52スレ/ちゅっちゅ

Last-modified: 2014-05-16 (金) 19:49:02
109 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/03/18(月) 09:43:49.10 ID:awZMMPc3P
朝だから薄味にしといた
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さやかちゃんは私とほむらちゃんは似た者同士と言っていた。
私は思う。もし本当に私達が似た者同士で、考えてることまで似ていたら、それは周りから見たら幸せかも知れない。
けど当事者にとっては退屈なんだと。

土曜の夜は二人で過ごすことが多かった。
私達は代わりばんこにお泊りして、日曜の深夜まで二人きりの時間を満喫していた。
今日はほむらちゃんが私の家に来る番。
お風呂は2時間前に済ませて、1時間前には電気も消して、今はすっかり一つのベッドに二人分の体を埋めていた。

もし、本当に私達が似た者同士だったら。
言葉の初めに『もし』と付いているのだから、私達が本当は一つも似ていないことを私は知っている。
ほむらちゃんに告白されて付き合い始めて、もう半年は経つ。
これまで来る日も日常を過ごして、何度もデートをして、たくさんの夜を交わして、私達も少しは分かり合えたんじゃないかと思ってきた頃だ。

「体、まだ温かいね」
私の頬を撫でるほむらちゃんが唐突にそんなことを言った。
すっかり閉じていた目を開ければ、目を細めて穏やかにしているほむらちゃんがいた。
少し体を寄せれば顔が触れてしまう距離だった。
細くて長い眉は先が垂れ下がっていて、いつもはきつく閉じた口元も緩くなって前歯が覗いている。
頬を撫でる手は、疑うほど熱を帯びていた。
頬から伝わる熱が全身に伝わって、溶け出しそうな愛しさに体を震わせた。
「ほむらちゃん……しても、いい?」
言葉の意味とは裏腹に、私のささやき声は幼かった。
ほむらちゃんは返事をする前に体を寄せて、私達の間にあるほんの少しの隙間を埋めてから、小さく頷いた。
長い髪が頷いた拍子にほむらちゃんの顔にかかる。
私はそれを人差し指でそっとかき分けて、キスをした。

月明かりは部屋を青く照らしていた。
夜の静寂に、重ねた唇から溢れる愛しい音が響いた。
まずは、触れるように……。
「ちゅ、ん……」
触れるだけにするつもりだったのに、ほむらちゃんがなかなか離してくれないから、寂しくなって少しだけ求めてしまった。
その音が、耳につく。
「まどか……」
ほむらちゃんは寂しく口を尖らせていた。
わかってるってば……。
間を開けずに唇を重ねる。
今度は少しだけ角度を変えて、お互いの唇を求めてついばむ。
「んっ……ん……」
唇がくすぐったくて息を漏らす。その息すらキスの音に吸い込まれた。
去り際に強めに唇をすりあわせて、わざといやらしい音を立てる……。
「っ……まどか……」
たったそれだけなのに、ほむらちゃんは恥ずかしくなって切ない顔をしてしまう。
その顔が、たまらなく好き……。

おでこをくっつけて、またノックするようなキスから始める。
頬も、鼻も、唇も、どれも隙間がないくらい顔をすり寄せて。
キスをしない方が難しく思えるくらい密着してるのに、私は軽いキスで焦らすのが好きで
ほむらちゃんは長くて深いキスが好きで……。
私が唇を離そうとしても、ほむらちゃんは、待って待って、って追いかけてくる。
そのすれ違いが面白くて、どれだけキスに慣れてもいつだって新鮮な気持ちでいられる。
ほむらちゃんにはもどかしい気持ちにさせて可哀想な気もするけど、私だってそのうち我慢できなくなるんだから、初めのうちは許してほしいな。
「まどかぁ……」
「わかってるってば……泣きそうな声出さないで?」
その気になっちゃうからさ……。

「ん、ん……んふ……ちゅ、ん……」
キスは歯止めがなくなって、すぐに唇だけじゃなくて舌まで交わしはじめる。
昂った気持ちが抑えきれなくて、私はいつも赤ちゃんみたいな幼いキスになってしまう……。
ほむらちゃんの唇に吸い付いて何度も何度も求めて、初めの頃はおしゃぶりしてるみたいって笑われちゃったっけ。
今もそんなに変わった気はしないけど、これでも頑張ってキスしてるつもり……。
でも、本当はほむらちゃんがリードしてくれるから、私も絡ませられるんだってことくらい、ちゃんとわかってる。
たまに我慢できなくなったほむらちゃんが夢中で舌を絡ませてくるけど、それに応えてあげるのはまだ難しい……。
「ちゅ、ちゅっ、ちゅ、ちゅ……」
ほら、またおしゃぶりみたいになってる。
「ふふ……帰らないでって言われてるみたい」
「……そうかも」
そうかも……。
やめてほしくないから、もっと絡んでいたいから、行かないでってしてるのかも。
なんて……。

未練を残したキスが終わって、私達はまた見つめ合う。
ほむらちゃんはなんだか満ちた笑顔で、私の方は……きっと切ない顔をしてるんだろうな。
「あのね、ほむらちゃん……あのね」
取り乱す私をほむらちゃんは優しく撫でてくれる。
「あのね……」
思わず言葉を失いそうになるけど、どうしても言いたいことだから、今だけは我慢した。
「私は……えっちな子かも知れないけど、でも、そういうのが好きだからほむらちゃんと付き合ってるんじゃなくて……私は、んっ……」
言いかけたところで、突然唇を塞がれてしまった……。
「わかってるわ、怖がらないで」
そう言って、ほむらちゃんはまた私の頭を撫で付ける。
違うよほむらちゃん。
やっぱり、私達は思いやってはいても、似た者同士じゃないんだね。
「怖がってないよ……すれ違いたくないから、気持ちを伝えてるんだよ」
「ふふ、やっぱり怖がりじゃない」
違うんだってば……私はね、私達の恋が少しでも綺麗であってほしいから言ってるんだよ。
ほむらちゃんはわからず屋なんだから。
でも。そうやって気遣ってくれるところが、私は一番好き……。
「ばか……」
ほむらちゃんのばか。

さやかちゃんには残念だけど、私達はこんなにも違っている。
似た者同士に見えたのは仲が良いからだ。
本音を出し合ったら簡単にすれ違ってしまうほど、私達は別々なんだ。
でも、だから、互いに心を寄り添う意味があって、それを優しさと呼べるのなら、すれ違うのも悪くはない。
そう思った。
「まどか……続き、する?」
ほら、またすれ違ってる。

「うん、続きしよ……?」