ストーリー3章1-10

Last-modified: 2016-03-18 (金) 02:36:18

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1話:『不和の人々』

1話:『不和の人々』
バランシアを救えなかった一同は、
新たなる気持ちを胸に再び歩き出す――
エリア1 魔の秘境セレカ

バランシアという新たな被害者を出した、レリーフの呪い…
消え去ったバランシアに、かつての自分の分身、ココレを重ね、バニラは意気消沈する
悲劇の末、二つ目の「レリーフのかけら」を手に入れた一同は、
海底に沈む都市を後にして、魔の秘境セレカに戻ってきていた――
バニラ「あー、なんかこう…暗いわねぇ」
エレミア「仕方ないだろう…
あれからそんなに時間も経っていないからな」
ナビコ「ソレでもひと月は経過してマスよ、皆サマ?」
プレイヤー「……」
エレミア「そうだな、腐っていてもしかたない
我々に出来る事をするしかないだろう」
バニラ「でも、次のレリーフの手がかりなんて
どこにあるっていうのよ?」
エレミア「確実ではないが、レリーフのかけらがある所
黒ネームありと、これまでの状況が示しているな」
バニラ「確かにそうだけど…
えっ、もしかして黒ネーム狩りなのぉ!?」
エレミア「まぁ、そうなるかな?」
バニラ「見つけたい様な、見つけたくない様な…」
ナビコ「では皆様、ハリキッテ行きマショウ!」
プレイヤー「コクリ」

エリア2 魔の秘境セレカ

バニラ「とはいえ、どこから探せば良いものかしらねぇ…?」
エレミア「もう街に直接出て来る事は、あまりないと思うがな…」
バニラ「あてもない、流浪の旅が始まるのね…」

エリア3 セレカの城下町

荒ぶる男「あぁ?
本当の事を言っただけだろ、「毒ゾネス」!」
威勢のいい女「上等だ!
表に出ろ!この「ひょろ腕」!」
バニラ「あらやだ、ケンカ?
カリカリしちゃって、やぁねぇ~」
エレミア「いちいち相手にして、とばっちりはゴメンだ…」
荒野の狼「あれは「銀の細腕」と「ポイズンハニー」のギルドメンバーみたいだぜ?」
バニラ「わ、急におどかさないでよ!」
荒野の狼「うっ、ゴメンよバニラ…」
エレミア「そのギルドなら、聞いた事があるぞ」
エレミア「「銀の細腕」は装飾品の生産系ギルドで有名だな」
荒野の狼「で、「ポイズンハニー」は闘技場にギルド参加してる、女キャラばかりのギルドだぜ」
バニラ「ああ、それで「ひょろ腕」に「毒ゾネス」なんだ…」
荒野の狼「最近そのギルド同士でケンカしあってるらしいぜ、噂だけどな」
エレミア「まぁ、どちらにせよ近寄らない方が賢明だな…」

エリア4 マギオン街道

エレミア「近くのダンジョンや洞窟で、まだ行っていない場所はあるか?」
ナビコ「ソウですね…塔で言えば三賢者の塔の一つ「シュナの北塔」がまだ行ってマセン」
エレミア「うーん…あそこに直接レリーフがあるとは思えないな」
ナビコ「あるいは北の大陸に戻れば、ワレワレが未踏の地がまだアリマス」
エレミア「そうか…一度戻ってみるか?」
バニラ「まったく目的地がないよりかはマシかぁ~」
プレイヤー「コクリ」

エリア5 マギオン街道

エレミア「前回のレリーフの時、狼には別行動を取ってもらったが…」
エレミア「あの後、寅とはもうケンカしてないのか?」
荒野の狼「いつまでもそんな事を引きずる訳ねえだろ!
そもそもケンカしてないしな!」
バニラ「あんたがケンカと思ってなかっただけでしょ」
エレミア「またちょっとした誤解で壊れそうな、危うい関係だな…」

エリア6 マギオン街道

荒野の狼「そういえば、ヴィクトリアの師匠ともけっこう話したぜ!」
エレミア「おお、たしかアトラとかいったな?
良かったじゃないか、友達が増えて」
荒野の狼「いや…あれは友達というよりも、やっぱり師匠だったぜ」
エレミア「うーん、よく分からんな…」
荒野の狼「一緒に冒険したら分かるんだぜ…」
バニラ「ちょっと白目むいちゃってない?」

エリア7 境の街イサク

荒野の狼「あっ…またケンカみたいだぜ?」
エレミア「やれやれだな…」
生意気そうな女「小細工ばかりしやがって…
あんたらはいつも、こざかしいんだよね~!」
真面目そうな男「フン、自分の装備にこだわらない奴らには言われたくないよ」
バニラ「さっきと同じ「銀腕」と「ポイハニ」のメンバーみたいねぇ?」
エレミア「「銀腕」…「ポイハニ」…?
銀の細腕とポイズンハニーの事か?」
バニラ「長いと覚えられないのだ~♪」

エリア8 マギオン街道

荒野の狼「俺はその場にいなかったから、バランシアがどうなったのか教えてくれよ?」
エレミア「一応、知っておいた方が良いだろうな…」
エレミア「ファントムからレリーフを守ろうとして、レリーフに触れ、黒ネームになったんだ」
エレミア「結局倒すしかなく、ココレと同じように消滅したという訳だ…」
荒野の狼「そうだったのか…」
プレイヤー「…」

エリア9 マギオン街道

荒野の狼「それから連絡はないのかよ?」
エレミア「本人からはまったくないな」
エレミア「轟雷からは「落ち着いたら連絡する」と返事があったが、それきりだ…」
バニラ「…」

エリア10 マギオン街道

バニラ「またキャラ作ってたら、手伝ってあげるのにな~」
エレミア「誰もがお前みたいに、すぐ切り替える事は難しいと思うぞ?」
バニラ「それは、どういう意味なのかしらー!?」
エレミア「私は褒めているつもりだぞ?」
バニラ「あらやだ、そうなの?」
ナビコ「鉄の心臓をもつオンナ…」

エリア11 マギオン街道

エレミア「普通はあれだけ酷い目に遭えば、引退してもおかしくないからな」
バニラ「恥ずかしながら、帰って参りました…
にひ~」
荒野の狼「うおおー!
帰ってきてくれてよかったぜーっ!!」
バニラ「お、おう…」
ナビコ「バニラさんが、圧倒されてマス…」

エリア12 甲羅割り峠

バニラ「ふんにゅ~!
こんな山越え、なんともないんだからねー!」
エレミア「そうだそうだ、生きてるだけでも
有難いと思わないとな」
荒野の狼「ん?丘の向こうにアヤシイ影が見えたような…」
エレミア「なに!?
行くぞ!」
バニラ「ヒィ~!?
走らないでぇ~!」

エリア13 甲羅割り峠

黒ネーム「ヴモモオオオオオォォ…」
エレミア「こんなところで黒ネームが出るとはな…」
バニラ「にひー、ちょっと気を抜いてたわね」
荒野の狼「他には見当たらないし、野良っぽいぜ?」
エレミア「さすがにレリーフがこんなところに放置されてるはずもないしな」

エリア14 妖精湖ニュミール

エレミア「やはり先ほどの黒ネームは、どこからか流れてきた残党か?」
バニラ「この前、神殿のところにいたヤツかしらね~?」
エレミア「あの時大量に発生していたヤツらは、七海がほとんど蹴散らしたがな」
バニラ「何体か逃げてたのかしらね…
ツメが甘いんじゃない?」
エレミア「我々も手伝ったよな?」
バニラ「にひ~…甘いのはこっちだったのだ」

エリア15 妖精湖ニュミール

バニラ「それにしても、黒ネームが大量に湧くのって
おかしいわね」
エレミア「黒ネームが皆、レリーフに触れた訳じゃないかもしれんぞ」
バニラ「ん?
どーゆー事?」
エレミア「私が黒ネームに襲われた時に、腕が動かなくなった時があったが…」
エレミア「あれは黒ネーム化する一歩手前だったんじゃないか?」
バニラ「ぞぞぞ…」
エレミア「私も考えるだけで鳥肌が立った…
改めてお前達に感謝するよ」

エリア16 妖精湖ニュミール

バニラ「黒ネームに攻撃されたら、黒ネームになるかもしれないのか…」
エレミア「こいつは下手をすれば、一気に増殖する可能性もあるな」
荒野の狼「CC社はそれを知ってるのか?
…知ってるんだろうな」
エレミア「この先、慎重に動く必要があるぞ…」
プレイヤー「コクリ」

エリア17 妖精湖ニュミール

エレミア「レリーフのかけらは、今どれだけ回収されているんだろうな?」
バニラ「あのお姫様が持ってるのは知ってるけどねぇ?」
エレミア「刹那か…それ以外は確かに知らないな」

エリア18 クリュ・アーク参道

バニラ「実は、お姫様とうちのコだけだったりして~」
エレミア「ハハ、まさか……な」
ナビコ「さすが、ワタクシのマスターでございマス!」
プレイヤー「?」

エリア19 クリュ・アーク参道

バニラ「と言う事は、黒ネームに襲われても、このコなら免疫あるのかしら!?」
プレイヤー「!?」
エレミア「おお…それは盲点だったな
試してみる価値はありそうだが…」
プレイヤー「ぶんぶんぶん!!」

エリア20 クリュ・アーク参道

バニラ「やぁね~冗談よ、冗談!
ねぇ?」
エレミア「えっ」
バニラ「えっ?」
エレミア「あ、ああ
…もちろん冗談、だぞ?」
プレイヤー「…」

エリア21 大辻市場

エレミア「ここは相変わらず雑然としているな
良い意味でだぞ?」
バニラ「でも、ここでもケンカしてる人たちがいるわねぇ…」
大仰な獣人少女「この街でその様な振る舞いをするとは…
命が惜しくないらしいのう」
威勢のいい男「冗談言うな、ここは天下の大辻市場だぜ?」
威勢のいい男「商売するのにテメーらの許可なんざいらねーよ!」
大仰な獣人少女「ならばわらわの目の届かぬ所でやるがいい…
目障りだと言うておるのだ」
真面目そうな女「わ、わ、どうしましょう!?
ケンカはダメ、ですよ~」
荒野の狼「また銀腕とポイハニのメンバーみたいだな」
エレミア「お前もその略称系で行くのか…」
七海「うむ?
どうした、貴公ら」
エレミア「ああ、七海か
久しぶりだな」
バニラ「いや~、最近みょーにケンカしてる場面に出会っちゃってね~」
七海「ああ…銀腕とポイハニの者達か
最近は確かに争いが激化しているな」
エレミア「えっ、この省略系で共通されてたのか…
了解した」
七海「ポイズンハニーは闘技場への参加を奨励しているからな」
七海「闘技場に近いこの街を拠点にする者も多い…
故に、銀の細腕の者もやりにくかろうさ」
バニラ「どうして仲が悪いのかしら?」
七海「装備品の品質で強さを求める銀腕と、自らを鍛えて強さを求めるポイハニ…」
七海「思想の違いから、争いに発展したようだが…
詳しくは知らぬよ」
エレミア「色々あるんだな…」
七海「闘争は闘技場でやれば良いものを…
おっと、私はもう行かねばならん」
エレミア「ああ、御武運を」
七海「うむ、貴公らもな」
ザッザッザ…
バニラ「にひー、長居するといざこざに巻き込まれそうなのだ~」
エレミア「そうだな…
では北の大陸ルゥ・エリユに向かおう」
2話:『増殖する対立』

