ライフ 第2話

Last-modified: 2010-04-25 (日) 00:51:01

歩に近づく謎の物体。
暗くて顔は見えないがボロボロのコートを羽織り、マフラーみたいものを付けているらしく、それが風でなびいているのがよくわかる。
しかし、それとは裏腹にとてつもない殺気と威圧感ともいえるオーラをまとった大男だった。
 
「ゴクっ!」
歩は男が近づくたびに少しずつあとずさる。
しかし男も歩が下がると同時に近づく。
すると
「ここは日本だよな?インベーダー共と真ドラゴンはどこ行ったんだ?」
 
? ?
(なに言ってんの?真…ドラゴン…?イン…ベーダー…?)
男はさらにドスの聞いた声で問いかける。
「重陽子ミサイルは爆発したのにここは大丈夫なのか!?」ワケの分からない質問に歩の恐怖は限界点に達した。
(うっ…うわああああ!)
歩は恐怖が臨界点に達し、なりふり構わず逃げ出した。
 
「まっ!待てっ!」
男の声をかき消し、歩はすぐに学校から離れた。
 
「ちっ…!質問に答えやがれってんだっ…ん?」
 
男は歩がいた場所のに何か落ちていた。
拾ってみるとそれは歩の生徒手帳だった。
 
男は中をみるとニヤッと笑った。
「西館高校…椎葉歩…ふっ…」
その頃、歩はとゆうと…
 
「はあ…はあ…」
 
全力で逃げてきたのか体じゅうは汗だくだった。
 
「あれって…絶対夢だよね…あんなことはありえない…」
 
歩は家に着くなり、すぐに自分の部屋のベッドに倒れ込むとそのまま眠りについてしまった。
………………………
「はぁ…はぁ…」
歩は何故か真っ暗な所を全力で走っていた。
「あうっ…」
歩は足がもつれ、こけてしまった。
 
歩はなぜ走り回っているかがわからなかった。しかし、今言えることは【何か】から逃げている。それだけだ。
 
ド ワ オ
強烈な爆発音と共に、夜に現れた謎の巨人が現れた。
「ひっ!!」
歩は逃げようとするが足が固まり動けなかった。
「助け…て…」
 
すると
「命をー燃やせ!怒りをー燃やせ!今 が そ の 時 だ!喰らいやがれぇぇぇ!ゲッタァァァァヴィィィムゥ!!」
あの男の熱き叫び声が発した瞬間、歩の目の前が赤き閃光に包まれた。
「いやあああああ!!」
 
ガバッ!
歩は起き上がるとそこは自分の部屋だった。
もうとっくに朝の光が部屋を差していた。
「はぁ…はぁ…はぁ…ゆっ…夢っ?」
歩の体は汗でびっしょりだった。
 
「なんであんな夢をみたんだろっ…?」歩の心臓の鼓動がバクバクなっていた。
 
数日後
歩は身仕度をして、朝食を食べていた。
「歩、昨日夕ご飯を食べなかったでしょ?ダメよ!ちゃんと食べなきゃ」
「うっ…うん…」
 
歩の母親はとても教育熱心な人だった。心配してくれるのはいいが、最近は名門中学校へ行く妹にしか目をやらない。
(ちぇ…いつも妹ばかりみてるくせに…)
 
歩はふとテレビのニュースを見ていると
『次のニュースです。昨夜、〇市の道路上で数匹の野犬の死体が発見されました。
死体はどれも首から上を切断されていて、警察は鋭利な刃物を使った悪質ないたずらと見て、調査を続けるつもりです。』
 
(うわぁ…誰だろ?こんな酷いことをする人…?つか朝食にこんな話をしないでよ!)
歩は朝食中にこんなニュースを見たうちに食欲をなくしてしまう。
「あらまぁ、酷い人がいるわね!歩?」
「いっ行ってきます!!」
歩は朝食を残し、慌ただしく家を後にした。
「どうしたのかしら?」
歩は学校に行くと、いつもみたいに愛海の所へ行った。
 
