ライフ 第4話

Last-modified: 2010-04-25 (日) 00:53:54

「佐古克己くんっ」歩は克己の前に立ちはだかった。
 
「なに?」
克己は昨日のことは全く覚えていないのか、平然と返した。
(…どうしよう…なにから言えばいいんだろ)
 
すると
「昨日のことだったらごめん。愛海に連絡するって言ってたのにね、色々忙しくてできなかったんだ。」
 
克己はそれだけ言うと歩から去ろうとした。
 
すると
「待って!」
歩は克己の腕を握りしめた。
「……」
 
愛海の友達が教室から出てきた。
「きょーどこ行く?」
「マック行こーぜマック!」
女子高生らしく騒いでいると
「あーーっ!」
「ナニ?」
廊下を見ると、歩と克己が一緒に並んで帰っていった。
 
「わぁお☆」
「けっこーオニアイじゃない?」
…………
帰り道
歩はふと克己を顔をみた。端正で整った顔立ち、たなびくサラサラの髪は誰から見ても憧れるような顔だった。
(…なんか、この人がモテるのわかるなぁ…愛海もホントに好きなんだろーな…)
しかしそんなことを思っている暇などなかった。愛海の件について話さなければ …。
 
すると
(羽鳥さん)
羽鳥が自転車で歩の横を通り過ぎていった。
自転車のかごには夕刊がぎっしり詰められていて、各家庭のポストに入れていった。
 
(…またバイトしてるのかな…)
「話ってナニ?」
「あっ!」
歩はあの事を言おうと決心した。愛海の身に何があったのか…、それを言わなければ話しは始まらない。
…………。
一方、歩達の後ろから少し離れた所に竜馬は考えごとをしながら歩いていた。
(こんなとこにいたって時間の無駄だな…。
ゲッター線のせいか重陽子ミサイルのせいでこんな所に行き着いちまった。とかいって帰れねぇしなぁ…。
夜の飯をどうすっかなぁ?。またヤクザから金を巻き上げるか?)
 
竜馬は歩いていると、歩達を見かけた。 「椎葉じゃねえか。あいつは…安西の彼氏の…。」
竜馬は歩達のやりとりを遠くで見ていた。
 
…………
歩は克己の前でついに口を開いた。
「愛海が…今日倒れたの……。」
「……」
愛海のことを話したが克己は全く顔色を変えない。
「愛海のこと、キライになったの?」
すると克己は間を開けずにこう放った。 「好きだよ。大切にしたいけどこれ以上は無理なんだ……。」
歩は信じられなかった。愛海が好きならなんで別れたのか…。
 
「…それじゃ…どうして…今のままじゃ…」
歩は体を震えながらも感情を引き出した。
「愛海、ほんとに死んじゃう!」
「! ? 」
ザァ…
突然大粒の雨が降ってきて、二人の体を濡らした。
 
「……あのさ、家すぐ近くなんだけど…」
歩は雨宿りするため、克己の家にいくことにした。
 
克己の父親は社長なだけあって、この物価の高い土地に大きくおしゃれな一軒家だった。
「大きな家…。お金持ちだっけ…」
歩は克己に導かれて入っていった。
 
竜馬はそのいきさつを見ていた。
「ほぉ、これがアイツの家かぁ…でけぇなぁ…しかしアイツから危険なニオイがプンプンするぜ」
 
すると
「グルルルル!」
道路上に一匹の野犬が竜馬を見つけると襲いかかってきた。
その瞬間
スパーン!
犬の首が胴体から離れたのは一瞬だった。離れた犬の首が克己の家の庭に入っていた。胴体は無残にも雨の降る道路上に転がっていた。
竜馬の包帯の巻かれた手には大量の血液がつき、それを振り払った。
 
「長雨で犬まで気が立ってやがる」
竜馬は不敵な笑みを浮かべると克己の家から去っていった。
……
一方
歩は克己の部屋へ入り、克己が着替えるまで待たせてもらうことにした。
部屋の周りを見るととても小綺麗に整頓されていて、とても出来る男だとよくわかる。
壁には愛海とのツーショットが所々に飾ってあった。
(愛海が好きなのに…なんで別れたんだろ?)
 
歩はとりあえず引き出しのタオルを使っていいと言われたので開けた。
中は非常に整頓されていて、まるで一流のホテルのようだ。
(きっ…キレーすぎる…ボロいのないかな?)
歩はタオルをめくっていった。すると引き出しの奥に、何かのアルバムを見つけた。
(なんだろ?このアルバム…?)
『My document No,2』
とかかれたアルバムは克己のアルバムだと分かった。
 
(もしかしたら別れた理由が分かるかも…ちょっとだけ…)歩は興味津々でアルバムを適当に開いてみた。
 
! ! ! ?
 
