【Index】
- 新しいライセンス管理方式
- ダウンロード
- 新PC導入チェックリスト
- オーディオファイル入力
- MIDIファイル入力
Cubase(キューベース)は、ドイツのSteinberg社が開発したDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)ソフトウェアで、音楽制作を包括的にサポートするツールである。
作曲、録音、編集、ミキシング、マスタリングなど、音楽制作のあらゆる工程をCubase上で完結できる。
オリジナル・サイト:Cubase | 音楽制作のすべてをカバーする DAW | Steinberg
Cubaseの特徴:
- 幅広い音楽ジャンルに対応:
- EDMからオーケストラまで、様々なジャンルの音楽制作に適しています。
- 初心者からプロまで使えるインターフェース:
- 直感的な操作性で、初心者でも扱いやすく、プロの現場でも活躍できる機能が豊富に搭載されています。
- 充実した機能:
- MIDI編集、オーディオ編集、プラグインの追加など、音楽制作に必要な機能が網羅されています。
- 高い拡張性:
- VSTプラグインを導入することで、さらに機能を拡張できます。
- Steinberg社製:
- Steinberg社はVST規格の開発元であり、CubaseはVSTプラグインとの親和性が高いです。
- ヤマハの傘下:
- Steinberg社は現在ヤマハの傘下にあるため、ヤマハ製品にCubaseの廉価版が付属していることもあります。
新しいライセンス管理方式[2025-08-09]
📌 旧方式からの変更点
- USB-eLicenser(ドングル)廃止
- インターネット経由で Steinberg ID によるオンライン認証
- 複数PCへのインストールOK(ただし同時アクティブは最大2台まで)
🔑 仕組み
- Steinberg ID(メールアドレス+パスワード)を作成・使用
- Steinberg Activation Manager(SAM) でライセンスを管理
- アクティブ化/非アクティブ化はSAM上でワンクリック
- インターネット接続が必要(ただし一度認証後はオフラインでも一定期間使用可能)
🖥 利用可能台数
- 1ライセンスにつき 最大2台まで同時アクティブ化可能
- 例:自宅PCとノートPCで併用OK
- 3台目で使う場合 → どこか1台をDeactivate(無効化)して切り替え
📦 移行が簡単に
- 別PCにCubaseをインストール → SAMでログイン → 即使用可
- ドングルを物理的に差し替える必要がなくなった
- ライセンス紛失の心配がほぼゼロに
⚠ 注意点
| 項目 | 内容 |
| ネット接続 | アクティブ化時は必須 |
| 同時使用 | アクティブ化した2台まで |
| 古い製品 | Cubase 11以前や古いプラグインは従来のUSB-eLicenserが必要 |
| アカウント共有 | 利用規約上、他人とのID共有は禁止 |
🆚 旧方式との比較
| 項目 | 旧方式(USB-eLicenser) | 新方式(Steinberg Licensing) |
| 認証方法 | 物理USBドングル | オンライン認証 |
| 台数制限 | ドングルを差せば無制限 | 最大2台まで同時使用 |
| 利便性 | ドングル必須・紛失リスクあり | 物理的制限なし・移行簡単 |
| オフライン使用 | 無期限可 | 認証後、一定期間可(定期的な接続推奨) |
ダウンロード
ライセンス管理とダウンロード(インストール)は、Steinbergではほぼ別系統の仕組み
| 項目 | ライセンス管理 | ダウンロード/インストール |
| 役割 | 製品を使える状態にするための「権利」管理 | 実際のソフトや音源データをPCに入れる |
| 管理ツール | Steinberg Activation Manager(SAM) | Steinberg Download Assistant(SDA) |
| 必要なタイミング | 新規アクティブ化、PC切替、ライセンス解除時 | 新しいPCや環境構築時、コンテンツ追加時 |
| オンライン必須か | アクティブ化・解除時のみ必須 | ダウンロード時は必須、インストール後は不要 |
| 関連性 | ライセンスがないと起動できない | ダウンロードしないとそもそも動かない |
Cubase 12 新PC導入チェックリスト
① 準備
- Steinberg ID とパスワードを確認
(忘れている場合は公式サイトでパスワード再設定)
- 旧PCがまだ使える場合は、Steinberg Activation Manager(SAM)でCubaseをDeactivate(無効化)
→ これでライセンス枠を開放できる
- 外部ストレージ(USBメモリやHDD)を用意して、必要なら設定やプリセットをバックアップ
- Documents\Steinberg\Cubase 12
- AppData\Roaming\Steinberg\Cubase 12_64
- プロジェクトフォルダ
② 必要ツールのインストール
- 新PCでSteinberg Download Assistant(SDA)をダウンロード&インストール
- SDAからSteinberg Activation Manager(SAM)も自動で入る
