シナリオの構造
TRPGは物語的な構造を持っているため、シナリオにも物語としての展開の起伏、いわゆる「起承転結」を明確に持つことが望ましい。
また、事前に準備するシナリオはあくまで「骨組み」程度の簡単なものに止め、細かい「肉付け」はプレイヤーと共同で行なうものと心がけると良い。
シナリオの「起」
シナリオのプロローグ、物語の導入部であり基礎知識を提示する段階。シーン制システムでは「オープニング(シーン、フェイズ)」などと呼ばれる。
探索ものであれば手がかりを得て探索に出発する場面、推理ものであれば事件に遭遇して事件の概要を知る場面、シューティング・ゲームならば操作を覚え操作に慣れる段階に相当する。
TRPGのシナリオでも同様に、ゲーム・マスターからプレイヤーへ、シナリオの基礎知識や自動的に知り得る情報を、小出しにして解説するのがセオリー。
最終的には「危険」なシナリオであっても、この段階では全く「安全」であり、そうであるべきと言える。
シナリオの「承」
シナリオの途中経過、クライマックスへ向けて徐々に物語を盛り上げる段階。シーン制システムでは「ミドル(シーン、フェイズ)」などと呼ばれる。
探索ものであれば数々の罠を突破する場面、推理ものであれば事件の手がかりを集める場面、シューティング・ゲームならば雑魚や中ボスと戦う段階に相当する。
TRPGのシナリオでは、PCが遭遇してもしなくても問題にならない複数のイベントを配置するのが普通。プレイヤーが積極的ならば、その場で解決する簡単な試練を経て、クライマックスやエピローグで有利になるヒントやアイテムなどが獲得できる。
なお、ゲーム・マスターがどんなに周到に用意したつもりでも、プレイヤーが全てのイベントを必ず全て見つけるとは限らない。そのため「必ず遭遇して欲しいイベント」は準備しない方が無難と言える。 どうしても「必ず遭遇して欲しい」イベントを準備したければ、それらは1つ、多くても2つに抑え、「迷宮の必ず通る道にイベントを配置する」「プロローグの段階では真の目標を伏せておき、このイベントを目標だと思わせる」など、必ず遭遇させる工夫が必要となる。 |
最終的には「危険」なシナリオであっても、この段階では「大したことない危険」程度であり、そうであるべきと言える。ただし、「大したことない危険」のつもりだったものが「致命的な」事故を引き起こすことも充分あり得るので、ゲーム・マスターは何らかの救済策を準備しておくのが無難だろう。
一本道シナリオ
「特定のイベント」を「特定の順番」で「必ず」遭遇すること想定したシナリオは「一本道シナリオ」と呼ばれる。ただし、「シナリオが想定するプレイヤーの行動」と「実際のプレイヤーの行動」が一致しなかったら特定のイベントに遭遇できない=シナリオの進行が止まる、特定のイベントに遭遇させるためにゲーム・マスターがPCの行動を不条理に制限する場合がある、シナリオ展開がワンパターンに陥りやすい、などの理由によりシナリオやゲーム・マスターへの評価が低くなりやすい。
シナリオの「転」
シナリオのクライマックス、物語の一番の見せ場。シーン制システムでは「クライマックス(シーン、フェイズ)」などと呼ばれる。
探索ものであれば目標を達成する最後の試練、推理ものであれば真犯人を追い詰め、シューティング・ゲームならばラスボスと対決する場面に相当する。
TRPGのシナリオでも同様に、最後にして最大の難関が待ち受けているのがセオリー。攻略法は分かっているが実行するのは難しい、しかし最終的には必ず突破できるイベントが理想。それを突破し目標達成したときの爽快感は、ある種のカタルシスであり、プレイヤーを大いに満足させることになる。
最終的に「危険」なシナリオならば、この段階が「最も危険」であり、そうであるべきと言える。PCが死ぬことも「想定された危険」のうちと言えるが、「誰も死ななかったけど、下手すれば誰か1人くらい死んでたかも」と言う状態が最も理想的。
「危険」による興奮と落胆は紙一重のもので、1人のPCの死が絶妙なバランスを崩してしまうことも、充分に起こり得る「事故」である。またプレイヤーの嗜好により、PCの死を許容する場合と許容しない場合とがあるため、ゲーム・マスターはPCの死について極めて慎重に扱うべきである。 |