2話:『増殖する対立』
対立し、いがみ合う二つのギルド。
無関係と思っていた一同は、徐々にその
奔流に巻き込まれていく…
エリア1 大辻市場

エレミア「森守の郷の一帯は、あまり調べていなかったよな」
バニラ「通り過ぎる事は多かったけどねぇ~」
エレミア「なにかありそうではあるな
あの御神木「知識の樫ダル・ヴィド」や…」
エレミア「まだ行ってない塔は、かなり疑わしいぞ?」
バニラ「イベントが起きないと入れなかったり、最後までたどり着けなかったりするよね~?」
エレミア「まぁ、現状は目星をつけておくだけだな」

エリア2 リィルの中道

バニラ「そういえば銀の細腕って、装飾品細工で有名だって言ってたわよねぇ?」
エレミア「ああ、繊細な細工や性能面で付加価値がつく程にな」
バニラ「にひ~、お近づきになっておきたいかも♪」
エレミア「かなり悪い顔になってるぞ?」

エリア3 リィルの中道

バニラ「オーカミはポイハニの事、何か知ってるの?」
荒野の狼「女キャラばかりの武闘派ギルドって事以外は…そうだ入団には面接があるとか?」
バニラ「面接?なによそれ?」
荒野の狼「何か噂じゃ、団長が面食いらしいぜ?」
バニラ「あらやだ、気をつけないと目をつけられちゃう?」
エレミア「性格や相性も見るんじゃないか?
安心していいぞ、バニラ」
バニラ「どお~言う意味なのか・し・らぁ~!?」

エリア4 ガリュ・メル北関門

エレミア「ふぅ、やっと関門まで来たか」
バニラ「旅は平和が一番よねぇ~」
荒野の狼「待った!
あそこに黒い影が見えたぜ!?」
エレミア「頼んでもいないのに門番とはな…」
バニラ「旅の平和を返して欲しいのだ~!」
プレイヤー「コクッ」

エリア5 ルゥ・エリユ南関門[BOSS]

黒ネーム「ヴオオオオオォォ…」
エレミア「こんな、必ず人が通るような場所に出現するなんて、危険すぎるな…」
荒野の狼「まぁ早めに倒せてよかったじゃねぇか」
バニラ「他に誰もここを通ってなかった事を祈るしかないわね…」
プレイヤー「コクリ」

エリア6 ルゥ・エリユ南関門

エレミア「ルゥ・エリユに到着だな」
バニラ「遠くに森守の郷が広がって見えるわねぇ」
エレミア「ああ、行けそうならあの御神木にも行ってみるか」

エリア7 森守の郷

バニラ「あ、あそこに立ってる人、森守じゃないの?」
エレミア「何か、こっちをにらんでないか?」
森守「お主たち、どこへ行くつもりじゃ?」
エレミア「あそこの御神木だが…」
森守「御神木「知識の樫ダル・ヴィド」の元へは
我ら、森守の許可を得ねばならぬ」
森守「この郷に住む、八名の森守全ての許可をな」
バニラ「う…面倒ねぇ~」
エレミア「まあ、その「知識の樫ダル・ヴィド」に
今、行かねばならない訳ではないしな」
エレミア「後で必要になった時に行けば良いだろう」
バニラ「そうね、このまま北に抜けちゃいましょ~」

エリア8 森守の郷

森守「……」
バニラ「う…また森守のおじちゃんがこっち見てるぅ」
エレミア「とりあえず無視だ、無視」
森守「……」
バニラ「仲間にして欲しいのかなぁ~?」
森守「……」
エレミア「いやいやいや、それはないから!」

エリア9 森守の郷

森守「旅の者か…ここに何用じゃ?」
バニラ「うわっ、やっぱり来ちゃったか」
エレミア「我々は北に向かっているところだ
ダル・ヴィドではない」
森守「そうか、ではそなたらの旅の無事を祈ろう」
バニラ「ふ~、スルー成功なのだ~」
エレミア「いや、そういうゲームではないと思うぞ?」

エリア10 森守の郷

バニラ「そろそろ森守の郷を抜けるけど、どうする?」
エレミア「東にある森守の塔に行っても良いんだが、正直まだその時ではない気がするな」
森守「森守の塔に入りたければ、森守の許可を得ねばならぬ」
森守「この郷に住む、八名の森守全ての許可をな」
エレミア「わっ!?」
バニラ「突然NPC的介入がきたわね…」
エレミア「やはり、今は焦る時じゃなさそうだな…」

エリア11 森守の郷

バニラ「あら、あそこで何か揉め事みたいね」
エレミア「なんだ、またか?
銀腕のメンバーと…だれだ?」
バニラ「よく見たら、どっちも男キャラみたいよ?」
荒野の狼「って事は、ポイハニじゃなさそうだな…」
声のデカイ男「いや、だから絶対あいつらに間違いないと思うんだよ…!」
眼鏡の優男「「絶対」なのに「思う」とは、曖昧ですね
…どっちなんです?」
声のデカイ男「う、だから間違いないんだって…たぶん!」
眼鏡の優男「力強く、たぶんと言われても…おや?」
バニラ「あ…目が合っちゃった」
眼鏡の優男「あなた方は、銀の細腕の方ですか?
それとも…」
眼鏡の優男「揉め事に首を突っ込みたがる、好事家ですか?」
バニラ「ムッカー!
何か揉めてるから気になっただけでしょ!」
眼鏡の優男「確かに、これは失礼しました
口が過ぎたようです」
眼鏡の優男「ですが、内々の事ですので
これ以上は、御察し頂けると助かりますね」
声のデカイ男「別に、俺は構わんよ
悪いのは毒ゾネスに決まってる…はずだ!」
眼鏡の優男「やれやれ…
九十九さんも落ち着いた方が良いですよ?」
エレミア「なんだか、やっかいな所に居合わせてしまったかもしれないぞ…?」
プレイヤー「…コクリ」
3話:『道連れ』

3話:『道連れ』
レリーフの手がかりを求めて大陸を彷徨う
一同に、新たな出会いが訪れる。
この出会いは、吉と出るか、それとも…?
エリア1 森守の郷

士堂「ご挨拶が遅れました…
私は士堂(しどう)という者です」
士堂「ギルド「TAO(タオ)」にて副団長をさせていただいております」
九十九「俺は九十九(つくも)だ…
一応「銀の細腕」の副団長をやってる感じだ」
バニラ「銀の細腕の副団長って事は~
九十九様も職人様なのかしらーっ!?」
九十九「ま、そこらの連中よりは腕は立つはずだが?」
バニラ「にひ~、これってチャンスかも~♪
あとで何か作ってもらうのだ~」
エレミア「おいおい…
もう首を突っ込んだようなものだから聞いておくが、」
エレミア「なぜ、ポイズンハニーと抗争を?」
九十九「あいつらが俺らの作った品を、バカにしてるからに決まってるだろ!」
エレミア「しかし、変な話だな…
良い装備は戦いの助けになるのは確かだ」
エレミア「そこに疑いはないだろうに…」
九十九「アンタ、分かってるじゃないか…
それが普通ってもんだろ!?」
士堂「ポイズンハニーの方々曰く、それは本当の強さではない、と…」
エレミア「まあ、それも一理あるな」
九十九「にゃにぃ!?」
士堂「だから、落ち着きなさいと言っているのに…
こういう方々ばかりのようでして」
エレミア「何となく察したよ…」

エリア2 森守の郷

エレミア「東に行けば、森守の塔だが…」
バニラ「何だかこのまま別れるのも気になるわね~?」
荒野の狼「俺はバニラが行きたい方について行くぞ!」
エレミア「まぁ、森守の許可も得てないしな
しばらくこの人らについて行くか」
士堂「やれやれ、やっぱり好事家だったんですね
ハハハ…」

エリア3 森守の郷

バニラ「本当は銀の細腕さんの作った物が気になるだけだったりして~♪」
ナビコ「ソンナ事だろうと思ってマシタ…」
エレミア「正直に言った事は評価するが…
ぶれないやつだな」
荒野の狼「表裏が無いバニラはスゲーぜ!」

エリア4 西スィル街道

すぅれん「あっれ~?
奇遇じゃん!元気?」
かりん「キャハ!そうでなきゃゲームしてないよっ!
すーちゃん、面白い!」
刹那「御無沙汰しております
その節はご協力、感謝いたしますわ」
エレミア「こちらこそ皆さんのおかげでレリーフを手に入れられたんだ、感謝するよ」
士堂「これは刹那様、今日はどちらへ?」
刹那「興味深いものを探して、巡回中でしたが…
果たして目的は叶ったようですわ」
ちらっ
バニラ「えっ、こいつ?」
プレイヤー「?」

エリア5 西スィル街道

刹那「九十九様、銀の細腕の新作はありませんの?」
九十九「お得意様の刹那様の目に適う品があれば良いんですがね…」
九十九「今、少々問題を抱えてまして」
かりん「問題だって!
ステキだね、すーちゃん!」
すぅれん「ぶふっ!?
姉ちゃん、思った事を口に出し過ぎィ!」
刹那「そうですよ、かりん…
それで、その問題とは何でしょうか?」
エレミア「(この人も興味津津に聞いてるよなぁ…)」
刹那「興味深いですもの」
エレミア「!!!」

