タイトル : 「君と僕」
著者名 : 湯たんぽ
ジャンル : 悲劇の出産
本文 :
君の顔を見るだけで満たされていた
声を聞くだけで幸せだった
ただ君に逢いたくて
僕は道を急いだ
君はいつも楽しそうに笑っていて
そんな君といる僕も
自然と笑みがこぼれてた
君と僕は恋人なんかじゃなかったけれど
君と一緒に居られればそれだけでよかった
でもあの日、全てが変わった
君の声はいつもより明るくて
とても幸せそうだった
何があったのかな、と思っていると
君は愛しそうにお腹を見つめ
子供ができたの、と言った
僕はなんとか祝福しようとしたけれど
伝えられなかった気持ちが邪魔をして
何も言うことができなかった
全てがどこか遠くで起こっていることのようで
僕はただ静かに
パソコンの電源を落とした