38スレ/邂逅-mdhmください

Last-modified: 2014-04-28 (月) 19:40:54
331 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/11/26(月) 04:03:04.68 ID:FCgeQnll0
mdhmの運命の出会いに大正浪漫のテイストを加えてみたり。
話し出したのは、柔らかな癖ッ毛を美しい紅い髪留帯で二ツに纏めた少女です。
――私の無二の親友である美樹さやかさんには、想い人がいらっしゃいます。
私のクラスメエトでもある方なのですが、今は事故に遭われ、見滝原の総合病院に入院なさっていらっしゃいます。
美樹さやかさんは足繁くお見舞いに足をお運びになって、私も時折、病院までご一緒することも御座いました。
其れは伍日前、そうやって病院へと美樹さやかさんとご一緒した時のことです。
私は病室まで行く事はしておりませんので、お二人のささやかな逢瀬が終わるまでの間、待合室で少女雑誌などを
読んで、戻って来られるのを待つのが常でした。
総合病院の待合はいつも沢山の人が行き交い、それなりに賑やかな事が多いものですが、何故かその時は閑散としていて、
私の息遣いが響いてしまうのではないかと錯覚してしまうほど静かな、寂しい雰囲気でした。
妙に心細くなってしまった私は、読んでいた雑誌を仕舞うと、病棟へと向かいました。少しでも早く、美樹さやかさんと
合流したいと考えたのです。
美樹さやかさんがいるはずのフロアーにエレベエタが到着し、ベルの音と共にドアーが開きました。
エレベエタ・ホウルは廊下の突き当りにあり、ドアーが開くと廊下の一番向こう側まで見渡せる構造になっています。
その、廊下の奥に、人影がありました。心細くなっていた私は、ハッと身を強張らせ、目を凝らしました。
刻は黄昏時で、南北に伸びている廊下の、西側の窓から差し込む夕日に照らされ、橙に染まった世界に佇む、其れは一人の少女でした。
その少女の姿をしかと見つめた後、私はもう一度身を強張らせてしまいました。
何故ならば、その私と同じ年頃の少女が、あまりにも娃(うつく)しかったから。
黒曜石よりも深い、射干玉(ぬばたま)の黒髪は流れるよう。そして対照的に儚げに白い貌(かんばせ)には、
不思議な輝きを持つ紫水晶(アメジスト)の瞳。身体つきは風に吹かれれば折れてしまいそうなほど華奢でありながら、
日本刀を連想させる靱やかさも備えているように感じました。
時間にすれば、拾秒ちょっとだったでしょう。エレベエタから降りるのも忘れ、見蕩れてしまっていた私は、ああ、
そのままドアーが閉じ、他のフロアーへ移動し始めるまで呆然として立ち竦んでおりました。
其れからというもの。毎晩の様に、あの邂逅を夢で繰り返すので御座います。
橙、黒、白、紫。私の胸を甘く高鳴らせるあの方は、一体何方様なのでしょう。
美樹さやかさんにも、さらには入院なさっている美樹さやかさんの想い人にお伺いしても、
手掛かり一ツ得られないままです。
其処まで話が進んだ所で、教室に先生が入ってこられました。
お話に聞き入っていた少女たちは、慌てて其々の席へと向かいます。
「今日は皆さんに転校生を紹介します」
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まどか「んふ…んふふ…」
さやか「アンタの嫁だろ、何とかしろ」
マミ「吉屋信子でも読んだのかしら…」
ほむら「妄想が漏れちゃってるまどかも可愛いわ…」
さやか「駄目だ…」
正統派少女小説テイストの運命的な恋に落ちるmdhmください。

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