第拾話 マグマダイバー/EPISODE10:MAGMA DIVER

Last-modified: 2017-06-05 (月) 21:19:18

Aパート

アスカ:フンフフンフンフンフ~ン、ラッキー!加持さんにショッピングを付き合ってもらえるなんて!

BGM:2-8

加持:何だぁ…ここ、水着コーナーじゃないか…

アスカ:ねぇねぇ、これなんかどう?

加持:いやはや、中学生にはちと早すぎるんじゃないかな?

アスカ:加持さんおっくれてるぅ~。今時こんくらい、あったりまえよぉ。

BGM停止


加持:ほぉ…そうなんだ。

アスカ:せっかくの修学旅行だもん。パーっと気分を開放しなきゃ。

加持:修学旅行、どこ?

アスカ:オ・キ・ナ・ワ!メニューにはね、スキューバーダイビングも入ってるの。

加持:スキューバねぇ…そう言や、もう3年も潜ってないなぁ。

アスカ:ねぇ、加持さんは修学旅行、どこ行ったの?

加持:ああ、俺達そんなのなかったんだ。

アスカ:どうして?

加持:セカンドインパクトがあったからな。


アスカ:えーっ、修学旅行に行っちゃ駄目ぇ!?

BGM:2-10テンポ早(未収録)

ミサト:そ。

アスカ:どうして!

ミサト:戦闘待機だもの。

アスカ:そんなの聞いてないわよ!

ミサト:今言ったわ。

アスカ:誰が決めたのよ!

ミサト:作戦担当のあたしが決めたの。

シンジ:

アスカ:あんた!お茶なんかすすってないで、ちょっとなんか言ってやったらどうなの!男でしょう!

シンジ:いや、僕は多分こういうことになるんじゃないか、と思って…

アスカ:諦めてた、ってわけ?

シンジ:うん。

アスカ:情けない。飼い慣らされた男なんて、サイテー。

シンジ:そういう言い方はやめてよ。

ミサト:気持ちは分かるけど、こればっかりは仕方ないわ。あなたたちが修学旅行に行っている間に、使徒の攻撃があるかもしれないでしょ?

アスカ:いつもいつも、待機、待機、待機、待機!いつ来るか分かんない敵を相手に、守る事ばっかし!たまには敵の居場所を突き止めて、攻めに行ったらどうなの?

ミサト:それができればやってるわよ。ま、二人ともこれをいい機会だと思わなきゃ。クラスのみんなが修学旅行に行っている間、少しは勉強ができるでしょ?

ミサト:あたしが知らないとでも思ってるの?

シンジ:う…

ミサト:見せなきゃばれないと思ったら、大間違いよ。あなたたちが学校のテストで何点取ったかなんて情報くらい、筒抜けなんだから。

アスカ:フン、バッカみたい。学校の成績が何よ。旧態依然とした減点式のテストなんか、何の興味もないわ。

ミサト:郷に行っては郷に従え。日本の学校にも慣れてちょうだい。

アスカ:イーーーーーッだ!

BGM停止


ヒカリ:アスカ!お土産買ってくるからね!

ケンスケ:あぁーっ、二人とも残念だったなぁ!

トウジ:お前らの分まで、楽しんできたるわ、ナハハハハー!


オペレータ:浅間山の観測データは、可及的速やかにBALTHASARからMELCHIORへ、ペーストしてください。

マヤ:……(:_;)
(絵コンテによると、感涙に咽んでいるらしい)

マコト:ヒヒ、イヒヒヒ!

シゲル:フフンフンフンフンフンギュン!

リツコ:修学旅行?こんなご時世に呑気なものね。

ミサト:こんなご時世だからこそ、遊べるときに遊びたいのよ、あの子達。


アスカ:何してんの?

シンジ:理科の勉強。

アスカ:ったく、お利口さんなんだからぁ。

シンジ:そんな事言ったって、やらなきゃいけないんだから…ウッ!

BGM:2-10

アスカ:ジャーン!オキナワでスキューバーできないから、ここで潜るの。

シンジ:そ、そう!?

アスカ:どれどれ、何やってんの?ちょっと見せて…この程度の数式が解けないの?はい、できた。簡単じゃん。

シンジ:どうしてこんな難しいのができて、学校のテストが駄目なの?

アスカ:問題に何が書いてあるのか、分からなかったのよ。

シンジ:それって、日本語の設問が読めなかった、って事?

