基本データ
元ネタ
- 第2次世界大戦中イタリア軍兵士に一般的に支給された糧食の一つ。
牛ないし豚の塩漬け肉の缶詰であり、缶詰に「AM」(Amministrazione Militare:「軍事支給」の略)とプリントされていたため一般的にAM缶と呼称される。- 米軍においては1937年に発売された「スパム」がこれに近い立ち位置となっており、後述の兵士から不評であった点も似通っている。
- 特に北アフリカでの戦いにおいてイタリア軍は苦戦を強いられ、糧食もまともな支給がないためひたすらこれを食べ続けることになり非常に不評だった。
ドイツアフリカ軍団の上陸により状況は一時好転するが、そのドイツ軍も「砂漠の高温多湿環境ではカビるから」という理由でパンやチーズが支給されず、
更に砂漠地帯では満足な薪などの燃料が確保できないため火を使った調理も難しいことから、
もっぱら缶詰食品に頼ることになり、イタリア軍ともども日々の食事にうんざりしながらの行軍であった。
せめてもの気晴らしにと両軍で度々食料の交換会が開かれたものの、AM缶のまずさはドイツ人も辟易するほどで、
両軍の間ではいつしかAMは『死んだロバ』(Asino Morto)の略だとか、『死んだアラブ人』(Arabo Morto)の人肉だとか噂が立った。
ドイツ側はもっとひどいことに『ムッソリーニの尻』(Arsch Mussorini)の肉と呼んでいたという。 - そんな彼らの楽しみはたまに勝ったときにイギリス軍の倉庫に入っていた缶詰だったそうな。
- なおイタリア軍の糧食で唯一奪い合いになるほど美味なものがあった。
それはチョコレートフィリングを挟んだビスケットサンドで、若年兵士の間では特に奪い合いが絶えなかったという。