エリア6 西スィル街道

九十九「実は…うちのギルド製の至宝が失せまして」
バニラ「至宝!(ぴこーん!)」
エレミア「こらこら…」
九十九「その行方と犯人探しの協力をこの士堂さんにお願いしていた次第でして」
エレミア「なぜ士堂さんに協力依頼を?」
士堂「我がギルド「TAO」は、何故かトラブル仲裁で関わる事が多くなってましてね」
士堂「犯人捜しと仰られてますが、九十九さんはポイズンハニーが犯人だと譲らなくて…」
九十九「ああ、間違いないはずだぜ!」
刹那「根拠はございますの?」
九十九「ありますとも、私の勘です!」
エレミア「根拠でも何でもないな…」

エリア7 赤の森

黒ネーム「ヴオオオオアァァ…」
九十九「な、なんなんだコイツは…」
刹那「黒ネームは御存じありませんの?」
士堂「これが噂の…黒ネームですか」
エレミア「誰もダメージは受けてないな?
よし…大丈夫だな」
刹那「それはどういう意味がございますの?」
バニラ「あいつらにダメージを受けたら、運が悪いと黒ネームになるかもなのよ?」
刹那「成程…そうやって増殖しているんですのね
…かりん、どう思う?」
かりん「十分にありえますね
キャハ♪」
エレミア「ん?
何か今、違和感が…」

エリア8 西スィル街道

刹那「先ほどの失せ物と犯人捜しの件ですが、この方々に手伝っていただいては?」
バニラ「はい?」
九十九「えっ、この方達に?」
士堂「刹那様のお墨付きなら、信用できるのではありませんか?」
エレミア「ちょ、ちょっと待ってくれないか?
我々に犯人捜しなんて出来ないぞ?」
刹那「私の目に狂いがある、とでも仰いますの?
心配は要りませんわ」
エレミア「しかし、だな…」
刹那「あなた方の行く先に、レリーフは待っている
…私は、本気でそう思っておりますの」
プレイヤー「……」

エリア9 西スィル街道

エレミアそう言えば、刹那たちは二枚目のレリーフのかけらはまだ手に入れてないのか?
刹那「ええ、そうですわね」
バニラ「えっ?
なんで?どうして?」
刹那「あなた方の成り行きを見届けてからでも遅くないかと思いましたの」
刹那「ずるいかも知れませんけれどね」
かりん「後出しじゃんけんだ!せっちゃんらしい!
キャハハッ♪」
すぅれん「アハハ!姉ちゃん、それフォローしてない!
最低すぎる!」

エリア10 西スィル街道

エレミア「進んでいる道が危険と分かった時に身を引く事は、勇気が要るものだしな」
刹那「かりん、これがフォローという物ですのよ?」
かりん「初めて見た!わかんなーい!
キャハ♪」
バニラ「何でこの人が刹那と一緒に居るのかが、わかんないわ…」
プレイヤー「……」

エリア11 西スィル街道

士堂「もうすぐスィルですよ」
バニラ「そういえば、何でスィルなの?」
士堂「おや、申し上げていませんでしたね」
士堂「TAOの拠点であるギルドホールは、スィルにあるんですよ」
バニラ「あー、そうだったのね」

エリア12 争わぬ港スィル

バニラ「スィルといえば、バルバルはいるかなぁ?」
士堂「バルバル?」
エレミア「それじゃ通じないだろ…
バルザックという生産系ギルドのPCで…」
士堂「ああ、もちろん存じてますよ」
九十九「当然、俺も知ってるぞ
つか、こっち系じゃ有名だろ、アイツは」
バニラ「あらやだ、そうだったの!?
ぜんぜん知らなかったわ…」
エレミア「いつも飄々としてるからな…」

エリア13 争わぬ港スィル

バニラ「と・お・ちゃ・くっと!」
士堂「では、TAOにご案内いたします
どうぞ、ついて来て下さい」
<争わぬ港スィル>
~「TAO」ギルドホール~
士堂「戻りましたよ、マスター」
バニラ「マスターってどんな人かな…
え?あの男の子?」
エレミア「PCの見た目は、強さの参考にはならんぞ?」
少年?「ああ、ご苦労さん…
しかし、妙に人が多いようだな」
バニラ「あらやだ、意外に渋かったわ」
九十九「ちょっと聞いてくれよ、ZENさん
あの毒女どもがまたやりやがった…」
ZEN「挨拶もなしかい、九十九さん?
まぁ、いいさ」
ZEN「話は士堂から聞いてるが…本当にポイズンさんの仕業なのかい?」
九十九「ああ、あいつらなら絶対にやりかねんよ!」
ZEN「なんだ、やっぱりいつもの憶測…失礼、推測なんじゃないか」
士堂「ええ、ですから間に立つとしても調査が必要になりそうなのですが…」
刹那「御無沙汰してますわ、ZEN」
ZEN「おお、刹那
あんたまでどうした?」
刹那「今回の失せ物と犯人の調査に協力していただけそうな方をお連れしましたの」
エレミア「うーん、完全にそういう流れに乗せられてしまったか…」
ZEN「あんたらかい、協力してくれるというのは?」
エレミア「成り行きでそうなってしまったが…
エレミアだ」
バニラ「にひ~、バニラだよぉ~」
ナビコ「キャラを作りすぎではアリませんか?」
バニラ「アピールは、最初が肝心なんだぞぉ~?」
ナビコ「ワタクシ、ナビコとマスターです」
プレイヤー「コクリ」
バニラ「そっちの方が、キャラ作りに関しては一言物申したいけどね~?」
荒野の狼「俺は荒野の狼だ!
あんた強そうだな…デュエルしねぇか?」
エレミア「お前も時と場所を選べよ?」
ZEN「おい刹那、大丈夫なのか?」
刹那「こう見えて、ただ者じゃありませんのよ?」
ZEN「お前がそう言うなら、構わないが…
士堂、フォローを任せるぞ」
士堂「承りました…では、参りましょうか?」
4話:『TAO』

4話:『TAO』
ギルド間の争いに巻き込まれた一同は、
いつの間にか、さらに深みにはまっていくことに…
エリア1 争わぬ港スィル

エレミア「我々はどこに向かうんだ?」
士堂「まずは現場に向かうのがセオリーでしょう?」
士堂「銀の細腕の本拠地はチャルタンですので、まずはそちらに向かいます」
九十九「まだあまり知られてないとは、傷つくぜ…
なーんてな!」
バニラ「にひ~…この人、ムダに元気なのだぁ~!」

エリア2 西スィル街道

バニラツクツクはどんな装備を作るのが得意なの?
九十九「えーっと、そいつは察するに、俺の事かい?」
バニラ「ツクツクって呼ばれないの?
じゃあ、ツックン?」
エレミア「男のアイドルグループにいそうだな…」
九十九「なんか懐かしい感じだな、おい?」

エリア3 西スィル街道

バニラ「ツックンはダメかぁ~
ツクモンとか…あっ」
エレミア「ゲッと…もがもが!?」
荒野の狼「気をつけてくれよ、バニラ…」
バニラ「オーカミ、でかしたわよ…
思いつきで口に出さないようにするわ…」
九十九「大丈夫なんだよな?
この人ら…」
刹那「ええ、疑う余地はありませんわよ?」

エリア4 西スィル街道

刹那「相変わらず、楽しい方たちですわね」
エレミア「我々のどこに期待しているのか分からないな」
刹那「レリーフの適合者である事はもちろん、漫才のやり取りも期待してますの」
バニラ「漫才している記憶はないんですけどぉ~?」

エリア5 西スィル街道

刹那「それにレリーフの適合者ゆえなのか分かりませんが…」
刹那「トラブルを寄せ付ける体質というのかしら
とても貴重ですわね」
エレミア「うーん…
にわかに否定できない所があるな」
かりん「せっちゃんもかなりのトラブル体質だし
類は友を呼んじゃうのね!」
すぅれん「姉ちゃん…
その言葉、ぜんぶ自分達に返ってくるから!」
かりん「やっちゃった!
すーちゃん、かしこいね!」
エレミア「この人らも十分、漫才だよな…」

エリア6 赤の森

黒ネーム「ブォォォォ…」
士堂「また黒ネームが、こんな街道にまで出没するとは…」
バニラ「あらやだ、普通はそんなに遭遇しないものなのかしら?」
士堂「実際に見たのは、私は初めてですよ」
荒野の狼「俺たちはよく遭うけどな…」
エレミア「なるほど、理解したぞ
これがトラブル体質というやつなんだな…」
刹那「期待通り、ですわね?」
???「くすくす…」
???「ふふふ…」
プレイヤー「!?」
ナビコ「マスター、どうされマシタ?」
プレイヤー「…
ふるふる」

エリア7 西スィル街道

バニラ「…あら?
ちょっと後ろの方を見てみて?」
バニラ「道を挟んでこっちを見てる、双子みたいなコがいるんだけど…」
プレイヤー「…」
明るい少女「くすくす…
お姉さんたち、大丈夫?」
静かな少女「ふふふ…
あれを容易く消去できるのだもの…愚問ね」
エレミア「…あんた達は?」
ルナ「ルナだよ!」
マリア「マリア…」
ルナ「罪竜のレリーフ集め、がんばってね?
くすくす…」
エレミア「なに!?」
マリア「ふふふ…
また、ね」
バニラ「あっ…森の中に消えて行っちゃった…」
エレミア「何者だったんだ…一体」
プレイヤー「…」

エリア8 西スィル街道

刹那「やはりあなた方と共にいれば、退屈する事はなさそうですわ」
エレミア「我々がレリーフを集めている事を知っていたようだったが…」
エレミア「どこかで会ったことがあるのか…?」
かりん「うさんくさいヤツラだったね?
すーちゃん!」
すぅれん「あっちゃー、姉ちゃんがそれを言っちゃう?」
バニラ「自覚はあったんだ…」

エリア9 西スィル街道

九十九「なんだか、突然色々な事が起きすぎちまって混乱してくるよなぁ?」
士堂「そうですね…今「世界」で何かが起きているのかもしれません」
九十九「なんだい、その冗談は?」
士堂「おや、聞いた事はありませんか?」
士堂「この“TheWorld”では、時折不思議な事が起きるんですよ」
エレミア「不思議な事…?」

