5話>>852

Last-modified: 2009-07-08 (水) 23:07:28

852 名前:既にその名前は使われています[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 12:04:56 ID:xNNpZAdn
ちょっと長いかもしれませんが、投下します。
読んでもらえれば嬉しいです。

この番号を名前にします。



853 名前:852[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 12:07:12 ID:xNNpZAdn
俺たちは感性もよく合う唯一無二の親友だった。
俺も親友のAも同じエルヴァーン♂だ。

まだジラートも実装されていなかった頃、俺たちはゲルスバで出会った。
その頃はヴァナ・ディールの全てがキラキラして見え、毎日ドキドキがいっぱいだった。
金策にもレベル上げにも四苦八苦していた俺は、オークが落とすギルと装備、経験値を目的にゲルスバで狩りをしていた。

今では何レベルだったのか覚えてないが、楽~丁度ぐらいを狩っていたように記憶している。
ずっと狩っていると作業化してきて、段々と気が緩んでいく。
そんな中オークが2匹リンクしてしまった。

マイティを使い必死に倒そうとする俺、一匹倒す。あと二匹。
しかしやはりゲームの世界。数字で作られた世界に奇跡は起きないものだ。
二匹目のHPを徐々に減らしてはいくが、自分の命があとわずかなのを悟った。

ああ、俺はここで死ぬんだ…。



854 名前:852[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 12:08:34 ID:xNNpZAdn
>>853の続き

ああ、俺はここで死ぬんだ…。

その時まさに奇跡が起きた。
ケアルIIの発動→<俺>のHPが80回復。

ふと後ろを振り返ると、一人のエルヴァーンが立っていた。
それがAとの出会いだった。

俺「ありがとう、助かりました」
A「いえ、よかったらご一緒しませんか?」

この出会いはこれから先も忘れることはないだろう。
この日、ヴァナでの初めてのフレが出来た。



855 名前:852[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 12:10:11 ID:xNNpZAdn
>>853 >>854の続き

Aとの出会いから数年が経った。
よく一緒に遊びに出かけたり、お互い手伝いをしたり、彼との交流が途絶えることはなかった。

そんなある日、彼から一人の女性Bを紹介をされた。

A「実は恥ずかしながら、彼女はヴァナで出来た恋人なんだ」
俺「そうなんだ!おめでとう!」
B「初めまして~、<俺>さんの話しはよくAから聞くよ!」
俺「初めまして、Aのことよろしくね!」

親友Aのヴァナ彼女。彼らを祝福しないはずがない。
彼が幸せそうなのを見ていると俺も嬉しかった。



856 名前:852[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 12:11:06 ID:xNNpZAdn
>>853 >>854 >>855の続き

それからというものAとBと俺、三人で遊びに行くことが多くなり、仲間が一人増えた。
彼らとは色んな話しをした。
ヴァナ彼女が出来たことがない俺にとって、彼らの恋愛はかなり興味があった。
話しを聞いていると、どうやら付き合い始めはBからのある言葉がきっかけのようだった。

B「Aってヴァナ彼女いるの?」
A「いや、いないよ」
B「私たち、付き合ってみない?」

それが彼らの始まりだったらしい。

Aと俺はLSが同じだったのだが、Bは違うLSだった。
しかし、ヴァナ恋人同士、同じLSで過ごしたいはずだったから、AがBと二人LSを作ってそっちをメインにつけたいと言った

時も反対はしなかった。
LSが違っても俺たちは親友だから、二人の絆は決して切れないものだと信じていた。



860 名前:852[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 12:19:57 ID:xNNpZAdn
>>856の続き

それからまた時は経ち、俺たちは空・裏LSに入ったのだが、二つとも別々のLSだった。
お互いコンテンツLSに所属し、リアルも相まって連絡は次第に取らなくなっていってしまった。
今のヴァナにいる人にもあると思うが、冒険の楽しさを忘れてアイテム目的に没頭してしまう。まさにそんな感じだった。

ある日ジュノでシグネットをかけようと大使館に行っていると、あとからAとBが入ってきた。
Bが前を走り、Aが/followで後からついているようだった。
以前はAが前を走っていたのに、今日はBが前を走っているなんて、もしかしたらAは尻を敷かれ始めたのか。
と思い、おかしくて少し笑ってしまった。
そう思いながら二人を見ていると、急に懐かしさがこみ上げてきた。

