政党助成法・政党交付金とは

Last-modified: 2009-10-06 (火) 12:33:21

◆政党助成法とはどんな法律??

政党助成法は、議会制民主政治における政党の機能の重要性にかんがみ、国が政党に対し政党交付金による助成を行うこととし、このために必要な「政党の要件」、「政党の届出」、その他「政党交付金の交付に関する手続」を定めるとともに、その使途の報告その他必要な措置を講ずることにより「政党の政治活動の健全な発達の促進及びその公明と公正の確保を図り、もって民主政治の健全な発展に寄与すること」を法律の目的として定めています(政党助成法1条)。

◆政党交付金はすべての政党に交付されるのですか??また、その額はどのくらいですか??

(1) 政党交付金の交付される政党 政党交付金は、次のア~ウの要件を満たしている政党が総務大臣に届け出をし、請求することによって交付されます。
ア 政党交付金の交付の対象となる政党(政党助成法2条) 政党交付金の交付の対象となる政党は、政治団体のうち1及び2のいずれかに該当するものとなっています。
1-衆議院議員又は参議院議員を5人以上有する政治団体 2-衆議院議員又は参議院議員を有し、かつ次のいずれかの選挙において全国を通じた得票数が2%以上である政治団体
(一) 前回の衆議院議員総選挙の小選挙区選挙及び比例代表選挙
(二) 前回又は前々回の参議院議員通常選挙の選挙区選挙及び比例代表選挙
なお、他の政党に所属している衆議院議員又は参議院議員が所属している政治団体については、政党助成の対象となりません(政党助成法2条2項)。
イ 政党交付金の交付を受ける政党の届出(政党助成法5条)
①政党の届出 政党交付金を受けようとする政党は、毎年1月1日(基準日)現在における政党の名称及び略称、主たる事務所の所在地、代表者、会計責任者及び会計責任者の職務代行者の氏名等、会計監査を行うべき者の氏名、所属国会議員の氏名など必要事項を記載した「政党届」を、基準日の翌日から15日以内に総務大臣に届け出る必要があります。なお、届出にあたっては、政党助成法施行規則1条で定める様式(第1号様式)を郵便によることなく文書で提出することになっています。また、この文書には、規約等の文書や国会議員の承諾書等(第2号様式)を添付することになっています。
<政党助成法5条で定める届出事項>
<1>名称(略称を用いる場合は、名称及び略称)
<2>主たる事務所の所在地
<3>代表者・会計責任者・会計責任者の職務代行者の氏名・住所・生年月日・選任年月日
<4>会計監査を行うべき者の氏名・住所・生年月日・選任年月日
<5>所属国会議員の氏名・住所・公職の種類・選挙区・選挙の期日・選挙時の所属
<6>選挙の得票数前回の衆議院議員総選挙並びに前回及び前々回の参議院議員通常選挙における当該政党の得票総数
<7>支部の届出
支部の数、その名称、主たる事務所の所在地及び代表者・会計責任者・会計責任者の職務代行者の氏名・住所
<8>その他総務省令で定める事項政治資金規正法の政治団体となった年月日等
<9>政党助成法5条2項による提出文書
1-綱領等の目的や基本政策等を記載した文書
2-党則・規約その他の当該政党の組織、管理運営等に関する事項を記載した文書
3-承諾書及び宣誓書(第2号様式)
4-その他総務省令で定める事項を記載した文書(基準日現在における予算書等)
②衆議院選挙又は衆議院選挙が行われた時の届出(政党助成法6条1項)衆議院議員選挙又は参議院議員選挙が行われたときには、政党は改めて政党届を選挙基準日の翌日から15日以内に提出しなければなりません。
この届出により、政党交付金を受けられる政党要件の確認と交付金の再算定をします。
③届出事項の異動届(政党助成法5条3項)
政党が政党でなくなった場合等を除き、1.及び2.により届け出た事項又はこれらに添付された書類に異動があった場合には、異動の日から7日以内に、異動に係る事項等(第3号様式)を総務大臣に届け出なければなりません。
ウ 法人格を取得している政党
政党助成法は、「法人格を有する政党に対して政党交付金を交付する」(政党助成法3条1項)と規定しています。従って、上記ア及びイの要件を満たす政党が、政党交付金の交付を受けるときには、その登記簿の謄本又は抄本を請求書に添付する必要があります(政党助成法11条2項 )。 (注)政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律4条により、(1)の要件を満たす政党は、中央選挙管理会(以下「総務省」という。)に届出をし、その確認を受け、主たる事務所の所在地で登記することにより法人となることができます。
(2) 政党交付金として交付される額
政党交付金の総額は、基準日(原則として1月1日)の直近における国勢調査の人口に250円を乗じた額を基準として予算で定められます(政党助成法7条1項)。  また、政党交付金総額は、議員数割及び得票数割により交付され、それぞれ2分の1に相当する額とされています(政党助成法3条2項、同7条2項)。  平成 20年分政党交付金の交付額(実績額)は、次のとおりです。

	1 自由民主党		158億4263万8千円
	2 民主党		118億7848万9千円
	3 公明党		27億3072万9千円
	4 社会民主党		9億 229万5千円
	5 国民新党		3億8395万5千円
	6 新党日本		2億 388万9千円
	計		319億4199万5千円
	注:日本共産党は、交付対象の政党ではあるが届出は有りません。

◆政党交付金を受けた場合の会計処理及び報告はどのようにしますか?

