悪魔城ドラキュラX 血の輪廻

Last-modified: 2024-04-19 (金) 23:50:45

登録日:2021-09-22 (水) 17:11:33
更新日:2024-04-19 (金) 23:50:45
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Tag: ゲーム 悪魔城ドラキュラ PCエンジン リヒター・ベルモンド マリア・ラーネッド KONAMI 悪魔城シリーズ 名作 コナミ 何故かなかなか立たなかった項目 血の因縁は俺が断つ←断てませんでした



「私は自らの力で蘇るのではない……欲深な人間どもによって蘇るのだ」


【概要】

悪魔城ドラキュラシリーズ通算第10作目*1にして唯一PCエンジンで発売された悪魔城。
初めてCD-ROM媒体で制作され、アニメーションを使用したフルボイスのイベントシーンを採用している。

ゲームシステムは初代を踏襲しているが、制限時間や武器のパワーアップは廃止。
SFC版で採用されたジャンプで階段に飛び乗ったり降りられるシステムを続投。
新システムとして通常よりも多くハートを消費するが、より強力な攻撃が可能な「アイテムクラッシュ」を搭載した。
『悪魔城伝説』で採用されていたサブキャラクターへの交代システムをよりパワーアップし、
2人の主人公の好きな方を選択してゲームを進められるプレイヤーチェンジを採用している。ただし、2人目のキャラは条件を満たさないと使えない。

ステージ分岐も用意されており、到達するゴールによって次に進むステージが変化する。
ゲームを始める際にステージセレクトが可能で、到達したステージは好きにプレイが可能。
悪魔城の各所には攫われた女性たちが捕らえられており、何人助け出せたかでエンディングが変化するようになっている。

また、体力がゼロになったボスが死力を振り絞って強力な攻撃を仕掛けて力尽きるというのも今作の特徴。
元々はノーダメージボーナスの阻害だったのだが、演出的にもかっこよく、これでPCは死なないためファンにも好評。*2

初心者でも攻略しやすいゲームバランスに加え救済要素も多数存在するため、シリーズの中では比較的易しめで、
やりこみ要素やCD-DAを活用したBGMも人気が高く、全体的に評価の高い作品と言えるだろう。
ステージ中の演出が非常に凝っており、アニメのような親しみやすい絵柄と併せて、新たなプレイ層を獲得した作品でもある。

ちなみに今作はSUPER CD-ROM2用ソフトなのだが、CD-ROM2および旧システムカードで起動すると『あくまぢょお どらきゅら ×*3』という3Dアニメのようなドットゲーのおまけモードで遊ぶことができる。
ほかにも音楽CDプレイヤーで再生すると、おまけ警告メッセージが聴けるなど色々凝った作品である。

後に『悪魔城ドラキュラXX』のタイトルでSFCに移植されたがほぼ別物と言っていいほど内容が異なる。
キャラクターデザインが変更されており、マリアが使用不可能に。助ける女性もマリアとアネットのみとなった。
ゲーム自体もやや理不尽なほど高難易度化されており、特に常に落下死の危険があるラスボス戦は語り草。

続編として『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』がPlayStationセガサターンで発売された。
ちなみにオリジナルの『血の輪廻』は海外版未発売であったので、『月下』の海外版発売時にはちょっと首をひねられたとか……。*4
この作品以降、攻撃した敵の名前が右下に表示されたり、アイテムの説明、敵についての説明やステータスなどが表記されている図鑑などのシステムが追加されている。
同時に、通常敵やボス敵も、各地の様々な伝説や神話などからの出典が多く、種類も豊富。
ボス敵ではなくとも、巨大な体躯を持つ大型の通常敵も登場するようになった。
「ミノタウロス」などのメジャーな魔物は勿論、「チョンチョン」などといったマイナーな魔物も登場する。
中には出典が強大な存在なのに、何故か通常敵として複数登場する魔物も少なくない。

現在はPSP向けにリメイクされた『悪魔城ドラキュラ Xクロニクル』が発売されており、隠しゲームとして本作と『月下』のオリジナル版が収録されている。
また、『月下』とセットになった移植版『悪魔城ドラキュラX セレクション』がPS4で配信中。
コナミが発売したPCエンジンminiにもオリジナル版が収録されている。


【物語】

古き良き時代、人々は平和と繁栄を謳歌していたが、その裏で平和を堕落と断じる者たちが集まった。
彼らは若い女を生贄に闇の力を復活させ、堕落した世界を創世しなおそうとしていたのである。
そうして彼らによってドラキュラ伯爵と悪魔城は復活を遂げてしまった。
再びドラキュラを滅するため、そして恋人を取り戻すため新たなベルモンドの戦いが始まる。