エリア10 西スィル街道

士堂「そうそう、思い出しました
以前は“放浪AI”という存在も確認されていたはずです」
エレミア「放浪AIか…
たしかに聞いた事があるな」
エレミア「CC社が公式に認めていないNPCが、世界を彷徨っていたという話だったか」
刹那「あら、よく御存じですのね?」
エレミア「黒ネームは元々PCのデータが暴走したものだと認識していたが…」
エレミア「放浪AIも似たようなものだったのか…?」

エリア11 西スィル街道

バニラ「ファントムっていうのもいるんだけど…」
士堂「噂は聞いています」
士堂「あなた方に同行していれば私も出会えそうな気がしていますが」
バニラ「にひ~
出来れば遭いたくないんだけどねぇ?」
刹那「きっと遭えますの…
保証いたしますわ」
エレミア「いや、保証されても困るぞ」

エリア12 南チャルエズ街道

荒野の狼「チャルタンが見えてきたぜ!」
バニラ「とりあえずファントムは出なかったのだ~」
士堂「少々残念ですね…」
エレミア「一度遭って、恐い思いした方が良くないか?」

エリア13 巡礼商都チャルタン

九十九「さあて、銀の細腕の工房に案内するぜ」
九十九「遠くはないが、人が多いからはぐれないようにな」
<巡礼商都チャルタン>
~「銀の細腕」工房~
九十九「姐さん、戻りましたよ!」
背の高い女性「わあっ!?
ったく、うるさいんだよ、アンタは…」
士堂「御無沙汰しております、都(みやこ)どの」
「あいよ
わざわざこんな所まで、悪かったねェ?」
士堂「いえ、我らTAOは常に中立の立場で…」
「堅苦しいのはヌキでいいよ
で、そちらは?」
士堂「刹那さまのご紹介で、調査の協力をして頂く事になった方々です」
刹那「御迷惑にはならないと思いますわ」
「お得意様のあんたの紹介なら構わないさ、ハハッ」
「あたしゃ「銀の細腕」の頭(かしら)をやってる、都だよ」
エレミア「私はエレミアだ、よろしく」
バニラ「にひ~、バニラだよぉ~!」
荒野の狼「その親友、荒野の狼だぜ!」
バニラ「なにをしれっとねじ込んでるのよ?」
荒野の狼「い、いいじゃないか!」
プレイヤー「ニコッ」
エレミア「それは自己紹介のつもりか…?」
5話:『影との邂逅』

5話:『影との邂逅』
争うギルドを訪れ、情報を集め奔走する
一同の前に、思いもよらぬ者が姿を現す。
その姿は一同が良く知る者に酷似していた…
エリア1 巡礼商都チャルタン

士堂「…それでは、失せ物の保管方法を教えていただけますか?」
「保管方法っつっても、ギルドの共有倉庫に突っ込んでるだけさね」
士堂「では内部の者なら、誰でも持って行く事が出来たと?」
「ああ、そうだね」
九十九「姐さん、内輪の仕業と思ってんのかよ!?」
士堂「正直、その線が一番濃厚かと」
九十九「そんな!?」
「つーさん、残念だがもっともな話だよ」
九十九「姐さん…」
「ただ、手引きしたのはうちの者として、他にも悪い奴がいるかもしれないがねぇ?」
士堂「もちろん、その線も十分に考えられますね」
士堂「最近、工房に姿を見せていない方は、おられますか?」
「さあねぇ、好き勝手な連中ばかりだし…
まぁ、調べておくよ」
士堂「恐縮です…
あと、肝心な事なのですが…」
士堂「失せ物とはどんな物でしょうか?」
「あたしの作ったカンザシさ…
なんとも恥ずかしい話さね」
九十九「ただのカンザシじゃないぜ?
レアリティは★★★★★★がついてる」
「たまたまだよ、運が良かっただけさ」
ナビコ「生産品としては最高クラスの品デスね」
バニラ「にひ~
お姉さんに一生ついて行くのだ~!」
荒野の狼「ガーーーーン!!」
士堂「それでは、ポイズンハニーの方にも話を伺いに参りましょうか」
士堂「メンバーのログイン状況が分かりましたらご連絡下さい」
「ああ、承知したよ」
「…つーさん、悪いけど士堂さんについて行ってくれるかい?」
九十九「仕方ないですな、行ってきますか」

エリア2 南チャルエズ街道

エレミア「ポイズンハニーの本拠地と言う事は、大辻市場に行くのか?」
士堂「ええ、御存知でしたか」
バニラ「そこでポイハニと銀腕さんらがケンカしてたのを見たのよね」
エレミア「あれから時間が少し経つから、悪化してなければ良いが…」
九十九「悪化してるとすれば、向こうが悪い!」
エレミア「やれやれ…先行き不安だな」

エリア3 南チャルエズ街道

バニラ「つーさん、か…
その発想はなかったわねぇ~」
九十九「ああ、姐さんはそう呼んでくれるぞ!」
バニラ「つーさん、今度私にも何か作って欲しいのだぁ♪」
九十九「高いぜ?」
バニラ「即答なのだ~…ケチンボ!」
ナビコ「安定のアサマシサでございマス」

エリア4 南チャルエズ街道

士堂「ファントムとやらは、なかなか現れませんね…」
エレミア「突然音もなく現れては、標的を葬る…
狩人の様な奴さ」
士堂「ふむ…まるで三爪痕(トライエッジ)、の様ですね」
エレミア「トライエッジ…?」
士堂「R2時代に噂になった、伝説のPKですよ
御存じありませんか?」
エレミア「あの頃は、悪い意味でPKが横行した時があったからな…避けていたんだ」

エリア5 森守の郷

刹那「そろそろ、森守の郷ですわね」
エレミア「森が深いと、敵も隠れやすいからな
気をつけない、と…えっ!?」
バニラ「どうしたの、エレミア~?」
エレミア「バニラは…ここにいる、よな?」
バニラ「なに?ひとの顔ジロジロ見て…
わんわんじゃあるまいし」
荒野の狼「そんなにジロジロ見た事はないと思う…
あれ、そうでもないか?」
エレミア「すまん、見間違いだった
よくある話だ、多分な…」
バニラ「?
変なの~」
プレイヤー「…?」

エリア6 森守の郷

エレミア「いた…
やはり…見間違いじゃなかったのか」
ドクン
バニラ「うそ…
あれって…」
刹那「あの女性キャラクター…
名前が表示されていませんわね」
刹那「黒ネームとも違うようですが…
何か心当たりがありそうですわね」
バニラ「あれは、私が前に使っていたキャラで、黒ネーム化して、消えちゃった――」
バニラ「ココレに間違いないよ」
ココレ?「……」
エレミア「あっ、行ってしまうぞ!
追いかけよう!」

エリア7 森守の郷

ココレ?「……」
バニラ「ちょっと、あんた!
待ちなさいよ!!」
エレミア「ダメだ、完全に消えてしまったな…
しかし、あれはまるで…」
刹那「ファントムの様…ですのね?」
士堂「あれが、ファントム…?」

エリア8 森守の郷

九十九「さっきのがファントムかい…
おっかないもんがウロウロしてるんだな!」
バニラ「おっかないとは失礼ねぇ!
ココレは可愛いのだ!ぷんぷん!」
エレミア「無理するな、バニラ…
正直私も、混乱してる」
バニラ「ゴメン、無理やりテンション上げてみたのよ」
バニラ「ほら、自分のそっくりさんを見たら良くない事があるって言うじゃない?」
エレミア「ドッペルゲンガー(二重存在)の事か…」
エレミア「今のお前はバニラだし、そっくりさんではないから大丈夫だろうさ」
バニラ「あっそうか、そうだった!
セーフ!」
刹那「先ほどのファントム、何か訳ありなんですの?」
バニラ「話せば長くなるけど、カクカクシカジカ…
ココホレココレ…と言う訳なのよ」
刹那「一度黒ネーム化したキャラが、ドッペルゲンガーとして復活したんですの?」
刹那「それは興味深いですわね」
かりん「だとしたら、うちらのもいるのかな?
ねぇ、すーちゃん?」
すぅれん「そりゃ戦いにくいなー
でも出てきたら容赦しねーけど!」
かりん「キャハハ!すーちゃん、わいるどぉ!」

エリア9 森守の郷

士堂「さすがは“TheWorld”ですね…
不可解な現象が起きるのは、平常通りと言うべきでしょうか」
刹那「先ほども以前の“TheWorld”の話をされてましたわね?」
刹那「昔から長くプレイされていましたの?」
士堂「R2だけですよ
その後は訳あって離れていましたが…
今は久しぶりに帰ってきたという所です」

エリア10 森守の郷

士堂「もう先ほどのドッペルゲンガーは出ないようですね」
バニラ「会いたいような、会いたくないような…
フクザツねぇ」
士堂「とりあえず大辻市場に向かいましょう
そこでポイズンハニーの方と合流しますよ」
九十九「きっちり話をつけてやる…!」
士堂「ケンカはいけませんよ、九十九さん?
我々が間に立つ意味をご理解下さい」
九十九「お、おう……分かってるよ」
6話:『毒蜜の女王』

6話:『毒蜜の女王』
謎の者たちとの邂逅が頭を悩ませる一同で
あったが、その悩みを胸に納めつつ、ポイ
ズンハニーのマスターの元へ辿り着く…
エリア1 ルゥ・エリユ南関門

バニラ「気分を変えて、ポイハニの情報を教えてよ~」
九十九「おう、いいぜ~
あいつらは…」
バニラ「あ、つーさんの話は偏ってそうだから、いいや♪」
九十九「……」

エリア2 ガリュ・メル北関門

バニラ「と言う訳でポイハニの情報を教えて、シドリン!」
士堂「…え?
聞き違いでなければ私の事をシドリン、と?」
バニラ「そうだよ!シドウだから、シドリンでしょ~?」
エレミア「すまん、こいつ失礼なヤツでな……」
士堂「いえ…お好きなようにお呼び下さい
忘れてなければ、返事いたしますので」
バニラ「ありがとー、シドリン♪」
士堂「……ああ、私でしたね
失礼しました」
エレミア「もう危ういな…」

エリア3 リィルの中道

士堂「ポイズンハニーが女性キャラだけの戦闘特化ギルド、というのは御存じでしょうか?」
バニラ「そこらへんは、何となく知ってるよ~」
士堂「では、大体の事は御存じの様ですね…あ」
バニラ「あ?」
士堂「いえ、大したことではありませんが…
団長のリト様について、一つ忠告を」
士堂「あの方は、女性キャラを見るとすぐにギルドに誘ってくるのでお気を付け下さい」
バニラ「…ただの女好き?」
エレミア「気をつけておこう…」