よし、久しぶりに二人を誘ってどこかへ遊びに行こう!
そう思い立って、約束をするべく話しかけてみた。



861 名前:852[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 12:21:42 ID:xNNpZAdn
>>860の続き

俺「久しぶり~」
………
………
…あれ?無視されるようなことしたかな?
ひょっとしたらsayをフィルターしているのかもしれない。
tellで話しかけてみよう。

俺>A「久しぶり。元気にしてた?」
………
………

俺>B「久しぶり。ごめん、覚えがないんだけど俺Aに何か怒られるようなことしたかな?」
B>俺「あ、お久しぶり!Aは前と中身が違うから」
俺>B「そうなんだ!それなら仕方がないやw」

………えっ!?



863 名前:852[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 12:23:19 ID:xNNpZAdn
>>861の続き

俺>B「ちょっちょっと、中身が違うってどういうこと?アカウント売ったとか?」
B>俺「実はA引退しちゃってさぁ、私がアカウント譲り受けて、今二アカでやってるんだ~」

そうだったのか…。最近連絡していなかったとはいえ、アカウント譲るならその前に言ってほしかった。
俺たちは唯一無二の親友だったはずなのに、Aの中ではそうでもなかったのかもしれない…。
そう思うと悲しくなった。

俺のフレにCという人物がいる。
この人は俺と空LSが同じなんだが、裏LSはA・Bと同じだった。
要するに三人の共通の知り合いと言える。
ある日、AがBにアカウントを譲ったことを知っていたかCに聞いてみた。



864 名前:852[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 12:24:05 ID:xNNpZAdn
>>863の続き

C「知ってたよ。裏LSの人間はみんな知ってる」
俺「そうだったんだ。俺Aと付き合い長くてさ、親友と思ってたから教えてくれなくてショックなんだよね」

C「ここだけの話しするけど」
俺「ん?」

C「AとBはリアルでも会ってたみたいなんだけど、Bにアカウントハックされたって聞いたよ」
俺「ええ!?どういうこと?」

C「AがBの家でよく遊んでたみたいなんだけど、二人ともFFやってるから、二人でログインするよね?
Aのキャラでログインした時に、Bがパスワードを盗み見て控えておいて、Aと別れたあとにBがAのキャラでログインしてパス

ワードかえたらしいよ」
俺「……それ本当の話し?」

C「同じ裏LSにいる、Bと仲の良いフレから聞いたんだけどさ。聞いただけだから本当かわからない」



870 名前:852[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 12:50:37 ID:EYNV1YK7
>>864の続き

聞いただけだから本当かわからない。確かにそうだ。
だが、その話しを本当だと仮定すると納得がいく。
親友Aの無言の引退。Bからも全く連絡がこなくなったこと。
それだけでBを疑うのは失礼だが、俺はBが信用できなくなっていた。

真偽がわからないまま時は過ぎ去り、俺はBのこともすっかり忘れていた。

リンバスLSを募集している人がいたので、空LSも解散していて暇だった俺は、そのLSに入った。
さーて、また新たなコンテンツの活動だと意気込んでいたのもつかの間、活動日に集合すると忘れていたものが甦った。

そこにはBがいた。

真実を知るのも怖くてBには何も聞けなかったあの時、今になって聞くかどうか悩んだ。
しかしBとも仲が良かったし、これから同じLSで活動する仲間。
疑って仲が悪くなり、LSの空気に水を差してしまうのを恐れて聞けなかった。

Bともまたよく話すようになり、一緒に遊びに行くことも増えていた。
そんな折、さりげなく聞いてみたことがある。



871 名前:852[sage] 投稿日:2009/06/19(金) 12:53:05 ID:EYNV1YK7
>>870の続き ラストです

俺「そういえばAのキャラはまだあるの?」
B「ううん、二アカだとお金がかかっちゃうから、解約しちゃった」

なるほど。もう何も聞くまいと心に決め、疑うことをやめた。

それからというもの毎日Bと一緒に遊んでいたような気がする。
共に戦い、共に全滅し、共に笑う。
再びフレとバカをする楽しさを思い出した。
毎日楽しいのは、Aと連絡を取らなくなった頃以来ではないだろうか。
幸せともいえる時間を過ごしていた頃、ある日Bが俺にこう聞いてきた。

B「<俺>って今ヴァナ彼女いるの?」
俺「いや、いないよ」
B「私たち、付き合ってみない?」

そうして俺たちは付き合い始めた。

~Fin~