【登場人物】

リヒター・ベルモンド(声:堀川仁(血の輪廻)、梁田清之(Xクロニクル))
シモン・ベルモンドの子孫。19歳。
正義感の強いヴァンパイア・ハンター。
ドラキュラ伯爵に攫われた恋人のアネットたちを救うためドラキュラ城を目指す。
武器はお馴染みバンパイアキラー。ジャンプボタンを連続で押すとバックフリップする。
何も持たずにアイテムクラッシュした場合、炎の鞭で攻撃する。
本作では短髪の爽やかな美青年という印象が強いが、『月下』以降は長髪で悪そうな顔つきになった。
『Xクロニクル』では両者の折衷のようなデザインとなり、性格も以降のシリーズに合わせてかストイックな印象になっている。

■マリア・ラーネッド(声:鉄炮塚葉子(血の輪廻)、石毛佐和(Xクロニクル))
ベルモンド家の遠縁の幼女。12歳。
最初は捕らえられているが助け出すとプレイヤーキャラとなる。
ピンクのロングスカートにリボンとおおよそ魔を刈るものらしからぬ格好。また年の割にスタイルがかなり良く、特に胸ははっきり「巨乳」と言い切れるほど。
しかし侮るなかれ、実は初心者救済キャラでリヒター以上の性能を持っている。マリア兵器だもん。
掟破りの2段ジャンプや四神の力を使う特殊攻撃などに加え、
隠し要素の守護霊を召喚するラッシュ攻撃を出すコマンド技が非常に強力。
彼女でクリアするとギャグマンガチックなエンディングになる。
『Xクロニクル』ではピンクの服ではあるが、まだ動きやすい服装にアレンジされている。

■アネット(声:本田あつ子(血の輪廻)、大原さやか(Xクロニクル))
リヒターの恋人。17歳。
誰にでも優しく意思の強い女性。
悪魔城に囚われている。
なお、アネット以下の女の子たちは助けても、エンディングの変化だけでゲーム的な利点は一切ない

だが…

というのはオリジナルの『血の輪廻』の話。
XXではステージ5’でアネットを救出し損ねると、ステージ6でアネットにカーミラが憑依し襲いかかってくるというトラウマ展開が待ち受けている。
これに感銘を受け、『Xクロニクル』でもステージ7でアネットを救出していないとアネットがレッサーヴァンパイアと化し襲ってくる展開となった。
こうなると助ける手段は一切ない。バッドエンド確定である。

■テラ(声:村田博美(血の輪廻)、仙台エリ(Xクロニクル))
村の教会のシスター。19歳。
おおらかな性格で情熱的。
悪魔城に囚われている。
『Xクロニクル』では助けるとネックレスがもらえ、レッドスケルトンを倒せるようになるほか、赤骨の壁を破壊できるようになる。

■イリス(声:安田亜紀江(血の輪廻)、水原英里(Xクロニクル))
医者の娘。17歳。
明るく面倒見がよい。
悪魔城に囚われている。
『Xクロニクル』では助けるとお守りがもらえ、水晶の壁を破壊できるようになる。

死神(声:?)
シリーズでお馴染みドラキュラの相棒。
今作ではOPステージにも登場し、シリーズでは珍しく白兵戦をしてきたり、その最後など何かとインパクトのある敵。

■シャフト(声:松本大(Xクロニクル))
ドラキュラ復活を企む暗黒神官。
今作におけるドラキュラの副官的存在で、ドラキュラの生け贄に捧げるべく娘たちをさらった張本人。
多くのボスに守られているほか、倒しても亡霊シャフトゴーストと化し立ちはだかる。
『血の輪廻』では良くも悪くも終盤のボスその一といった印象だったが、『月下』では重要なポジションとなっている。それを受けて『Xクロニクル』ではボイスがつき、イベントにも登場するようになった。

■ドラキュラ伯爵(声:石丸博也(血の輪廻)、若本規夫(Xクロニクル))
悪魔城の主で全ての邪悪の根源。推定800歳。
今作では若い容姿をしているが、『月下の夜想曲』の再現シーンではなぜかおっさん化した。

その実力は…!

