Getter ALTERNATIVE 01

Last-modified: 2008-12-09 (火) 02:03:44

・・・・・・
「・・・夢じゃあ・・・なかったんだな」
目の前に横たわる戦術機、激震。この光景を白銀武は覚えている。
三年前、これとまったく同じもの見た記憶がある。
「いったいどうなってんだ?また・・・繰り返しているのか?」
“そうだとしてもまずは街の様子を見に行くのがよさそうだ”
白銀は部屋に戻り、元の世界で着なれた制服に着替え街に出た

 

「・・・どうやら現実みたいだな。ということはやっぱり同じ時間を繰り返してるのかオレは?」
柊町は白銀が持つ『前の世界の記憶』同様廃墟同然であった。それは自分が再び同じ時間を繰り返している可能性が高いことを示しているように思えた。
もしそうだとすれば、今この時点から二年後にあることが起こることを彼は知っている。
オルタネイティブ5の発動、人類の地球の破棄。
それは絶対に阻止しなくてはならないものだ。
白銀は自分がオルタネイティブ4を成功させるために戻ってきたと感じ始めていた。
「オルタネイティブ4を成功させるには・・・まずは基地に・・・そうだ、先生に会いに行こう。」
彼の足は国連軍横浜基地――元の世界では白陵柊学園だった――に向かっていた。

 

「ん?なんだあれ?空に渦が巻いている・・・?」
空には渦巻が浮かんでいた。前の世界で彼はそんなものを見た記憶はない。
それ以前に空に浮かぶ渦自体が自然現象とは思えなかった。
しばらく渦を眺めていると渦から何かが出てきた。
「戦術機?いや、それにしては大きい・・・」
渦から出てきた物体は赤い巨人だった。そしてその大きさは戦術機の倍はあろうかというものだ。白銀はそんな機体を見たこともないし、聞いたこともない。
そんな風に考えをめぐらすうち、謎の物体は白銀のいる方向へ落下しはじめていた。
「こっちに落ちてきて・・・る?」
間違いない。それはまっすぐこちらに向かってきていた
「な、うわぁあああああ!?」
思わぬ事態に彼はひとまずその場を離れることしか考えつかなかった。

 

そして大地を揺るがすがごとき衝撃。その衝撃は白銀を容易く数メートル先へ吹き飛ばした。
「いつつ・・・。いったいなんだってんだ?」
謎の機体の墜落にモロに巻き込まれることはなかったが、落下の衝撃で吹き飛ばされ地面に叩きつけられた痛みはあった。
しかし数メートルも吹き飛ばされ、挙句地面に叩きつけられても軽傷ですんでいることは記憶だけでなく、前の世界で鍛えられた肉体も引き継いでいることの証拠だった。
「前の世界でみっちりしごかれたおかげだなコリャ。ん?」
墜落した機体の方を見ればハッチが開いて中から人らしきものが外に出てきていた。遠目に見るかぎり彼らは何か言い争いをしているようだった。
その内容を聞き取るため、白銀は謎の機体に近づいてゆく。
「どういうことだ隼人!あの渦を通れば研究所に戻れるんじゃなかったのか!」
「知らん!だがどういうわけかゲッター炉心が停止している。それが関係しているのかもしれん」
「まぁまぁ、落ち着け二人とも。とりあえず現状を把握しようぜ?」
「ああ、弁慶の言う通りだ。竜馬、まずはココがどこなのかを知るべきだ」
「わぁかったわかった!しかし、ココはドコだ?元の世界に似ているが少し違うような?」
「そうだな。周り一面廃墟とは妙だ。それに上空からはロボットの残骸のようなものが見えたが、あんな機体は見たことがない。少なくとも元の世界ではないようだな」
“・・・元の世界?あの人たちもオレと同じように違う世界から来たのか?”
彼らの会話から気になるフレーズを聞き取りどうにかコンタクトをとろうとさらに白銀は近づく。すると向こうもこちらに気づいたのか弁慶と呼ばれていた人物が白銀に声をかけた。
「おおい、そこの坊主!ココがどこか教えてくれないかー!」
「あ、は・・・はい!」
白銀が返事をするやいなや、数メートルはある高さをものともせず三人は飛び降り、白銀の目の前に来た。
武「!?」
その様子に面食らった白銀をよそに隼人が声をかける。
「まずは自己紹介しておこうか。オレは神、神隼人。こっちが流竜馬、そしてこっちが武蔵坊弁慶だ。」
驚きを隠せぬまま白銀もつづいて自己紹介をする。
「はあ。オレは白銀武です」
「よろしくなタケル。流竜馬だ」
「武蔵坊弁慶だ。よろしく」
軽く初対面の挨拶をかわしたあと、隼人が口を開く。
「早速だが質問だ。ここは何処だ?周りが廃墟なのはどういうことだ?」
「えっとココは・・・」

