第一話「使徒と襲撃」

Last-modified: 2008-11-09 (日) 18:58:31

456 :第一話:2008/10/17(金) 23:22:06 ID:???
 セカンド・インパクトと呼ばれる事件により、世界は一度破壊された。

 それから15年。
 世界はゆっくりとだが復興した。その経過でゲッターロボと呼ばれるロボットが姿を消し、そしてゼーレと呼ばれた組織が姿を消した。
 狂った時代が過ぎてゆく。何が狂っているのかはさておいて、狂った時代が過ぎてゆく。

 真ゲッターロボ 対 新世紀エヴァンゲリオン
       第一話:使徒と襲撃

■西暦2015年。第三新東京市/特務機関ネルフ/発令区
 巨大なスクリーンに次々と映像が走る。ヒトガタとミニチュア。
 だがヒトガタはビルが歩いているような巨大さであり、ミニチュアのように見えるのは紛れもなく本物の軍隊だ。
「15年ぶりだな」
「ああ、間違いない。使徒だ」

 と碇は落ち着き払っているが周囲のゴタゴタは隠しようもない。何せ予算が無いのだ。碇、お前も貧乏ゆすりを止めろ。
 そもそもこれだけの施設を維持するだけでもどれだけ……いかん失礼した。私の名前は冬月コウゾウ。
 この特務機関「ネルフ」の副指令を務めている。

『ウヒャホ! 目標に全弾命中! 以上!』
『威力が足りん! こちら第六航空隊、牽制なんざ糞食らえだ。もっと良い砲弾寄越せ! 以上!』
 
「目標は依然健在。現在も第三新東京市に向かい侵攻中」
「航空隊の戦力では、足止めできません! 」
「パターン青、使徒です」
「厚木と入間を全部上げろ! 例の爆装まで時間を稼げ。総力戦じゃあ~!」
「出し惜しみは無しだ! 何としてでも目標をブチ殺せ!!」

457 :第一話2:2008/10/17(金) 23:24:15 ID:???
 まったく毎度の事ながら国連軍共の殺る気には辟易する。
 仮司令席で老兵達が頭の血管をブチ切って指揮するが、巨人相手には通用しない。
 だからあの巨人……使徒相手には現代兵器は通用しないというのに。我々ネルフに早々に任せろと。
 と思ったが、考えてみたら我らネルフの切り札、汎用決戦兵器人造巨人エヴァンゲリオンは現在マトモに動かない。
 それなりに動くエヴァのパイロットは実験しすぎで重傷。マトモに動くハズの方には適応するパイロットが居ない。
 元気なパイロットなら一人だけ居るが、彼女が乗れるエヴァは現在儀装を全部はがされてドイツでオーバーホール中のハズだ。
 だから今パイロットを迎えに行っているハズだが、迎えに作戦部長自ら赴くというのはどうなのかね?

 そういう役は作戦課長の彼の方が向いているのでは無いかねと碇に言ったら、すでに彼は古巣の国連軍と連動して作戦行動中だという
 許可を出した憶えは私には無い。碇はそうした指示はそもそも出さない。そもそも碇は仕事などマトモにしない。
 ともかく何とかエヴァが動くまで国連軍には頑張ってもらわ
「では予定通り発動します」

『爆破の時が一番シビれるぜ!』
『サンドイッチが一番怖い!』

「衝撃波、きます」
 イカレた声がスクリーンから聞こえたかと思うと腹まで響く爆音がとどろいた。
 というか地下シェルターでもあるこのジオフロントまで響くとは、一体何をやらかしたのだ?
「わ、私じゃないわよ?」
 技術本部部長 赤木リツコ君。別に君は呼んでいない。

458 :第一話3:2008/10/17(金) 23:24:49 ID:???
「投下したN2爆雷と地上側のN2地雷は完全にシンクロしました。N2サンドイッチ作戦、成功です」
「その後の目標は?」
「電波障害のため確認できません」
「あの爆発だよケリはついている。溶けて蒸発したんじゃないかね?」
 国連軍め無茶苦茶をやる。地形が変わっているではないか。
 国連軍司令官が「残念ながら貴様らの出番は無かったようだな」などと抜かしている。これはこれで腹が立つから困りものだ。
「映像、回復します」
 砂嵐状態から復帰したスクリーンが映したのは、体を丸めてN2爆雷に耐え抜いた巨人が立ち上がり、仁王立ちとなる姿だった。
 国連司令や参謀が何やら叫んでいるが、そもそも使徒とはそういうナマモノなのだから仕方ない。
 ATフィールドという防御膜が存在するのだと何度言えば良いのだろう。

 再度叫んだ国連軍司令と副指令と参謀の背後に黒服サングラスが音も無く立ち、首筋に何かを注射しておとなしくさせた。
 指揮権の移行か。だがパイロットがまだだと言おうとするとアラームが鳴った。そうか出前が来たか。
「確かに我々の装備では効果が無かったのは認めよう。だが君達なら勝てるのかね?」
「その為のネルフです」
 碇、いいところだけ持っていくな。

