a day (2)

Last-modified: 2020-06-29 (月) 08:51:25

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566 名前: a day 10 投稿日: 2003/08/09(土) 03:53 [ pAYnCG52 ]
>>557より



「ヒニャァァ・・・パァパ・・・イタイノ ヤダヨオ・・・・」
懇願するベビぃを無言のままバスタブの中に放り込む。
隠れられないのに、ベビぃは隅の方で小さく丸まりながらまだ震えていた。
「ん?寒いのかい?じゃあ少し温度を上げてあげるね」
温度ダイヤルを60℃にセットした。
途端に湯気がもうもうとバスルームに立ち込め出した。
何かを感じ取ったのだろう、ベビぃが声も無く頭を振ってイヤイヤの表現をする。
「アニャ、アニャ アニャァァ・・・」
「寒いんだろ?大丈夫。丁度いいぐらいの熱さだよ、ホラっ!」
シャワーのお湯を勢い良く浴びせた。
「ギィニャァァァァァァァァ――――――――ッッッ!!!」
この世の者とは思えない叫び声を上げながら、
ベビぃは狭いバスタブの中を気が狂ったかのようにグルグルと廻りだした。
しかし足元がお湯で濡れているので、何度も滑って転んでしまう。
ジタバタもがいている隙に、シャワーのお湯を掛けてやった。
「ヂギャッ!!ヂギャァァ――――ッ!!」
お湯がベビぃの体にダイレクトにヒットすると、一層大きな声で叫びを上げた。
「おいおい、はしゃぎ過ぎだぞ、ベビぃ」

それを一分程繰り返した頃だろうか、『オナガイダカラ モウヤメテクダサイ』とでも言いたげな悲痛な表情で
バスタブの底からこちらを見上げていた。
「もういいのかい?気持ち良かったか?」
シャワーを止め、笑顔でベビぃを掴み上げた。
良く見るとベビぃの体の毛が、所々禿げになっている。
剥き出しになった肌は真っ赤になっていて、爛れる寸前のようだ。
「ありゃ?ちょっと熱かったかな?でもキレイになったねえ」
頭を撫でてやろうと手を伸ばしたら、ビクっと頭を引っ込めた。
どうやら躾は成功のようだ。

「よし、キレイになったし御飯にするか」
ベビぃは御飯という言葉に反応したらしく、口元に無理やり媚びるような笑みを浮かべて
「・・・マン・・マ・・・・ベビィ オナカ チュイタ・・・・・・・」
と小さく呟いた。

567 名前: a day 11 投稿日: 2003/08/09(土) 03:54 [ pAYnCG52 ]
『美味い。鳥の唐揚げは最高だ。』

夕飯の前に躾と部屋の片付けを終らせた為、一層御飯が美味しく感じられる。
スペアに取っておいた食器があって良かった。
炊飯ジャーから直接御飯を食べる訳にはいかないし。
唐揚げを頬張りながら、チラとベビぃの方を見た。
ベビぃは真ん丸い目を一杯に広げながらこちらを見ている。
 
 ア ク リ ル ケ ー ス の 中 か ら。

以前、金魚を飼っていた時に使っていたモノだ。それを引っくり返しベビぃを閉じ込めた。
上にはDVDプレーヤーとビデオデッキを重石代わりに載せてある。
さすがにいくら暴れようと、ベビぃの力では重石付きのアクリルケースは動かせなかった。
勿論窒息させる気はないので、空気穴は先に空けておいた。
「ベビぃ、やっぱり唐揚げさんは美味しいねぇ」
箸で摘んだ唐揚げをベビぃの顔の前まで持って来てやる。
その唐揚げを取ろうと両手でアクリルケースの壁を引っ掻いていた。
空気穴に唐揚げを近付ける。これで唐揚げの芳醇な香りがケースの中に入っていく筈だ。
「アニャッ!?チィ!チィッ!チィッ!!」
ベビぃが一層悲壮な泣き声を上げる。
空気穴はベビぃの背より高い処に開けてある。
先程のシャワータイムで相当体力が削がれている筈だったが、ベビぃは空気穴に向かって必死に何度もジャンプした。
「おお。運動会か、ベビぃ。そーれジャンプ、ジャンプ♪」
「マンマァ!マンマァ!」
涙を一杯に溜め、涎を垂らしながら絶対に掴めない唐揚げに向かってジャンプするベビぃの姿は
愉快を通り越してシュールでもあった。

