ライフ 第7話

Last-modified: 2010-04-25 (日) 00:43:43

“アユムゥ、裏切らないでね!指切りげんまんしたもんね”
“うっ…うん…”
歩は宿舎の部屋でうずくまっていた。
 
(こんなことしたくないのにな…でも愛海には嫌われたくないしハブられるのはやだな…あたし、嫌われるようなことしたっけ…)
 
ガラ!
部屋に誰かが入ってきた。
「愛海?」
 
しかし
ドクン!!
入ってきたのはあの忌々しい男、克己だった。
歩は体中が恐怖でブルブル震えていた。
「愛海は?」
「ふっ…ふ…フロ…」
ドクン!ドクン!ドクン!
心臓が高鳴り、息もあまり出来なくて窒息しそうだった。
 
「また遊ぼーね♪」バダン!
克己はニコニコしながら出て行った。
 
「はあ…はあ…はー…」
歩は息を切らして、うずくまった。
(息ができない…体が動かない…
逃 げ ら れ な い)
………
夜中…
歩はやはり眠れなかった。あのことで…。
 
“また遊ぼーね♪”歩は外に出ようとしていた。
周りには男女が仲良く話をしている所が見られた。どんな楽しいことを話しているのだろうか?
歩は羨ましくてしょうがなかった。
歩は涙を流しながら外へ駆け出していった。
 
(あたしだって好きな人ができたら、両思いになれたら!
一緒に好きな音楽聴いたり、映画観たり、プリクラ取ったり!)
歩は森に駆け込み、木に拳を打ちつけた。
夢 み て た
で も も う 無 理 だ よ !き っ と … あ た し … あ い つ に 犯 ら れ ち ゃ う ん だ
こ わ い … こ わ い よ …
 
歩は木の根にうずくまった。
(あいつに襲われたなんて言っても、誰も信じないよ!あたし、確実に嫌われてる!
高校入ったら新しい友達出来るかもって…ほんとは少し期待してた…仲よくしたいって思ってたのにーー…)
 
すると
パシャ…
水のはねた音がしたので行って見ると
 
! ?
そこには月明かりに照らされ、蛍が漂い神秘的な雰囲気が漂う湖があり、そこには裸で優雅に泳いでいる美少女、羽鳥がいた。
 
ドキっ…
(うわぁ…きれい…)
すると
「椎葉?」
「あっ…」
歩は羽鳥に見つかってしまった。
………………………
「ナイショね」
「え?」
「泳いでたこと」
歩と羽鳥は湖のほとりで話していた。
 
「ねぇ!羽鳥さんの下の名前、なんて読むの?」
歩は立ち上がると落ちていた小石も拾い、湖へ投げ込んだ。
すると
「未来(ミキ)」
 
歩はまた小石を拾うとまた湖の方へ投げ出した。
「…“みらい”って書くんだっけ?素敵だね!」
 
歩は下を向いて、座り込んだ。
「歩(あゆむ)なんて男の子っぽい名前…ウジウジしてるのに…ぜんぜん前に歩けてないのに…嫌いだな…流君を見習いたいよ」
「流君?」
「顔が恐い転入生。友達を作る気がないってゆーか…見た感じ一匹狼なんだけど、めっちゃ前向きなんだよね。
彼を見てると…なんか少し憧れるってゆうか…」
「ふうん…。」
 
すると羽鳥は立ち上がり、小石を拾った。
「あんた夢とかある?」
(…えっ…?)
羽鳥と突然の質問に戸惑う歩。夢など考えたことがなかったからだ。
「……あたし、高校…友達と来たいってだけで決めたし…
新しい友達ともうまくつきえないし…楽しいこともないし…」(あたしってなんにもないな…嫌われるのがこわくて!顔色ばっかりうかがって、ヤなことされてもヘラヘラして、言いたいことも言えなくて……。
腕 を 切 る こ と し か で き な く て …)
歩の目が少しずつ潤んできた。
 
「イヤだよ。こんな自分…嫌いだよ…」
歩の目には涙が込み上げてきた。
(ほんとは名前じゃないの…)
自 分 が 嫌 い な の
 
歩はまたうずくまって泣いてしまった。
すると
「すっきりしないね」
バシャンっ!
羽鳥がまた服を脱ぎ、湖に飛び込んだ。
「あんたも泳がない?
羽鳥は歩を誘ったが、歩は腕の傷が気になり入るのを躊躇した。が
「すっきりするよ!!」
その言葉に、
 
バシャアアン!
歩も服を脱ぎ、湖へダイブした。
「さっ…さむーーー!」
6月といえど、山の湖はまるで氷水のような冷たかった。
歩と羽鳥は湖の真ん中の方へ泳ぎ始めた。
「…ねえ、羽鳥さんの夢ってなに?」
歩の質問に羽鳥は振り向かずにこう答えた。
「お母さんともう一度暮らすこと」
「えっ?」
「お父さん、体弱くてさ…経済的に苦しくなって離婚したの」
 
歩は驚いた。羽鳥にこんな事情があったなんて…。だからあんなにバイトをしていたのは…。
歩は思った。羽鳥はとても偉いと…とても強いと…。
 
(恥ずかしいな…あたしなんかなんにもしていないのに…)
すると歩は何か気づいた。
“そっ…そうか!自分が嫌いなのは…なんにもないのは…
な ん に も し て な い か ら だ !!”
 
