「おいリクーム、あまり星を傷つけるなよ」
「すみません隊長~なにせ半年も眠ってたもんで、体がうずうずしてまして……」
リクームが悪びれもせずおちゃらけて言う。
「しかし、こりゃあっという間に終わっちまいそうだぜ」
ジースと名乗った赤い肌の男は、そう言うと耳に付けている機械をいじくった。
「戦闘力50ちょっとが2つ、30ちょっとが4つ……お、あっちにも戦闘力50ぐらいの奴がいる」
「この程度じゃ、体ほぐす暇も無さそうだぜ……」
「あのおもちゃがどれだけやるかだなあ」
「ああ、ロボットなんて乗ってる奴、今時いねえぜ」
特戦隊の会話を聞いていた竜馬は、ついに我慢できなくなった。
「黙って聞いてりゃこの程度だのおもちゃだの好き勝手言いやがって!!」
「すげえ武器持ってるからって調子に乗りやがって、ぶっつぶしてやるぜ!」
そういうと竜馬はゲッタードラゴンを動かした。
前に踏み込みつつ、ビーム砲を放り捨てて両手を肩に伸ばす。
「ゲッター!ダブルトマホーク!!!」
ジャキン、と両肩から巨大な両刃の斧が出てくる。
そこから出てくるには明らかに無理な形状に、特戦隊の面々も些か驚いたようだ。
「わわ!竜馬さん、無茶しないで下さい!」
Gの乗員が抗議するが、構わずトマホークを掴み、両手で振り下ろす。
「くらえ!」
トマホークが地面に刺さる。
が、そこには誰もいない。
「竜馬さん、右です!」
「うおりゃあ!」
トマホークを地面から引き抜き、右手を振り下ろす。
しかし、またも回避される。
「この……っ!」
両手でトマホークを闇雲に振り下ろすが、ことごとく避けられてしまう。
「そらっ、こっちだ!」「鬼さんこちら~~!!」
「どうしたどうした!」「かすりもしねえぜ!」
「どこを見ているのだ!」
「この……っ!小さいのが……っ!ちょこまかと……っ!」
「なら、こいつでっどうだ!!」
左手のトマホークを地面と水平にし、地面スレスレを薙ぎ払った。
これなら簡単に避けられないはず、だったが……
「!? いない!?」
どこにもいない。前後左右、トマホークの上にも、下にも。
「こっちだよー」
いた。ゲッタードラゴンの、まさに『目』の前。
高さ30mの上空に、彼らは居た。
「う、嘘だろ……」
「飛んでる……!」
「あわわ」
「終りだ」
ギニューがゲッタードラゴンに向けて手を突き出す。
その手に光が宿っていき……
「トマホォォォクブゥゥゥゥメラン!」
ゴウ、と音を立ててトマホークが特戦隊めがけて飛んでくる。
「おおっと!」
ギニューは辛うじて避けたものの、体勢を崩し、その手は輝きを失ってしまう。
「俺達を忘れてもらっちゃ困るぜ!」
「べ、弁慶、すまん……」
「落ち着け、リョウ!冷静になれば捉えられない相手じゃないはずだ!」
そこに隼人からの通信が入る。
「みんな、どうやらあいつらは……生身らしいぞ」
「生身?ってことは、武器も何も持ってないってことか?」
「そんなわけあるか!現にあいつら、ビーム撃ってるし、飛んでるじゃねえか!」
「宇宙人の体がどうなってるか知らんが、映像を見ても左耳の機械以外そういったものは
なにも付いてないし、特に異常な熱源も無い。生身以外考えられん」
「そんな馬鹿な……」
「「「「「ハーーハッハッハッハッハ!!!!!」」」」」
突然響く特戦隊のバカ笑い。
「な、何がおかしい!」
「クククッだってよー、戦闘力のこともしらねーってよー」
「どんだけ田舎もんなんだよ!」
「しかも、『冷静になれば捉えられる』?冗談キツイぜまったく!」
「こんな辺境の星じゃ、仕方ないんじゃないか?」
「ま、あんなおもちゃに乗ってるぐらいだしな!!」
「「「「「ダーーハッハッハッハ!!!!!」」」」」
それを聞いた竜馬は怒り心頭。
「あのヤロー!!もう許せねえ!!!!」
「落ち着けリョウ!!悔しいのは分かるが、それではさっきの二の舞だぞ!!」
「ぐぬぬ……!!」
「みんな、一度戻ってくれないか」
「何フ抜けたこと言ってんだ隼人!ここで退けるか!!」
「俺もドラゴンに乗る!」
「信じられないが、あいつらの強さはとんでもない……」
「実戦経験の少ない今のチームでは、とても敵わないだろう」
「だが、俺、リョウ、弁慶がドラゴンに乗れば、真のゲッターの力が出せれば……」
「あんな奴らに、負けはしない!」
「……そうだな、ああ、その通りだ!!」
「おう、百鬼帝国を潰した力、見せてやろうぜ!!」
「そういうわけだ!ギニューだかギューニューだか知らねえが、首を洗って待って居やがれ!!」
「ふん、そっちこそ逃げるんじゃないぞ!!!」