 正に  ベ ビ ぃ 必 死 だ な 。

568 名前: a day 12 投稿日: 2003/08/09(土) 03:55 [ pAYnCG52 ]
そろそろフィニッシュにしよう。
ベビぃがジャンプした瞬間、唐揚げを口に放り込んだ。ベビぃに思い切り見せ付けるように。
その光景を間近で見たベビぃは尻から着地して、くらくらと起き上がり呆然とこちらを眺めていた。
両手をケースの壁に付き、憔悴しきったような目をしながら。
喉の奥で笑い声をかみ殺しながら言う。
「ウソウソ。ベビぃにもちゃんと唐揚げさんあげるからね」
「アニャ!ホント?・・・・ハヤクゥ・・・カラアゲサン・・・・・」
ギュルルルル。
ベビぃのお腹の虫が鳴ったのがはっきりと聞こえた。

後ろの皿に首を向け、ワザとらしく大声でベビぃに決定的な一言を言ってやる。
「あれえ?ベビぃ、唐揚げさん無くなっちゃったあ。ゴメンなあ。さっきので最後だったよ」
「シャイゴ?・・・・カラアゲサ・・ン・・・・ナイノ・・・?」
「だぁかぁらぁ。さっきパパが食べたのが最後の唐揚げさんなの!もうナイナイなの!」
残った御飯を掻っ込みながら親切丁寧に説明してやった。
「ベビィノ マンマハ・・・・?マンマナイノ?ベビィ オナカチュイタヨォ・・・・・」
バチッ!
情けない声にカチンときて、持っていた箸をアクリルケースに投げ付けた。
「チィィィィッ!?」
「もうねぇって言ってんだろ!バカ野郎!」
立ち上がってベッドから毛布を持ってきて、アクリルケースに乱暴に被せた。
「アニャッ!?クライノ コアイヨ・・・」
「もう寝ろ!騒ぐんじゃねーぞ!いいな!」
「チィィィィ・・・・・」

今日の躾はこんなものでOKだろう。
いつの間にか、頭の中の靄のようなものもスッキリと晴れていた。
これでもう嘘を付いたり、部屋を無茶苦茶にする事はないだろう。
・・・・多分。
念の為、躾に関する情報を集めておくか。
パソコンの電源を入れ、某巨大掲示板の『ペット大嫌い板』にアクセスした。

569 名前: a day 13 投稿日: 2003/08/09(土) 03:56 [ pAYnCG52 ]
その次の日の朝から、ベビぃの態度は一変した。
アクリルケースから出してやった途端、ダッシュでベッドの下に逃げ込んだ。
どんなに名前を呼んでもこちらをジぃっと睨むだけで、返事もせず出てこない。
エサを置いても食べようとしない。
さすがに二食抜きは不憫に思い、エサ皿をそのままにしておいた。一匹になったら食べるだろう。
ベビぃはどうやら反抗しているようだ。これじゃまるで野良しぃじゃないか。
誰が原因でこうなったのか全く理解してないみたいだな。
昨日の躾じゃ足りなかったか。
こりゃ今夜も教育的指導だな。
溜息をつきながら出勤する事にした。

帰宅しベビぃを呼ぶ。勿論いつものお出迎えは無かった。
「やれやれ・・・・今日は大丈夫かな」
静かにリビングのドアを開く。ベビぃの姿はやはり無い。
大方、ベッドの下にでも隠れているのだろう。
朝置いたエサ皿を見ると、キレイに無くなっている。
背に腹は変えられないという事か。チャッカリしたヤツだ。
ベッドの下を覗き込む。やはりそこに居た。
ビクビクと軽く震えながらこちらの様子を伺っている。
「ただいま、ベビぃ。でておいで、御飯食べよう」
なるべく優しい声で囁いてみた。ベビぃはプルプルと頭を振って拒否の態度を示している。
「どうした?お腹空いてないのかい?」
「・・イタイノ ヤーヨォ・・・・パァパ コワイモン・・・・」
「ベビぃがイイ子だったら、パパ痛い事しないよ?昨日はちょっと怒っただけだよ」
「・・・マァマガイッテタモン・・イタイコト スルノハ ギャクサツチュウダッテ」
ベビぃが自分の母親の事を口にしたのは、これが初めてだ。
「ママが?虐殺厨?ママが言ったのかい?」
「ソウダヨ!ギャクサツチュウハ イタイコト イッパイスルカラ ナカヨクシチャダメダッテ イッテタモン!」
「じゃあパパがその虐殺厨だっていうのか?」
「イタイコト スルカラ パァパハ ギャクサツチュウダヨ!ギャクサツチュウ!」
痛い事するのは虐殺厨か・・・躾のつもりだったのだが・・・・やはり親の心は子知らずなのか。
見解の相違なら仕方が無い。
いつもの靄のようなものが頭の中に広がっていくのを感じた。