 

白銀は三人にこの世界の現状、BETAと人類が戦っている事情を話した。
白銀が話している間、三人は黙って聞いてくれていた。
“やっぱり驚いているのかな?オレも最初は驚いたもんな。無理ないよな”
しかし白銀の予想を裏切り3人は交互に白銀の話の感想をもらす。
「この世界にも人間の敵がいるみてぇだな」
「ああ、だがオレたちの世界とちがって人間はかなり追いつめられているようだ」
「BETAか・・・。鬼退治の次は宇宙怪獣退治か?」
“あ、あれ?あんまりおどろいてない?むしろこんな状況が当たり前って感じだな・・・。
これはオレからも質問しないと。“
少々疑問はあったがそれ以上に白銀には聞きたいことがあった。
「え、えっと、竜馬さんたちは『元の世界』とか言ってましたけど、まさか竜馬さんたちも違う世界から来たんですか?それとあの機体は何なんです?」
白銀は自分と同じく別世界の人間であろうこの3人の事情が気になっていた。
「俺達も?お前もココとは違う世界の人間かぁ?まぁそれはいいや。そうだ、俺達はおそらく違う世界の人間だ。そしてコイツはゲッターロボ。この世界に来るまでコイツで鬼と戦ってんだが・・・。」
竜馬が答えたあと、それにつづく形で隼人が説明する。
「敵の大将をやったと思って渦を通ってきたら元の世界ではなくココに行き着いたワケだ。しかもゲッターの・・・このロボットの炉心が何故か停止してしまった」
「そうですか・・・」
ゲッター。初めて聞く名だった。その後の隼人の説明で戦術機とは全く異なるものらしいことと、その力の大きさに白銀は驚くばかりだった。
話がひと段落したあと、ふいに弁慶が白銀に尋ねた。
「そういや白銀もこの世界の住人じゃないのか?俺達に質問するときに、あんたたち“も”っていってたが?しかしそうだとしたらやたらとこの世界に詳しいみたいだな?」
「あ、それは」
とりあえずこの三人には自分の事情を教えてもよさそうと判断した白銀は自分の事情も説明することにした。

 

「オルタネイティブ計画か・・・。この世界の人類はギリギリまで追い詰められてしまっているみたいだな」
「はい。でもその人類を救うのがオレの役目だと思うんです。できれば竜馬さんたちにも協力してほしいんですが・・・」
今はなりふりかまっている場合ではなかった。協力してくれる人間は多いにかぎる。それに彼らは自分と同じ別世界の人間、協力を頼むにはもってこいだった。
「どうする?隼人、弁慶。元の世界に帰る方法がわからない以上、タケルに協力して方法を探してもいいと思うんだが?」
「そうだぜ隼人。なんとか白銀に協力してやらねぇか?珍しく竜馬が良いこと言ってるんだしよ」
「うっせぇ!クソ坊主!」
竜馬と弁慶は協力に賛成のようだ。残るは隼人のみ。
「・・・いいだろう。オレ達でよければ協力しよう。それにその夕呼先生とやらを利用できればゲッターの修復ができるかもしれん。協力しよう武」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
“やった!協力してくれる人がいてくれるのがこんなな心強いことだなんて!”
こうも易々と協力者を得ることができ、白銀はこの世界で人類を救うことができそうな気がしていた。
「それじゃあまず基地に行って夕呼先生とやらに接触しなくてはな。基地に案内してくれ武」

 

