No293 U1206/元ネタ解説

Last-modified: 2021-07-22 (木) 15:31:21
所属Kriegsmarine
艦種・艦型VII C型潜水艦
正式名称U 1206
Unterseeboot Tausend zwei hundert sechs?(タウゼント ツヴァイ フンダート ゼクス? 1000+2x100+6)
起工日1943.6.12
進水日1943.12.30
就役日(竣工日)1944.4.16
除籍日(除籍理由)不明(1945.4.14沈没)
全長(身長)66.5m
基準排水量(体重)761英t(773.2t)
出力浮上時:MAN製6気筒ディーゼルエンジン2基2軸 3200PS(3156.2shp)
潜水時:Allgemeine Elektricitats-Gesellschaft製電気モーター2基2軸 750PS(739.7shp)
最高速度水上:17.6kt(32.59km/h) 水中:7.6kt(14.07km/h)
航続距離水上:12.0kt(22.22km/h)/6500海里(12038km)
水中:4.0kt(7.41km/h)/80海里(148.16km)
乗員指揮官4名 乗組員40~56名
装備(建造時)8.8cm45口径SK C/35単装砲1門
2cmC/30機関砲x1
53.3cm魚雷発射管5門(艦首:4門 艦尾:1門)
装甲なし
建造所Schichau-Werke, Danzig
(F.シーチャウ社 旧ドイツ国ダンツィヒ州ダンツィヒ 現ポーランド共和国ポモージェ県グダニスク市)
  • U-1206はドイツ海軍の潜水艦としては最多となる655隻が建造されたⅦC型潜水艦の一隻。
    1943年12月に進水、44年3月に就役した後、シュノーケルの後付などが行われ、取扱訓練などで1年近く費やした。
  • 1945年3月28日、移動を兼ねてキールからノルウェーに向けて訓練哨戒に出発。30日にノルウェーのホルテン海軍基地へ到着。
    その後4月2日に日帰りの航海訓練を行うと、4月6日、晴れて初の実戦任務としてノルウェーのクリスチャンサンから出港していった。
  • 1945年4月14日、哨戒任務中乗員の一人がトイレの取り扱いを間違えて(海水流入弁が壊れた可能性もある)大量の海水が船内に流入した。
    ⅦC型は構造上トイレの真下に蓄電池室があり、トイレから漏れた海水が蓄電池にかかって塩素ガスを発生させ、船内が大混乱に陥ったため、
    緊急浮上して塩素ガスの排気を行おうとしたところイギリス軍哨戒艇に発見され、攻撃を受けた。
    この攻撃により1名が死亡、3名が海に投げ出され行方不明となり、艦長は機密保持のためU-1206を自沈させて残り46人は捕虜となった。
  • そのあまりにもあんまりな末路として一部では有名な艦である。
    一部書籍では「最も不名誉な沈み方をしたUボート」などと紹介されている。

小ネタ

  • 潜水艦のトイレは一般的に水洗式だが、海水を流入させて流し、汚水タンクに貯め、一定量が溜まったらエンジンの排気を利用したブローで船外に排出する。
    この構造上深く潜行していると高い水圧で海水が大量に流入し弁が壊れるおそれがあるのでドイツでは潜航中は基本使用禁止だった。
    また船外への排出時にはトイレ側の元栓を締めないと汚水が逆流してくる。
  • 日本海軍はこの操作ミスを防止するため、海水流入弁を「ナ」、汚水タンクに水が入った分の空気を抜く排気弁を「ガ」、便器の排水弁を「シ」と名付け、
    用をたす時は「ナ」「ガ」「シ」弁を開放すること、トイレ掃除当番などで汚水タンクから排水する時は「ナ」「ガ」「シ」をすべて閉めたのを確認したら、
    エンジン排気を利用した高圧空気弁「ハ」と汚水タンクの船外排水弁「イ」、つまり「ハ」「イ」弁を開くこと、という非常に洒落たマニュアルが付いていた。
  • Ⅶ型潜水艦は本来ドイツの近海哨戒用で遠洋航海を想定していない小型潜水艦だが、開戦時はまだ大型潜水艦の数が不足していたため多くが遠方にも駆り出された。
    このため船内に2箇所あるトイレのうち、調理場に近いトイレはたいてい食料品庫にされていたという。
    中破絵で食料品がばらまかれてるのはそこに由来する。(つまり、座っている艤装は…)