メトロイドフュージョンに登場するボスエネミー。
本記事はメトロイドフュージョンのネタバレを含みます。
概要
- ゲーム開始時のプロローグでサムス・アランが寄生生物『X』に寄生された際、
特に影響が大きかったパワードスーツの箇所を切り取ったことで、Xがパワードスーツに組み込まれた
遺伝子情報から、寄生される前の『ベストコンディションのサムス・アラン』をコピーした姿である。
名称は「Samus Aran-X」から取ってアダムが名付けた。
容姿はスーパーでのバリアスーツ装備時のサムスをそのままGBA用のスプライトに起こしたような姿。
宿主かつもうひとつの天敵・メトロイドとなったサムスを執拗に付け狙い、
抹殺せんとそのパワーを振りかざしてくるというのがサムスとSA-Xの関係である。
作中においてもサムス自身が
「SA-Xは「心」を持たない私だ。必ず奴を倒さねばならない。SA-Xに邪悪な知性が芽生える前に…」
と語っている。
今は決して手を出すことはできないもどかしさを堪え、
問題を解決していきながらSA-Xに対抗する手段を得るというシナリオとなっている。
恐ろしさ
- ベストコンディションのサムスをコピーしているということは、
「スーパーメトロイド」内でサムスが最後まで有していた最強の装備すべてを
使用してくるということになる。- 具体的には、
- あらゆる攻撃を跳ね除けるバリアスーツ
- 水中および溶岩内で通常時の行動力を確保するグラビティスーツ*1
- 敵を一瞬で爆縮させ、あらゆる装甲を貫くプラズマビームと
地形を貫通し、隠れた敵をも逃さない波動弾のウェイブビーム - 命中対象の時空を切り離し空間凍結させるアイスビーム
- 強力なエネルギーを身にまとい突進するスクリューアタック
- 凄まじい破壊力で敵を破壊するスーパーミサイル
- 強力な熱波を放ち、外敵を一瞬で消し去るパワーボム
を装備している。
このうち、SA-Xを最初にプレイヤーが知ることとなるカットシーンでは
スクリューアタックとスーパーミサイルを使用しているシーンが強調されている。
- 具体的には、
- メトロイドワクチンを投与されたサムスは冷気による耐性を喪失しており、
SA-Xの放つアイスビームによって、凍結してしまうという致命的欠点を抱えている。
この点からも、サムスに指令を出すアダムに
「SA-Xに出会ってしまったら、とにかく逃げろ。決して戦おうなどと考えるな。」と釘を刺すように忠告される。
この時点でのSA-Xはバリアスーツによる防護でサムスのビームウェポンやアモによるダメージが一切通らず、
前述のアイスビームを多用して猛攻をしかけてくるため、攻撃を回避しながら追跡を逃れるしかすべはない。
- またその破壊力はB.S.Lでの影響を大きく及ぼしており、
カットシーンでの壁、ハッチ破壊に留まることなく、サムスの退路を奪うかのようにあちこちの壁や床、
ハッチなどを執拗に破壊するという破壊行動を作中で何度も行っている。
擬態後、パワードスーツが詰め込まれたカプセルから脱出する際にはパワーボムを用いており、
物語開始後に目撃する惨状からもサムスの有していたアモの破壊力は1%たりとも衰えていないといえる。
- ゲーム的な恐ろしさで言えば、ゲーム序盤からラスボスが常に徘徊しており、
時には主人公を抹消せんと負けイベントの戦闘をしかけてくる
…と表現すればなんとなく恐ろしさが伝わるだろうか。
低回収率での脅威は特に凄まじく、1%クリアではアイスビームに命中してしまうと即死レベル。
通常プレイでも相当のエネルギーが奪われる。
対策
- と、残虐の限りを尽くしてくるSA-Xであるが、何も必ず発見されて蹂躙されるわけではない。
SA-Xが出現するエリアの大半はSA-Xに発見されないような作りになっており、わざと手を出したり、
見つかりに行ったりはしない限りSA-Xの追跡を受けることはないと言っていい。
ただし1回だけ不可避のエリアがあり、SA-Xの執拗な追跡から逃れる必要がある。トラウマ必至の強制邂逅。
アイスミサイルでほんの一瞬だけ凍結させることができ、逃げるための時間稼ぎができるため、
これをどれほど活かせるかが生還への鍵となる。- SA-Xもスーパーミサイルの影響をなんとなしに把握しているのか、