そこに載っていたのはなんと、女の子が裸の写真ばかりが貼り付けてあった。しかも縄で縛られていて、いわゆる『SMプレイ』と思われる写真がどのページにも載っていた。
歩はビックリしてすぐにアルバムを閉じた。
 
(なっっ!何これ!?雑誌の切り抜き?うそっ…克己くんて…)
タンタン
(ギクっ!)
 
階段から上がってくる音がして、すぐに例のアルバムを引き出しにしまった。
 
ガチャ!
克己が部屋に入ってきた。歩が克己のほうを見ている。
「どした?」
「ううん…べつに…」
克己がふと引き出しを見た。
「……」
すると克己はドアの鍵をかけると歩を見つめた。
 
「見 た ね ?」
「えっ?」
克己は歩を押し倒すと手で歩の口を無理やり押さえつけた。
歩は克己の顔を見た。そこには今までの優しい顔をしていた顔とは裏腹に憎悪のこもった悪魔のような顔をしていた。
「見 た ん だ ろ ?」
歩の顔が一気に青ざめた。
「ボクのことを変態って思ったんだろ!!」
克己はさらに力を入れて歩を押し付けた。
「ーーーつ!」
歩はかなり苦しそうだ。歩は手を震えながらも床に落ちていた人形に手を伸ばした。
 
ガツン!
歩は人形を克己の眉間を振り払った。
 
「はあっ…はあ!」克己の眉間から血が滲み出ていた。しかしさほど効いておらず、克己は歩を睨みつけた。
歩は恐怖でいっぱいになり、持っていた人形を克己に投げ出した。
 
「っ!!」
歩は部屋の窓を開けて、すぐに飛び降りた。
二階からだったが雨の影響で地面がクッションになり、痛みはしびれる程度ですんだ。
 

! ! ?
歩が地面を見ると、犬と思わせる生物の首が切断されて落ちていた。
歩はそれを見て恐怖の臨界点を突破。ついに錯乱した。
「いやああああああ!!」
歩は叫んだあと、その場で意識を失った。
…………
「……んっ」
歩は目を覚ました。まだ状況がわからなかったが、それがすぐに分かった。
 
「!!?」
歩は克己の部屋のなかで縄で縛られていて、口はガムテープで塞がれていた。
目の前にはハサミを持った克己の姿が…。
「!?」
歩のまた恐怖で顔が青ざめた。今度こそ危ないと…。
 
「ボクは刺激が欲しいんだ!」
克己は体を身震いしながらこう言った。「毎日毎日同じコトの繰り返し!“努力 ”して“勉強”して、あれもダメ!これもダメ!はっ!なーにが“いい子ちゃんのカツミくん”だ!」
克己は歩の横にハサミを突き立てた。
「反吐がでる!!」克己はまたハサミも持つとその先は歩のほうに向けられた。
「今度はハズさないよ!」
克己はハサミを振り上げた。歩は絶体絶命のピンチに立たされた。
 
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(殺される!)
歩は覚悟を決め、目をつぶった。
 
しかし
ペロッ…
克己は歩の顔をいやらしく舐めた。そこにはもういつものイケメンの克己ではなかった。
化けの皮が剥がれ、変態の本性をさらけ出した醜い克己がいた。
「おいちいね~!刺したりしないよ。死んだらつまんないじゃん!」
 
じょわ…
歩は恐怖のあまり、失禁してしまった。それを見て興奮する克己。
 
「まじかよ!おもらししちゃったよ!!アユム何歳でしゅかぁー!ギャハハハハハ」
完璧に弄ばれている歩。もう頭には恐怖と絶望しかなかった。
 
「ぬれてっと気持ち悪いだろ?ボクが脱がしてあげようか?」
 
しかし
克己はハサミを持って、歩の服を裂き始めた。
 
ジャキジャキ!
(イ ヤ だ)
すると
「なんだコレ?」
克己は見つけたのは、歩の腕にあった傷だった。明らかに自然でできた傷じゃない。刃物で切りつけたような傷だった。
「おい!なんだよこのキズ!」
 
(みっ見ないで!!)
歩の体がぶるぶるふるえ出す。
すると克己はニコっと笑みを浮かべた。
「自分で切ったんだろ!?」
 
歩は必死で顔を横に振った。
「いいのいいの!分かっているよ!」
克己は歩にこう言い放った。
「君もかなりの悪趣味だね」
その言葉に歩は涙を流しながら目で訴えた。
そ ん な ん じ ゃ な い !!