35スレ/一人にはさせない-mdhmください

Last-modified: 2014-04-25 (金) 18:32:44
293 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/10/29(月) 20:33:02.12 ID:N3HC1Axp0
そして男は悪魔に取引を持ちかけます。「10年の間、俺がmdhmに困らないようにしてくれ」
お互いに準備していた手作りのお菓子を、「トリック・オア・トリート」の定型句とともに交換し合い(違う行事みたいだ、と
ころころ笑うまどかは可愛かった)、下校の道すがら、ハロウィンの伝承を調べる。
「かわいそうだね」
ジャック・オ・ランターンの伝承。天国にも地獄にも行けず、現世を彷徨い続ける男。
どう考えても因果応報だとしか思えない自分には、まどかの優しさは眩しさすら感じる。
「人智を超えたものとの契約とは、どうしたって歪みを産むものだわ」
自分でも驚くほどに、自嘲の色のついた言葉だった。しまったと思った。
まどかが凍りついたように動かなくなる。
「今のは失言だったわ、深い意味は――」
「ほむらちゃんだって、」
言い繕おうとする私の言葉を、まどかが遮る。
「ううん、魔法少女はみんな希望を持って魔法少女になったんだよね。その果てに辛い目に遭うのなんて、間違ってる」
強い口調と裏腹に、まどかは微笑みを浮かべている。
「間違ってるよ」
もう一度、強く繰り返した。そうすることで、世界中の絶望を消せるとでも言うように。
不意に湧く、荘厳なイメージ。あらゆる絶望を吸い上げ、救いを与えるまどか。最悪のイメージ。あらゆる生命を吸い上げ、「救い」を与えるまどか。
そして、そのどちらも恐ろしいほどに孤独なまどか。永久に現世を彷徨う男より遙かに。
恐ろしくなって、まどかを強く抱き寄せる。
「ほ、ほむらちゃ」
「何があっても!」
そう、何があっても。
「私はあなたのそばにいる! 絶対に! 離れ離れになっても必ず迎えに行くから! ずっと一緒にいるから!」
「あ…えーと…う、うん。…待ってるよ」
まどかを失うことは、何より怖かった。今は下校中で、周囲には生徒が沢山居て、注目を集めていることにも気づかないほどに。
次の日から学校中に公認のカップル扱いされる未来を私はまだ知らない。
お菓子を口移しするトリック・アンド・トリートがして欲しかっただけなのにこうなった。mdhmください。

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