歩は星が集う夜空を見上げた。
(いつかあたしも自分のことを好きになりたい!)
 
すると夜空に一瞬流れ星が流れた。それを見た歩達はただただ魅了されていた。
強 く な り た い !!
 
歩は夜空に向けてそう思い放った。いつかはこの願いがかなうようにと…。
 
 
一方、竜馬は宿舎から離れた所で夜空を見上げて今までのことを振り返っていた。
……………………… 西暦20XX年。浅間山、早乙女研究所。
竜馬は大量のゲッターロボG軍団に旧式のゲッターロボで立ち向かおうとしていた。
「竜馬よ!!わが娘、ミチルを殺した罪はお前の命をもって償ってもらおうか!!」
早乙女研究所の最上階に立つは早乙女研究所の所長で歴史に残る一連の事件「早乙女の反乱」の首謀者、早乙女博士であった。
 
「黙りやがれぇぇ!てめぇは俺の手で殺してやらぁぁ!!」
竜馬は旧式のゲッターロボ一機で無数のゲッターロボG軍団に向かっていった。
………………………
「よっしゃ!!このまま成層圏まで一気に行くぞ!」
竜馬は訳アリのチームメイト(?)、隼人と謎の男であるゴウと共に、早乙女博士が開発した最後のゲッター、真ゲッターに乗り込んだ。
「3号機ゴウ!お前はレバーを握ってるだけでいい!!」
「……」
 
竜馬達は世界機密連合から発射された水爆以上の破壊力をもつ大量破壊兵器、重陽子ミサイルによる日本壊滅を食い止めるために今、竜馬達は吼える!
「「真ゲッターロボ、発進!!」」
………………………
成層圏で食い止めることが出来ず、大気圏へ突入するミサイルを最大出力で追跡する竜馬達。
 
「うおおおお!!なんとしてもミサイルを食い止めろぉぉ!!」
「真ゲッター2の最大スピードにかけるしかねえ!!」
「……」
 
竜馬達はマッハを超えるスピードを駆使し、必死でミサイルを追跡するが……。
………………………
「結局ミサイルを食い止められなくて、気がついたら月にいたんだよなぁ。
月で廃棄寸前のゲッターを改修して、何とか地球にいったが…どうやら、ここは俺がいた時より過去の地球のようだな…。
戻れるかどうかは知らねえが、絶対に元の世界に戻ってやる!!
隼人、インベーダー、早乙女のクソジジイ!!生きてるかどうかは知らねえが、生きているんなら覚悟しやがれ。
貴様らのせいで俺が受けた苦しみ…貴様らにも味合わせてやるからな!!」
竜馬は夜空に復讐の念を飛ばした。
  
すると
バシャン…
「ん?なんだ?」
何か水の跳ねる音がしたので竜馬はその方向へ行った。
  
一方、歩と羽鳥も湖から上がり、タオルで体を拭こうとしていた。
「あぁ!気持ち良かった!」
「なかなかいいでしょ…ん?」
  
そして
「何の音だ?誰かいるのか…ん?」
 
! ! ?
竜馬と歩達の目が合ってしまった。しかも歩達は…

キ ャ ア ア ア ー ー ー !!

歩達は急いでタオルで体を隠そうとするのに対して、竜馬は…

「てってめぇらっ!!なっ何やってんだぁ!!?」
竜馬は顔を赤くして後ろへ向けた。
 
「この変態!!スケベ!!」
羽鳥が顔を赤くして暴言を吐いた。
「何ぃ!俺はてめぇらの裸なんぞ見たくねえ!!」
 
すると
ガーン!!
「ごぅぅぅるぁぁぁ!!!なぁにしやがんだ!!」
羽鳥が投げた小石が竜馬の頭部に直撃!
「へへん!あたしらの裸を馬鹿にした罰よ!」
歩も最初は恥ずかしかったが段々と気持ちが乗って
「そうだそうだ!!もしかして流君、女の子の裸なんて見たことないんでしょ?」
歩の意外な挑発に恥ずかしながら怒鳴った。
「てっ…てめぇら、調子にのんじゃねえぞ!!」
 
歩達はその場で大声で笑い出した。さっきの悲しい表情とは大違いだった。
 
歩は思った。こんな日々が続けばいいと…。