シナリオの「結」
シナリオのエピローグ、クライマックスを終え後日談を語る段階。シーン制システムでは「エンディング(シーン、フェイズ)」などと呼ばれる。
探索ものであれば目標を達成した後どうなったか、推理ものであれば事件に関わった人たちのその後、シューティング・ゲームならばラスボスと対決した後の世界が語られる場面に相当する。
TRPGのシナリオでは少なくとも二通り、理想的な結末とそうでない結末とを考えておくと良い。更に複雑なシナリオならば、「ベスト・エンド」「ノーマル・エンド」「バッド・エンド」のように結末のパターンを増やしても構わない。
ゲームとしての後処理
シナリオの「結」を終えた後は、一般に「ゲームのイベントを終えた後処理」を行う。何故なら、ゲーム処理の面においてシナリオの「結」は、単なるフレーバー・テキスト(雰囲気を高めるための文章)に過ぎないからである。シーン制システムでは「アフタープレイ」などと呼ばれる。
TRPGの場合、シナリオの結末に応じて、PCにシステム上の報酬(主に経験値)が与えられる。可能ならば同時に、PCに成長の機会が与えられる場合もある。また、PCが受けたダメージは(永続的なものでない限り)全快するなど、PCを継続使用することを想定した「次回のプレイに向けた再初期化」が行われる。
キャンペーンの構造
キャンペーン、すなわち連続性を持つシナリオの場合も、基本的に「起承転結」を明確にすることが重要である。
ただしキャンペーンの場合、キャンペーン全体の起承転結の中に、シナリオ単独の起承転結を入れる入れ子構造となる。すなわち「小さな起承転結」を繰り返した上で、全体を見渡すと「大きな起承転結」になっている。こうした構造は連続もの、長編ものの漫画や小説、ドラマなどでも同様である。
キャンペーン全体の起承転結をシナリオ単位で分割した場合、最初のシナリオが「起」、最後のシナリオが「転結」、その間のシナリオが「承」となる。「承」シナリオの数はキャンペーン内容によって不特定であり、0本の場合(キャンペーン全体では最初と最後の2本のみ)もあれば、プレイヤーやゲーム・マスターが飽きるまで無限に続く場合もある。
なお、シナリオ間の関連性を強めるため、キャンペーンの最終シナリオ以外では、後続のシナリオの伏線が張られたり、登場したNPCが再登場したり、と言った手法もよく採られる。
シナリオ要素
人物
味方NPC
- 支援者
- PCの活動を、異なる立場から支援するNPC。プレイヤーに有利になる様々な要因を与える役割を持つ。
- 指導者
- PCを指導する立場にあるNPC。プレイヤーにヒントやアイテムなどを与えると同時に、プレイヤーに行動を催促したり強制したりする役割を持つ。
- 仕事の上司や仲介業者、師匠など。
- 知恵袋
- PCほどの活動能力を持たない、頭脳労働専門のNPC。プレイヤーにヒントや警告を与える役割を持つ。
- 学者や情報屋、村の長老など。
- 技術者
- PCほどの活動能力を持たない、技術提供専門のNPC。プレイヤーに有利なアイテムを与える役割を持つ。
- 発明家、科学者、研究者など。
- スポンサー
- PCほどの活動能力を持たない、資金提供専門のNPC。ただし資金提供者が「資金を提供するだけ」であることは稀で、多くの場合、資金提供の代償に指導者として機能する。また、活動資金と同時にアイテムを与える場合も少なくない。
- PCが所属している組織そのもの、パトロンなど。
- 同行者
- PCと共に活動するNPC。プレイヤーに欠けているものを補う役割を持つ。
- 保護者
- PCより高い活動能力を持つNPC。全般的にPCより優れる。総合的な支援者、主に指導者として機能する。
- ゲーム進行を誘導しやすくなる反面、PCの活躍の場(≒プレイヤーの楽しみ)を非常に奪いやすい。通常は、PCの活動に干渉せず、一定の条件下でのみ活動する。
- 実技試験の試験監督など。
- 助っ人
- PCと同等の活動能力を持つNPC。状況に応じて支援者としての各特性を使い分け、間接的に総合的な支援者として機能する。
- ゲーム進行を誘導しやすくなる反面、PCの活躍の場(≒プレイヤーの楽しみ)を奪いやすいが、PCとかぶらない活動能力を持たせればPCとの棲み分けも可能。