エリア4 リィルの中道

荒野の狼「気をつけるんだぜ、バニラ!」
バニラ「大丈夫だよ~、オーカミのおかげで、お断りするのには慣れてるから」
荒野の狼「意味がよく分からないんだぜ?」
バニラ「あんたはいっそ、ギルドに入れば?」

エリア5 リィルの中道

士堂「そろそろ団長のリト様に、連絡を入れておきます」
エレミア「妙な前情報を得てしまったから、躊躇するな…」
ピピピ
士堂「おや、リト様から返信が…早いですね
これは少々トラブルの様です」
エレミア「トラブル?」
士堂「ギルドメンバーが、シュナの北塔で襲われたそうです…正体不明の者に」
エレミア「黒ネームか、ファントムかもしれない…急ごう!」

エリア6 大辻市場

士堂「あ、あそこにおられるのがポイズンハニーの団長、リト様です」
リト「すまないね士堂、今立て込んでて…ん?
あら、もしかして入団希望かしら!?」
エレミア「いや、我々は…」
リト「いいからいいから!
ようこそ、ポイズンハニーへ!」
刹那「リト、何かトラブルだったのではなくて?」
リト「あら、刹那までいたの?
…って、そうそう、そうだったわ!」
リト「うちのコたちが、シュナの北塔で襲われてるらしいのよ
早く救助に向かわないと!」
エレミア「我々も助太刀させてもらうぞ」
バニラ「にひ~、バニラも行くのだぁ!」
荒野の狼「バニラが行くなら、俺も行くぞ!」
リト「あら、皆ステキなコばかりじゃないの!
じゃあ、お願いしちゃおうかしら~」
プレイヤー「コクッ」

エリア7 シュナの浜道

エレミア「道すがら簡単に自己紹介させてもらうが、私はエレミアだ」
バニラ「にひ~、バニラだよ!」
荒野の狼「俺は荒野の狼!」
リト「ポイズンハニーのリーダー、リトよ
野郎以外は、みんな入団って事でいいのかしら?」
エレミア「いや、我々は……説明が面倒だな
士堂、説明してくれ」
士堂「我々は、銀の細腕さんとのトラブルを仲裁に参じたのですよ」
リト「なんだ、そんなことなの?」
エレミア「どちらにせよ、救助が先だ
急ごう!」
リト「あら、凛々しいわね…フフフ」
エレミア「何か、ゾクリときたぞ」

エリア8 シュナの浜道

リト「襲われたメンバーは、二人らしいわ」
エレミア「見えるか?」
バニラ「分からないねぇ~
もうちょっと近づかないと…」
荒野の狼「一対一のバトルしか見えないぞ?」
バニラ「オーカミ、見えるの!?」
荒野の狼「遠くからアネゴを探すので鍛えられたんだ!」
バニラ「バニラ、よく分からな~い」
エレミア「とにかく、急ぐぞ!」

エリア9 シュナの北塔

黒ネーム「ヴオオオオオォォ…」
エレミア「やはり黒ネームだったか…」
大仰な獣人少女「くっ…ぬかったわ…」
リト「エリちゃん、大丈夫?
もう一人はどうしたの?」
エリンギうまい「わらわは問題ないぞ…
あやめは塔の中に隠れたが、今の安否は分からぬわ」
リト「分かったわ、エリちゃんは戻りなさい
リーダーの命令よ?」
エリンギうまい「承知…
後はお任せする」
リト「黒ネーム、と言ったかしら?
事情は御存じのようね?」
エレミア「少しは…
もう、何度か戦った相手だ」
プレイヤー「コクッ」
刹那「私の知る限り、一番の専門家ですわね」
リト「刹那のお墨付きなら間違いないわね、
もう少し手伝っていただけるのかしら?」
バニラ「もちろん、なのだぁ~♪」
エレミア「一刻を争うかもしれない、早く中へ!」
7話:『二重存在』

7話:『二重存在』
ポイズンハニーの団長リトは、団員の危機を知り、
救助に向かうところであった。
一同は団員のため、シュナの北塔へ!
エリア1 シュナの北塔 1層

リト「あやめー!」
……
リト「返事がないわね…もっと上に逃げたのかしら」
エレミア「逃げてくれていればいいが…」

エリア2 シュナの北塔 2層

リト「そういえばずっと気になっているのだけど」
九十九「なんだよ、何見てんだ?」
リト「何であんたまで、ここにいるのかって事よ」
九十九「はあっ?」
士堂「まぁまぁ、本来は銀の細腕さまとポイズンハニーさまとの話し合いが主だったので」

エリア3 シュナの北塔 3層

リト「どうせ話し合うなら、都を連れてきなさいよ」
九十九「姐さんは、忙しいんだ!
それよりうちの宝を返しやがれ!」
リト「はあ?
何を言ってるの?」
士堂「九十九さん、今はよしてください…」
バニラ「ケンカするなら、帰っていいよオジサン!」
九十九「だれがオジサンだ!」

エリア4 シュナの北塔 4層

リト「あやめー!
いないのかーい!?」
……
エレミア「ショートメールを打ってみたらどうかな?」
リト「たしかにそうだね……
よし、無事なら返事をくれと打っておいたわ」

エリア5 シュナの北塔 5層

リト「お、あやめから返事だ……」
あやめ(メール)「『ここは何階なのでしょう…
ずいぶん上まで上ってしまいました…』」
リト「かなり上まで上ってしまったみたいね…」
エレミア「だが、とりあえず無事らしいな」

エリア6 シュナの北塔 6層

リト「また、あやめからメールだ……」
あやめ(メール)「『またくろいひとがきたのでにげま』」
リト「…かなり、焦ってるみたいね」
エレミア「まだ中にも黒ネームが潜んでいるようだな」
バニラ「急いで上りましょ!」

エリア7 シュナの北塔 7層

エレミア「しかし、相当上まで逃げた様だな」
バニラ「なんで、人って逃げる時に上に逃げちゃうんだろうね」
エレミア「お前は夏休みの宿題は、計画的にやる方か?
それとも終わり間際に慌てる方か?」
バニラ「…終わりの事が多い…かなぁ…」
エレミア「追いつめられると分かっていても、
引き返せなくなる時ってあるよな?」
バニラ「あるよねぇ…」

エリア8 シュナの北塔 8層

エレミア「追いつめられた人間の、爆発力も捨て難いがな!」
荒野の狼「漫画じゃそこで覚醒したり、進化したりするよな」
エレミア「定番だが、燃えるんだよ、あれは!」
バニラ「夏休みの宿題は、そう上手くはいかないけどねぇ~」

エリア9 シュナの北塔 9層

黒ネーム「ヴオオオオオォォ!」
ココレ?「……」
ゴオッ!
バニラ「あそこ!
黒ネームと誰かが戦ってるわ!」
荒野の狼「今、一瞬光った時に見えたぜ!
間違いない…アネゴだった!」
エレミア「この前に会った、ココレのドッペルゲンガーなのか!?」
黒ネーム「ヴァアアアアアッ!!」
バシィッ!
ココレ?「……」
荒野の狼「あっ!
アネゴがやられた!?
おのれ、よくも!」
バニラ「落ち着きなさいよ、本物はこっちだっての!」
荒野の狼「あ、そうか…
ややこしいぜ、まったく!」
バニラ「とはいえ、自分のドッペルがやられるのは
あまり気分の良いものじゃないわね」
荒野の狼「黒ネームは上の階の方に行ったみたいだぜ」
エレミア「追うぞ!」

エリア10 シュナの北塔 10層

リト「ドッペルとかって、何の事なの?」
刹那「この方たちが今追っている謎のひとつですわ」
リト「黒ネームとか、ドッペルとか…
知らない内に妙な事が起きてるようね?」
刹那「ええ…とても興味深いんですのよ」

エリア11 シュナの北塔[BOSS] 10層

黒ネーム「ヴオオオオオォォ…」
リト「とりあえず、自分の仇は討ったわね
なんだか妙な気分だけど…」
エレミア「さっきのココレ…いや、ドッペル・ココレは
黒ネームと戦っていたんだよな?」
荒野の狼「間違いねーぞ、ちゃんと見た!」
エレミア「だとすると奴らのそれぞれの敵が何なのか、
一度整理する必要があるな…」

エリア12 シュナの北塔 11層

ルナ「また会っちゃった!
よく会うね!」
マリア「偶然も続けば必然…
どちらなのかしらね、ふふふ」
エレミア「また、妙なタイミングで現れるな…
エレミア「あんた達は、さっき消えたココレのドッペルの正体を知らないのか?」
ルナ「ドッペル?
キミたちは、そう呼んでるの?」
ルナ「そうなんだ…ドッペル、ね?
くすくす…」
マリア「ドッペル…憶えたわ」
マリア「詳しい正体は知らない…
ココレのドッペルとは、どういう事かしら」
バニラ「ココレ?
ココレは私のキャラだけど、消えたのよ」
バニラ「黒ネームになって…」
マリア「それも憶えた…
黒ネーム…罪竜の眷属…ふふふ」
バニラ「え、なに?」
ルナ「ドッペルが消えちゃったから、サヨナラだね
ばいばい!」
バニラ「あっ!ちょっと、待ちなさいよ~!
…ログアウトしちゃった?」
エレミア「そのようだな…」
プレイヤー「……」

エリア13 シュナの北塔 12層

刹那「やはり、あなた方と行動して正解でしたわ」
バニラ「でも次のレリーフの情報は、全然ないのだ~
にひ~…」
刹那「あら、そんな事は心配無用ですわ
あなたの――」
プレイヤー「……?」
刹那「あなたの行く先にレリーフは姿を現す…
私、疑い無くそう思っていますの」
プレイヤー「……」
エレミア「確かにそうだと楽なんだがね」

エリア14 シュナの北塔 13層

刹那「それにしても先ほどの二人組、
気になりますわね」
かりん「キャラの情報、ぜんぶ非公開だったよ~!
次会ったら、ちょっかい出しちゃう?」
すぅれん「そーだな、姫や姉ちゃんの敵になるそうならそうすっかな!」
かりん「キャハ!すぅちゃん、男らしい♪」

エリア15 シュナの北塔 14層

リト「あやめー!
いたら、返事しなさーい!」
……
エレミア「さっきの黒ネームに追われていたんじゃないようだし・・・やはり、もっと上か」
リト「どこまで行ったのかしらね、あの子ったら・・・」

