ライフ 第15話

Last-modified: 2010-09-12 (日) 00:23:37

信じたい 明日を
あたしは悪くない 逃げることなんかないんだ!

 

歩は希望を持ち、学校の玄関に立っていた。 内履き靴を履き、廊下を上がろうとした。
すると
“キャハハハハハっ!”ドクン!!
愛海逹の声が聞こえ、歩はすぐに壁に隠れた。
「今日、椎葉来ると思う?」
「来れるわけねーじゃん!」
すると仲間の一人、エミが歩の下駄箱を開けた。
「おっ!でも靴があるよ?」
「バーカ、あのまま逃げて帰ったんだろ?」
「上履きでぇ!ギャハハハ!マジうける!」
当の愛海は顔色変えずに携帯をいじりながらこう言った。
「あいつなんで来るワケ?学校やめればいーのに」
すると仲間の一人、チカが歩の靴を持つとそれを地面に叩きつけた。
「来たらボコボコにしてやるよん♪」
“キャハハハハハ!”
愛海逹は歩の靴を踏み潰す高笑いし出した。

 

「…………。」
一部始終を見ていた歩は吐き気を催し、学校から出ていった。
……………………………
教室では
「さっき椎葉見たよ。スゴい勢いで学校出ていった。」
「マジ!?アイツ来てたの!?」
「バッカだよねー!学校来なけりゃ逃げれると思ってんだよ」

 

すると愛海はニコニコしながらこう言った。
「さっきさぁ?朝隅高の友達にアユムの写メとメールを送ったんだ。“この子見つけたら好きにしていいよ”ってね♪」

 

!?
みんなは騒然とした。
「マナ!あんなトコに友達いんの!?」
「超こっえーじゃん!」
「朝隅高っていったらヤンキーがウジャウジャいる所よね?なかにはヤバいことヘーキでしそうな奴らが」
「面白くなってきたねー!」
……………………………
一方、歩は学校から離れた所で…。

 

げーーっ!ゲホ!
気持ち悪くなり、道の端で嘔吐していた。吐き気が治まると涙がまた溢れ返っていた。
……………………………
街のゲームセンター。
そこには朝隅高のヤンキー逹が学校も行かずに遊んでいた。

 

「アキラどうした?」
「西舘の女のツレからメールきてよ、この女を見つけたら好きなことしていいだってよ?」
「見せて。へえ?かわいいじゃん?」
「ちょっと両替してくる」
アキラと言う男は両替しに振り向いた。

 

すると、ゲームセンターの窓には見覚えのある女子高生が暗い顔をして歩いていた。
それは歩だった。アキラは歩を追い、携帯を取り出し歩の写メを撮った。
「もしかしてこいつかな?クククっ」
アキラはニヤニヤしながら去っていった。

 

……………………………
歩は公園で一人たたずんでいた。
(…決めたに…絶対行こうって思っていたのに) 何やってんの…?

 

歩はまた泣き出してしまった。涙を手で拭き取る。
(……?)
歩は手にあるリストバンドを見た。それは昨日、羽鳥からもらったリストバンドだった。

 

(あたしはばかだ!羽鳥さんが…流君があんなに励ましてくれたのに…勇気をくれたのに…)

 

歩は昨日のことを思い出していた。
“いつかはやめられるといいね”
“運命に従うのが運命なら、運命に逆らうのもまた運命ってな!!”

 

その言葉が重なる時、歩の心を一つにする。
「がんばる…わたしがんばるね…」
歩は立ち上がると一目散に駆け出していった。そう…学校に向かって。

 

すると
「ん?椎葉?」
「流君?」
学校へ向かう途中で偶然竜馬と出会った。
「お前、学校どうしたんだ?もう昼過ぎだぜ?」
すると歩は竜馬にお辞儀をした。
「流君、昨日はありがと。それがいいたくて…」
竜馬は少し顔を赤くして頬をかいた。
「ふん…。まあいい。今から学校行くけどお前も行くか?」
「うん!!」
歩は竜馬と学校へ向かった。
「大丈夫か?」
「えっ?」
竜馬は歩を見ずにこう言った。
「学校行くと安西逹が待ち構えているぞ?大丈夫か?」

 

歩は間を置いてこう言った。
「確かに怖い。何をされるかわからない。けど、人を傷つけて笑ってるようなヤツらなんかに負けたくない!
流君が昨日言ったよね?“運命に従うのが運命なら、運命に逆らうのもまた運命”。あたしが変わんなきゃ、未来が変わるわけない!」
竜馬は目をつぶり、ニヤっと笑った。
「お前、強くなったな。上出来だ。」
歩と竜馬は共に学校へ向かった。
……………………………
学校では
「マナミ」
チカが愛海を呼び、校庭に指を指した。愛海は見た先には竜馬と朝、いなくなった歩が共に学校に入ろうとしていた。