③ Cubase 12 のインストール
- SDAを起動してSteinberg ID でログイン
- My ProductsからCubase 12を選択
- 必要な項目にチェックを入れてインストール
- Core Application(必須)
- HALion Sonic SE(音源)
- Groove Agent SE(ドラム音源)
- Content Pack(必要な分だけ)
④ ライセンス認証
- SAMを起動
- Cubase 12 が表示されたら「Activate」ボタンをクリック
- 正常にアクティブ化されれば準備完了
⑤ 環境の復元(必要な場合)
- バックアップしておいた設定フォルダを新PCの同じ場所にコピー
- プロジェクトフォルダも移動
- 外部VSTプラグイン(SerumやBatteryなど)を再インストール
- Cubaseの「VSTプラグインマネージャー」でスキャン
⑥ 動作確認
- Cubaseを起動してサンプルプロジェクトを開く
- 音が正常に出るか、プラグインが認識されているかを確認
✅ ワンポイント
- SDA(Download Assistant):ソフトや音源をダウンロードするツール
- SAM(Activation Manager):ライセンスを有効化するツール
- 新方式ではUSBドングル不要、2台まで同時アクティブ可能
オーディオファイル入力
オーディオ編集&MIDI同期の流れ
- オーディオトラック作成
- オーディオ読み込み
- 編集(トリミング / フェード / ピッチ / タイムストレッチ)
- テンポ設定(テンポトラック作成・検出)
- 同期設定(オーディオはMusical Mode、MIDIは自動追従)
- 保存(プロジェクトと音源整理)
① オーディオファイルを読み込んで編集する基本手順
- 新規プロジェクトを作成
- メニューから 「ファイル」→「新規プロジェクト」 を選択
- テンプレートを選ぶ(空のプロジェクトでもOK)
- オーディオトラックを作成
- プロジェクト」→「トラックを追加」→「オーディオ」
- モノラル/ステレオを選択(ファイルのチャンネル数に合わせる)
- オーディオファイルを読み込む
- 方法A:エクスプローラー/Finder から ドラッグ&ドロップ
- 方法B:「ファイル」→「読み込み」→「オーディオファイル」
- 編集作業
- トリミング → オーディオイベントの端をドラッグ
- フェード → 上端にマウスを置くとフェードカーソル
- 音量調整 → イベント中央上部の四角を上下
- ピッチやタイム → Sample Editor で VariAudio や Time Stretch
- 保存
- 「名前を付けて保存」+「プロジェクトフォルダ」にオーディオをコピー(設定で可能)
② 編集時に気を付けるポイント
- サンプルレートとビット深度
- プロジェクト設定(Shift+S)でオーディオファイルと一致させるか、自動変換を有効にする
- 異なるサンプルレートを混ぜると再生が遅くなったり音程がズレたりする
- オーディオファイルの配置モード
- 「ミュージカルモード」ON → テンポに追従(歌やループ素材向け)
- 「固定モード」OFF → 固定時間再生(効果音や環境音向け)
- クロスフェード
- 複数のオーディオをつなぐときは "X" キーでクロスフェード
③ オーディオとMIDIを混在させる場合のテンポ注意点
- テンポマップを先に決める
- MIDI はテンポ変更に自動で追従しますが、オーディオは設定によります
- バンド演奏の録音などでテンポが揺れている場合、Tempo Detection(テンポ検出) でテンポトラックを作成するとMIDIと同期しやすい
- オーディオの「ミュージカルモード」設定
- オーディオイベントを選択 → インスペクターで 「Musical Mode」 をON
- これでテンポトラック変更時に自動的に伸縮します
- Quantize(クオンタイズ)とグルーヴ
- MIDIは簡単にクオンタイズ可能
- オーディオも AudioWarp や Hitpoints を使えばタイミング補正可能
- 伸縮による音質劣化に注意
- テンポ差が大きいと音質が変化します
- 必要に応じてアルゴリズム(Elastique Proなど)を選択
✅ おすすめの順番
- オーディオとMIDIのテンポ基準を先に決定
- オーディオは Musical Mode でテンポ追従設定
- MIDIはテンポ変更に合わせて自動で追従
Cubase 12でオーディオの開始位置を小節の頭にピタッと合わせる方法
- グリッドスナップを使う(もっとも簡単)
- 画面上部ツールバーの [スナップ] ボタン をONにする(磁石マーク)。
- スナップタイプを 「グリッド」 に設定。
- グリッド単位を「小節(Bar)」または「拍(Beat)」に設定。
- オーディオイベントをドラッグ → 自動的に小節の頭で止まります。
- イベント開始位置を直接入力
- オーディオイベントを選択。
- インスペクターや情報ライン(Info Line)の 「位置(Position)」 に
例:3.1.1.0(3小節目の頭)などを入力。
- 即座に小節の頭へ移動。
- トリム後に合わせる(素材の先頭がズレている場合)
- [Alt] + [マウスドラッグ] でイベント先頭をトリムして不要な無音部分を削除。