- PCとしても使用可能なNPCなど。
- 有能な部下
- PCより低い活動能力を持つNPC。全般的にPCより劣るが、それなりに有能。一定の条件下のみでPCより優れていたり、特定の分野でのみ支援者として機能する場合もある。
- 軍師、護衛など。
- 足手まとい
- PCに保護される対象となる、ゲーム的な活動能力がないに等しいNPC。PCは見捨てることができない理由を持つ(与えられる)ことになり、PCの弱点となる役割を持つ。
- 小さな子供や脆弱可憐なお姫様など。
- ミニ支援者
- 単なる守られ役ではなく、同時に支援者として機能するNPC。
- 臆病で賢い子供(注意力や観察力に優れ知恵袋として機能する)、預言者など。
- 負傷した同行者
- 本来ならばPCと同等以上の能力を持っているが、負傷や病気、濡れ衣などの理由で一時的に活動能力を失っている支援者/同行者NPC。
- 無能な部下
- 本来ならばPCを補助するべき立場にありながら、活動能力が低すぎて、逆にPCの足を引っ張るNPC。
- 無能なVIP
- 本人に全くゲーム的な活動能力はないが、本人や近親者がPCに直接的・間接的に多大な影響力を持つ、世間知らずで我侭で迷惑な善人NPC。
- 自身を有能と思い込んでいるが実は無能なお坊ちゃん勇者、極端に我侭な大金持ちのお嬢様など。
中立NPC
- 組織権力者
- 社会的に広範囲かつ多大な影響力を持つNPC。多くの場合、内部でランク分けされている。PCが特定の組織に属している場合もあり、その場合はPCは低ランクに位置し、高ランクのNPCが支援者としても機能することになる。
- 政治組織
- 国家や地方自治体、議会や政党など。地域や規模によって縦横の関連性を持つ。社会全体を運営する位置にあるため、影響力は非常に大きい。
- 代表的な個人には、村長や領主、貴族や国王、議員や大臣など。
- 治安組織
- 警備隊、警察や軍隊など。地域や規模によって縦横の関連性を持つ。社会の(支配者が望む)秩序を維持する役割を持つため、影響力は大きい。
- 宗教組織
- 宗教活動に従事する者の組織。地域や規模によって縦横の関連性を持つ。また同一の宗教内にも派閥(宗派)が存在する。宗教思想は社会一般の生活や精神の指針・支柱となるため、影響力は非常に大きい。ただし一般に、同一の宗教であれば宗派を越えて影響力を持つが、完全に異なる宗教の信者には必ずしも影響力を持つとは限らない。
- 代表的な個人には、神父や司祭や法王、神官や巫王、神主や巫女や法師など。
- ゲーム内で宗教対立を再現することは、ゲームの娯楽性を失わせる恐れが強いため、多くのTRPGでは宗教を世界唯一で多神教とし、異なる宗派を「仕える神の選択肢」として提供している。
- 犯罪組織
- ギャング、マフィア、ヤクザなど。地域や規模によって縦横の関連性を持つ。ただしゲーム内とは言え、PCが犯罪組織に所属するのは推奨されない。
- 職業組合
- いわゆる「ギルド」。地域や規模によって縦横の関連性を持つ。職業ごとに存在し、一般に異なる職業の職業組合には影響力を持たないが、「似た」職業や「関連性のある」職業には影響力を持つ場合もある。
- なおPCが「悪用が容易な技術」の持ち主である場合、犯罪組織ではなく「その手の技術者の職業組合」に属することが推奨される。
- 営利組織
- いわゆる「会社」。会社の規模と地域への密着度に基づく、社会的影響力を持つ。
- 有識者
- その社会の一般人より高度な、学問的知識を持つNPC。同じ知識を持つ者への影響力は低いが、無知であることを自覚している一般人に対しては、その知識に関連する影響力が高い。
- 一般人への教育程度が高い(≒文字の読み書きが普及している)文化では専門的な知識の持ち主が、そうでない場合は比較的広範な知識の持ち主も「有識者」と認識されやすい。
敵対NPC
- やられ役
- PCが優れていることを象徴するための雑魚NPC。
- 通りすがりのチンピラや、悪の組織の下っ端戦闘員など。
- 小悪党
- 強い雑魚NPC。強いが所詮は雑魚。矮小な計画では首謀者を務めることもある。
- ストーカー
