登録日:2018-03-14 (水) 03:08:34
更新日:2024-04-27 (土) 06:53:43
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突然ですが、ここでクイズです
「金太郎」の正しいストーリー、説明できますか?
制限時間は3分。よーい、スタート!
……たぶんこう言われても戸惑う人が大多数だろう。
それもそのはず、この物語は異説が非常に多く、クライマックス以外のほぼ全てが語られている媒体によって異なっているのである。
「足柄山に住むまさかり担いだ金太郎がクマと相撲したりクマに跨って御馬の稽古をする」以外ほとんど何もわからない?、という人も多いだろう。
桃太郎、浦島太郎と並ぶ日本三太郎の一角であり、EH500形の愛称(ECO-POWER金太郎)で有名であるが、
桃と浦島は細部は多少異なっても大筋のシナリオ?は日本人全員が共通のはずなのに、金太郎はまず誰も説明できない。
テレビ番組『トリビアの泉?』では「どれくらいの日本人が昔話「金太郎」の大筋のシナリオを話せるのか」という検証がされたが、正確に話せたのは4700人中67人、割合だとなんとたった1.4%という散々な結果だった。同時に行われた桃太郎は91%、浦島太郎は73%だったのに対し明らかに少な過ぎる。
というわけで、ここでは「金太郎」について少しばかり説明したいと思う。
そもそも金太郎とは?
金太郎とは、坂田金時(さかたのきんとき)の幼名である。
……決して銀魂?の主人公?ではない。元ネタではあるけれど。ついでにパロディキャラの偽者が元ネタと同名という訳の分からない事態も起きたけど。?
坂田金時とは、源頼光の部下である「頼光四天王?」の一角。
他の三人は恐ろしくマイナーだが、渡辺綱、碓井貞光、卜部季武。
しかも筆頭格とされるのは渡辺綱で、金時ではない*1。
江戸の和泉太夫が語り始めた古浄瑠璃のひとつ『金平浄瑠璃』では
息子である坂田金平(公平)が主役で人気となった。
実在性についてだが、「恐らくは架空の人物、ただしモデルはいる」と言ったところか(頼光の方は実在の人物である。ただし酒呑童子退治はさすがに創作)。
「下毛野公時」(しもつけのきみとき/きんとき)という人物がモデルになったと思われる。
次代が下るにつれて「公時」がいつの間にか「金時」となり、その幼少時の名前として「金太郎」が創作されたと思われる。
なお、この時代としてはむしろ「○○太郎」は元服後に良く見られる名前である。
近松門左衛門の浄瑠璃「嫗山姥」では「快童丸」、
広島県?芸北神楽の新舞『山姥』では「怪童丸」とされている。
活躍としてよく知られるのは、大江山の酒呑童子退治。というかむしろこれしか活躍がない……。
なお、退治した方法は「眠り薬入りの酒を飲ませて不意打ち」でトドメを刺したのも主人の頼光なので、ぶっちゃけここでも大した活躍はしていない。
ただ、流石にこれではアレなので後世の金太郎伝説では大幅に脚色されて、金太郎が鬼?たちを相手にちぎっては投げの大立ち回りを演じることが多い。
おとぎ話によくみられる金太郎
昔々、足柄山というところにお母さんと二人で暮らしている金太郎という元気な男の子がいました。
金太郎はいつも元気いっぱい。重い鉞を背負っては、山の動物たちを相手に相撲を取って遊んでいました。
金太郎は熊*2相手にも負けたりしません。とうとう彼は山一番の力持ち?に育ちました。
谷の向こうに動物たちが渡ろうとして橋がなくて困っていた時は、木を倒して橋にしてやることもありました。
ある日、「源頼光」という偉いお侍さんが金太郎のことを見て、彼を武士にしてやろうと言いました。
それを受けた金太郎は「坂田金時」と名を改め、とても立派な武士になったそうです。}
……というのが比較的一般的な金太郎のストーリーである。
とりあえず、これだけでも説明できれば立派なものだろう。
ちなみに「少年時代の金太郎に頼光が出会ってスカウトした」というのが良く見られる金太郎伝説だが、
実際の金太郎伝説では、頼光と金太郎が出会ったのは数えで18歳の時であり、どう考えてもこの時代なら成人である。
この歳になって腹掛け一枚というのはただの変態でしかない……
色々と異説の多いストーリーであり、ぶっちゃけ「金太郎という力自慢の少年が頼光にスカウトされる」という大筋以外に共通点はないと言っても過言ではない。
ざっと上げるだけでも……
- 母親の正体は山姥
- 母親の名前は「八重桐」
- 父親は赤い龍or雷神
- 山の動物たち全員と綱引きして負けなかった
- 池の主である巨大な鯉?を捕まえた
- 烏天狗?と遭遇
- 卜部季武がきこりに扮して金太郎と相撲を取り、彼の力を見定めてスカウトする
- 切腹して果てた父こと北面の武士、坂田時行の怨念が宿り、母子で山賊?として頼光と綱を襲撃