エリア16 シュナの北塔 15層

バニラ「しかしまた、ずいぶんと上まで行っちゃったのねぇ」
リト「あの子、一度突っ走ると止められないところがあるのよね…」
エレミア「突っ走る力があるのなら、まぁ大丈夫か」
九十九「もうやられてなきゃいいけどな!」
リト「な・ん・で・すっ・てぇ…?」
士堂「九十九さん、事を荒立てないで下さい…」

エリア17 シュナの北塔 16層

リト「ケンカの仲裁に来るなんて、あんたもかなりヒマねぇ?」
士堂「いえ、もうひとつ大事な用事がありまして
むしろそちらの方が大きな問題ですね」
九十九「そうだ!
うちの姐さんが作ったカンザシが、いつの間にか消えちまったんだ!」
リト「へぇ……え、なに?
もしかして疑われてるの?
うちのギルドが!?」
エレミア「すごい剣幕だな…当然と言えば当然だが」
九十九「うっ…そ、そうに決まってるだろ!
多分…」

エリア18 シュナの北塔 17層

リト「濡れ衣を着せるにも程があるわね…
何を根拠にそんな事を!」
リト「場合によっては、ハラスメント行為としてギルドを訴える必要が…」
九十九「ちょ、ちょっと待てよ!」
士堂「九十九さん、リト様の言い分はごもっともです。」
士堂「御理解いただけたら、話をややこしくしないで下さい。」
九十九「わかった、わかった!」

エリア19 シュナの北塔 18層

リト「とりあえず士堂の顔を立てて、話は聞くわ」
士堂「有難うございます、リト様」
リト「まぁ、今はうちのあやめを救出するのが先だけどね」

エリア20 シュナの北塔 19層

エレミア「そろそろ最上階だぞ…
どうやら最上階まで逃げたらしいな」
リト「逆に言えば、追いつめられたとも言えるわね」
バニラ「逃げきっていて欲しいのだ~!」

エリア21 シュナの北塔 20層

あやめ「キャッ!?」
黒ネーム「ヴァアアアォオアア!」
エレミア「クッ、間に合わなかったのか!?」
リト「あやめ!?」
あやめ「あっ、団長!?
助けに来て下さったんですね!」
バニラ「にひ~!
まだ、大丈夫みたいなのだ!」
プレイヤー「コクッ!」

エリア22 シュナの北塔[BOSS]20層

黒ネーム「ヴオオオオオォォ…」
リト「あやめ、無事!?」
あやめ「おっそいよぉ~、だんちょおおおおおお!!」
あやめ「あたし、マジで死ぬかと思っちまったじゃ…」
リト「あやめ、しゃべりが戻ってるわよ…」
あやめ「はうっ!?
…わ、わたくし、きっと助けに来て頂けると信じてましたワ」
バニラ「え…?」
リト「よし、大丈夫みたいね♪」
エレミア「…まぁ、そう言う事にしておこう
間に合って良かったよ」
プレイヤー「コクリ」
あやめ「こんなに大勢で助けに来ていただいて…
あやめ、感激です!」
リト「じゃあ大辻市場にある、うちのギルドホールに戻りましょうか」
8話:『幽霊団員』

8話:『幽霊団員』
シュナの北塔で団員たちの救助に成功した一同。
塔の中には黒ネームに加えて、
ココレの二重存在(ドッペル)も徘徊していた…
エリア1 シュナの北塔

士堂「では時間もないので、本題を話しながら参りますね」
士堂「九十九さんの訴えによると「銀の細腕」の宝である「カンザシ」が失われ…」
士堂「その犯人は「ポイズンハニー」のメンバーだと推測しておられるそうです」
リト「ありえないわね、その結論に至った奴の思考力を疑うわ」
九十九「目の前にいるだろーが!
やな女だぜ…」
士堂「ですが、その宝を持ち出す方法はギルド外部の者では手を出しにくい状況なのも確かです」
リト「常識的にはそうでしょう?」
士堂「ただ都どのも指摘されましたが、お互い共犯がいれば別ですよね」
リト「銀腕のヤツはともかく、うちは関係ないでしょうに」
士堂「ならば、問題ないのですが…」
九十九「じゃあ、一体だれが持ち出したんだ!?」

エリア2 シュナの浜道

リト「都のカンザシなら良い物でしょうけどね
うちにだってお宝はあるもの」
九十九「フン、どうせ――」
士堂「九十九さんは、お静かに…
私は興味ありますね、そのお宝に」
バニラ「私も興味あるー!」
リト「ちなみに、うちのお宝は全て闘技場やクエストで手に入れた戦利品ばかりよ」
士堂「なるほど、そうでしたか」
リト「戦利品といっても、一応どれもレアな一点ものばかりなんだからね?」
バニラ「一点もの…甘美な響きねぇ…」
リト「ほら、もうすぐ大辻市場だし
後でギルドホールに案内した時に見せてあげるわ」

エリア3 大辻市場

〈大辻市場〉
~「ポイズンハニー」ギルドホール~
リト「改めて、ポイズンハニーの巣へようこそ
宝物部屋はこっちに…」
慌てる女戦士「だ、団長、大変です!」
リト「なに?
そんなに慌てて…」
慌てる女戦士「実は…
宝物庫の宝が、ひとつ無くなってるんです!」
リト「何ですって!?」
士堂「これは…想定外でしたね」
九十九「先に言っておくが、俺じゃないぜ!」
リト「あんたなんか言ってないでしょうが…
それで何が無くなってるの?」
慌てる女戦士「以前、闘技場の団体戦優勝した時の賞品で…
レアリティ★★★★★★の「剣」です…」
エレミア「そいつはかなり強力な武器じゃないか…」
リト「いえ、所詮トロフィー代わりの剣だし
切れ味はそこそこよ」
士堂「いつ無くなったか分かりますか?」
慌てる女戦士「そういえばここ数日調べてなかったので…」
士堂「厄介な事になりそうですね…」
士堂「ここ数日のメンバーの方の動向を調べて頂けますか?」
リト「分かったわ、剣に未練は無いけど犯人は見過ごせないしね」
エレミア「我々はどうする?」
刹那「お任せいたしますわ」
士堂「一度チャルタンに戻って、状況をすり合わせましょうか」
リト「待って…
連絡が取れないメンバーが分かったわ」
バニラ「はや!ホントに~?」
リト「ここ数日ログインしてないのは「カァコ」と「ゆっきー」の二人ね」
リト「この二人が特に親しかったという話は聞いてないけど…」
あやめ「カァコ…さん!?」
リト「あやめ、カァコがどうかしたの?
何か知ってるなら言ってちょうだい?」
あやめ「えっと…この前こそこそとギルドホールから出て行くところを見かけたので」
あやめ「声をかけたら、タル・ヴィドの方に…って
慌てて走って行かれたんですが…」
エレミア「タル・ヴィドか…
チャルタンに帰るついでに寄ってみるか」

エリア4 リィルの中道

リト「私はここで見送らせてもらうわ
あやめ、後は頼んだわよ?」
あやめ「は、はい!
精一杯つとめさせていただきます!」
バニラ「改めてヨロシクなのだぁ~!」

エリア5 リィルの中道

エレミア「カァコ、というのはどういうコなんだ?」
あやめ「わたくしが言うのも何ですが、おっとりとしていて、食べることが大好きなコですよ」
あやめ「闘技場では貴重なポイントゲッターですわ」
エレミア「別に怪しいかんじはしないな」
バニラ「うーん、悪い事をしそうなコじゃなさげ?」

エリア6 リィルの中道

エレミア「じゃあ、ゆっきーはどういうコなんだ?」
あやめ「そうですねぇ…良く言えば策士、ですわ」
あやめ「闘技場の開催前に、対戦相手の情報を集めてガチガチに対策を練るんですの」
バニラ「良く言えば、って…悪く言えばどうなの?」
あやめ「ストーカーさん、ですわ♪」
プレイヤー「!?」

エリア7 ガリュ・メル北関門

バニラ「ストーカーさん、とはまた…
犯罪のニオイがするのだ!」
荒野の狼「バニラ、なんで俺を見てるんだ?
照れるじゃねぇか!」
あやめ「ゆっきーさん、ギルドメンバーのことも妙に知りたがる感じでしたわ」
エレミア「怪しすぎるな…」
士堂「その方の行方も分からないとなると、かなり疑わしいですね」

エリア8 ルゥ・エリユ南関門

九十九「しっかし、どんだけお宝を盗むつもりだよ…」
あやめ「ゆっきーさんか、カァコさんが持って行ってしまわれたのでしょうか…」
九十九「まったく、いい迷惑だぜ!」
プレイヤー「じーっ…」
九十九「なんか責められてるのか、これ…?」

エリア9 森守の郷

エレミア「とりあえず、森まで戻ってきたな」
あやめ「ダル・ヴィドに手掛かりがあるでしょうか…」
士堂「森守たちに話を通さねば、ダル・ヴィドにたどり着けませんよ
まず、彼らを探しましょうか」
森守「では、行くがいい…
汝らにダル・ヴィドの加護を……」
バニラ「むむむ…
まさか森守全員の許可がいるなんて~」
すぅれん「まぁ、森でお散歩と思えばいいんじゃない?」
かりん「すぅちゃん、大人の余裕だね!」
バニラ「ぐぎぎ…どうせ、コドモだもん!」
9話:『知識の樫』

9話:『知識の樫』
ポイズンハニーでも宝剣が失われていた。
それと同時に姿を消した団員の行方を追う一同は、
知識の樫ダル・ヴィドで災いに遭う…
エリア1 森守の郷

九十九「森守のおっさんを、見つけたぜ!」
森守「では、行くがいい…
汝らにダル・ヴィドの加護を……」
九十九「面倒なマネさせやがってよ~
見つけたら、とっちめてやるぜ…」
あやめ「まだカァコさん達がやったと決まった訳じゃありませんわ!」
士堂「九十九さん、何度もお願いしてますので、ご注意ください…」
九十九「わ、分かってるよ!」
荒野の狼「なるほどな、これがすぐに人に噛みつく反面教師ってやつか」
エレミア「成長したな、狼…」