- PCからは相手にされていない、PCに一方的な執着心を抱くNPC。
- 変人・狂人
- 常識的に考えると理解しがたい性格のNPC。悪事を純粋に「良い事」と思っていたり、価値観が非常に狭量であったりする。
- 賢い変人・狂人
- 変人・狂人のヴァリエーションだが、頭脳が優れているため非常に厄介な相手。
- マッド・サイエンティストなど。
- 好敵手
- PCとの立場の違いから敵対しているだけで、立場が同じなら味方になり得るNPC。多くの場合、PCと実力伯仲している。
- 悪の幹部
- 大きな組織の中間管理職。PCと同等以上の実力を持つ。
- 悪の親玉
- 大きな組織の統率者、首謀者。PC以上の実力を持つ。
- 黒幕
- 表向きは敵対していない、あるいは敵対していても重要視されていないNPC。強さは様々で、単に知恵者である場合もあれば、超人的な強さを誇る場合もある。ただし一面的にはPC以上の実力を持つことが多い。正面から立ち向かうだけでは倒せないほど強い場合もある。
- 真の敵、ラスボス。
- 用心棒
- 思想は中立だが、敵対NPCに雇われているため敵対している戦闘用NPC。強さは様々で、雑魚もPC以上の実力の持ち主もあり得る。
- ボディガード、傭兵など。
- 妨害する善人
- 本人に悪意はないものの、思慮が浅い、騙されている、誤解しているなどの理由でPCを妨害する善人NPC。味方NPCや中立NPCであっても妨害者になり得、善人であるため暴力などの単純な方法では排除できず、厄介な存在と言える。強さは大抵の場合雑魚レベルだが、超人的な強さを誇る場合もあり、一概には言えない。
敵でも味方でもあるNPC
- ライバル
- 普段は敵対しているが、PCの能力や人格を(一方的に、あるいはお互いに)認めているNPC。PCを屈服させる存在は自分だけであり、PCが自分以外に負けないよう、PCの味方として行動する場合がある。
- スパイ
- 表向きは味方NPC、または中立NPCとして行動するが、実は敵対NPC。
- 二重スパイ(裏切り者のスパイ)
- 味方NPC、あるいは中立NPCとして行動する敵対NPCだが、実際には味方NPCまたは中立NPCとして行動する。
- 裏切り者
- 立場上は敵対NPCだが、実際には味方NPCまたは中立NPCとして行動する。
- 敵対NPCが心変わりする場合と、実は味方NPCあるいは中立NPCから派遣されたスパイと言う場合がある。
背景
シナリオの舞台
- ダンジョン・アドベンチャー dungeon adventure
閉空間を舞台にしたシナリオ。この場合の「ダンジョン」は、原義の「地下牢」ではなく、(敵対的)障害が多数配置された閉空間を示す。
一般に、閉空間の一角にシナリオ目標が配置され、配置された(敵対的)障害を突破する行動がシナリオのメインとなる。なお、閉空間そのものが障害のひとつと言える。 - シティ・アドベンチャー city adventure
都市を舞台にしたシナリオ。この場合の「シティ」は、必ずしも大都市ではなく、(中立的な立場にある)知的生命体が複数生活する一定地域、すなわち集落全般を示す。
一般に、シナリオ目標に関連する情報を収集し、それらの情報を分析して、シナリオ目標を達成する数少ない手段や隠された真のシナリオ目標を推測することがシナリオのメインとなる。 - オープンフィールド/ウィルダネス・アドベンチャー openfield/wilderness adventure
屋外、特に自然に満ちた野外を舞台にしたシナリオ。ダンジョン・アドベンチャーやシティ・アドベンチャーの対義語で、両者に当てはまらないシナリオを示す。
シナリオの内容
- ハック・アンド・スラッシュ hack-and-slash
敵との戦闘を主軸とするタイプのシナリオ。 - ダンジョン・アタック dungeon attack
ダンジョンを舞台とし、PCのルール的能力(戦闘能力や特殊技能など)を活用して、目的を達成するタイプのシナリオ。
戦闘だけではなく、罠の回避などプレイヤーの知恵や工夫を必要とする点が、ハック・アンド・スラッシュとは異なる。 - レース race
PCの競争者となるNPCと、目的達成の速さを競うタイプのシナリオ。 - リドル riddle
