こくうのおとしもの 1

Last-modified: 2011-03-19 (土) 21:19:39

こくうのおとしもの 
 
俺の名前は早乙女賢。
モットーは「ゲッター線が一番」。ゲッター線が一番じゃあございませんか? 
最近、妙に感が冴えてて人の考えている事が手に取るようにわかるようになり、体調がすこぶるいい感じになってきた。
子どもの頃から、顔も思い出せない少年達や瓦礫の町、暴れまわるロボット共や星を砕く皇帝の夢をよく見るようになった。
たかが夢だと放っておいたら、その日、空から、悪魔が降ってきた。
 
 
 

―こんな夢…見たことないだろうか―
 
―夢の中で、会ったこともない少年達が集まり、なぜかワシはそいつらが大切であり―
 
―でもいつも最後はその少年らが宇宙(そら)に羽ばたいていき―
 
―泣きながら・・・     目が覚める・・・ ―
 
 
 
 
 
「・・・ちゃん」
「賢ちゃん・・・!!」
(うるさいなぁ・・・ また爆烈か)
 
俺を起こそうとしているのは幼馴染の爆烈。
 
毎度毎度、朝が弱い俺のために部屋まで起こしに来てくれるのはありがたいのだが・・・
 
爆烈「賢ちゃん! 遅刻しちゃうよ!! えい!!」
 
掛け声と共に俺の体を包んでいた毛布は剥ぎ取られた
 
ドワォ!!!※効果音です
 
賢「ギャン!!!」
爆裂「きゃあ!!」
賢「なんだなんだ!? どうした爆烈!!」
 
爆烈の視線の先には俺の股間、具体的には股間の部分にあるパジャマのテントがあった。
 
賢「…・・・そういやひさしくやってねぇもんな。」
 
ボボボボッ
 
爆烈「光(オーラ)が線になった時 目の前の物は全て・・・斬る!!!」
 
ドワォ!!
 
 
 
爆烈「賢ちゃんのバカッ 変態っっ!!」
 
爆烈は未だに今朝の出来事が頭から離れないようである。
 
賢(何も本気で切り裂かなくても…)
 
通学路を並んで歩き、そんな他愛もない会話をしながら早乙女達は学校へ向かう。
 
ザワザワ・・・
 
爆烈「なんだか校門が騒がしいね?」
生徒「大変だ!! がっ学校で大陸弾道ミサイルを発射だって!!」
賢「はぁ!? ミサイルゥ!?」
 
生徒「やめろーッ 早まるなーッ!!」
 
多数の生徒たちが校舎の前に集まり、皆揃って上を向いて叫んでいた。叫んでいた先には大型のロケットのようなものが天に向かってそびえ立っており、その隣でとても中学生とは思えないようなジジ(ry・・・ 学生が満身の笑みで立っていた。
 
爆烈「あれ・・・ 敷島先輩じゃな?」
賢「敷島先輩?」
爆烈「ホラ、【新兵器開発部】の―― 変わり者で有名な―― 」
 
敷島「ゲヘヘ! 風向き良好! 天気快晴! 絶好のミサイル発射日和じゃわい!!!」
 
狂人のような発言をしながら敷島はミサイル発射ボタンを押そうとしていた。
どうも彼には下の学生達の声は届いていないようである。
 
敷島「んでは! 発射ボタンポチッとな!」
 
ピッ
 
何かの軌道音と同時に凄まじい振動が学校に鳴り響く
 
賢「あいつ本当に飛ばす気かよ!」
 
敷島「発射ぁ!!     ・・・ってあれ? これ発射ボタンじゃなくてミサイル爆破ボタン?」
 
ドワォ!!!
 
― 学校周辺は光に包まれた・・・ ―
 
 
 
― この日 俺達にとって忘れられない毎日が始まろうとしてた ―
 
 
俺達の住む町、平安京町は600億種の生命が住む、外は時天空に囲まれた小さな町だ。
とりたて名物があるわけでもなく、あるものといえば
平安京を守護する4つの門と 馬鹿でかい御神器があるぐらいだ。
俺はこの町がけっこう好きだ。何より宇宙からゲッター線が振りそそいでいる。
テレビじゃ物騒なニュース(山の中の寺で家事があったり、高層ビルが爆破されたり)がよく流れているけど、ここにはそんなものはない。
テレビ見て、飯食って、ゲッター線を浴びて・・・
平和が一番じゃございませんかねぇ
 