エリア2 森守の郷

森守「では、行くがいい…
汝らにダル・ヴィドの加護を……」
キュピーン♪
九十九「お?
うちのギルドのもんからメールだな…」
九十九「えぇと……ふん、ふん」
九十九「この先の森守がいるところで、
うちの使いのもんが待ってるそうだぜ」
士堂「チャルタンに戻る手間が省けましたね」
エレミア「何か、分かったのかもしれないな」
あやめ「無くなった物が見つかった、とかでしたら良いのですけど…」

エリア3 森守の郷

九十九「よう、正雪(しょうせつ)!
なんか分かったのか!?」
正雪「ああ、最近音信不通の者が分かった…
「烏丸(からすま)だ」」
九十九「烏丸ァ?
確かに最近見ないと思ったが…まさか奴が?」
正雪「どうかな…だが、もし奴が隠れるとしたら
この森か、あの塔――」
正雪「宿られし樹塔パナ・ケア…だと思う」
士堂「なるほど、一理ありますね
あそこに入る人は少ないでしょうから」
バニラ「えっ、どういうこと?」
刹那「あそこに入るには、ダル・ヴィドの許可が必要なのですわ」
エレミア「結局、森守へのあいさつ巡りが必要なんだな」
刹那「ええ、
あそこでお待ちですわよ」
森守「我らの森に立ち入る旅人たちよ…
如何なる用かな?」
エレミア「やれやれ、だな……」

エリア4 森守の郷

森守「では、行くがいい…
汝らにダル・ヴィドの加護を……」
正雪「俺は戻る…
カンザシを奴らから取り戻してくれ」
九十九「おう、まぁ任せときな」
正雪「…ふん」
(ざっ……)
あやめ「今、私の事をにらんでいきませんでした!?」
エレミア「知り合いか?」
あやめ「いえ、あんな無礼な人は知りませんわ!」
かりん「キャハハ!やな感じ!!」

エリア5 森守の郷

森守「では、行くがいい…
汝らにダル・ヴィドの加護を……」
バニラ「一応、状況は進展してるのかなー?」
士堂「重要参考人は浮かびましたからね
進展してると思いましょう」

エリア6 森守の郷

森守「我らの森に立ち入る旅人たちよ…
如何なる用かな?」
エレミア「…状況がややこしくなってきたな
ちょっと整理しながら行こう」
士堂「ギルド「銀の細腕」と「ポイズンハニー」の両方からレアアイテムが紛失している事が発覚しています」
士堂「「銀の細腕」からは都さまが作られた特製のカンザシが、「ポイズンハニー」からは闘技場の賞品である宝剣が無くなっています」
プレイヤー「コクリ」

エリア7 森守の郷

士堂「お互いのギルドでここ最近連絡が取れない方がおり、「銀の細腕」では「烏丸」さん、「ポイズンハニー」では「ゆっきー」さん…」
士堂「そして、もう一人が「カァコ」さんです
カァコさんが「ダル・ヴィド」に向かったとの情報をたどって、現在に至る…ですかね」
刹那「とてもよく分かりましたわ」
かりん「ところでこの辺の森守はどこだろうね?
探したけど、いないみたいだよせっちゃん!」
すぅれん「いないなら、スルーしちゃおうぜ!」
かりん「すぅちゃん、わいるどぉ♪」
エレミア「うーむ、いいんだろうか…」
九十九「まぁ、しかたねぇだろ緊急事態って事で!」

エリア8 知識の樫ダル・ヴィド

〈森守の郷 中央〉
~「知識の樫 ダル・ヴィド」~
バニラ「ダル・ヴィドに到着したわよ!
森守の許可がなくても来れたじゃないの~」
荒野の狼「ん…?
あそこにいるの森守じゃないか?」
森守「……」
かりん「でも、ちょーっと様子が変かもぉ?」
すぅれん「まさか…あれって!?」
森守「許可なく、許可、なくきょ、かな
キョカナ、クだる、ヴぃどニ、ニニ」
森守「チカヅ ヅ ヅ ヅヅ ヅヅヅヅヅ」
バニラ「怒ってる訳じゃ…なさそうねぇ」
エレミア「ああ、黒ネームだ!」
エレミア「プレイヤーキャラじゃないやつまで、黒ネーム化するのか!?」
森守「クククククゥゥゥゥウウウウウアアアアッ!」
プレイヤー「!!」

エリア9 知識の樫ダル・ヴィド[BOSS]

森守「ゴゴオオオアアアアァァ……」
バニラ「や、やったわね」
刹那「状況は悪い方へ転がっておりますわね…
かりん、問題はありませんか?」
かりん「……
無問題…だよ!」
プレイヤー「?」
すぅれん「あっという間にこの人らが倒しちゃったから俺っちの出番なし――」
(ブゥン…)
バニラ「あ、あれ?
今何か、少しおかしくならなかった?」
刹那「ええ、一瞬ですがこのエリア限定で、
リセットが行われましたわ」
森守「…ダル・ヴィドに何の用じゃ
旅の者たちよ」
バニラ「あ…森守のおっちゃんが、復活してる!?」
刹那「森守程度のNPC(ノンプレイヤーキャラ)なら、すぐに修復できるようですわね」
バニラ「プレイヤーキャラは修復できないのに!?」
士堂「あるいはNPC限定で、自浄機能が働いているのかもしれませんね」
刹那「…面白いですわね」

エリア10 森守の郷

エレミア「とにかくダル・ヴィドから塔に入る許可は得られたし、早く塔に向かうべきだな」
バニラ「そんなに急ぐ必要あるの?」
エレミア「森守が黒ネーム化していたんだぞ?」
エレミア「他の黒ネームがここにいたか、
この先にいるか、だ」
あやめ「カァコさん、無事でしょうか…」

エリア11 森守の郷

士堂「念のためにお聞きしますが、カァコさんと烏丸さんとは、お知り合いでしたか?」
九十九「ここ最近、ポイズンハニーの連中と仲良くしてる奴は、いないと思うぜ?」
あやめ「ええ、特に近頃はギルド間での争いが絶えませんし…」
あやめ「皆、余計なもめ事は避けておりましたわ」

エリア12 森守の郷

ナビコ「森守の塔はコチラから東です」
エレミア「この前は、この辺りでココレの偽物…
ドッペルを見かけたんだったな」
バニラ「何者なのかしらねぇ…?」
刹那「何をしようとしていたのか…
それも気になりますわね」

エリア13 森守の郷

士堂「森守の塔にカァコさんが今もまだいるとは思いませんが、せめて手掛かりがあれば…」
あやめ「カァコさん、何の用事があったんでしょう…」
九十九「うちの烏丸もな…まったく」

エリア14 森守の郷

刹那「見えてきましたわ、森守の塔が」
バニラ「えっ、どこどこ?
……おっきな木なら見えるけど」
エレミア「「森守の塔」は、ただの通り名だからな」
エレミア「本来の「宿られし樹塔 パナ・ケア」の名前の由来は、あの見た目から来てるんだ」
バニラ「あらやだ、よく見たら植物がびっしりと塔を飲み込んでるみたいに生えてるのね~」

エリア15 森守の郷

あやめ「カァコさーん、いませんか~?」
エレミア「しばらくログインしてないんだろう?
返事があった方が怖いぞ…」

エリア16 宿られし樹塔パナ・ケア

バニラ「と・お・ちゃ・く…っと!
近くで見たら、よりうっそうとしてるわね」
士堂「たしかに塔の入り口には、森守が門番としていたはずですが…まさか」
かりん「すーちゃん、この感じ…
いるっぽいんじゃないかな~!」
すぅれん「まじかよ、姉ちゃん…!」
森守「……」
九十九「また、あのヤベェ森守かよ!」

エリア17 宿られし樹塔パナ・ケア[BOSS]

森守「ヴゴゴオオオアアアアァァ……」
エレミア「やはり、黒ネーム化したヤツが、ここにも来ていたみたいだな…」
かりん「…………っく……」
プレイヤー「……?」
エレミア「どうした、かりんの方を見て…?
おい、大丈夫か?」
かりん「…キャハ!
気配り上手さんじゃな~いw」
すぅれん「ん…姉ちゃん、ちと疲れてるみたいだな~
俺っち達は、ここで落ちるか?」
刹那「そうね、これ以上は危ないかもしれないわ」
バニラ「これ以上は、あぶない?」
刹那「ええ、あなたも気をつけた方がいいのだけど」
バニラ「はい?」
刹那「私はこの方々ともう少しお供させていただきますので、かりんをお願いしますわ」
すぅれん「わかってるって…じゃ~な!」
かりん「キャハ!
またね♪」
士堂「では皆様、森守の塔へ入りましょうか」
プレイヤー「……こくり」
10話:『そして宝は』

10話:『そして宝は』
姿を消した者たちが向かったと思われる、
森守の塔を目指す一同は、
次々と現れる黒ネームたちに翻弄されるが…
エリア1 宿られし樹塔パナ・ケア 1層

〈森守の塔〉
~エントランス~
あやめ「ごめんくださいましー…
どなたか、いらっしゃいませんか~?」
九十九「おいおい誰が返事をするってんだよ…」
???「…う…う……う…
だぁ……れぇ……だぁ……」
九十九「ひっ!?」
あやめ「な、なん、なんでぇ、今のは!?」
エレミア「…素が出てるな」
あやめ「えっ、あっ…うふふ……
なんなのでしょうか、今のは~?」
エレミア「いまさら、だな」
プレイヤー「こくり」

エリア2 宿られし樹塔パナ・ケア 2層

???「…う…う……う…」
あやめ「ま、また聞こえやがりましたわ!」
エレミア「口調が崩壊してるな
ところで……」
エレミア「さっきからなにをコソコソしてるんだ
バニラ?」
バニラ「に…ひ……ひぃ~…♪」
九十九「あんたかよ!」
あやめ「おどかすんじゃねぇ!…ですわよ!」

エリア3 宿られし樹塔パナ・ケア 3層

エレミア「なんか、余裕が無くなるとキャラが変わるみたいだな…無理してないか?」
あやめ「…大変お見苦しい姿をお見せして、
申し訳ございませんわ…」
バニラ「キャラを作るのは、大変なのだ…にひ~」
あやめ「キャラを作るのとは、少し違うのですけど…」

エリア4 宿られし樹塔パナ・ケア 4層

あやめ「わたくし、いわゆるお嬢様学校に入学することができまして…」
あやめ「まわりは本物のお嬢様ばかりなので、
おしとやかさを身につけたいんです…」
バニラ「キャラじゃなくて、本人が猫をかぶる修行をしてるの?」
あやめ「ぶっちゃけそうですけど…
猫をかぶるって、ちょっとヒドくない?」
エレミア「さっそく荒れてるようだが…」
あやめ「おぅ…「ぶっちゃける」って…
おしとやかに言ったら何でしょうか…?」