アスカ:そ。まだ漢字全部覚えてないのよね、向こうの大学じゃ、習ってなかったし。

シンジ:大学?

アスカ:あ、去年卒業したの。でぇ、こっちのこれはなんて書いてあるの?

シンジ:あ、熱膨張に関する問題だよ。

アスカ:熱膨張?幼稚な事やってるのね。とどのつまり、ものってのはあたためれば膨らんで大きくなるし冷やせば縮んで小さくなる、って事じゃない。

シンジ:そりゃそうだけど…

アスカ:あたしの場合、胸だけ暖めれば、少しはオッパイが大きくなるのかなぁ?

シンジ:そ、そんな事聞かれたって、わかんないよ!

BGM停止

アスカ:つまんない男…

アスカ:見て見て、シンジ!

シンジ:ん?

アスカ:バックロールエントリー!

シンジ:はぁ…


冬月:これではよく分からんな。

シゲル:しかし、浅間山地震研究所の報告通り、この影は気になります。

冬月:もちろん無視はできん。

リツコ:MAGIの判断は?

マヤ:フィフティーフィフティーです。

冬月:現地へは?

シゲル:すでに、葛城一尉が到着しています。


所員:もう限界です!

ミサト:いえ、後500、お願いします。

アナウンス:深度1200、耐圧隔壁に亀裂発生。

所員:葛城さん!

ミサト:壊れたらうちで弁償します。後200。

マコト:モニターに反応。

ミサト:解析開始。

マコト:ハイ。

アナウンス:観測機圧壊、爆発しました。

ミサト:解析は?

マコト:ぎりぎりで間に合いましたね。パターン青です。

ミサト:間違いない、使徒だわ。

BGM:2-12

ミサト:これより当研究所は完全閉鎖、NERVの管轄下となります。一切の入室を禁じた上、過去6時間以内の事象は、すべて部外秘とします。

ミサト:碇司令当てにA-17を要請して!大至急!

シゲル:気をつけてください、これは通常回線です。

ミサト:分かっているわ。さっさと守秘回線に切り替えて!


委員:A-17?こちらから打って出るのか?

ゲンドウ:そうです。

委員:駄目だ、危険過ぎる!15年前を忘れたとは言わせんぞ!

ゲンドウ:これはチャンスなのです。これまで防戦一方だった我々が、初めて攻勢に出るための。

キール:リスクが大きすぎるな。

ゲンドウ:しかし、生きた使徒のサンプル、その重要性は、すでに承知の事でしょう。

キール:失敗は、許さん。

冬月:失敗か…その時は人類そのものが消えてしまうよ。本当にいいんだな?

ゲンドウ:


シンジ:これが使徒?

リツコ:そうよ。まだ完成体になっていない蛹の状態みたいなものね。

リツコ:今回の作戦は使徒の捕獲を最優先とします。できうる限り原形をとどめ、生きたまま回収すること。

アスカ:できなかったときは?

リツコ:即時殲滅。いいわね?

シンジ・アスカ・レイ:はい。

リツコ:作戦担当者は…

アスカ:はいは~い、私が潜る!

シンジ:(でも、また僕なんだろうな…)

リツコ:アスカ。弐号機で担当して。

アスカ:はーい!こんなの楽勝じゃん!

レイ:私は?

マヤ:プロトタイプの零号機には、特殊装備は規格外なのよ。

リツコ:レイと零号機には本部での待機を命じます。

レイ:はい。

アスカ:残念だったわねぇ~、温泉行けなくて。

リツコ:A-17が発令された以上、すぐに出るわよ。支度して。

シンジ・アスカ:はい!


アスカ:うん?耐熱仕様のプラグスーツと言っても、いつものと変わらないじゃない。

リツコ:右のスイッチを押してみて。

アスカ:うわぁー、いやぁー!何よ、これぇ!

リツコ:弐号機の支度もできてるわ。


アスカ:いやぁぁぁ!なによ、これぇ!

リツコ:耐熱・耐圧・耐核防護服。局地戦用のD型装備よ。

アスカ:これがあたしの、弐号機?

アスカ:嫌だ!あたし降りる!こんなので人前に出たくないわ!こーいうのはシンジのほうがお似合いよ!

