ファンドマネージャーごっこ

Last-modified: 2007-04-30 (月) 09:17:05

…色々申し上げたが、一番強調したいのは、証券投資は実に面白いということだ。巨大な投資業界を相手に自らの知性をもって挑戦し、自分の資産が増加するという報酬を得ることは、実に楽しいではないか。

『ウォール街のランダムウォーカー』バートンマルキール著、日本経済新聞社刊より

下記に色々書いたけれど、もはや自分にとってはあんまり意味がない。一攫千金の短期投資にはすっかり興味を失ってしまった

ファンドについて

株式運用では結構儲けることができた。それも大抵のファンドを上回る成績で。しかしこれはたまたまだった。某銘柄が急騰したからである。他の銘柄については全くお話にならなかった。でも損もしなかった。銀行の定期預金よりは遙かに良い運用成績だったと自負。

しかし、ローリスクローリターンのファンドよりも良い運用成績だったかというと、決してそうではないことに気が付いた。株の現物の運用は結構神経を使うモノだ。というわけで、大多数の手持ち資金をファンドに当てることにした。

ファンドオブファンズのファンドマネージャのマネごと

誰でも自分の資産のファンドマネージャである。銀行預金するもよし。郵便貯金するもよし。ローン組んで家を買うも良し。意識せずともこれらは全て投資活動。何に投資するかは自分で決め、自分の資産は自分で守らなくては。そういう時代だし。

あらゆるマーケットの動きを体現する投資信託をひと通り保有してみよう。…これであなたはこれらのマーケットから目を離せなくなります。つまり、世の中の動きに対する感度が多少なりともアップせざるを得ないのです。そしてそれは、あなたの精神活動を幾ばくかでも活性化させるに違いありません

ー『投資信託の教科書』角川総一著、明日香出版刊より

僕は株式と、最近は投資信託を購入している。これが冒頭の『ウォール街のランダムウォーカー』、あるいはこの『投資信託の教科書』に書いてあるとおり、実に面白いのである。あれほど嫌いだった平日が楽しみになってしまったのは自分でも驚きである。あまりにはまりすぎないように、ここに自戒を込めて書き込んでおくことにした。

投資方針

あくまで副業かそれ以下

デイトレーダーという日々の株価差金で大儲けしている、あるいは生活しているという話を良く聞く。凄いなあと思うと同時に、あまりに非生産的だとも思う。汗水垂らして働いて、モノ(サービス)に付加価値をつけて売る、という基本的な労働はやはり尊いと思う。経済の基本だ。株式市場がなくても社会は成り立つけれども、労働無くしては成り立たない。投資はあくまで自己防衛的な(インフレヘッジ)副業ととらえる。

「株は儲けるために買う」

偽善本は「投資と投機は違う」と書いていたりする。何が違うのだろう。投資=インカムゲイン(配当)ねらい、投機=キャピタルゲイン(株価上昇)ねらい、であり、株を買う目的はこのどちらかである。で、純粋にインカムゲインを狙って株を買う人間が日本にどれだけいるというのだろう。

でもまあいずれにせよ株は儲けるために買うのであって、それ以外の目的で買うのは不純である。

株式

自分で値上がりしそうな銘柄決めて買い、下がりそうになったらと思ったら売る。あたりまえだ。投資スパンを自分で決め、目標価格を決める。損切りはためらわずに行わないと傷が広がる。大口で動かすといろいろ神経を使ってしまう。投資額は「例えデフォルトしたとしても自分の生活に影響のない範囲内」が基本中の基本。

ファンドマネージャーにおまかせ

大口で株式を運用するのはもう止めることにする。信託報酬を払ってファンドマネージャーにやってもらう。と言うわけで、僕は大幅にローリスクローリターンのファンドに移行した。『ウォール街の…』に出会ってからは、インデックスファンドを大幅に取り入れて、さらに安全に長期作戦で行こうと決心した。

でも小口では現物株式を動かしておく。その際「株は所詮ギャンブル」という基本スタンスは忘れない。ちまたの公営ギャンブルよりはずっとわりにあうギャンブルであるし、十分面白いのだが。