国連軍横浜基地。白銀は懐かしささえ感じていた。いやそれ以上にココが基地であるのが当たり前な気もしていた。
門の前で4人が立っていると門兵2人が近づいてきていた。
「何をしてるんだ?」
「外出してたのか?もの好きな奴らだな」
「そら、許可証と認識票を出してくれ」
このやりとりも憶えていた。しかし今の自分たちは許可証も認識票も持っていない。
だがこのままでは営倉に入れられ数日の時間をロスしてしまう。
何かいい考えはないか白銀は思案を巡らせた。その時竜馬が前に出る。
“あれ?竜馬さんいい考えでもあるのかな?”
「あ?んなもん持ってねぇよ」
「え!?ちょ、竜馬さん!!」
あまりにも正直すぎる言葉に白銀は焦りだす。このままでは営倉いりしてしまう。
そんな状況でさらに隼人が言う。
「それより香月博士に会わせてもらおうか」
「は、隼人さんまで!」
「お前ら何者だ!」
門兵二人が銃を突きつけてくる。当たり前である。許可証も認識章もないのにこの基地の副司令に会わせろと言っているのだ。
この状況に白銀はなかばヤケになりながらも口を開く。
「と、とにかく香月博士に会わせてくれ!」
「ここに香月博士がいるんだろう?いいから会わせてくれないか?なあ?」
後半のセリフは弁慶に取られてしまったが白銀も要求を突きつけることができた。
その様子に門兵は不審感をあらわにする。
「なんなんだお前らは?」
「だからいいから会わせろって!痛い目みたくねぇなら今のうちだぞ?」
「やめろ竜馬。そうだ、さっき街に落ちた物体の正体を知りたくないか?」
これ以上は白銀にとって面倒なことになると察したのか、隼人はゲッターを交渉材料に使うことにした。
“あ、流石隼人さん!ゲッターのことを夕呼先生は知らない。でも夕呼先生ならきっとあれに興味を持つ。オレの話だけで夕呼先生の性格を把握したのか、隼人さんは”
「・・・わかった。博士に連絡してみよう」
謎の物体の落下の調査の指揮を香月博士が執ることになるのを門兵たちも知っていたので、隼人の一言は効果的だった。
無線で内部と連絡をとったあと、門兵はすぐに博士が来ることを4人に伝えた。
「すげえ。前は拘束されて数日営倉に入れられたのに・・・」
「よかったな!白銀!時間を無駄にしなくてすみそうじゃないか」
「ええ、3人がいてくれてホント助かりました。ありがとうございます」

 

しばらくして香月博士が姿を現す。
4人の様子をざっとみたあと、即座に質問する。
「あんたら、街に落ちたアレについて知ってるんですってね?」
「ああ、だが流石にここで話していいものではないな。それに・・・」
隼人が答える。
博士が来る前に4人で相談した結果、博士の相手をするのに隼人が適任と白銀が言ったからだった。
「それに?」
博士はまだ4人を警戒している。
「要件はそれだけじゃない。この基地の、いやあんたの研究についての話もある。まずはゆっくり話のできる場所に入れてもらおうか?」
「・・・」
隼人の言葉に一層警戒心を強くする香月博士。
その様子をマズイと判断した白銀は思い切ってみることにした。
「先生・・・研究進んでるんですか?オルタネイティブ5、やばいんじゃないですか?」
「―――!?」
思わぬ言葉に驚く博士。その様子に門兵が口をはさむ。
「博士、コイツらどうします?」
しばしの沈黙のあと、博士は門兵たちが思いもしないことを言い出した。
「いいわ。彼ら私の知り合いよ」
「えっ?」
「ごめんなさいねぇ・・・今思い出したのよ。アレの調査に知り合いが来るって」
「ですが先ほどまで・・・」
「だから迎えにきたんじゃない。連れて行っていいわよね?」
「し、しかし!」
博士の言葉に釈然としない門兵たち。そこに竜馬と弁慶がとどめをさす。
「だぁもう!博士がそう言ってんだからそれでいいだろが!こまかいことは気にすんな?な?」
「そうそう。やっと博士も思い出してくれたしな!」
「りょ、竜馬さん!それに弁慶さん!」
その言葉に少々焦る白銀だったが、思いのほか彼らの言葉は門兵に効いたようだった。
門兵「・・・・・」
夕呼「じゃ、そういうことだから連れて行くわね」
こうして4人は香月博士に連れられ基地内に入って行ったのだった。

 

「それにしてもあいつらの格好なんだったんだ?1人はここの制服だったがあとの3人は・・・」
「香月博士の知り合いだっていうんだから変わってるんだろ」
「そうだな。博士も少々変わってらっしゃるものな。」

 