足場の端などに掴まって攻撃をしのいでいると、
スーパーミサイルを壁に撃ち込み、その衝撃による揺れでサムスを落とそうとしてくる。
これは前作のスーパーミサイルで天井や壁に張り付いているクリーチャー等を
地上に落とすことができたことによるもの。
- SA-Xもスーパーミサイルの影響をなんとなしに把握しているのか、
決戦
- 数々の問題を解決してきたサムスであったが、銀河連邦軍がSA-Xの破壊衝動に目をつけ、
あろうことか捕獲を計画していることがアダムから告げられる。
実際にその破壊力の恐ろしさと決して野放しにできない殺意などを見てきたサムスは
SA-Xの捕獲などを考えぬよう説くが、すでに銀河連邦が動いているという。
彼女は自分の命と引き換えに銀河連邦の計画阻止のためB.S.Lの爆破を唱えるが、
ステーションを爆破したところで銀河連邦は止まるどころかサムス・アランという戦士が消えるだけ
と伝えられるが、次の瞬間にサムスにとって思いもしなかった最終指令が舞い込む。
B.S.Lを惑星SR388に衝突するように推進エンジンを起動し、サムスはシップで脱出し生還せよ、という内容。
その指令通り、サムスはメインデッキのコントロールブリッジへと向かうが、そこでSA-Xが立ちはだかる。
だがようやく…ようやく自分の姿を使って破壊の限りを尽くす化け物にツケを払わせる時が来たのである。
- 戦闘は第三形態まで存在し、数々の場面で苦しめてきた、サムスに擬態した第一形態、
プロローグで最初に擬態していたと思われるカエル型のクリーチャー「ナード」とのキメラである第二形態、
能力覚醒のコア-Xとなった第三形態となる。
プラズマビーム能力が覚醒したことで、フルチャージ必須ではあるものの、
ダメージを負わせることができるようになっている。
移動の際にはいつも通り普通に走ったりするほか、スクリューアタックで平面移動をすることがある。
空中に逃げるとSA-Xもスクリューアタックで追いかけてくる。
スクリューアタックで体当たりした際はSA-Xも必ずスクリューアタックを使い、
両者ダメージの相打ちになってしまう。
また、ビームをスクリューアタックで回避するとどんどん近づいてくるため、
データルームやナビゲーションルームのハッチ方向に移動してしまうと
スクリューアタック相打ち以外の逃げ場がなくなってしまうので注意。
必ずエレベーターの部屋のハッチ側で戦闘を行うようにすると事故が減る。
第一形態ではダメージを与えていくと、ダメージによる損傷か、
徐々に擬態を保てなくなっていっている様子が伺えるようになる。
ジャンプ着地時などに確認しやすい。
そしてダメージを与え続けると、サムスが瀕死になった時に似た片膝をつくモーションを挟み、
前述の第二形態へと変貌を遂げる。
いかにもクリーチャーといった風貌だが、なんとジャンプによる踏みつけしか行わない拍子抜けボスとなる。
第二形態をも制すると崩れ去り、第三形態であるコア-Xtype-Bへと変化する。
すべて倒すと点滅しながら浮遊していくが、この時点では吸収できずどこかへと飛び去ってしまう。
真のラスボス戦
- SA-Xを退けたサムスはコントロールブリッジにて、推進エンジンを起動させ、シップでの脱出を図る。
しかし、シップがあったはずの場所にはなぜか見覚えのある抜け殻のみが残されている…
別の場所にシップが移動したのかと急いで引き返そうとするサムスの背後からどこからともなく
オメガメトロイドが出現する。撃退を試みるものの攻撃は一切通用せず、それどころか爪による一撃で
サムスは致命傷を負い、行動する力を失ってしまう。
絶体絶命の危機に突然あのコア-Xが現れ、SA-Xへと再擬態。アイスビームをオメガメトロイドに撃ち込み、
ダメージを与えていったのだ。
思わぬ新たな敵の猛攻に怯むオメガメトロイドであったが、苦し紛れの反撃でSA-Xに爪による一撃を与える。
非常に強力だったのか、はたまたサムスとの戦闘で消耗していたからなのか、一撃でコア-Xへと戻されてしまう。
再び行動可能となったサムスに吸収され、サムスと一体化したことで、不可能とされていたアイスビーム能力を覚醒。
わずかに残された時間でのオメガメトロイドとの死闘が始まる。
SA-Xは賢いのか?