政党交付金を受けた政党及び過去に受けていた政党で基金の残額のある政党のそれぞれの会計責任者は、政党交付金に係る会計帳簿(政治資金規正法9条に規定する会計帳簿とは別の帳簿です。)を備え、その帳簿に記載するとともに12月31日現在で、その年の政党交付金の収支について、翌年3月末までに報告書として総務大臣に提出しなければなりません(政党助成法15~18条)。
(1) 政党交付金の会計帳簿(政党助成法15条、16条)
その年に政党交付金を受けた「政党」及びその政党から支部政党交付金を受けた「政党支部」の会計責任者は、その受けた交付金について、政党交付金の収支に係る「政党交付金(支部政党交付金)収入簿」、「政党交付金(支部政党交付金)による支出簿」及び「政党基金(支部基金)簿」(いずれも7号様式)を備え、その帳簿に記載することが義務づけられています。また、その年に政党交付金を受けていない政党(政党支部)であっても、政党基金(支部基金)に残額が有る限りは、会計帳簿を備え、記帳をしなければなりません。
(2) 政党交付金の報告書(政党助成法17条)
政党の会計責任者は、12月31日現在で、その年における政党交付金の使途等を記載した報告書(第8号様式)を、その年の12月31日の翌日(1月1日)から3か月以内(この間に総選挙又は通常選挙があった場合には4か月以内)に、監査意見書、監査報告書及び当該政党の支部から提出を受けた支部報告書等を添えて、総務省に提出しなければなりません。
(3) 使途報告が必要な支部とその提出先(政党助成法18条1、2項)
次の1~3の政党支部の会計責任者は、報告書(使途等報告書といいます。第8号様式)及び監査意見書等を、その年の12月31日の翌日(1月1日)から2か月以内(この間に総選挙又は通常選挙があったときには3か月以内)に、当該支部政党交付金を支給した政党の本部又は支部の会計責任者に提出しなければなりません。 1-支部政党交付金の支給を受けた支部 2-支部政党交付金による支出をした支部 3-12月31日現在において、支部政党交付金を積み立てた支部基金の残高を有する支部 また、政党支部の会計責任者は、支部交付金の交付を受けた本部又は支部に「使途等報告書」を提出したときは、当該本部又は支部に提出した日の翌日から7日以内に都選挙管理委員会へ2組(1組は支部の控えとなります。)提出してください(政党助成法18条3項)。この場合、添付書類は監査意見書のみで、領収書の写しは必要ありません。

◆政党助成金を受けた政党(政党支部)が解散したときの報告はどのようにしますか?

政党が解散し、若しくは目的の変更等により政治団体でなくなり、又は政党交付金の対象となる政党の要件を満たさなくなったときは、その政党の代表者であった者は、原則としてその翌日から15日以内に総務大臣に解散等届(第14号様式)を提出します(政党助成法21条)。  また、これらの政党が政党交付金を受けていたとき、又は基金の残額があったとき、その会計責任者であった者は、解散した日現在若しくは政党でなくなった日現在で記載した報告書、支部報告書及び監査意見書等を、その事実が生じた日から30日以内(政党助成法施行規則31条)に提出することになります(政党助成法28条)。  この場合、当該政党の支部で、政党交付金の支出を受けていた支部及び政党支部基金の残額があった支部の会計責任者であった者は、同様に支部報告書(使途等報告書)をその事実が生じてから15日以内に当該政党の本部に提出しなければならず、本部へ提出した日の翌日から7日以内に同様の報告書を都選挙管理委員会へ2組提出します(政党助成法29条、同施行規則32条)。

◆政党が提出した書類は見ることができますか?

政党助成法に基づき届出された政党及び政党支部の関係書類については、政党交付金の使途を広く国民の前に明らかにし、国民の批判と監視のもとに置くことにより使途の適正を図る目的から次のように公表されています。
(1) 各届出書・報告書等の公表政党助成法5条4項、10条4項、13条、21条2項、31条、32条等)
政党から提出された「政党届」、「届出事項の異動届」、「解散等届」について官報で告示するとともに、「政党交付金の使途の報告書」についても報告書、支部報告   書及び総括文書を受理したときは、官報にこれらの要旨が公表されます。
(2) 届出書・報告書等の閲覧(政党助成法32条)
政党から提出された届出書・報告書等は、総務省で告示をした日から5年間保存され、この間は広く国民の閲覧に供されています。従って、この期間内であれば誰でも閲覧の申請を行い見ることができます。 また、都選挙管理委員会においても、都内の政党支部から提出された支部報告書及び支部総括文書等は、総務省が公表した日から5年間保存され、総務省と同様、閲覧の請求があれば誰でも自由に見ることができます。

◆政党交付金の使途は制限されますか??

政党助成法は、「政党の政治活動の自由を尊重し、政党交付金の交付にあたっては、条件を付し又はその使途について制限してはならない(政党助成法4条1項)。」と規定しています。  一方、交付を受ける政党には、公的助成の趣旨に反すると批判を招くことのないように、「政党交付金が国民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、その責任を自覚し、その組織及び運営については民主的かつ公平なものとするとともに、国民の信頼にもとることのないように、政党交付金を適切に使用しなければならない(政党助成法4条2項)。」と規定しています。  このように政党交付金の使途については、制限をしていません。しかし、政党の組織状況については政党の届出により明らかにされ、政党交付金の使途の適否については政党交付金の使途の報告を公表することにより、実際の使途を国民の前に明らかにし、国民の批判と監視の下に使途の適正を図ろうとしています。