イギリスにおける選挙の流れ

Last-modified: 2009-10-06 (火) 12:30:11

◆イギリスの選挙!!

あまり日本では知られてませんが、イギリスの総選挙は5月5日の第一木曜日に総選挙があります。
国政選挙地方選挙(県も市町村も)原則としてこの日になってます。
「国民の選挙離れが問題なっている」日本とは違い、イギリスは「政党はもちろん一般市民までも 熱い選挙戦を繰り広げています。
イギリスの選挙の特徴は「政党本位・政策本位」の選挙戦が展開される点にある。

◆選挙の日程

「1972年地方自治法(Local Government Act 1972)」に基づき、原則として5月の第1木曜日が投票日とされている。 なお、議員の任期は4年であるが、改選方法は自治体によって4年に1度全議員を改選する場合と、 4年に3度議員を3分の1ずつ改選する場合4年に2度、半分ずつを改選する場合の3パターンとに分かれているため、 地方選挙の実施規模は毎年異なる。

◆イギリスの政党

●労働党・・・・・・・・<与党>社会民主主義政党として労働者の生活の向上を唱え、失業保険の充実、 社会保障制度の整備などに努めてる党。二大政党の一つ。
2009年9月ゴードン・ブラウンが党首を務める。
●保守党・・・・・・・・<野党>正式名称が「保守統一党」と言う。・・・が、 この名称はスコットランド・北アイルランド以外ではあまり使用されず一般的には「保守党」と呼ばれる。 イギリスの二大政党の一つである。
<野党>自由主義の思想をもつ政党。
2009年9月デビット・キャメロンが党首を努める。
●自由民主党・・・・・ 2009年9月ニック・クレッグが党首を努める。
●イギリス独立党・・欧州懐疑主義を掲げるイギリスの保守政党。
2009年9月ナイジェル・ファリッジが党首を努める。
*欧州懐疑主義→ヨーロッパの統合過程に対して反発する理念や思想。

 

◎スコットランド国民党・グレートブリテン島北部と周囲の島々で構成さるスコットランドの地域政党。イギリス議会にも進出している。 日本語名としてはスコットランド民族党とも訳される。
2009年9月アレック・サモンドが党首を務める。


イギリスの選挙運動 日本の選挙運動
●イギリスの選挙では日本のような顔写真のポスターは少ない。 ●街角の立て看板にニコ(^V^)やかに笑った候補者の顔が並びます。
●候補者が選挙カーに乗り拡声器で支持を訴えたりすると、 騒音で有権者に不快感を与える結果になりかねないので ありません。●日本の選挙とば、選挙カーが街中を走り回ります。 候補者の名前を連呼し、車中から白い手袋が振られ、人が集まる場所では 拡声器のボリュームをいっぱいに上げた街頭演説が行われます。 日本の選挙で重要なことはどれだけたくさんの人と握手して、 選挙カーで選挙区を回って、知名度をあげるかにかかっているといえます。
●支持者の庭先や家の窓に政党のポスターが貼られることも ありますが、日本ほど多くないです。●庭先や家の窓などに政党のポスターがある。
●イギリスでは、国政レベルだけでなく地方レベルでも政党を 中心とした選挙戦が繰り広げられるので、田舎の地域を除いて、 無所属候補者が選挙で勝つことは非常に困難です!! 有権者は候補者個人を見るのではなく、所属政党とその政策を 見るからです。 無所属で出馬したとしても、「誰、それ?政党に所属してないので 政策も分からん」となってしまいます。●日本では、政党よりも候補者本人を重視するので国政選挙において 無所属で当選することもイギリスほど難しくありません。 全国各地で無党派知事も誕生し・どの政党も支持しない無党派層が 多数を占めるようになってきてます。
●イギリスの候補者達が何に力を入れているかといえば、 それは政策論争で自分の所属政党が発表する公約を掲げて 相手候補者と討論し、各家庭を戸別訪問して公約の ダイジェスト版(チラシ)を配って支持を訴える。