爆烈「賢ちゃん 子どもの頃からずっとあの夢を見てるんでしょ? 一度病院にいってみたらどう?」
 
相変わらず例の夢を見ては泣きながら目が覚める俺を心配してか、爆烈は心配そうに話しかけてきた。
 
賢「バカ言うな!! 星よりデカイ合体ロボットの夢を見て泣きながら目が覚ますって相談しに行けってか!?」
 
もっともな話である。
中学生になってそんな夢を見ているとは、末期な邪鬼眼持ちの厨二病でもそこまでは考えないだろう。
 
爆烈「でも・・・ そうだ!! じゃあ敷島先輩に相談してみたらどうかな?」
 
満面の笑みで爆烈は恐ろしいアイデアを提案した。
 
爆烈「敷島先輩ってああ見えても凄い物知りなんだって! ね?そうしよ賢ちゃん!」
賢「ダメだダメだダメだダメだ!!! あんなトラブルと兵器の塊みたいな人間に関れるか!!」
 
駄目に決まっている。
そんなことをしたあかつきには、自分の手と握手をしながらマシンガンを発射できる兵器に改造されてしまうだろう。
賢はかたくなに爆烈の提案を拒んでいたが、
 
爆烈「・・・そう・・・ 分かった。」
 
爆烈の拳に光(オーラ)が集まる。
 
爆烈「拳が音速を超えたとき、全てのものは・・・」
 
賢「分かった分かった!!!殺さないで!!!」
 
 
―新兵器開発部―

敷島「夢だと?」
爆烈「やっぱり駄目でしょうか?」
賢(駄目と言ってくれ!!!)
 
いやいやながらつれて来られた部室。中学校の部活動とは到底思えぬ名前であり、部室内も明らかに危なそうな重火器やぱっと見、何に使うか分からないものまで壁にびっしり飾ってあった。
 
賢(ともかく、ちゃっちゃと断ってくれ敷島先輩!! あんたでも夢は専門外だろ!!)
敷島「実に興味深い!!!」
賢(何ぃぃぃぃぃぃぃ!!??)
 
早乙女の落胆を他所に敷島は、とても嬉しそうに語り出した。
 
敷島「3機の戦闘機がそれぞれ順番を変えて合体! 変形! 3系体のロボに変形する! 何と合理的で素晴らしい兵器じゃ! それが出来たあかつきには、そいつ専用の兵器をわしが開発してやる!!」
賢「そこじゃねぇよ!!! 夢自体がどうだって話しだっつーの!!!」
 
敷島の暴走を止めようと早乙女は口を挟んだ―
 
敷島「それが本当に夢ならば、な・・・」
賢「え・・・?」
 
思いもよらない敷島の発言に戸惑う早乙女であったが、そんな事お構いなしに敷島はモニターに写った地球にぽっかり開いた穴を指差した
 
敷島「これが【ストーカ01】じゃ!!」
爆烈「ストーカ01・・・?」
敷島「謎の不可侵領域じゃ!! レーダーには反応せず、此方から干渉出来ず、しかし確実に地球上の空間を侵し続けておる!! ワシの開発した兵器も尽く吸収されていきおった!」
 
機嫌が悪そうに、それでも尚、嬉しそうに敷島は語った。
 
爆烈「それじゃ今日のミサイルは・・・」
敷島「その通り!! この【ストーカ01】への攻撃用に準備してたものだ!!」
 
さも当然のように返答した敷島は、さらにこれから投入しようとする兵器を説明しだしたが、爆烈の拳で黙らされた。
 
賢「それで先輩・・・ これと俺の夢と何か関係あるんですか?っていうか、これは一体何なんですか?」
敷島「これの正体は分かっている!! つまりこの空間は【進化の果て】に?がっているのだ!! そして早乙女!! 貴様が見ている夢は正に【進化の果て】と【それに行き着くまでの過程】だ!! わはははっはははっは!!! これでまた一つ人類は究極の進化に近づく事が出来たぞ!!」
 
賢・爆烈「・・・・・・。」
 
唐突過ぎた。 突っ込む所が多すぎた。
あまりに突き抜けた敷島の話に二人して言葉を失っていた。
 
 
賢「何でこうなっちまったのか・・・。」
 
思い返せば数時間前、結局、敷島先輩の空想の手伝いをさせられるべく、新兵器開発部に強制的に入部させられることになった俺と爆烈。
敷島先輩から今日の夜中12時にこの浅間山山頂に集合するようにと言われたのに来て見れば・・・。
 