570 名前: a day 14 投稿日: 2003/08/09(土) 03:57 [ pAYnCG52 ]
ゆっくり立ち上がると部屋の隅に立掛けてある掃除機を手に取った。
ヘッド部分を取り外し、掃除機のノズルをベッドの下に差し込む。
「アニャ?オソージ?」
「そうさ、お掃除するんだよ」
掃除機のコードをコンセントに差し込みながら言った。

「お 前 を な」

パワーを最強にセットして電源を入れた。
ズボボボォッ!
しっかりとした手応えを感じた。一気にノズルを引き寄せた。
予想通り、ノズルの先にはベビぃが吸い寄せられている。
しかもノズルの中に今にも吸い込まれんとしている部分は、あろうことかベビぃの顔だった。
「ボォ%sk6&'!@*ガガ?л<Ф入リ#Ю↑☆?!φъゲsだH‘z國d????!」
息が出来ないらしい。ノズルの中で何か喚いているが掃除機の機械音で生憎聞こえない。
必死にノズルの先に爪を立てて抵抗するが、プラスチックに軽い傷が付くだけで無駄な事だ。
「アハハ、掃除機さんとチュウか。楽しそうだねぇ」
ノズルを野球のピッチャーよろしく振り投げる。
ボズッ!
掃除機のノズルから解放されたベビぃが心地よい音を立て、正面の壁に激突した。
「アギュッ!!」
叫び声を一つ上げ、そのまま床にズルズルと崩れ落ちていった。
掃除機のスイッチを切り、胸ポケットからタバコを一本掴み出す。
それにライターで火を点け、一服する事にした。
タバコを吸いながら、うつ伏せに倒れたままのベビぃを眺める。
しばらくベビぃはピクピクと痙攣をしていたが、タバコを半分吸った頃には動かなくなっていた。

571 名前: a day 15 投稿日: 2003/08/09(土) 03:58 [ pAYnCG52 ]
倒れたままのベビぃにそっと近づく。
「嘘はいけないと教えただろ?」
吸い掛けのタバコをベビぃの尻に押し付けた。
「!?ギュヂイイィィィィィ――――ッ!!」
タンパク質が焦げる嫌な臭いと共にベビぃは飛び上がって泣き叫ぶ。
「ミギュウ!・・イチャイヨゥ!イチャイヨゥ!オチリガ オチリガァ!!」
ゴロゴロと床に転がって火傷の痛みを紛らそうとしている。
「イチャイ!イチャイ!タチュケテッ・・・・」
転がり回るベビぃの細い右足を踏みつけた。
「アギュゥ・・・・」
「静かにしろ。なんでお前はイイ子に出来ないんだ?」
「ハナチテ!パァパナンテ ダイキライ!アッチイッチャエ!ギャクサツチュウ!!」
「!」
瞬間、ベビぃを踏み付けている足に力を込めた。全力で。
「アギャ――――――――ッ!!!」
そのあまりにも細くて脆い右足はあっけなく折れた。恐らく粉砕骨折してる筈だ。
ジョジョォォ・・ブリュブリュゥゥ
あまりの痛みに耐え切れなかったようで、ベビぃは失禁、脱糞してしまった。
「あーあ、またやっちまったか」
舌打ちしながらベビぃの脇腹を軽く蹴り上げる。全く学習しないヤツだ。
「アンヨォ・・ベビィノ アンヨガ・・・イタイヨォ・・・・」
「お前がパパの言う事を聞かないワルイ子だからだぞ」
ベビぃは息も絶え絶えにその場から逃げようと、折れた右足を庇うようにズルズルと匍匐前進を始めた。
ブツブツと呟きながら。
「・・・ツチュ・・・サツチュウ・・・・ギャクサツチュウ・・ニゲナキャ・・・」
まだ言うか、このバカが。
屈み込んでベビぃの耳を掴み、引っ張り上げた。
「アギャッ!オミミ オミミ! イチャイヨゥ!」
「なぁ、ベビぃ。パパは虐殺厨なんかじゃないよ。これはね、躾っていうんだ」
「・・・チガウヨゥ・・ギャクサツチュウダヨゥ・・・・」
「本当さ。パパもね、むかーし、パパのパパ・・・つまりおじいちゃんに躾られたんだよ?」
「・・・・アニャァ・・・オジィタン?」
「そう。パパがまだ子供のころにね・・・」


