第四話「弐号機、来日」

Last-modified: 2008-11-09 (日) 19:01:51

497 :第四話/弐号機、来日:2008/10/21(火) 21:57:34 ID:???
「碇。ドイツ支部から弐号機と"アダム”が届いたが」
「アダムは直ぐにこちらに回せ。弐号機の艤装はどうなっている?」
「装甲の再設計中で寄越した。艤装完了は全体の30%だな。頭部・胸部・股間。この辺りか」
 ドイツ支部も予算が無いので、最後はエヴァの装甲を切り売りして予算を稼いでいた。という噂を聞いたが
 もしかして本当だったのだろうか。それと…言いにくいのだが碇
「洋上で遭遇した第7使徒ガギエルをな。護衛につけた初号機が一本釣りにしたとのコトだ」
 映像記録では、コアを突き抜かれタンカーにのし上げられた使徒をバックに、初号機がピースをしていた。
「プログレッシブ釣竿を持たせた甲斐があったな」
 原因はお前か。予算が無いのに妙なモノばかり作らせるんじゃあないッ!
「問題ない。S2機関の研究サンプルとして本部に搬入しろ」
「いやそれが検疫に引っかかって入港できんらしい」
 碇の息子といい、検疫の連中といい、そして国連軍の連中といい…妙に元気が良すぎではないか?

498 :第四話2:2008/10/21(火) 21:58:13 ID:???
数刻前/エヴァ弐号機搬送タンカー内
「どうバカシンジ。これが本物のエヴァンゲリオンよ。エヴァ弐号機なのよ…」
「そ、そうだねアスカ」
「そうよ。そうなのよ。これが本物のエヴァなのよウフフフフ……」
 タンカーの中にLCLを張った巨大なプール。そこに浮かんでいるのは、顔の他数箇所だけに装甲を施した巨人。
 エヴァンゲリオン弐号機。本部で得られたデータを基に量産前提で設計・完成された、いわば先行量産型モデルである。
 安定性・性能・量産性・赤い塗装。全てが高レベルでまとめられた正式版。本機から見れば零号機や初号機など
 突貫設計された試作機、いや欠陥モデルに過ぎない。
 そのハズだった。
『…このタンカーに来た当初。アスカは絶好調だった』
 シンジは思う。いつも絶好調な気がするけど、それにも増して絶好調だと思う。
 惣流・アスカ・ラングレー。
 幼い頃からエヴァパイロットとなるべく訓練を受けたエリートなのだと誇らしげに語る彼女。
 エヴァのパイロット。僕にとっては重荷でしかないその役割も、彼女にとっては名誉そのものなのだろう。その名誉を果たせず、
 あまつさえ中途半端な僕の姿ばかり見せられていた、そんな屈辱の日々からようやく解放されるのだ。
 と思っていたのにこの扱いなのだから、ダメージは計り知れないのだろう。きっと。
 エヴァ、か…………

499 :第四話3:2008/10/21(火) 21:59:33 ID:???
「ああ。装甲は今改装中でな。凄いぞ、実戦から得られたデータをフィードバックして一から再設計してる最中でな」
「でも普通、そういうのって施設でやるんじゃ……」
 船室。立て板に水の加持の言葉にシンジがボソりとツッコむ。
「鋭いね。実は予算が無くて、老朽化した装甲剥がしたままなだけなんだ」
 加持の一言にアスカは無言で立ち上がると、船室の外へ走り出てゆく。シンジは加持に一礼してから後を追った。
 後に残ったのは、シンジ達の護衛として付いてきた神隼人と、そして加持リョウジだけだった。
「済みませんね。男30年もやってるとどうも正直者になってしまいまして」
 加持の言葉を早とは聞き流す。
「加持リョウジだな?」
「光栄ですね。英雄ゲッターチームの一員、神隼人 大佐に名前を知っていて頂けるとは」
「冗談は要らん」
 おどけてタバコに火を付ける加持リョウジ。
 三十路男のやや疲れたような雰囲気と、いつも面白げな少年の姿が重なるような、そんな男だ。
 エヴァ弐号機の引渡し役としてネルフ・ドイツ支部から来た男である。
「単刀直入に聞こう。貴様まだゼーレと繋がっているな?」
 ドイツ支部。それはゼーレの首魁 キール・ローレンツのお膝元であった場所である……。

500 :第四話4:2008/10/21(火) 22:00:11 ID:???
 再びネルフ司令室。結局第7使徒のボディは、日本より検疫が甘いアメリカの支部へ移送させるコトになった。
「やれやれ。ともかく弐号機アレをドイツから取り寄せるコトが出来たな。碇」
「ええ。冬月先生のおかげでどうにか予算の目処立ちました」
「慣れぬ土方と書類仕事のせいで腰が痛いよ。こういう時は委員会が居てくれたらと思うがね……」
 人類補完委員会……すなわち秘密結社ゼーレ。
 本来はネルフの母体だった組織、古くより人類の闇に潜んでは歴史を動かしてきたとされる結社。だが今は亡い。
 彼が、現ネルフ作戦本部特殊作戦課長である神隼人君が、13年前に組織の中枢部を破壊したからだ。
 その後、碇が長い時間をかけて組織そのものをバラバラにしていった。
 …我々の補完計画にとって邪魔な存在であるコトも事実だからな。
 神隼人とゼーレとの確執。
 彼が所属していた浅間山の研究施設。日本、いや世界のロボット工学最高峰と呼ばれた早乙女研究所。
 十五年前に起きたセカンドインパクト。
 十三年前に起こった日本海戦争。
 黒い海。
 浅間山事件。
 ゲッターロボ。
 その全てが今回の事件に関係が有るわけではない。故に記録に残すつもりも無い。
 ただ事実は、ゼーレが彼から全てを奪ったこと、そして彼がゼーレを滅ぼしたこと。ただそれだけだ。

501 :第四話5:2008/10/21(火) 22:03:03 ID:???
「その委員会ですが、地下組織として再建されつつあるという情報が入りました」
「ほん……いやそうか。なるほどな」
 本当か、と問い返すことに意味は無い。この男はこうした場では嘘は言わん。
「ならば急がねばならんか」
 アラームが鳴る。ロックを開くと、トランクを持った男が待っていたように進み出た。
「お久しぶりです碇司令。コイツのおかげで波乱の船旅でしたよ」
 男、加持リョウジがトランクを机の上に載せた。相変わらず喰えん男だ。
「こんなになっていても自分らの親だと解るんですかね」
「奴らの考えが解るようなら苦労は無いのだがな」
 言って碇の奴がトランクのロックを解放する。白い蒸気が机を揺らし、入っていたのは琥珀で固められた胎児のようなモノ。
「既にここまで復元しています。…で固められていますが、間違いなく生きています」
「ああ。人類補完計画の要だからな」
 最初の人間、アダム、か。…ところでよく聞き取れなかったが何で固めていると言ったかね?
「凍らせたこんにゃくゼリーです」
 食うな碇。

毎度レスを本当にありがとうございます。ところで俺はゲッター対エヴァンゲリオンを書いていたハズなんですが…
俺が何を書いてるのか解らないよカヲル君!