夕呼の特務室。4人は数時間にわたる検査のあとようやくこの場所に入ることができた。
「どんだけ血をとるんだよ。ミイラになっちまうところだったぜ!」
「なんだ竜馬ぁ。お前注射苦手だったのかぁ?」
「俺は先端恐怖症なんだよ!だがやっと話を聞いてもらえそうだな」
「ああ、そういやあの香月博士ってどっかミチルさんに似てないか?」
「そう言われてみればそうかも知れんな。だったら弁慶、あの鬼女にやったのと同じことして痛い目みるなよ?」
「余計なお世話だ!」
「おい、二人とも。どうやらやっこさんが来たようだ」
4人が部屋に入ったしばらくたち、夕呼がようやく姿を現した。
「さて、単刀直入に聞くわ。あんたたちの目的は何?そして街に落ちたモノは一体何?」
その眼差しには強い警戒心がやどっている。
無理もない。
どこの誰とも知らない人間がオルタネイティブ4のことを、さらにはオルタネイティブ5の全容さえ知っているのだ。
警戒しないという方がおかしい。だが武たちはこの人物から信用を得ねばならない。
それがこの世界を救うために必要なことだからだ。

 

・・・
武たちはひととおり夕呼に話した。
その話を聞いた夕呼は未だ半信半疑といった様子だった。
「そう・・・にわかには信じがたい話だけど・・・あの機体はどう考えてもこの世界のモノじゃないから、信じるしかないわね」
「じゃあ信じてくれるんですね!?」
おもわず白銀は叫んでしまう。
そんな白銀を横目で見つつ夕呼は自身のデスクに近づき答えた。
「ええ・・・とりあえずはそこの3人の言うことはね。でもシロガネタケル、あんたのことまで信用したとは言ってないわよ?」
夕呼は言い終えるやいなや武に向って拳銃の銃口を突き付ける!
その行動に武は驚き吠える。
「な、なぜです?なぜオレのことは信用してくれないんです、先生!」
「そうだぜ!俺らは信じてコイツは信じねーってのはどういうことなんだ!!」
夕呼の行動に武だけではなく竜馬も食いつく。
だがそんなことは関係ないとばかりに夕呼は言い放つ。
「なぜシロガネだけ信じない?そんなの証拠がにからに決まってるじゃない。
あんたら3人はゲッターっていう疑いようのない物的証拠があるけどコイツにはそんなものはない。
妄想と切り捨てられるようなことを言ってるのに、それをオレの言うことだけを信じてくれーっていう方が無理にきまってるじゃない」
「そ、それならオレの部屋にあったものが証拠じゃないですか!」
「あんたの言っている家の調査もしたけど、何もなかったそうよ?」
「・・・っ!そ、そんな・・・?」
狼狽する白銀に夕呼はある写真を見せた。
その写真に写っているのは廃墟だった。そしてそれが白銀の部屋だった場所だというのだ。
白銀はわけがわからなかった。
自分は部屋ごと元の世界から飛ばされたはずなのに、いまや部屋はこの世界の状態に戻っていたのだった。
「さて・・・これであんたを信用する理由がないのは分かった?
それじゃあ本当のことを言いなさい。返答しだいでは・・・分かるわよね」

 

「・・・それが先生の望みですか。
オルタネイティブ5が発動して十億の人間が滅ぶのを待つだけなのが・・・
違うでしょう!オルタネイティブ4を完成させるのが先生の望みでしょう!
オレは・・・オルタネイティブ5なんて認めない。
4を成功させて、人類を救うんだ!
そのためにオレは戻ってきたんです。いや戻されたんだ。
だから信用してください。今はそうとしか言えません・・・!」
白銀が言い終えたあとも、夕呼の銃は未だ白銀をとらえていた。
その様子に竜馬はもう耐えられないといった表情をした後、すぐに口を開いた。
「夕呼先生よぉ、こいつの言ってることを信用できねぇのはよくわかった。
だけどなぁ、コイツは絶対に嘘なんざついちゃいねえ。」
「なぜそんなことが言えるのかしら?」
「そんなの簡単だ。コイツの表情や眼を見りゃわかる。
嘘をついてるヤツがあんな必死そうなカオをするかよ。あんな眼ができるかよ。
少なくともオレたちはコイツのことを信じた。
だから、先生、コイツのことを信じてやってくれねえか?」
「あら?感情論?そんなモンであたしが信じると思うの?」
竜馬と夕呼のやり取りを見て、隼人も口をだす。
「それでも白銀のことを信じてはもらえないか?
オレもコイツが嘘をついてるよは思えない。
それにコイツが言っていたこと嘘だと切りすてられるものじゃないってことがあんたには分かるんじゃないのか?」
隼人の言葉に夕呼は少しだが反応していた。
「難しいことはオレにはわかんねぇ。だけど白銀のこと信じてやってくれ!」
「お願いします。先生!」
弁慶は夕呼にたいし頭を下げ、つづいて白銀も頭を下げる。
それを見た夕呼は大きなため息をひとつつき銃をおろした。
「はぁ・・・銃でもつきつけりゃあボロがでると思ったけど、本当みたいね。
いいわ、シロガネ。あんたのこと信用したげるわ」
その一言に白銀は眼を見開いた。
「本当ですか先生!」
「同じこと2度も言わせる気?」
「じゃあとりあえずあんたの側に白銀は置いてもらえるんだな?」
竜馬が確認する。
「そうね。とりあえずは白銀を側においてあげる」
「あ、ありがとうございます!」