PCの能力を問わず、プレイヤーが謎を解くタイプのシナリオ。 - ホラー horror
擬似恐怖体験をするタイプのシナリオ。
ストーリー要素
ゲームマスターのリソース参照。
「起」の要素
シナリオの導入
- 依頼型
NPCが何らかの行動をPCに依頼するタイプのシナリオ。
多くのTRPGでは、PCは一般人NPCより問題解決能力に優れており、背景世界によっては問題解決そのものが稼業、生業として成り立っているとされる(いわゆるファンタジー系TRPGの「冒険者」)。- 依頼強制型
PCが依頼を断りづらい状況で、NPCが行動をPCに依頼するタイプのシナリオ。依頼を断りづらい状況には、脅迫、取引と言ったものがある。例えば、脅迫には「言うことを聞かないと家族や恋人を殺す」など、取引には「言うとおりにすれば借金を帳消しにする」などがある。
- 依頼強制型
- 誘導型
PCが自発的に問題ある状況に介入するよう、誘導するタイプのシナリオ。
行動に明確な目的を持っているPC、あるいは(特定の状況下において)親切心を発揮するPCに対して、動機となる状況を提示し問題解決の義務感を抱かせる手法をとる。例えば、目的には「世界を脅かす悪と人知れず戦っている」など、性格には「困っている女性を助けずにはいられない」などがある。 - 発起型
プレイヤーの性格を踏まえたうえで「演じるPCが自発的に介入すると予想される」状況を提示するタイプのシナリオ。誘導型を、プレイヤーに合わせてカスタマイズしたもの。
強制力が最も弱い反面、状況に介入するかどうかは個々のプレイヤーに依存するため、互いの信頼関係が構築されていない参加者同士では、導入に失敗する可能性が高い。
- 発起型
- 巻き込まれ型
PCが状況を把握していない、あるいはPCが関わりたくないと考えているのに、PCを(強引に)関係者にしてしまうタイプのシナリオ。例えば、「PCが酒場で泥酔し、翌朝目覚めると同じ部屋に死体が横たわっていた」「PCが渦中の人物と人違いされた」などがある。 - 一者択一型
PCがシナリオ開始時点で置かれている状況では、取り得る行動にほとんど選択の余地がないシナリオ。例えば、「落とし穴から地下迷宮に落とされた」「乗船した船が難破して無人島に流れ着いた」などがある。 - ホット・スタート hot start
一者択一型の中でも、何らかの騒動がすでに起こっている状態、いわゆる「アクション・シーン」の真っ最中から始まるシナリオ。例えば、「依頼を受けて怪物退治をすることになり、問題の怪物と遭遇したところからゲームを始める」などがある。
- ホット・スタート hot start
- 複合型
各種の導入パターンを二種類以上複合したもの。例えば、「PCが渦中の人物と人違いされ(巻き込まれ型)、問題が解決するまでその人物の身代わりになるよう頼まれる(依頼型)」などがある。
シナリオの目的
- 目標物
- 敵対NPC
- 中立NPC
- 味方NPC
- アイテム
- 情報
- 手段となる行動
- 阻止
敵対NPCの活動や悪しき影響力を持つアイテムの利用などを、一時的に、あるいは永久に阻止する。
例えば「怪物退治」「盗賊の逮捕・捕縛」「爆弾の解体」など。- 護衛
目標物に対する敵対NPCの活動や悪しき影響力を持つアイテムの利用などを阻止する。
- 護衛
- 確認
与えられた未確認情報を確認する。
多くの場合、シナリオの「本当の目的」を隠すために用いられる。 - 発見
自力で情報収集し、与えられた目標物を発見する。 - 到着
指定された場所へ移動する。
- 阻止
- 複合型
各種の目的パターンを二種類以上複合したもの。- 護送
護衛と到着の複合。 - 入手/救出
確認あるいは発見と、護送(護衛+到着)を複合したもの。
- 護送
シナリオ情報の信頼性
- NPCの信頼性が高く、情報の信頼性も保障されている
- NPCの信頼性は高いが、情報への信頼性は不明
- NPCの信頼性が不明
- 信頼性の高いNPCの例
- 社会的地位が高く、それなりに知名度がある。
- 信頼性の高い組織に所属している。ただしNPC個人を完全に信頼できる保障はない。
- 無学で他人を疑うことを知らない。幼い子供や朴訥な田舎者など。