「あっ!アユムぅ♪おはよー!♪」
「おはよー」
歩は今日もいつも通りの1日を迎えるハズだった。
 
朝礼
ガラガラっ!
「起立、礼、着席!」
歩の担任、戸田先生がいつも通りに入ってきた。
 
「おはようございます。皆さん、お知らせがあります。今日、ある生徒がこのクラスに転入してきます。」
 
ザワザワっ…
その言葉に、クラス中は驚きを隠せなかった。
「こんな時に転入生?」
「一体どんな人だろ?」
色々な言葉が飛び交う中、歩は不思議に何かを感じとっていた。
(なんだろ…なんかドキドキしてきた…)
「静かに!転入生を紹介します。入ってきていいわよ。」
 
ガラガラっ!
 
ゾクっ!
扉が開いた瞬間にクラスは一気に凍りついた。
そこにいたのは、制服が似合わない筋肉質の体格、バサついた髪、包帯がグルグル巻かれた両手、そして
「なんだアイツっ…」
「目が怖いっ…」
野獣のような瞳、威圧感のある顔はとても学生とは思えないほどの顔つきをしていた。
 
「………」
転入生は無言のまま、戸田先生の横へついた。
戸田先生は黒板に転入生の名前を大きな字で書いていた。
「紹介します。〇〇高校から転入してきた流竜馬君です、あなたも挨拶をして」
 
すると転入生はその口を開いた。
「…流竜馬(ながれりょうま)だ。それ以上は何も言わん!」
ドスの効いたその声は歩のあの記憶を甦らせた。
 
(この声…あの時の…まさかね…)
歩は首を振って我に帰った。
 
クラス中の半数は竜馬という転入生にあまり笑顔な顔にならずに見ていた。
「なんだよアイツ…、カンジ悪いな…」
「なんか恐いよね…ヤクザみたい…」
 
ギロッ!
「ひっ!」
竜馬はこそこそ喋っていた生徒達を睨みつけ、ひるませた。十分ヤクザでも通用する顔だった。
 
「静かに!時間がないんであとは流君から詳しく聞いて下さい。席は…椎葉さんの隣ね…あの女の子の横」
「……」
 
竜馬は無言で歩の隣の席へ向かった。
 
(この人が…私の隣なんて…ついてないなぁ…)
 
竜馬は席につくと歩をほうを見るなり、ニヤッと笑った。
 
歩は笑っている竜馬を見て、ゾクっとした。
(なんだこの人っ…アブナい人かも…?けど何だろ?悪い感じじゃなくドキドキする…?)
 
いつも通りの1日が始まった。
転入生、竜馬は授業中は寝てばかりで、休みも誰とも絡まず教室から出て行くだけだった。。
 
(流君…だっけ…?あの人、友達とか作らないのかな…?)
すると愛海と数人の友達が歩の方へやってきた。
「ねぇ…あの転入生どう思う?アユムの隣だけど大丈夫?」愛海は歩のことを心配してくれてたようだ。
 
「えっ…まだ一言も話してないし…」
「アイツ…何か奇妙が悪いよ…殺気立ってるし、腕とか包帯がグルグル巻きだし!」
「やっぱりぃ?アタシも思ったよ!つか顔が学生には見えないよね?年とかサギってんじゃね?」
「ぎゃあははは!それ言い過ぎ!」
 
どうやら竜馬はあんまり良く思われていなかったようだ。
(なんでだろ…?心が痛いようなっ…)
歩はなんとも言えない複雑な気分になった。
 
放課後
 
教室には歩だけが残っていた。どうやら勉強をしていたようだ。
(えっと…これがこうで…こうあるから…)
ガラガラ!
教室にだれかが入ってきた。それは転入生、竜馬だった。
 
(なっ流君だ…うわぁ…気まずいなぁ…勉強に集中しよ…)
歩は顔を上げず、勉強に取り組もうとした。
 
「おいっ!」
(ビクッ!)
呼びかけに歩は一瞬凍りついた。
 
 
(えっ…あたしを呼んだ?どうしよ!男の人とかに呼ばれたことないし、ましてやあの…)
 
