィジーのキッツイ一言が止めとなり、ゼルダ姫は上を向いてボロボロと涙をこぼした
アイク「あぁー!俺はこういうのが嫌いなんだよ!」
とうとう見るに耐えかねた男性陣がやってきて場を収める
斯くいうフィジーは、リンクの服を持ってくると、
フィジー「さぁ、行きましょ」
リンク「・・・」
何事もなかったかのように、オレに微笑みかけた
リンク(女って・・・怖いんだな)
ゼルダ姫改め、自分の殺しかけた女にそう再認識させられた

 

再びマスターの部屋を訪ねると、
マスター「・・・何かあったみたいだな」
リンク「知ってたのか」
マスター「まぁ、あのまま易々と終わるはずはないからな」
フィジー「・・・。それで完成したの?大体20歳くらい年をとる薬は」
マスター「ああ。これでたぶん大丈夫だ。飲め」
マスターの前には、変な液体の入った瓶がある
リンク「・・・これを飲むのか」
まるでスライムを食べるみたいだな
フィジー「嫌なら飲まなくてもいいわよ」
リンク「いいや!オレは飲む!」
瓶を乱暴に取って掴むと、ごくごくと一気に飲み干した
リンク「・・・ぺぇ!不味!ぅげえ!」
マスター「・・・あれってそんなに不味い物なのか」
フィジー「飲んでないの?」
マスター「だって年とっちまうかもしれないだろ?」
フィジー「・・・変わらないと思うけど」
つーか、どうやって飲むんだろう
そうこうしているうちに、リンクの身体は光を放ち始めた
フィジー「ど、どう考えても不可解な現象・・・!」
リンク「うあああああぁぁ!」
あの時よりも可愛らしい声を上げ、彼の体は見る間に成長していった
フィジー「そうだわ。念のために聞いておくけど、子どもに戻ってた間の記憶はどうなるの?」
マスター「は?もちろん引継だけど」
フィジー「・・・え?」
マスター「まさかなくなると思ってたのか?」
フィジー「・・・!」
ヤバい
子どもだったから出来たことだろうが、大人になって思い出してみろ
女性に盥回しにされたこととか、ゼルダ姫を泣かせたこととか・・・
私が抱いたこととか!
リンク「・・・・・ん。いや、待て・・・頭の整理が追い付かないぞ」
私が個別分析したところ、
ラトビアたちに対しては全か半殺し
ゼルダ姫に対しては慰めたあとに土下座、か自殺
私に対しては・・・ちょっと、分からないな
リンクの顔色は平然としているが・・・
リンク「・・・フィジー・ベラルーシ」
フィジー「は、はい?」
リンク「お前には確か、一個貸しだったな。今回は見逃してやる」
フィジー「・・・」
・・・どうやら命の保障は出来たようだ
リンク「さて、俺は一仕事終えてこようか。子どもの俺は厄介な事を残してくれたな・・・」
ドアに掛ける手が震えている。何れかの出来事に動揺しているようだ
そんな彼を無言で見届け、私はなにかと探りを入れた
あれは・・・たぶん、ゼルダ姫が泣いたのに何もしなかったことに対して、だろう。そうだ。そうに違いない
マスター「お前・・・逃げなくてもいいのか?」
フィジー「なんで」
マスター「泣かせたんだろ、リンクの主を。彼奴は命令一つあればやってくるぞ」
フィジー「・・・」
確かにマズいな。ここは決死の覚悟で逃げるべきだ
でも、私は動かなかった
マスター「・・・立ち向かうつもりか?やめておけよ」
フィジー「違うの。私はリンクを信じるわ」
マスター「はぁ?」
彼は襲ってこない。それは、さっき彼自身が言ったことだ
騎士の誓いは破れない、だっけ?
そう彼に教わったような気がするから・・・




あとでこっそりホールを覗いてみると
ゼルダ姫の命令を背中で受けるリンクに 皆が口を開けていた


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