クソ弱い
ワープを繰り返す炎を3つ飛ばすか、闇の球体を上下時間差で飛ばすだけの第一形態はシリーズの伝統もあるのでしょうがない面もあるが
巨大なコウモリのような悪魔の姿になった第2形態は弱点を常にさらしながらゆっくりぴょんぴょん跳び回りながらたまに火炎をはくだけという有様で、ここまで来たプレイヤーには物足りないことこの上ない。
『月下』ではここがそのままOPバトルにされてしまったほど。*5
リヒターで倒した場合は、悪の原因は自分ではなく人間であり、力こそ唯一の正義という理論を振りかざし、最後まで余裕を崩さず、ベルモンドの一族との再会を楽しみにしながら炎の中へと消えていった。血の因縁断ててねぇ
マリアによって破れた場合には…マリアの単純さのせいかあんまり会話が成立していない。

『Xクロニクル』では第3形態として、コウモリの翼を6枚はやした魔王にふさわしい姿の『真祖ドラキュラ』が追加された。
強力かつ複雑な行動パターンを誇り、ライフを削ると行動パターンが変化しますます強くなる。
なお、アネットを救出していない場合、シャフトがドラキュラを逃がしてしまうため、会うことができない。


【アイテム・サブウェポン】

鞭のパワーアップや連射アイテムが削除されている。

■ハート(小・大・特大)
お馴染みサブウェポンの消費リソース。
今回はアイテムクラッシュもあるので、多くのハートを持っていた方が有利。

■食べ物(大・特大)
お馴染みのうまいにく系回復アイテム。やはり壁に埋まっている。

■ロザリオ
画面内のザコを全滅させる。

■透明薬
一定時間無敵になる。

■$袋
スコアアイテムだけではない。
集めたお金でボスの戦い方のテクニックを教えてもらえる。

■1UP
文字通りの1UPアイテム。
リヒターはクリスタル型だが、マリアはリヒターの人形型。


【特殊武器】

■ナイフ
リヒター専用。前3方向に飛ぶ短剣。威力は低いが高速で飛んでいくので連射に適する。
アイテムクラッシュは前方に大量のナイフを投げまくる。

■斧
リヒター専用。空中に弧を描いて飛んでいく。アイテムクラッシュ以外では貴重な対空攻撃。
アイテムクラッシュはリヒターを中心に大量の斧が円形に飛んでいく。

■クロス
リヒター専用。一定距離を飛ぶと戻ってくるブーメラン。
アイテムクラッシュは巨大な十字架を呼び出し全体攻撃。

■懐中時計
リヒター専用。画面上の敵の動きを遅くする。
アイテムクラッシュは効果をボスにも適用させる。

■聖水
リヒター専用。投げると緑の炎が床や壁を移動していく。
アイテムクラッシュは画面全体に聖水の雨を降らせる。

■魔法の書
リヒター専用。リヒターを取り囲む防御系アイテム。
アイテムクラッシュは魔法の書がらせん状に回転しながら全体に広がる。

■ネコ(びゃーちゃん)
マリア専用。白い子猫が体当たりする。
アイテムクラッシュは白虎に乗って画面全体に体当たり攻撃。

■カメ(げんちゃん)
マリア専用。青い甲羅をかぶって無敵になるが、ほとんど移動できなくなる防御アイテム。
アイテムクラッシュは玄武を呼び出して突進攻撃。

■ドラゴン(せーちゃん)
マリア専用。子ドラゴンを呼び出して体当たりさせる。
アイテムクラッシュは巨大な青龍を呼び出して全体攻撃。

■赤い鳥(すーちゃん)
2羽の赤い鳥を左右上方向に飛ばす。
アイテムクラッシュは朱雀が炎の雨を降らせる。

■タマゴ
割れたタマゴから6羽のヒナが飛び出して攻撃する。
アイテムクラッシュは割れたタマゴから飛び出したヒナの編隊が飛んでいく。

■音楽の書
音符を飛ばして攻撃する。
アイテムクラッシュは歌と一緒に大量の音符を浮遊させ、敵の動きを遅くする。音符には常時攻撃判定がある。

■鍵
リヒター&マリア共通。特定の扉を開くためのアイテム。サブウェポン扱いで、射程は短いが威力は高い。
アイテムクラッシュはリヒターは着地するまで無敵化、マリアはハトが鍵を持って飛ぶ。


【各ステージ&ボス】

ステージ開始時に表示されるタイトルはリヒターとマリアで変化する。前者がリヒター編 / 後者がマリア編で表記。
尚、『XX』は以下のものとは構成が異なる。

●ステージ0 PROLOGUE -街道-

馬車に乗って街へ向かうオープニングステージ。
突然襲ってきた死神と戦闘するが、あくまで顔見せのためすぐに退散する。

●ステージ1 炎の晩餐 / 惨劇の故郷 -廃墟の村-

炎上する街が舞台のチュートリアルステージ。
いきなり分岐が存在するが、マリアを助けるなら普通に進んで表ゴールへ向かうことになる。
BGMはリヒターのテーマ曲というべき「乾坤の血族」。