459 :第一話4:2008/10/17(金) 23:25:22 ID:???
■西暦2015年。第三新東京市/特務機関ネルフ/地下格納庫
「冬月先生、後を頼みます」
「三年ぶりの対面、か。確かにユイ君に似ているな…」
 待て碇。そのユイ君の服は置いていけ。お前の息子は間違いなく着てくれんぞ。

 さて司令らしく格好つけてエヴァ格納ケージへ降りていった碇だが、父性の発揮には失敗したようだ。
 思い切り強面を取り繕い「乗るなら早くしろ。でなければ帰れ!」と言ってみたものの、息子は素直に帰ると言い出す始末。
 流石は碇の息子だと言いたいところだが、ユイ君の息子でもあるから心境は複雑だ。とにかく彼が乗ってくれなければ人類に未来は無い。
 いや乗っても未来は無いかもしれないが。

 ともあれ北風に失敗した碇は、太陽役としてレイを呼び出した。
 綾波レイは現在凍結中のエヴァンゲリオン零号機パイロットの美少女。だが重傷でパイロットなどとても出来ない状態だ。
 だが美少女だ。包帯でぐるぐる巻きの美少女を登場させ『お前が乗らなければ彼女が乗るんだぞ…』と無言のプレッシャーをかける。
 これが碇の奥の手だったが、碇の息子は美少女レイに目もくれず格納庫の隅で震えるばかりだ。
 何があった碇の息子。

460 :第一話5:2008/10/17(金) 23:25:59 ID:???
「いやあちょっと国連軍の攻撃に巻き込まれかけたあげく、ウチの作戦課長とバギーに同乗する羽目になりまして…」
 とは葛城ミサト作戦部長の弁だ。馬鹿者、あの作戦課長と同乗など私でも嫌だぞ。
「そう、怖いのね」
 むしろプレッシャーになってるぞ。レイ。
「逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ逃げなきゃダメだ……」
「逃げちゃ駄目に決まってるでしょうが!」
 いい感じに壊れてきた碇の息子を、乱入した赤い髪の少女が、説得らしい言葉を投げかけながらボコり倒し始めた。
 エヴァンゲリオン弐号機パイロット、惣流・アスカ・ラングレー君だ。彼女は本来ドイツ支部の所属だが、同支部が予算不足で閉鎖になる為
 現在ネルフ日本本部で預かっている。が。実はまだエヴァが届いていない。

 こらこらやり過ぎだアスカ君。そろそろ返り血が凄いことになっているぞ。
「副指令、お言葉ですが、この程度のコトで死ぬなら今死なせてやった方が親切です」
 まあそれはそうかもしれんが。

 ともかく紆余曲折を経て、アスカ君の(主に肉体言語的な)説得で碇の息子は出撃を決めた。
 汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン、その初号機の初陣である。

461 :第一話6/終:2008/10/17(金) 23:26:55 ID:???
 が、免許取立ての新人エヴァで倒せるほど使徒は甘い相手ではあるまい。
 こちらはエヴァがプログレッシブ松葉杖で歩いただけで大喜びだが、相手は歩くし避けるし目から怪光線まで放つのだ。
 エヴァは見る間にサンドバックにされてゆく……やはり勝利の手段は、ただひとつしか無いのではないかな?
「……勝ったな」
「ああ」
 私の言葉が届いたのか、暴走状態に入ったエヴァは鬼神の如く松葉杖を振るって使徒を撃破した。
 だが使徒よ、勝ち目が無くなったからと言って第三新東京市のド真ん中で自爆することはなかろう?
 再建費用で頭が痛い。最近は若者だけではなく使徒までキレやすいのだろうか。
 世も末である。 

462 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/10/17(金) 23:30:11 ID:???
第一話(エヴァTV版1・2話分)以上。
こういうの初めてなんですが、すぐ「長文だから短くしてね!」エラーが出てしまう…

エヴァはアニメに沿っていますが、設定は漫画版が主体です。
ゲッターチームについては基本的にまだ出てきていないので割愛。という感じですなんですが
やはりドワオ分が足りませんか?

463 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/10/17(金) 23:32:13 ID:???

462
いや、ゲッター云々関係なしにこういうダメな雰囲気なエヴァのssって初めて見たから面白かったぞw
続きに期待してます

464 :名無しが氏んでも代わりはいるもの:2008/10/17(金) 23:40:00 ID:???

463
ありがとうござんす。いやエヴァ序盤の軽めの雰囲気を更に軽くしていったら(略)
つまり中盤以降は(以下略)。

■予告
 十五年前。南極で赤い巨人が咆哮する「見るがいい。これが貴様らが最も恐ろしがったロンギヌスの槍だ!」
 一方現代ではジャージ姿の少年が叫ぶ「スマン転校生! ワイを殴ってくれ!」
 そんな人類の葛藤を差し置き、今日も使徒は迫っていた。
 次回「慣れない、土方」 この次もサービスサービ…あれサービスなんかしましたっけ?