……など、種々多様なエピソードが挿入されるため、人によって知っている話がまるで異なるという事態が頻発するのである。
そもそも、この話には桃太郎の「桃から生まれた男の子がきび団子で犬と猿と雉を仲間にして鬼ヶ島で鬼退治をする」、浦島太郎の「助けた亀に乗って海底にある竜宮城に行っておもてなしを受け、お土産の玉手箱でおじいさんになってしまう」といったわかりやすいインパクトのある個性がなく、童話としてはあまり印象に残らない側面もあるのかもしれない。イマイチ「教訓?」的なものが足りないため子供の教育に役立てにくいのも理由の一つか。
基礎となる物語も上述したようにプロローグというかキャラ紹介というか、そういう物語としてもある種完成している構成とも言えないことも大きな理由だろう。
こうした理由からか、学校などでのお芝居や紙芝居では桃太郎や浦島太郎などのメジャーな昔話と比べて金太郎はあまり行われず、漫画やアニメで登場人物が昔話の芝居をする話でも金太郎はほとんど見かけない。バラエティ等で金太郎の童話がネタにされた場合、「物語として面白くないからあまり伝わっていない」と言われる場合も。
ただ、金太郎とその息子のキャラクター自体は国民に大変愛されるものとなり、
五月人形のモチーフになったり、「金太郎あめ」「金平牛蒡?」などの日本文化の一端を担うこととなった。
ちなみに『今昔物語』には、頼光四天王がアホをやらかすというエピソードがある。
今昔物語集巻二十八第二『頼光の郎等共、紫野に物見たる語』がそれである。
古典の教科書に載っているので、学校の授業で触れた人も多いだろう。
頼光四天王は賀茂祭の見物に行こうとするが、馬に乗っていくのは見苦しいし、牛車に乗っていくと貴族に因縁をつけられるかもしれない。
じゃあ牛車を女性風に仕立てて乗って行こうという話になった。
しかし、普段乗り慣れない牛車に乗ったものだから、ひどい乗り物酔いになってゲロを吐き散らかし、見物どころではなかった。
帰りも牛車に乗って行くのはもう嫌だということで、人通りが少なくなるのを見計らって、顔を隠しながら徒歩で帰ったという話である。
なお、この話では四天王のうち、リーダーの渡辺綱は参加しておらず、ゲロ吐かずに済んだ。
今日のサブカルにおける金太郎キャラクター
ストーリーがうろ覚え、という人は多くとも、そこは日本三太郎の一角、知名度は抜群であり、金太郎をモチーフとしたキャラクターも存在する。
- 銀魂?
前述したとおり、主人公「坂田銀時?」の元ネタは金太郎こと坂田金時。
何でも屋を営む無気力でギャグ時空を生きる二十代(アラサー?)だが、かつては白夜叉と恐れられた攘夷志士で、今でも決めるべきときはカッコよく決めてくれる。
平安時代の侍が何で宇宙人?の蔓延るヘンテコ幕末で侍志望のツッコミメガネ?と毒舌チャイナ娘?を率いて主人公を張ってるのかは不明。
- 鬼灯の冷徹
衆合地獄のガードマン?として登場。CV:羽多野渉?。
立派な成人男性だが、イメージを守るため(ファンサービスも兼ねて)幼少期の前かけ(+褌)スタイルを貫いている。
困っている人を放っておけないお人好しなため、地獄の女性たちの憧れの的。
お香からも「優しい人」と思われており、鬼灯も彼のお人好しぶりに感心していた。
桃太郎と一寸法師?、芥子ちゃん*3とは日本昔話の主役同士で意気投合している。
- 仮面ライダー電王?
主人公・野上良太郎?の仲間イマジンズの一人が金太郎(とクマ)をモチーフとするキンタロス?。
関西弁で浪花節が好きな人情家であり、居眠りの常習犯(時の列車の中でもだいたい寝ている)。
その怪力を活かし、イマジンズ4人の中で最もパワフルな戦い方をする。
- auのCM「三太郎シリーズ」
演じるのは濱田岳。桃ちゃん(松田翔太)、浦ちゃん(桐谷健太)とは幼少期からの親友。
たまにお金絡みで興奮すると銭ゲバムーブを始めるため、「金太郎というよりカネ太郎」と呆れられたことも。
- Wonderland Wars?
「怪童丸」として登場。CV:小西克幸。
基本コンセプトはまさかりを担いだSUMOU相撲取りで、移動速度は遅いが各動作は敏捷である。
豪快な性格をしているがそれは元々の気質もあるが実は身体に雷神を飼っており、弱気や臆病風を考えれば一瞬で食いちぎられてしまう為である。
ifを書いたアナザーキャストとして宿敵の酒天童子に身体を貸した(もしくは乗っ取られた)「邪道丸」も登場しているが、こちらは人格者…いや鬼格者となっている。
- にゃんこ大戦争?
超古代勇者ウルトラソウルズ?の一体として登場。
エリート社員きんちゃんとして働いており、進化すると獣達を引き連れ、バズーカに合体する乗り物に乗る猛銃戦隊キンレンジャーになる。
天使を鈍足にしつつ渾身の一撃で叩く遠方範囲キャラクター。
なに?全然金太郎関係ない?まあにゃんこだし。
追記・修正は熊と相撲を取りながらお願いします。