「どうした?」
焦っているのか歩の体は震えていて、顔が真っ赤だった。
 
「なっ何…?」
 
すると竜馬はポケットからあるモノを取り出した。
「これ、お前んだろ?落ちてたぜ」
 
それは学生なら確実に所持しなければならない物、歩の生徒手帳だった。
「あっ!!」
 
歩は手帳を無くしたことも気付かず、焦りを隠せない。
「あっ…ありがとう…」
手帳を渡すと竜馬はニヤッと笑った。
「椎葉だっけ?一人で勉強とか立派なこった!ダチと遊ばねえのか?」
「……」
(こいつ、なんなの?うるさいったらありゃしない…)
 
歩は早く竜馬から振りまこうと無口に徹しようとした。
そんな歩を見ていた竜馬は歩に背を向けた。
「…ふっ…、どうやら俺と話したくねえみてぇだな。
まあいいさ…俺はこんなガキ共との馴れ合いはごめんだからな」
竜馬は教室のドアを開け、出ようとしたが立ち止まった。
 
「そうそう、おめえに言っておくけど、あの愛海ってアマには注意した方がいいぞ。じゃあな!」
 
「えっ?」
そうゆうと竜馬は教室から出て行った。
(どっ…どうゆうこと…?愛海に気をつけろとか…何を根拠に…?)
竜馬の不可解な言動に歩は気にしてならなかった。
 
すると
ピロリロリッ♪
歩の携帯がなり、見ると
『今から駅前公園に来て!!待ってるね♪★マナ★』
愛海からのメールだった。歩のテンションは上がった。
 
(これはうまくいったんでないかい!?『チャンスなのぉ~一緒に下着選んでよぉーっ!』とかかなぁ?)
 
歩は勉強を止めて、すぐに駅前公園に向かった。
(あたし、友達とすて、ちゃんと頼りにされてるのかな…うれしいな…)
駅前公園につくと愛海は笑顔で待っていた。
「アユム早ーい!!」
歩は全速力で走ってきたのか、息を相当切らしていた。
 
「はぁ…はぁ…で、どーなったの?カツミ君は?」
すると
「別 れ よ うって言われちゃった。」
! ?
愛海からの言葉に歩は騒然とした。
「ええっ!!?」
 
しかしそんな重大なことにかからわず、愛海は顔色一つ変えなかった。
「ワッケわかんないよねーー!理由きーても教えてくんないんだよーー?」
 
しかし愛海の顔色が少しずつ…

「…でもね、最近チュー、マナからしかしてなかったの…Hもしてくんないし、マナのこと、キライになったかもって…」
 
マナはついにそのまま倒れふせた。
「う あ ー ー ー ーんっ!」
辺りを気にせず、大声で泣きわめいた。 歩はそんな愛海を見て、心がギュッと痛くなった。
「ーー本気で…本気で悩んでたんだ…」
歩は慰めようと愛海に駆け寄るが振りほどく。
「マナ…死にたい…。」
「えっ!?何いってんの!?」
 
愛海はとても錯乱している。歩はどうにかしたいが手段が分からなかった。
 
「マナね…カツミ君のお嫁さんになるのが夢だったんだよ?大好きな人も夢もなくなって…これからなにがあんの?
な に か あ る の ! ?
…マナの気持ちなんかわかんないくせに…」
 
「……」
 
歩はあまりにも現実で何も言えなくなっていた。
 
ドサッ
愛海はいきなり、すぐそこの巨大プランターに飛び乗ると、枝をベキベキつぶし始めた。
 
「…アユムさー、協力してくれるって言ったよネ?」
 
ゾクっ!
今まで見たことのない愛海の行動に一瞬恐怖というものが流れた。
「“ゆびきりげんまん”したもんネ?」
歩は体を震えながらも口を発した。
「うっ…うん…」
 
すると歩の頭にあの言葉が脳裏をよぎった。
『あの愛海ってアマには注意した方がいいぞ。』
それが歩の苦悩の始まりだった…。
 
“指切り拳骨万回(げんまん) 嘘ついたら針千本飲ます
指 切 っ た”