お昼休みトレーディング

会社勤めの最中に気軽にできる。デイトレーダーのようにザラバに常駐はできないものの、1週間~1ヶ月スパンで運用することを考えれば、昼休みトレーディングで十分であり、そして楽しい。

必要なモノ

証券口座

昼休みトレーディングなどの利便性を考えると、インターネット取引ができるのは絶対条件だが、それに加えて自分の手持ち携帯電話でもトレーディングできる証券会社の口座。ただ、手数料の安いデイトレーダー御用達の証券会社は、システムが不安定だったりするので要注意。それに気をつければまあどこでも良いと思う。

ただし、銀行に預金口座を作るのとは違い、結構多くの自分のプライベートをさらさなければ証券口座は開けない。証券会社選びはほどほどに慎重にすべき。

インターネット環境

いまや当たり前だ。昔は四季報にのみ頼っていたらしいのだが、環境は激変したと言える。(だからデイトレーダーが生まれたんだと思うが)

証券会社自体のサービスを利用するだけでも十分だが、さらにヤフーファイナンスのサービスが特筆。もともとヤフーファイナンスは米国のマネで、アメリカヤフーファイナンスは非常に充実している。検索サービスの次に目玉のコンテンツだったのだ。日本のサービスはアメリカのものと比べると質が落ちてしまうが、それでもかなり有用な情報源である。ポートフォリオをつくっておけば、携帯で見ることができる。株価が20分遅れながらも表示される。デイトレーダーではないので、20分遅れの株価でも十分に実用になる。僕は携帯電話紛失時などを考えると、携帯電話からしょっちゅうログインを繰り返すのはちょっと避けたいと思っている。ヤフーファイナンスを活用すれば、かなり強力な武器になる。

投資信託の評価を知りたければモーニングスター。リスク評価やレーティングなどがあり、証券会社の広告や目論見書だけではわからないことがここにある。

最低限、この2つのサイトと、証券会社の情報サービスを押さえておく

取引できる携帯電話

昼休みなどのあいまに取引できなくては楽しくないと思う。

書籍によるお勉強

明日の株価がわかるならいつでも君は大金持ち

「こうすれば儲かる」「あなたも株で毎月○○万円のお小遣いを!」的な書籍は一切購入してはいけない。そんな本を買っているうちはいつまでたっても奪われる側だ。

明日の株価がどうなるか誰にも分からない。だからこそみんな苦労しているのだ。明日上がる、1ヶ月後に暴騰する、そんなことが分かっていたら誰でも億万長者になれる。

こんな本は立ち読みで十分。僕はその立ち読みする時間も無駄だと思うが。

で、悪名高き匿名掲示板で『ウォール街のランダムウォーカー』という本が紹介されていたので読んでみた。上記のような本とは一線を画す。この本の書版は30年前。すっかり定番本らしいのだ。(それならば表紙が良くない。こんな派手な表紙は「誰でも儲かる本」とおなじじゃないか。前書きを読んで30年前の本と知り驚いた。)一攫千金への衝動が芽生えたら、この本に立ち戻ることにする。
ウォール街のランダムウォーカー読書ノート。

株式市場と投資信託のしくみを知る

株の値段はどうやって決まるのか、くらいの基礎知識は必要。投資信託はちょっと複雑なので、知識として仕組みはもちろん、基準価額とはなんぞや、程度のことは知っておく。自分はファイナンスがもともと専門分野の範疇だったので知識の再確認で済んだ。

チャートの読み方

「チャートの読み方」は、前述の「こうすれば儲かる」本と同様なモノだと思っていた。しかし、チャートのロウソク足は超短期的には心理曲線であり、経験則が生かされる。「そろそろ売ろうかな、買おうかな」と思っているときの売買のタイミングを見るためには実は有用であると思う。僕はチャートの存在意義はこの「超短期的な売買タイミング(市場心理)を読む」ことにあるのではないかと思っている。知っておいて損はない知識。

さて、ならばデイトレードにも使えるかというと、そこまでは信じていないのだ。うーむ、言っていることが矛盾しているか。