加持:そいつは残念だな。

加持:アスカの勇姿が見れると思ってたんだけどな。

アスカ:いやーっ!でもこんなださいの着て、加持さんの前に出る勇気なんてないわ!

マヤ:困りましたねぇ…

リツコ:そうね…

シンジ:あの…僕が…

レイ:あたしが弐号機で出るわ。

アスカ:あなたには私の弐号機に触ってほしくないの、悪いけど。

アスカ:ファーストが出るくらいなら私が行くわ。

アスカ:カッコ悪いけど、我慢してね…

Bパート

アナウンス:EVA初号機、および弐号機、到着しました。

ミサト:両機はその場にて待機、レーザーの打ち込みとクレーンの準備、急いで。

マコト:了解。


アスカ:あれ?加持さんは?

ミサト:あのバカは来ないわよ、仕事無いもの。

アスカ:ちぇーっ、せっかく加持さんにもいいとこ見せようと思ったのに。


謎の>女性:''''A-17の発令ね。それには現資産の凍結も含まれているわ。

加持:お困りの方も、さぞ多いでしょうな。

女性:なぜ止めなかったの?

加持:理由がありませんよ。発令は正式なものです。

女性:でもNERVの失敗は、世界の破滅を意味するのよ。

加持:彼らはそんなに傲慢ではありませんよ。


シンジ:何ですか、あれ。

リツコ:UNの空軍が空中待機してるのよ。

マヤ:この作戦が終わるまでね。

アスカ:手伝ってくれるの?

リツコ:いいえ、後始末よ。

マヤ:私たちが失敗したときのね。

アスカ:どういう事?

リツコ:使徒をN2爆雷で熱処理するのよ。私たちごとね。

アスカ:ひっどぉーい!

シンジ:そんな命令、誰が出すんですか!?

リツコ:碇司令よ。

シンジ:


アナウンス:レーザー、作業終了。

アナウンス:進路確保!

アナウンス:D型装備、異常無し!

マコト:弐号機、発進位置。

ミサト:了解。アスカ、準備はどう?

アスカ:いつでもどうぞ。

ミサト:発進!

BGM:1-14

アスカ:うっわぁ~、あっつそぉ~!

マヤ:弐号機、溶岩内に入ります。

アスカ:見て見てシンジ!

シンジ:?

アスカ:ジャイアントストロングエントリー!

シンジ:はぁぁ…


アスカ:現在、深度170、沈降速度20。各部問題なし。視界は…ゼロ。何にも分かんないわ。CTモニターに切り替えます。

BGM停止

アスカ:これでも透明度120か…


マヤ:深度、400、450、500、550、600、650。

マヤ:900、950、1000、1020、安全深度、オーバー。

マヤ:深度1300、目標予測地点です。

ミサト:アスカ、何か見える?

アスカ:反応なし、いないわ。

リツコ:思ったより対流が早いようね。

マコト:目標の移動速度に誤差が生じています。

ミサト:再計算、急いで。作戦続行。再度沈降、よろしく。

マコト:えぇっ?


マヤ:深度、1350、1400。

オペレータ:第2循環パイプに亀裂発生。

マヤ:深度、1480、限界深度、オーバー!

ミサト:目標とまだ接触していないわ。続けて。

ミサト:アスカ、どう?

アスカ:まだ持ちそう。さっさと終わらせてシャワー浴びたい。

ミサト:近くにいい温泉があるわ。終わったら行きましょ。もう少しがんばって。

マヤ:限界深度、プラス120。

アスカ:!

オペレータ:EVA弐号機、プログナイフ喪失。

マヤ:限界深度、プラス200。

マコト:葛城さん!もうこれ以上は!今度は人が乗っているんですよ!

ミサト:この作戦の責任者は私です。続けてください。

アスカ:ミサトの言う通りよ。大丈夫、まだいけるわ。


マヤ:深度、1780。目標予測修正地点です。

アスカ:………いた…

BGM:1-19前半

マコト:目標を映像で確認。

ミサト:捕獲準備。

リツコ:お互いに対流で流されているから、接触のチャンスは一度しかないわよ。

アスカ:分かってる。任せて。

マコト:目標接触まで、後30(サンマル)。

アスカ:相対速度2.2。軸線に乗ったわ。

アスカ:電磁柵展開、問題なし。

BGM停止

アスカ:目標、捕獲しました。

マコト:はぁ~。

ミサト:ナイス、アスカ!