表ボス:ワイバーン
裏ボス:サーペント

ステージ2 神よ力を与えたまえ / 神様 力をお与え下さい -悪魔城入口-

お馴染み悪魔城入口ステージ。スケルトンやカラス、ゾンビがお出迎え。
途中、巨大な牛ベヒーモスに後ろから追いかけられる。
追いかけられる途中に隠されている鍵を使えばマリアを助けられる。
表ルートではドラキュラ三大名曲と名高い歴代BGMが大幅にアレンジされて復活。2面は「Vampire Killer」。

表ボス:ウェアウルフ
裏ボス:ボーンゴーレム

ステージ2´ 正面突破 / まわり道は嫌 -湖上の橋-

壊れた橋の上を進んでいく足場が不安定なステージ。
隠しルートに行くには勇気が必要。
BGMは「Cross a Fear」。

表ボス:ウェアウルフ
裏ボス:ボーンゴーレム

ステージ3 邪悪な祈りが闇を呼ぶ / 復讐の流血王 -礼拝堂-

荘厳な礼拝堂を舞台に、パイプオルガンから始まる「血の涙 -Bloody Tears-」が美しいステージ。
ノミ男やメデューサヘッドなどの厄介な敵も多く登場する。

表ボス:ミノタウロス
裏ボス:ゲイザードゲザー

ステージ3´ 血の渇きからの解放 / 魂にやすらぎを… -墓地-

墓場や地下を舞台とするステージ。沈む足場やビッグゴーストとの戦いが待ち受ける。
BGMは「Cemetery」。不思議な響きの曲。

表ボス:ミノタウロス
裏ボス:ドゲザー

ステージ4 無数の恐怖の上に / 同胞の屍の上で -悪魔場内通路-

針山や鉄球だらけのトラップステージ。
BGMは「Beginning / 遥かなる凱旋」。

表ボス:デュラハーン
裏ボス:カミーラ&ラウラ

ステージ4´ 水魔の砦 / 最後の分岐 -山岳地帯-

タイトル通り水だらけのステージ。落ちれば一発アウトの中、急流下りなどに挑戦する。
BGMは疾走感のある「Slash」。後年のお祭り作品ではマリアのテーマとされ、何気にアレンジが多い。

表ボス:デュラハーン
裏ボス:カミーラ&ラウラ

ステージ5 悪魔は夜はばたく / 決戦の塔へ -幽霊船-

悪魔城の港に停泊している幽霊船が舞台となるステージ。
BGMは表ルートでは珍しいオリジナル「幽霊船の絵」。

ボス:死神

ステージ6 悪夢 再び / 不死の旋律 -守護者-

ボスラッシュステージ。ドラキュラが支配する化物どもが次々襲い来る。
ドラキュラを復活させ、女たちを攫った邪教を率いる闇の神官シャフトとの戦い。
BGMはボス前と同じ「Former room」。

ボス:シャフト

ステージ7 聞け 血の鎮魂歌を / 夜明けを信じて -時計塔-

悪魔城おなじみ時計塔ステージ。次々崩れる足場や歯車地帯を進んでいく。
BGMはヒロイックな伴奏の中、本ゲームで使われたドラキュラ三大名曲に加え「十字架を胸に」(未使用曲、AC1面)のフレーズが盛り込まれた「巣窟」。これまでの戦いを思い出して胸が熱くなること請け合い。
ただしXクロニクルではX68000版無印の空中廊下より「Moon Fight」に差し替えられている。原曲は人形の館までのつなぎのような扱いであり、サクサク進むと1ループ聴けないこともあった、所謂「隠れた名曲」だった。今回は実質の最終面であり大抜擢と言えよう。

ボス:シャフトゴースト

FINAL 血の輪舞 / 終焉の刻 -ドラキュラ伯爵-

ドラキュラ伯爵との最終決戦。

ステージ5´ 彷徨 / 戦慄

ゲームを1度クリアし、ステージ4の裏ルートに進むと辿り着ける隠しステージ。
ライトユーザー向けの今作だが、このステージだけは旧作のドラキュラシリーズを意識した全ステージ中最高の難易度を誇る。一方でボスは登場しない特殊なステージとなっている。
BGMは「Op.13」。どこかコミカルな響きの曲で、『あくまぢょおどらきゅら×』でも使われている。
Xクロニクルではボスが追加された。BGMは「Red Dawn」に差し替え。




追記修正はマリアを救出してからお願いします。



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*1 タイトルのXもローマ数字のⅩとかけている。
*2 余談だが開発段階ではこれで死ぬ可能性があった。テストの時点で苦情が多くよせられたため、変更されたらしい。
*3 エックスではなくペケ
*4 XXは発売されていたので全くの初見というわけではないが、XXではマリアが非戦闘員だったりシャフトがいなかったりと『月下』で重要な設定が異なる。
*5 さすがに最初にプレイする相手としては強いため、リヒターの体力がゼロになってもイベントが発生し回復するようになっている。