エリア5 宿られし樹塔パナ・ケア 5層

士堂「それはそうとして、先ほどから手がかりを探しているのですが、何も見当たりませんね」
エレミア「おっと、任せてしまって済まん」
刹那「あなたは、何も感じませんか?」
バニラ「私が?何を?なんで?」
刹那「今この中で黒ネーム化を経験された方は、
あなただけ…なのですわ」
バニラ「あらやだ、本当だわ
でも、何か感じるか、と言われてもねぇ…」
刹那「感じないのなら、それはそれで良いのですよ」
プレイヤー「?」

エリア6 宿られし樹塔パナ・ケア 6層

バニラ「何かしら…さっきあんな事を言われたから、
なんか気分がモヤモヤしてきたわ」
エレミア「刷り込みか?
影響を受けやすいな」
バニラ「ふーん、だ!
デリケートと言ってほしいのだ~!」
刹那「念のために注意しておいた方が良いですわね」
プレイヤー「コクリ」

エリア7 宿られし樹塔パナ・ケア 7層

バニラ「うぐぐ……」
バニラ「うーん…やっぱりなんか…
頭が痛くなってきたかも~…」
荒野の狼「バニラ、風邪じゃないのか?
ゲームしてる場合じゃ…」
プレイヤー「……!」
エレミア「どうした…あっ!」
???「オォオオォン……」
バニラ「やっぱり、黒ネーム!?
アイタタタ…」
エレミア「狼の言うとおり、こっちは我々にまかせて休んでいろ、バニラ!」
バニラ「ら、らじゃー…任せたわよ~」
プレイヤー「コクッ!」

エリア8 宿られし樹塔パナ・ケア[BOSS]7層

黒ネームの女「ウロロオオオオォォ……」
あやめ「あっ…
もしかして、この黒ネームさんは…」
あやめ「ゆっきーさん…!?」
士堂「何ですって?」
黒ネームの女「オオォォ……」
あやめ「やっぱり…
間違いありませんわ…」
刹那「これで、話を聞けそうな参考人がひとり
消えたという事ですわね」
あやめ「でもカァコさんではなく、なぜ
ゆっきーさんがここにいたんでしょうか…」
九十九「烏丸もここに隠れてるかと思ったんだが…」
九十九「この分じゃ長居はしてなさそうだな!」
士堂「ですが、ここに何かありそうだという確信は持てそうですよ」
エレミア「よし、気をつけながら先に進むぞ」
プレイヤー「こくり」

エリア9宿られし樹塔パナ・ケア 8層

バニラ「あら?
頭痛が治まってきた、かも」
刹那「ですが、無理はよくありませんわよ?」
荒野の狼「そうだぜ、後は俺たちに任せろよ」
バニラ「うーん…でも、ここで落ちたら気になって
休むどころじゃないし、行くわ!」
荒野の狼「仕方ねーな、俺がちゃんと守ってやるぜ!」
バニラ「あー、はいはい…」

エリア10 宿られし樹塔パナ・ケア 9層

エレミア「ゆっきーが黒ネーム化していたということは他の二人も危ないかもな…」
刹那「あら、その逆も考えられましてよ?」
エレミア「二人のどちらかが先に黒ネーム化していて、巻き込まれたということか…確かにそうだな」

エリア11 宿られし樹塔パナ・ケア 10層

あやめ「カァコさんも黒ネームになっていたら、
やはり倒さないといけないんでしょうか…」
刹那「現状、黒ネームになったキャラクターを元に戻す方法は確認されてませんわ」
刹那「そうですわね?」
エレミア「ああ、我々は知らない」
バニラ「許すまじ、ね…」

エリア12 宿られし樹塔パナ・ケア 11層

エレミア「そうだ、元に戻るわけじゃないが…
ココレはドッペルとしてまた現れたな」
バニラ「あれは、化けて出たっていうんじゃないの?」
荒野の狼「自虐すぎる…強いぜ、バニラ!」
プレイヤー「こくこく」

エリア13 宿られし樹塔パナ・ケア 12層

バニラ「もし、また化けて出てきたら成仏させてやろうじゃないの!」
エレミア「お前がそういうなら、遠慮なくやらせてもらおうかな…フフフ」
プレイヤー「コクッ」
バニラ「お、お手柔らかに頼むのだぁ~」

エリア14 宿られし樹塔パナ・ケア 12層

バニラ「あれ…?
また……頭が…ぐぬぬ」
エレミア「おいおい、大丈夫か?」
荒野の狼「バニラは後ろに下がってた方がいいぜ?」
バニラ「うぐぅ…じゃあ、そうするのだ…いてて」
ナビコ「ココまで痛々しいバニラさんを見るのは、
珍しいデスね」
プレイヤー「こくこく」

エリア15 宿られし樹塔パナ・ケア 13層

バニラ「あだだだだ…
マジで痛くなってきたのだぁ~…」
刹那「これは…すぐ近くに居ますわね」
荒野の狼「いたぜ!
あそこだ!!」
黒ネームの男「ヴルルルゥ……」
エレミア「本当に出たぞ…
偶然じゃないっていうのか?」
バニラ「にひ~…私、なにか覚醒しちゃった?」
エレミア「へろへろな声で、何を言ってるんだバカ!
いいから、休んでろ!」
荒野の狼「さっさとヤツを倒そうぜ!」
プレイヤー「コクッ!」

エリア16 宿られし樹塔パナ・ケア[BOSS]13層

黒ネームの男「ヴルルルゥ……」
荒野の狼「どうだ、バニラ!?」
バニラ「あ……すーっと何かが抜けていく感じ…」
バニラ「治った…みたい?」
刹那「それは良かったですわ」
エレミア「……」
士堂「今の黒ネームに見覚えは?」
あやめ「いえ、カァコさんではありませんわ」
九十九「うちの烏丸でもないと思うぜ」
士堂「では今の黒ネームが、この辺りを徘徊して
森守たちを黒ネーム化させた者でしょうか…」
刹那「断定するのは難しいですわね」

エリア17 宿られし樹塔パナ・ケア 14層

エレミア「…刹那は、何か知ってるんじゃないか?」
刹那「何か、とは抽象的すぎるご質問ですわね」
エレミア「バニラの身に起きてる変化のことなんだが…
かりんも同じようなことがおきてるのか?」
刹那「その因果関係については、情報が不足しておりますので、お答えできかねますわ」
刹那「ただ、これまで見てきた状況の蓄積から推測する限り、類似している…とは思いますわ」
プレイヤー「……」

エリア18 宿られし樹塔パナ・ケア 15層

バニラ「やあねぇ~、なんでゲームの中の出来事が現実の私に関係あるのよ~」
エレミア「それはな…」
士堂「ここが"TheWorld"だから…ですか?」
刹那「そう、としか言い様がありませんわ」
バニラ「なんなの…それ?」

エリア19 宿られし樹塔パナ・ケア 16層

士堂「私も以前…といっても子供のころですが、
"TheWorld"をプレイした事があり……」
士堂「その時、不思議な体験をしたらしいのです」
エレミア「らしい、とはどういう事だ?」
士堂「その時の記憶が、無いのですよ」
バニラ「記憶が、ないって…そんな」

エリア20 宿られし樹塔パナ・ケア 17層

刹那「士堂様のおっしゃられた事ですが、
私は驚きませんわ」
エレミア「そうだな、私もだ」
バニラ「だって、これゲームでしょ!?」
バニラ「怖い顔でおどろかされても、
私、困っちゃうのだ~」
エレミア「……」
バニラ「…え~っと、マジ?」

エリア21 宿られし樹塔パナ・ケア 18層

エレミア「都市伝説レベルの話だが、"TheWorld"に閉じ込められて、現実世界に帰れなくなった者もいたとか」
エレミア「何度か起きた、世界的なネットワーク危機の原因が"TheWorld"だという噂もあったな」
バニラ「そんな……冗談きついのだ、エレミアってば」
刹那「エレミア様が聞かれた噂は、それなりに証言が残っている信憑性の高いものですのよ?」
荒野の狼「マジかよ…」

エリア22 宿られし樹塔パナ・ケア 19層

エレミア「我々がこれまで遭遇した異変は、ゲームの不具合、と言われたらそれまでかもしれん」
エレミア「だが、この先もそんなレベルで済むかどうか
保障はないぞ」
バニラ「ぐむむ…とはいえ、私はどうすればいいのかわからないんだけど…?」

エリア23 宿られし樹塔パナ・ケア 20層

士堂「最上階まで来てしまいましたね…」
バニラ「あっ…、あそこ!
また私の偽者がいるわ!!」
ドッペル・ココレ「……」
エレミア「こちらには気づいてないようだが…
何をしてるんだ…?」
九十九「何かを持ってるみてぇだな」
あやめ「もしかすると持ち出されたアイテムかもしれませんわ!」
バニラ「だとしたら、先手必勝なのだ!
行くわよ!!」
プレイヤー「コクッ!」

エリア24 宿られし樹塔パナ・ケア[BOSS]20層

ドッペル・ココレ「ウウ……ウ……」
バニラ「あんたは、もう成仏しなさいな…」
エレミア「バニラ、今のココレが出た時は、頭痛とかの症状はなかったのか?」
バニラ「あれれ~?
そういえば、全く痛くなかったわよ!?」
荒野の狼「もしかして、治ったんじゃねぇか?」
刹那「免疫が出来たのか、それとも別の要因があるのか…
興味深いですわ」
バニラ「心なしか楽しそうに聞こえるのだ…」
刹那「気のせいですわ」
あやめ「あっ、これは無くなっていた剣!
…ですが、折られてますわ!」
九十九「姐さんのカンザシも折られてやがる…
畜生、ひでぇ真似を!」
エレミア「なんだって!?
…さっきのドッペル・ココレがやったのか?」
バニラ「ちょっと、何で私を見るのよ!
私じゃないでしょ~!?」
士堂「そのドッペルがアイテムを壊したかどうか
現場を見ていないので、何とも言えませんね」
エレミア「アイテムは戻ってきたが、謎は謎のままか…」
士堂「仕方ありません、報告のために一旦
戻りましょうか」
プレイヤー「…こくり」

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