頭の中に広がっていた靄のようなものが、段々色を伴って形作られていく。
それは遠い過去の記憶だった。
木刀で何度も打ちつけられている光景。
風呂場で熱湯を掛けられている光景。
何度も蹴られ、殴られている光景。
猛吹雪の中、裸同然で家の外に放置されている光景。
足にガソリンを垂らされそれに火を点けられている光景。
それを庇う母にまで暴力の限りを尽している光景。
その母が頭から大量の血を畳の上に撒き散らしている光景。
その度に鬼のような形相で笑いながら「躾だ!躾だ!」と大声で喚いている光景。

『そうさ。これは立派な躾なんだよね?父さん』


夜は長い。躾はまだまだこれからだ。

572 名前: a day 16 投稿日: 2003/08/09(土) 03:58 [ pAYnCG52 ]
それから明け方まで『 躾 』は続いた。
『ペット大嫌い板』で収集した方法を時間の限り尽くした。
タバスコのビンの先を鋭利に切り落とし、それをベビぃの肛門に突き刺し一瓶丸ごと体内にブチ撒けた。
ベビぃは口から赤い泡をだしながら気絶する。
構わずチューブのワサビを再び肛門に突き刺し、そのまま注入。
「アギャナァァァァァ――――ッ!!」
ベビぃは一発で目覚め、頭から壁に激突し悶絶した。
次に癇癪球を口一杯に頬張らせ、マズルを両手で持ち何度も上下させる。
パン!パパン!パパパン!癇癪球が連続で破裂してゆく。
「ゴヴッ!ゴヴェッ!ッギッ!!」
口の隙間からもくもくと煙が。どくどくと血が流れてきた。

ドアの隙間にベビぃの手を挟み、思いっきり勢いよく閉めた。確実に骨が折れた。
短いシッポの先にジッポのオイルを垂らし、それに火を点ける。
先程のタバコの比ではないくらいに泣き叫んだ。
「・・・・パァパ・・・・オナガイデス・・タチュケテ・・・・イイコニナルカラ・・ナッコチテ・・・・」
ボロボロと涙を流しながら、ベビぃは力無く懇願した。
「だめだ。お前はまだワルイ子だ」
電気コードの皮膜をニッパーで毟り、銅線を剥き出しにさせながら言い放つ。
それをコンセントに差し込む。
「もっと躾が必要だからね」
ニコっと笑いながら銅線部分をベビぃの体に押し付ける。
「!・・・・・・・・ッ・・・・」
ベビぃは無言で体を激しく痙攣させ、また失禁した。
うつ伏せになったまま気絶したベビぃの体を、足でごろんと仰向けにする。
白目を向いて、口から泡を吹き、ピクピクと小さく痙攣し続けていた。
「こらこら、寝るんじゃない。起きなさい、ベビぃ」
「・・・バ・・パ・・・・ヤメ・・デェ・・・イダイ・・・イダイヨォ・・イイコ・・・・ナリュカ・・ラァ・・・」
朦朧とした意識の中、ベビぃは生きたいが為の哀願を何度も繰り返した。
工具箱から取り出した金槌をポンポンと手で弄び、その重さと感触を確かめる。
金槌を持つ右手をゆらりと振り上げた。その影がベビぃの体を隠す。
カタカタ体を震わせるベビぃと目が合った。
その目は完全な絶望を悟っているように見えた。
「・・・タ、タチュケテ・・・マァマ マァマ・・マァマァ・・・・」
「・・・・ベビぃ・・だめだよ、もう」

振り下ろした。
何度も。何度も。何度も。何度も。

頭の中の靄はやがて薄れていき、しばらくすると消えていった。






「あ、おはようございます」
次の日の朝、表で掃除をしている大家さんに会った。
「あら、おはよう。あれからどお?しぃちゃん、元気にしてる?」
「それが・・・・・夕べから姿が見えなくなっちゃって・・・」
「あらあら・・・・逃げちゃったのかしらねえ。ま、しぃってのは元々放浪癖があるけど」
大家さんは掃除の手を止め、とても残念とばかりに溜息を吐いた。
「ええ・・・早く帰ってきてくれるといいんですけど・・・」
「大丈夫、すぐ帰ってくるわよ。あんなに懐いてたんだから」
「そうですよね・・・・あ、時間だ。急がなきゃ」
「ん、いってらっしゃい。気を付けてね」
「はい。行ってきます」

三重に縛った小さなビニール袋をゴミ捨て場に放り投げ、駅へと急いだ。

573 名前: a day 投稿日: 2003/08/09(土) 04:00 [ pAYnCG52 ]

  「a day」終了しました。

  読んで下さった皆さん、どうもありがとう。

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