- その後、方法1または2で小節に合わせる。
- 「移動」メニューを活用
- イベント選択 → メニュー → 編集 → 移動 → 先頭をカーソル位置へ
- カーソルをあらかじめ小節の頭に置いておくと、瞬時にピタッと揃います。
💡 ポイント(テンポとの関係)
オーディオがテンポに合っていない場合、小節に揃えても途中でズレます。
その場合は Musical ModeをON にしてテンポ情報を合わせるか、オーディオワープで小節ごとにタイミングを修正すると安心です。
MIDIファイル入力
Cubase 12でMIDIファイル(SMF)を読み込んで編集する基本の流れと注意点をまとめます。
1. 基本的な手順
- プロジェクトを用意
- 新規プロジェクトを作成(空テンプレート推奨)。
- すでに作業中のプロジェクトに追加する場合は、そのまま進めてOK。
- MIDIファイルを読み込む
- 方法1(ドラッグ&ドロップ)
エクスプローラー/ファインダーからCubaseのトラック領域に直接ドロップ。
- 方法2(メニュー)
ファイル → インポート → MIDIファイル… を選択。
- 方法1(ドラッグ&ドロップ)
- 読み込みオプションを設定
- テンポをプロジェクトに反映するか(ファイルのテンポマップを使うかどうか)
- トラックの種類(インストゥルメントトラック or MIDIトラック)
- 歌詞データ(Lyric) がある場合は一緒に読み込まれます。
- 音源を割り当てる
- インポート直後はMIDIトラックが空の状態で生成されることがあります。
- 必要に応じて
- インストゥルメントトラックを作成してMIDIをコピー
- MIDIトラックの出力先をVSTiや外部音源に設定
- 編集
- ノートエディター(キーエディター)でノート長・位置・ベロシティを修正
- 必要ならテンポトラックを編集
2. 気を付けること
- テンポの扱い
- MIDIファイルのテンポをそのまま使うか、Cubaseの既存テンポに合わせるか決めてから作業開始。
- 読み込み時に「プロジェクトのテンポを置き換える」を選択すると元の演奏感が保たれます。
- 音源の違い
- GM音源用のMIDIはVSTiで再生すると音色が異なる場合あり(特にドラム)。
- 必要に応じて音色マップを変更。
- 歌詞やコントロールチェンジ
- 歌詞データは一緒に読み込めますが、表示にはトラックタイプの設定が必要。
- CC(モジュレーション、パンなど)が多く含まれる場合は、不要なものを整理すると編集がしやすくなります。
3. 将来的にオーディオと混在させる場合の注意
- MIDIとオーディオを同時進行するならテンポマップの統一が最重要。
- MIDIはテンポ追従するが、オーディオは「Musical Mode」がONでないとテンポ変化に追従しない。
- プロジェクト初期にテンポ設定を固めておくと後々のズレを防げます。
VariAudio機能
1. 概要
VariAudioは、Cubase Pro / Artist に搭載されているオーディオピッチ編集機能で、録音済のボーカルや単音楽器のピッチ補正やタイミング調整を、MIDIのように直感的に行えます。
Auto-TuneやMelodyneに近い機能ですが、Cubase内で直接編集できるのが強みです。
- 主な用途:
- ピッチ補正(音程のズレを修正)
- ビブラートやピッチカーブの調整
- タイミング補正(歌や楽器の発音位置を微調整)
- オーディオ→MIDI変換(メロディ抽出)
2. 基本的な使い方
- VariAudio編集を有効化
- 対象のオーディオイベントを選択。
- サンプルエディターを開く。
- 左パネルで [VariAudio] をON → 「セグメントを編集」ボタンをクリック。
→ 音符状のブロックが表示されます。
- ピッチの編集
- ブロックを上下にドラッグ → 半音単位でピッチ変更。
- Ctrl(MacはCmd)+ドラッグ → 微調整。
- 「すべてのピッチを揃える」ボタンでクイック補正。
- ピッチカーブ・ビブラート調整
- 選択したノートで「ピッチカーブをストレート化」や「ビブラート量」スライダーを使用。
- タイミングの修正
- ノートブロックを左右にドラッグ → 発音位置を調整。
- グリッドスナップを使うと小節や拍にピタッと揃えられる。
- MIDIデータとして書き出し
- VariAudioパネル右上「MIDIに抽出」→ メロディをMIDIトラックとして取得可能。
3. 便利な機能
- ピッチスナップ:目的のキー(調性)に合わせて自動補正。
- 範囲選択補正:全体ではなく部分だけ自然に直す。
- レイヤー表示:複数トラックのVariAudioを重ねて表示してハモリ編集。
4. 注意点
- VariAudioは単音素材向け(和音やポリフォニック素材には不向き)。
- 編集は非破壊ですが、大幅な修正は音質劣化を招く可能性あり。
- オーディオイベントをミュージカルモードONにしておくと、テンポ変更時にも追従します。
- 編集後はプロジェクトをフリーズや書き出ししてCPU負荷を軽減することも検討。
5. Cubase 12での強化点
- 処理精度の向上(特に自然なピッチ補正)
- 複数VariAudioトラックの同時編集機能がより使いやすく
- ARA対応によりMelodyneとの連携もスムーズ