 

その後白銀は前の世界のことをさらに詳しく夕呼に説明した。
自分にセキュリティパスの権限をくれたこと。
そして自分を前の世界の夕呼はこの基地の第207衛士訓練小隊の訓練兵としたことを。
「なるほどね・・・それで、あんたたち3人はどうするの?」
夕呼の問いに隼人がすかさず答える。
「俺達はゲッターのパイロットとして白銀と同じ訓練兵にしてもらおうか」
だが隼人の答えに弁慶が異をとなえつ。
「だけどよ隼人?ゲッターはこの世界にあるはずのない機体なんだぜ?
しかもゲッター炉心は停止してるしよ。ゲッターのパイロットってのは無茶があるんじゃねえか?」
「そうだぜ。ゲッターは動かねぇんだ。動かない機体のパイロットの訓練兵なんてのは怪しまれるぜ」
「そうですよ。それにいくら協力してくれると言っても3人がオレにつきあって訓練兵にまでならなくても・・・」
さらに竜馬、白銀たち2人も反対する。しかしそんな3人を尻眼に夕呼は隼人に続きを促した。
「確かに3人の言うとおりゲッターはこの世界に元々存在しなかったものだ。
しかも動かないと来ている。
だがあまりこの世界の上の連中に弄りまわされると都合が悪い。
そこであんたの力を借りたいワケだ」
「あたしの力を?で、一体それがあなたたちも訓練兵にすることと何が関係あるのかしら?」
「具体的にはゲッターをオルタネイティブ4計画で作られた新型兵器という扱いにしてもらいたい。
そして俺達3人はそのテストパイロットってことにもな」
「なるほど・・・だからあんたたちも訓練兵に組み込むのね?」
「そうだ」
どうやら2人の間では話がまとまったようだった。
「え?先生どういうことですか?話が全く見えないんですが・・・」
「そうだ隼人!俺にもわかるように説明しろ!!」
「全然わからんぞ!」
だがほかの3人は理解しかねていた。
「なによお。あんたたち察しが悪いわねぇ・・・こいつと仲間じゃないの?
いいわ。じゃあ代わりに説明してあげましょう」
その様子に夕呼は呆れながらも説明する。

 

「いい?さっき神が言ったようにゲッターをオルタネティブ4に絡ませないとゲッターは国連のどっかの研究所に解析のためおくられてしまう。
そうなるとゲッターに乗ってたあんたたちは手を出せなくなるわよね?
でもオルタネイティブ4絡みにすれば責任者であるあたしの管轄になるワケ。
それは、つまるところゲッターはこの基地に配備されるってコト。
そしてゲッターのテストパイロットならゲッターと同時期にこの基地は配属されてもおかしくない」
「それならなんで俺らまで白銀と同じ訓練兵になる必要があるんだ?」
「それは俺たちも戦術機とやらの衛士になるためだ。」
夕呼の説明に竜馬が口をはさむが、即座に隼人が説明を引き継ぐ。
「ゲッターは香月博士に協力してもらい、俺がどうにか動くようにする。
だがそれはどれだけ時間がかかるかわからん。
最悪直らんかもしれん。
その場合も考え、白銀に協力をするためにも俺達3人が戦術機に乗れるようにするのは悪くないだろう?
さらにはこの世界の現状とBETAについておまえらも勉強できるからな」
「それにあんたたち4人を一か所に集めとけば監視もしやすいしねー」
「なるほど、確かにいい案かも知れませんね。
竜馬さんたちの身体能力なら戦術機も問題ないでしょうし・・・」
「だけど勉強かぁー!俺はそういうの苦手なんだけどなぁ」
隼人と夕呼の説明で白銀と竜馬は納得したようだ。
だがそんな中・・・。
「zzz・・・」
弁慶だけは爆睡していた。
「香月博士・・・さっきの銃を貸してくれるか?」
その後、夕呼の特務室から銃声が一発聞こえたそうだ・・・。