75スレ/いともたやすく行われるえげつない行為の果て Ⅲ

Last-modified: 2014-06-03 (火) 02:05:37
865 名前:202[sage] 投稿日:2013/11/08(金) 00:59:16.88 ID:uyYRstkE0
どうも、続きです
あとはルミナスやって死にます。

http://ux.getuploader.com/homumado/download/350/%E3%81%84%E3%81%A8%E3%82%82%E3%81%9F%E3%82%84%E3%81%99%E3%81%8F%E8%A1%8C%E3%82%8F%E3
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http://hello.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1383572817/865

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いともたやすく行われるえげつない行為の果て Ⅲ


着弾の衝撃で吹き上げられたかつての営みの残りカスが次々と降り積む中、
さやかは…どちらが近いかを確認してからまずはほむらの確認に向かう。
こっちだって瀕死だ、あんまり動きたくない。

(だいたいこの2人はあたしを便利に使いすぎなんだよな)
まさか天上のみならず地獄でもカバン持ちをやらされるとは思わなかった。
付き合いのよさは自他認めるが。
(おかげで毎度巻き込まれてどれほどの時が経過しても未だにあたしは中学生だ)

昔を思い出しておーい転校生?と声を掛けてみる。
「…悔いは…ないわ」
ほむらはそれでも胸を張った。とはいえどピン刺しの標本のような姿で岩盤に縫い付けられており
おまけに左手が肘から吹き飛んでいた。
「そこにまどかがいる限り、例えそれが私の知らないまどかでも、いかなる宇宙、いかなる時間、いかなる次元全てで私は同じことをするわ」
知ってるよ…そもそもそれが全ての発端だった、あんなことしなきゃ、とさやかが軽口を叩くと
「あれもあの時はこれしかないっておもったのよ…」
少しだけ遠い目をするほむら。

さて…まどかの方はと視線を移すさやかだが、驚くべき光景を目にする
まどかはもう用をなさなくなった足を引きずり、いや這いずりながら何かを目指していた。
(砂時計?)
まどかの視線の先にはほむらの盾があった、ずりずりと盾へと這って行くまどか。
まどかが何を意図しているのか察したか、ほむらも身体を捻って脱出を試みる…ベリベリと恐ろしい音がして
ほむらの身体が岩から剥がれる、ただし右掌が岩に縫いつけられたままだったが…。
己を貫く矢を引き抜くことも忘れ、ほむらも盾へと急ぐ。

倒れこむようにほむらが砂時計に手を置く、その手にまどかがさらに手を重ねる。
砂時計が異様な光で輝き始める。
が、すかさずさやかが盾ごと砂時計を蹴り飛ばす。
「あんたら…この砂時計で何をするつもりだったのさ!」
苦しい息遣いの中でまどかが応える。
「私たちの最後の力で時間を…因果を戻すの」
絶え絶えの息でほむらも応える。
「私たちのこの身体はもうすぐ朽ち果てる、それでも女神と魔王の残る魔力を全て注ぎ込めば…」
「…この惑星くらいなら、きっと…だから返して」
頭を抱えたくなるさやか、この2人はまだ…。
と、電光石火のほむらの膝がさやかのみぞおちを貫く。さやかがのけぞる隙にほむらは盾を抱え込む。

ごうごうと時空が歪みだす。
「まどかだけでも生きて!」
「だめだよ!ほむらちゃんの魔力だけじゃ!」
「これを起動させられるのは私だけ!それに私の方が魔力プールは大きい!」
「そんなことしちゃ、ほむらちゃんが消えちゃうよ!」
先ほどまでそのほむらちゃんを殺そうとしてたのも忘れ、まどかは叫ぶ
「いい!まどかが無事ならいい!」
そのまどかを殺そうとしたことをほむらも忘れて叫ぶ。

「やだよ!ほむらちゃんのいない惑星なんて!寂しくって私すぐに滅ぼしちゃうよ!」
物騒な言葉を吐く女神もいたものだ。
「私っほむらちゃんがいつかまた奪いに来てくれるのをお空の上でずっと待っていたんだよ
そのためならどんな悲しいことだって我慢できた!」
「私だってまどかをいつかまたこの手に奪い返すのを地の底でずっと考えてた!
そのためならどんな恐ろしいことでも実行できたわ」