「承」の要素
補助道具
- 筆記用具
何らかの数値をメモしたり、シナリオの伏線をクリアしたかどうかチェックしたり、言葉では解説しづらい視覚情報を即興で準備するために用いる。 - ハンドアウト handout
配布資料。TRPGの場合は、プレイヤーに見せることを前提としたシナリオ情報を記録した資料であり、シナリオの内容に合わせてゲーム・マスターが事前に準備しておくもの。
昨今では、「シナリオの進行を円滑にするため、キャラクター作成指針を記述した資料」の意味で使われることが多い。 - 視覚資料
- イラスト
- 立体模型(フィギュア、フロアタイルなど)
シナリオの進行
- 逐次対応
TRPGにおける一般的なシナリオの進行方法。具体的には以下のようなもの。- ゲーム・マスターがPC観点からの状況を説明する。多くは口頭による説明だが、図や立体模型(フィギュア、フロアタイルなど)を用いる場合もある。
- ゲーム・マスターが解説した状況に応じて、プレイヤー全員がPCの行動を宣言する。一般に「プレイヤーが宣言していない行動は、PCに行動能力があっても行動していない」ものと見なされる。
- プレイヤーが宣言した行動について、ゲーム・マスターが結果を逐次判断し、必要ならばルールに基づいた判定処理を行う。
- ゲーム・マスターがPC観点から、PCの行動結果を説明する。
- 以上の手順を繰り返す。
- 進行単位
- ターン制
一定のゲーム内時間を単位(ターン、ラウンド)として、シナリオを進行させる進行方法。一般に、ゲームの参加者全員に、順に行動選択の機会が回ってくる。- エンカウンター制
シナリオ進行中、戦闘行動のみターン制として扱う進行方法。
- エンカウンター制
- シーン制
シナリオの進行を舞台劇のように扱う進行方法。具体的には、舞台劇の幕(第一幕、第二幕、……の幕)のようにシナリオを場面ごとに区切って単位(シーン)とし、PCの1人をそのシーンの「主役」として進行する。そのシーンの主役でないPCは、ルールで規定された方法で自主的に登場しなければシナリオに介入できない。 - リアルタイム制
ゲーム内の時間進行を、現実時間に基づいて扱う進行方法。TRPGではルールに基づいた各種処理を行う手間があるため、ゲーム内時間と現実時間を完全に一致させるシステムはほとんどないが、プレイヤーの適度な緊張を保つため現実時間に基づいた時間制限を取り入れたシステムやシナリオは、全く存在しないわけではない。
- ターン制
- ルールによるシナリオ進行規定
- 非ルール化進行システム
旧来型の進行方法。シナリオの進行を規定するルールがなく、行為判定とセッション終了時の処理を規定しただけのもの。 - セッション支援システム
シナリオの進行を円滑に行うため、シナリオの進行方法をルール化したシステム。
- 非ルール化進行システム
イベント
イベントは、障害と援助をワンセットで配置すると、バランスが取れ適度な緊張感を保ちやすくなる。
- 障害
- 敵対NPCとの遭遇
- 視認しやすい障害
扉や番人など、PCが存在を確認しやすい障害。 - 視認しにくい障害
いわゆる罠、トラップ。
- 援助
- 味方NPCとの遭遇
- アイテムの入手
- 情報の入手
情報の提供は、味方NPCやアイテムの他、壁の落書き、死体の外傷など、様々なパターンがある。- 味方NPCの情報
- アイテムの情報
- 敵対NPCの情報
- 罠の情報
「転」の要素
シナリオのラスボス
シナリオの、最後にして最大の障害を準備する。多くのTRPG、多くのシナリオは、敵対NPCを最大の障害とする。
- ラスボスの能力
- 前衛型
PCとの近接戦闘を行うタイプ。知能は概して低い。 - 後衛型/無能型
PCとの近接戦闘を避けるタイプ。近接戦闘能力が低いため、単独で現れることは少ない。 - 万能型
前衛としての能力も後衛としての能力も高いタイプ。攻略難易度が高い。
- 前衛型
- 敵の数
- ラスボス単独
複数のPCと戦うため、攻略難易度を高めに設定すると良い。 - ラスボスと雑魚
雑魚でPCを消耗させるため、その分ラスボスの攻略難易度は低めに。 - ラスボスと幹部と雑魚
- ラスボス単独