10スレ/201

Last-modified: 2014-04-08 (火) 00:49:37
201 : ローカルルール追記議論中@自治スレ : 2011/12/10(土) 18:12:47.84
月食にあわせてほむら×まどかのSS書いてみた。クーほむ化後のどこかの時間軸って設定です。他はいろいろ無視してるし、話を急ぎすぎてる感があるけどけど、許して。
 まどかの誘いで、今日は月食を観察する事になった。
「月食の観察……」
 「私は方法を知らないわ」と言ったら、まどかは笑顔で「ただ見るだけだよ」と教えてくれた。
 家中の資料を漁ってとりあえず方角と時刻だけ目処をつけて、アパートを出る。
「あ、ほむらちゃん」
 アパートを出たところで、後ろからまどかに声をかけられる。
 そういえば、まどかの家から待ち合わせ場所に向かうには、このアパートの前を通るのが一番近かった。
「ちょうど良かった。待ち合わせの時間にちょっと遅れそうだったから、待たせちゃうかなって心配だったんだけど」
「大丈夫よ。多少待つくらい」
 自分が待ち望んで掴もうと必死な事に比べれば、待ち合わせの5分10分に苦は感じない。
 ただ、まどかを待つ事に心配を抱く可能性は否定できないけれど。
「じゃあ、行きましょう」
 心配事が一つ消えて、私は心なしか足取りが軽くなった気がした。
 目的を考えれば一つで何かが変わるとは思えないのだけれど、実際、私はうれしがっている自分を自覚できる。
 それがいいのか悪いのか、もう区別がつかなくなってきたような気がする。
 良かったと思えることが、たくさんの悔しい事に押しつぶされて、それでも私はこの一月を過ごし続けている。
 その間に数え切れないほどの「月食」があったはずだけれど、実際に見るのは今日が初めてだ。
「でも、一緒に見てくれる人がいてよかったよ」
 まどかはそんな事をいう。多分、探せば私以外にもいると思うのだけれど。
「私もうれしいわ」
 そんな中から私を選んでくれたのだから。
 うれしい事の一つに数えてもいいと思う。
「河川敷からなら見れると思うんだけど……」
 まどかは自信は持っていても、核心は持っていないらしかった。
「見えるわ。ちょうど風車の上に来るはずよ」
「よかった」
 心底安心しているまどかを見て、胸が痛む。
 何度も思い続ける「今度こそ」を、私は叶えられなかった。
 雲が月を隠すように、いつもどこかで道が閉じて、求める彼女の姿を見られていない。
「やっと見られるよ……」
 なんだろう、と、まどかのつぶやいた言葉の意味に戸惑う。
「どういうこと?」
 今日の月食はまだ始まってもいない。彼女に何度も今日が来るわけじゃない。
 何をもってやっとなのか、今まで何を失敗してきたのか。
「4年前のときは曇りで、去年のときは見に行ったらもう終わってて」
 ――ただ、彼女の人生で日食が今日一度じゃなかっただけだった。
 それは当然で、私が迷い続けていることとは関係ない。
 でも、言えることがある。
「見れるわ。確実に」
 今まで何度となく繰り返した今日はいつも「快晴」。調べた開始時刻まで後30分ある。
 そう、きっと一つ一つ考えれば、まどかの未来だって、見る方法は見つかるはず。
 だから今は彼女と一緒に河川敷に向かう。これもその未来のためになると思えたから。

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