- SA-Xは再三述べているように「ベストコンディションのサムス・アラン」に擬態した最強のXである。
言うなれば、天敵であったメトロイドへの対抗手段まで得てしまった無敵状態とも言えるのだ。
宿主兼メトロイドともなったサムスを執拗に狙うのは、宿主の存在を許さないという生態のほか、
天敵であるメトロイドを殺さねばならないという本能から来ているものであり、その本能を達するための手段は問わない状態ともなっている。
SA-Xにおいても優先順位があるようで、100%純正のメトロイドが現れればそちらの排除を優先するようで、
前述のオメガメトロイドへの攻撃も真後ろに瀕死になっているサムスがいるにも拘わらず、
オメガメトロイドへの攻撃を優先したのもそれを裏付けるといえよう。
- 肝心の賢さであるが、結論から言うと賢くないといえる。
サムスを追い詰めようとする手段が破壊行動のみであり、サムスを発見しても用いる攻撃が
アイスビームの連射、およびスーパーミサイル程度である。
一応サムスが凍結してしまう時期では、凍結後にスーパーミサイルを撃ち込むというメトロイドの撃破方法を
用いてくるが、バリアスーツ入手後はひたすらアイスビームを連射するだけになってしまう。
攻撃範囲に優れるパワーボムや高速ダッシュが可能なスピードブースターも使わずただ走って追いかけるだけ。
せっかくのサムスの装備を活かしきれていないのである。
しかしながらスピードブースターを使って追いかけてきたら、それこそ一生のトラウマとなりそうだが
- ゲーム終盤でのベビーメトロイドのクローンに対しても凍らせて機能不全に陥らせるのではなく、
ミサイルによる破壊行動を行うのみとなってしまっている。その結果、ベビーメトロイドにまとわりつかれ、
死亡するという結果を生み出すことにもなっていることから、
メトロイドの撃破方法を知っていないと考えることもできる。*2- 元をたどれば、SA-Xはサムス・アラン自身ではなく、
サムス・アランの着用していたパワードスーツの遺伝子情報を入手して擬態した姿である。
つまりは、サムスであってサムスでない姿へと擬態してしまったのである。
結果、豊富なウェポンやアモ・モジュールがあるのにとにかく高威力の攻撃をすればよいという
乱暴で力任せな思考になってしまっているのだ。いわばSA-Xは、
いきなり最強装備になれるチートを使ったが、
開放した装備の使い方が分からず、適当に使っているような状態というわけだ。- 前述のメトロイド撃破コンボも、連射力に優れるアイスビームによって足止めされたサムスに対し、
スーパーミサイルという単発のビームよりも高威力の攻撃を繰り出すというロジックを
実行しただけに過ぎないという可能性のほうが高いということである。
または、過去作を遊んだプレイヤーに対するセルフオマージュである可能性も否定はできない。
メトロイドの撃破方法を実際に自分がされる立場になる、という意味では
サムスへの猛攻にこの方法を貫いてくるのも納得がいくものがある。
しかしながら、フルチャージのビームの方がスーパーミサイル1発より強力なので、
やはり一歩足りていないと言わざるを得ない。
ゲーム的には難しかった可能性もあるし、仮に可能だったとして、
チェイスから逃れる難易度が爆増してしまう可能性もなくはないので仕方ないかもしれないが。
- 前述のメトロイド撃破コンボも、連射力に優れるアイスビームによって足止めされたサムスに対し、
- 無論、擬態当時のSA-Xが使い方を学習していないだけであり、近い未来に
オリジナルと同じように使いこなしたとしたら
それこそ破壊衝動に駆られた「心」なきサムス・アランが誕生してしまう。
邪悪な知性が芽生える前に、というサムスの言葉はこれを体現しているといえよう。
勿論、サムス自身に寄生して擬態していたら、
あらゆる記憶を使いクローンのメトロイドをすべて殲滅し、
サムスを確実に葬っていたと考えるとなんとも恐ろしい話なので、
擬態の経緯がせめてもの救いだったのは言うまでもない。
- 元をたどれば、SA-Xはサムス・アラン自身ではなく、
余談
- チートなどを用いてアイスビームをアンロックした場合、SA-Xにダメージを与えられないが
アイスミサイルが命中した時と同じように凍結させることができる。
- SA-Xのスクリューアタックはスーパーメトロイドのデザインと同じであり、時系列がきちんと
スーパーメトロイドの事後であることを伺わせる演出となっている。
- SA-Xの賢さの悪さはチェイス時にもあり、サムスが特定の足場の上に立ったり、
自分の足場が急に破壊されたりすると、あてもなく走り回ったりする。
ビームをあらゆる方向に乱射したりするわけでもないので、ただただ醜態を晒しているだけ。
- サムスが瀕死になり、その後トドメを刺そうとしたラスボスが突然現れたキャラクターに
サムスへの攻撃を妨害され、さらにはダメージまで負わされ、
そして最終的にはサムスが超強化を受け、ラスボスへの打倒手段を得るという画は
前作のマザーブレイン戦のオマージュといえる。*3