 

「………。」
顔色を変えた愛海は歩の机とイスを窓際に持ってきた。
「「!!?」」
歩と竜馬は何かに気付き、上を見上げた。
すると…

 

! ! ?
歩の机とイスが窓から放り投げられて歩逹に向かって落ちてきた。

 

ガターン!!
歩逹は避けるも机とイスが地面に叩きつけられ、砂まみれになった。

 

教室の窓にはニコニコしている愛海がいた。そして歩に向けてこう言いはなった。
あ ん た の 席 な い か ら

 

ピシャッ!
愛海は窓を締め、歩を睨み付けた。
歩は無惨に転がっている机とイスを触った。一方、竜馬もその様子を無言で見ていた。

 

教室では
「すげぇ…スゲェよマナミ!」
「必殺机投げー!ありえねー!」
「ギャハハハハハ!」
騒然とするクラス中を空気読まずに響き渡る愛海逹の笑い声。

 

「…だって…マナ…悪くないよねぇ?」
「悪くない悪くない」
「ねえ!廊下に置きっぱなしだったこのカバン、椎葉のだわ」
「んじゃこれをこれも捨てとくかー」
愛海逹はご機嫌で歩のカバンを手に取った。
次の瞬間。

 

ズ ド オ オ オ ! ド ワ オ !

 

! ! ! ?
突然、爆音と共に窓ガラスが粉砕され、天井には大穴が空いた。

 

“ヒイイイイイ!”キャアアアアア!”
クラス中はパニックに陥り、辺りは逃げ惑う生徒逹でいっぱいだった。

 

「なっ…何…何があったの?」
愛海逹は天井を見た。すると。
ドゴっ!
「ひっ!」
大穴から何かが落ちてきた。それは…。
「こっこれって…陸上の砲丸の球じゃない…」
「えっ!なんでこんなものがここに…?」
なんと落ちてきたのは重さ5キロもある砲丸の球だった。

 

「あっ……あっ…」
窓を見ていたエミが顔を青くし突然体を震えながらその場にへたり込んだ。
「えっエミ!!どーしたの?」
愛海逹やクラス中は窓の外を見た。そこには。
「あっ…あんたは…」
クラス中が見つめる先にはあの男、竜馬が狂気的な笑みを浮かべ、砲丸の球をポンポンと上に上げていた。
すると竜馬は投球の体勢に変えた。しかも目標は…。
「伏せて!」
気づいたチカが言ったが時既に遅し、
シュッ!
ズ ド オ オ オ !!
竜馬は全力で投げた砲丸の球はまるで戦車の砲弾のごとく、またもや教室の天井を突き破った。

 

“ヒイイイイイ!!”

 

またもやクラス中は大混乱に陥った。
運よく球に当たらなく、怪我人はいなかったものの、恐怖という心の傷を与えるのには十分すぎるほどの攻撃だった。

 

「あっ…あいつは化け物だ!人間じゃねー!」
「………」

 

体を恐怖で染まり、震えているクラス中に対して竜馬は笑っていた。

 

「てめぇらの気持ちはよおくわかった。そんなにこんな下らんことをしたいんならお前らの遊びに乗ってやるぜ!しかしな」

 

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ! !

 

竜馬は突然、顔色を変えた。その顔は怒りを通りこして、阿修羅のようなとてつもなく恐ろしい形相をしていた。

 

その顔を見たクラスのほとんどが恐怖と絶望に体が蝕われ、その場にへたり込み。

 

「アワワワワワ…」
「こっ…殺される…」

 

そして竜馬は体を震わせながらも見ていた愛海を睨み付けてこう叫んだ。
「少しでも俺を怒らせてみやがれ!その時は!!」

 

五 体 が 満 足 に あ る と 思 う な よ ! !

 

竜馬の威圧は学校中に響き渡る。各教室のほぼ全校生徒が竜馬の方へ向いた。

 

「………。」
愛海達は恐怖からか、竜馬から目を背けた。すると

 

「!?」
愛海達は目を疑った。そこにはさっき机をイスを落とされて呆然としていた歩が2つとも持って、教室に入っていた。
歩は自分の席に机を置くなりイスに腰かけた。

 

「あいつ…ん?」
愛海は携帯から着信音が鳴ったので中を覗いた。
“マナミ もしかしてこいつのことか?”
相手は歩の写メを撮ったあの男、アキラだった。
“そう。今 目の前にいるよ。”
愛海はアキラに送信するとニコッと笑った。

 

「アユム、これでおわりと思わないでね?」

 

歩は羽鳥からもらったリストバンドを握りしめた。

 

“あたしはここから逃げない…絶対に負けない!!”