アスカ:捕獲作業終了、これより浮上します。


シンジ:アスカ、大丈夫?

アスカ:あったり前よ、案ずるより生むが易し、ってね。やっぱ楽勝じゃん?

アスカ:でもこれじゃあプラグスーツと言うよりサウナスーツよ。あぁ、早いとこ温泉に入りたい。

リツコ:緊張がいっぺんに解けたみたいね。

ミサト:そう?

リツコ:あなたも今日の作戦、恐かったんでしょ?

ミサト:まぁね。下手に手を出せば、あれの二の舞ですものね。

リツコ:そうね。セカンドインパクト。二度とごめんだわ。


BGM:2-14

アスカ:何よ、これぇー!

リツコ:まずいわ、羽化を始めたのよ。計算より早すぎるわ。

ミサト:キャッチャーは?

マコト:とても持ちません!

ミサト:捕獲中止、キャッチャーは破棄!

ミサト:作戦変更、使徒殲滅を最優先、弐号機は撤収作業をしつつ戦闘準備!

アスカ:待ってました!

アスカ:しまった!ナイフは落としちゃったんだわ!

アスカ:正面!バラスト放出!

アスカ:は、早い!

アスカ:まずいわね、見失うなんて。おまけに視界は悪い、やたらと暑い、スーツがべったりしてて気持ち悪い!もぉ、サイテイね!

ミサト:アスカ、今のうちに初号機のナイフを落とすわ。受け取って!

アスカ:了解!ハッ!ヤバーッ!まだなの、シンジ!

シンジ:ふぬぅーーーーっ!

オペレータ:ナイフ到達まで、後40(ヨンマル)。

マコト:使徒、急速接近中!

アスカ:嫌ぁ!来ないでぇ!

アスカ:あーん、早く来てぇ!

アスカ:もーぉ、遅いぃ!

アスカ:しまった!

リツコ:まさか、この状況下で口を開くなんて!

マヤ:信じられない構造です!

アスカ:う…ぐっ

マヤ:左足損傷!

アスカ:耐熱処置!

アスカ:こんちきしょーっ!

リツコ:高温高圧、これだけの極限状態に耐えているのよ。プログナイフじゃ駄目だわ。

マコト:では、どうすれば?

シンジ:そうだ!

アスカ:さっきの奴!

アスカ:このぉぉぉ!

リツコ:なるほど、熱膨張ね!

アスカ:冷却液の圧力をすべて三番にまわして!早く!

アスカ:でぇぇぇぇい!

アスカ:ううっ、ぐぐぐぐっ!


BGM停止

アスカ:せっかくやったのに…やだな、ここまでなの?

アスカ:!…シンジ…?

アスカ:バカ、無理しちゃって…


宅配屋:ごめんくださーい、NERVの人、いますかー?

シンジ:はーい!

宅配屋:では、ここにサインをお願いします。

宅配屋:はい、どうもありがとうございました。

シンジ:加持さんから?何だろう?

シンジ:風呂はそこを左だよ。


シンジ:はぁ~ぁ、極楽極楽。

シンジ:風呂がこんなに気持ちいいものだなんて、知らなかったなぁ…

ミサト:シンジくーん、聞こえる~?

シンジ:は、はい!

ミサト:ボディーシャンプー、投げてくれる?

アスカ:持ってきたの、無くなっちゃった。

シンジ:うん…行くよ!

アスカ:りょーかい!

シンジ:フンッ!

アスカ:痛っ!バカねぇ。どこ投げてんのよ、ヘタクソ!

シンジ:う…ごめん。

アスカ:もーぉ、変なとこに当てないでよね…

ミサト:どれどれ~?

アスカ:あ、あん!

ミサト:あー、アスカの肌って、すっごくプクプクしてて面白ーい!

アスカ:やーだ!くすぐったーいぃ!

ミサト:じゃ、ここはー?

アスカ:きゃは!そんなとこ触んないでよぉ!

ミサト:いーじゃない、減るもんじゃないし。

シンジ:

ペンペン:?

シンジ:わぁっ!

シンジ:膨張してしまった…恥ずかしい…


ミサト:ああ、これね?セカンドインパクトのとき、ちょっち、ね。

アスカ:……知ってるんでしょ、私のことも、みんな。

ミサト:ま、仕事だからね…。お互いもう昔のことだもの。気にすること無いわ。