爆烈は家の周りで悪さをしていた鎧武者の暴漢退治に
敷島は警察に連行されて刑務所に
 
・・・ということでここにいるのは早乙女賢 一人のみ
 
賢「おかしいだろうが!!!」
 
誰も居ない山頂で一人賢は吠えた。
周りに虚しく自身の叫び声が響いた。
 
賢「へっ・・・。俺もおかしいぜ。あんな夢なんぞに悩まされて、結局は真夜中に一人で浅間山山頂かよ・・・。」
 
そんな独り言を洩らしつつ、賢は空を見た。
満点の星空である。吸い込まれそうなほど広い無限の宇宙を実感させるほどの数え切れない星の数。山頂に居る為か、いつもより夜空が近く感じられた。
 
賢「こんな星空からゲッター線が降って来てるんだよな・・・。 無限のエネルギー 進化の源 意思を持つ物質 人類の進化とは・・・   って、何言ってんだ俺は・・・ 」
 
シュピッ!
 
賢「ん!?」
 
満点の夜空の中、一際輝く流れ星が光った。  までは良かった。
 
シュピピピピピピッッ!!!
 
賢「なっ何だありゃ!!??」
 
一筋の流れ星は一直線の光を放って消える事無く、遥か上空をまるでUFOの様な軌道を描いて飛び回った。
 
賢「やべッ!! マジでUFOか!? 敷島先輩に連ら・・・くは出来ないか、ムショん中だもんな。爆烈は・・・って、連絡しようにもここ圏外じゃねぇか!!」
 
慌てふためく早乙女を他所に光は激しく飛び回り、そして停止した。
 
より光を増して。
 
賢「止まった・・・!?  って!!! こっちに来る!!!???」
 
ドワォオオォォォォオッッッ!!!
 
浅間山山頂に光が降り注ぎ、轟音が鳴り響いた。
 
賢「・・・ってぇぇ。何なんだよ一体。 何が降って来やが・・・ッた?」
 
吹き飛ばされた衝撃でふらふらになりながらも、落ちてきた物を確認しようとした早乙女は思わず息を呑んだ。
空から落ちてきたもの、それは黄金の竜神でもサバテック砲でもなく、
 
賢「人・・・間の 女の子?」
 
 
早乙女の目には、落下の衝撃で出来た大きな穴の中央に倒れる少女の姿が見えた。
周りを包む砂埃が薄れて行くにつれ、早乙女は自体の重要さを再認識させられた。
 
賢「羽・・・? それに真っ赤な角?」
 
落下してきた少女には蝙蝠のような羽と、頭部の左右に突き出た耳のような真っ赤な突起物が生えていた。
 
賢「これは、逃げたほうがいいな! 嫌、言いに決まってる!! 良し、逃げるぞ!!」
 
自身によからぬ事が起きると感じた早乙女は、一目散にその場を離れ・・・  ようとした。
 
賢「あれ・・・?」
 
早乙女は自分が現在どのような状態になっているかが理解できないで居た。
周りは数多の星が煌く夜空、そして遥か下には地上の光がまばらに映っている。
そして自分を抱いて羽ばたく一人の少女。
 
賢(おいおいおいおいおいおいおいおい!!!! やばいってこれ! マズいってこれ!!!)
 
早乙女は冷や汗をかきながらどうにか現状を打開しようをもがいた。
しかし、少女に強く抱きしめられ身動きが取れない状態であった。
そして少女は静かに、しかし力強く呟いた・・・。
 
???「チェンジ・・・  ゲッター1・・・!」
 
賢「え・・・?」
 
俺は、平和で普通なゲッター線を浴びる生活を送りたい。
だのに―   周りは、爆烈拳女に狂気乱舞の兵器野郎
そして夢の中からチェンジゲッターエンペラー1!!!
 
止めと言わんばかりに― 空から悪魔(未確認生物)が降ってきた。
 
― こうして ―
 
???「始めまして 私は愛玩用【ゲッターロイド】 ゲッター1【アーク】です・・・。」
 
         ― いつまでも 忘れられない日々が ―
 
アーク「手前ぇが楽しめることをなんなりとよぉ!!」
 
              ― 始まった ―
 
 
アーク「ダチ公(マイマスター)!!!!」