◆イギリスの選挙風景

イギリス人が重視するのは候補者の所属政党やその政策であって、候補者個人の人柄や利益誘導をする力ではありません。 イギリスでは、国政レベルだけでなく地方レベルでも政党を中心とした選挙戦が繰り広げられます。 田舎の地域を除いて、無所属候補者が選挙で勝つことは非常に困難です。有権者は候補者個人を見るのではなく、 所属政党とその政策を見るからです。無所属で出馬したとしても、「誰、それ?政党に所属してないので政策も分からん」となってしまいます。
なのでイギリスの候補者は所属政党ををアピールする討論に力を入れます。 各候補者が討論において主張の拠り所にしているのが各党の「マニフェスト」で、選挙が始まると 各政党(候補者)が→まず選挙公約集であるマニフェストの発表を行います。(投票日の約1ヶ月前くらいに各党が発表する) 討論会でも常にこのマニフェストが軸となり、各党の政策の批評合戦が行われます。

◆イギリス選挙の選挙資金額

イギリスの選挙の一番すごいところは選挙費用の少なさです。イギリスの選挙は清潔でお金がかからなく、 ほとんど選挙違反がありません。イギリスも100年前までは選挙時には飲ませ食わせの大騒ぎだったそうですが、 これが問題だということで、19世紀の後半に選挙区での活動資金の制限を厳しく定める政治腐敗防止法が生まれました。 各候補者の選挙費用の上限は、選挙区の有権者数によって変わりますが、概ね100万円~200万円です。
但し、イギリスでは各選挙区の候補者による支出は規制されていますが、政党本部が用いる選挙費用については制限がなく、 政党は大量の資金を新聞広告や政党幹部の遊説に投入することができます。この結果、候補者が選挙区で自己の魅力を アピールするよりも、政党が前面に出た選挙戦になるのです。イギリスの候補者は、選挙活動を政党から支援されているため、 政党の拘束は強くなります。
日本では選挙費用の上限が定められておらず、県議会議員に当選するには3,000万円~5,000万円、 県知事に当選するには7,000万円~1億円近く選挙資金が必要とも言われています。

◆マスコミの選挙の取り扱い

イギリスで地方選挙について報道する媒体は、公共放送であるBBC、「ガーディアン」や「タイムズ」といった高級新聞紙に限られています。 イギリス人の多くはそのような高級紙は読まず、王室スキャンダルや女性の裸の写真を載せている「サン」や「デイリー・ミラー」などの タブロイド紙を読んでいるので、地方選を報道しないそれらの新聞購読者は興味を示さないままに地方選挙は終わります。 ただ、タブロイド紙も国政選挙についてはマニフェストの内容を比較するなど熱心に報道します。その結果、イギリスの地方選挙の投票率は20%半ば~30%半ばという散々たるもので国政選挙は大体70%台の投票率になります。


<選挙権>
18歳以上のイギリス市民、イギリス連邦市民、アイルランド共和国市民およびEU諸国の市民で、 一定の欠格条項(刑務所に服役中の者など)に該当せず、当該自治体に選挙人登録を行った者に投票権が与えられる。
<被選挙権>
18歳以上のイギリス市民、イギリス連邦市民、アイルランド共和国およびEU市民の内、立候補前の12ヶ月間選挙区内の 住民であることなど、一定の要件を満たした者が被選挙権を有する。
<投票制度>
イギリスの地方選挙(北アイルランド以外(注1))では、「先着順当選制度(First Past the Post)」という投票制度が採用されている。 これは、1つの選挙区において、過半数に達しなかったり、得票率が50%に満たなかったりしたとしても、相対的最多数を獲得した 候補者が当選するシステムで、小選挙区以外の2、3人という議員定数を擁する複数選挙区の場合は、有権者は当該議員定数と 同様の投票数を有する。
(注1)北アイルランドでは、「単記移譲式投票制度(SingleTransferable Vote)」という投票方法が採られている。 これは、有権者が候補者に優先順位をつけていき、その順位を基に当選者の確定を行っていく制度。