ああ…この少女たちは互いの存在をどれほど支えにしていたのだろうか?
光と闇に天上と地の底とに永遠に分かたれてしまった時でも2人は決して諦めなかった。
事実何度もチャンスはあった、しかしそのたび失敗した。
そしてその叶わぬ恋慕はやがて優しき魔王から涙を忘れさせ、明朗な女神から笑顔を捨てさせた。
その時から宇宙の崩壊は少しずつ始まったのかもしれない。

「2人で…やろう?2人だったらさ…それに上手くやれば今度こそ…」
まどかの言葉に盾を抱える力を少し緩めるほむら、そこを逃さず今度はさやかの蹴りが飛ぶ。
「っ!」
蹴り飛ばされた砂時計は大地の裂け目に転がり落ちる、もう取り出せない。
「さやかちゃんどうして?助かるかもしれないんだ…!?」

「今度こそ…何よ?」
さやかの顔を思わず見る2人、ぞっとするほどの怖い声だった…。
「その今度でまた血を流すの?どれほどの涙を流すの?どれほどの命を巻き添えにするの?」
「そしてアタシはそれを止めることも出来ずにまた見届けるだけなの!?」
「もう…あきらめなよ」
俯くさやか…いくら何でもこれは本人たちの顔を見ながらは言えない。
「あんたたちがどれほどお互いを愛してるのかはよく分かってるつもりさ…そのためにどれほどのことをしてきたのかも」
「それでももうこれから先、何をしたって…アンタたち2人は生きて結ばれやしないよ!」

「美樹さやか…貴方言ってはならないことを…」
「ひどいよ…さやかちゃんにだけはそんなこと言ってほしくなかったな…」
2人の言葉を気にせず続けるさやか。
「じゃあアタシはどうするのさ…大事な友達が傷ついて泣き続けるのをいつも見てて
今度は…殺しあう姿まで見ることになったんだぞ!」
「因果が変わるたび、時が逆巻くたびに…あんたたちは身も心も傷だらけになっていって
まどか!あんなに明るかったアンタは笑わなくなった!
ほむら!あんなに優しかったアンタは涙を流さなくなった!…そして最後はこのザマよ!そんなの…見たかったと思う?」
両手で顔を押さえ嗚咽するさやか…
「だから…もう…やめて…もうこれ以上2人が苦しむ姿なんて見たくないよ…一緒に生きるのはムリでも」


「一緒に死ぬことならできるじゃないか!どんなに罪深い存在でも一緒に死ぬことならきっと許してくれるよ」
それはあくまでも他愛ない言葉だった、だがその叫びに2人の最後の心の箍が決壊した。


「まどかあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ほむらが砕かれた両腕を伸ばす。
「ほむらちゃ…ほむらあああああああ!」
まどかが吹き飛ばされた両足で駆ける。
ああ…もう愛しき人を抱きしめるための両腕は無い。
ああ…もう愛しき胸に飛び込むための両足は無い。
それでも2人はぎこちなく互いを求める。

そしてまどかは持てる精一杯の力でほむらの胸に飛び込む。
ほむらはその全てでまどかを抱きしめる。
「愛してる!愛してる!ほむらち…ほむらぁ!」
「愛してよ!愛してよ!まどかぁ!」
ずっと1人で叫び続けてきた言葉をようやく届けることができた。
躊躇うことなく初めてのキスを交わす2人。
愛するのと同じだけ愛されたかった少女と。
愛されるのと同じだけ愛したかった少女とがようやく一つになれた瞬間だった。

「やっとこれでほむらちゃ…ほむらのものになれたよ」
「うん…もうまどかは私のもの、今度こそもう離さない」
「うん、もう離れないよ…何があっても…だから」
まどかの視線の先には古ぼけた座椅子があった…おあつらえ向きに2つ。
「夢…かなえようよ…最期の夢を」