マリオの毒の話

Last-modified: 2024-02-17 (土) 08:58:18

概要

スーパーマリオ64』(VC版)生放送における、aisssyさんとシーガさんのやり取りの通称。
いわゆる「謎会話」シリーズの1つに位置づけられる。

詳細

元動画(コミュニティ限定公開)は『aisssyさんと_纏さんの スーパーマリオ64【実況プレイ】その21』(15:37, 16:14~)

(10:29, 10:37~)


「ちびでかアイランド」にて巨大ノコノコとのレースに臨むaisssyさんは、水辺にいる別のノコノコを倒し、甲羅で滑走するルートでのクリアを試みる。
しかしレース開始前に誤って甲羅に乗ってしまったため、

aisssy「食べて♡」

と、まろみばりの可愛らしいセリフと共に、海中のバクバクにわざと食べられる自害リトライを行なった。
これを受け、「マリオ食べていいすか?」「毒が入っている!」*1と、がもうレオンさん枠の音声ネタで返すシーガさん。
この「毒」というワードをきっかけに、aisssyさんが一つの疑問を切り出した。

a「でもさぁシーガさん私さぁ、全然さぁ、マリオと関係ない話だけどさぁ、昔から思ってたんだけどさぁ、毒のあるさぁ、生き物ってさぁ、なんで毒持ってんでしょうね?
シ「ん?そりゃ食べられないためなんでしょ」
a「だけどさ、食べなきゃ毒があるって分かんないじゃん」
シ「………………」
a「つまり……なんか、さんざん食べられた結果、毒が生きてくるわけだよ。
  だから……なんかさ、非効率的な気しませんか」
シ「………………」

リアクションに困り無言になるシーガさんと、マークで埋まるコメント欄。
説明不足を感じてか、aisssyさんがさらに言葉を重ねる。

a「例えばだよ?このマリオに毒があったとしてだよ?
  でもさ、たぶんさ、あのプクプク(注:バクバクのこと)はマリオ食べるでしょ?」
シ「うん」
a「ってことは、このマリオは死ぬわけじゃん」
シ「そうですね」
a「うん。……だめじゃん……」
シ「wwwwwwww お、おう……せやな」

たとえ話で分かりやすくしようとしてか、プレイ中のマリオを例にとる。
しかし、人格を持つ一個人であり、かつ残り人数の概念があり死んでも復活可能なゲームキャラでもあるマリオにたとえたことで、かえってややこしくなっている。
こうして見返してみると、直前に「マリオと関係ない話だけど」と断りを入れたにもかかわらずマリオでたとえ始めた時点で何かがおかしかったのである。

a「毒があるっていうのを分かってもらわないといけないわけよ、食べる方にさ。『このマリオ毒あるよ』ってさ、誰かが看板でも立てておいてくれたらいいですけどそんなことしてくれないわけじゃん」
シ「うん」
a「だから、そこんところをどうすんのって話」
シ「………………」
a「まだ分からない?シーガさん」
シ「wwwwww うん?うーん……」

コメントでは意図を汲んだ視聴者からいくつか回答が返されるものの、未だ要領を得ない風のシーガさん。
一方、画面内のマリオは甲羅に乗って無事ゴール……と思いきや、勢い余って崖に転落してしまった

シ「だからさー、隣でさー、食ったやつがいてさ、死んだの見てさ、食おうと思う?」
a「いやだからさ、それは隣にいたらそう思うかもしれないよ?だけど大多数の人は知らないじゃん」
シ「………………」
a「だから、ここでもしね、あの……」
シ「それはあなたが広めればいいじゃん」
a「私が、毒キノコ食べて死にそうな目に遭ったとしてだよ? で、『シーガさん毒キノコやばいっすよ』って言ったらシーガさんは食べないでしょ、たぶん」
シ「食べないね」
a「だけどそれをさ、nicoさんには言わなかったらnicoさんは食べるかもしんないでしょ?」
シ「そうねー」
a「だからさ、あの……この世の中にはさ、話さない人の方がいっぱいいるわけだからさ……」
シ「うん」
a「うん、なんかすごいさぁ、すごいくだらないことのように思えてきたんだけど……ごめんなさい、もういいです」

さらにたとえを重ねるも、噛み合わない会話に虚無感を覚えてか、カレーラーメンの時と同様、話題を自分から打ち切ろうとする。
毒の情報を教えてもらえず苦しむ役割にnicoさんをあてがったことへのツッコミも入った。

a「分かるよ? 実際には自然選択説というか淘汰説みたいなものがあるんだろうけど、最初に毒を持って、実験台になった奴は、どういう気持ちだったのかなと思わんでもない」

……と半ば無理やり話をまとめたところで、ギリギリの差ながらノコノコより先にゴールイン。
クリアしたことで雑談パワーが必要なくなり、疑問は有耶無耶のまま毒の話は終わっていった。


以上の一連の会話が生んだ微妙な空気感を面白がった視聴者により「マリオの毒の話」は即座にタグ登録され、前後に生まれた数々の名言と共にタグ欄を彩った。

数分後、自身の発言から生まれたワードで埋まったタグ欄を見たaisssyさんは、「マリオの毒の話ってなんなの? マリオ有毒生物じゃないよ!と、自ら出したたとえを否定するのであった。
『aisssyさんと_纏さんの スーパーマリオ64【実況プレイ】その22』(02:20~)

使用例

アイスの話」「悲しい話」などにならってか「マリオの毒の話」という語形が定着したため、マリオ関連、または毒の話題になった際に「マリオの○○の話」「○○の毒の話」と改変して使われる。
「マリオの毒」という組み合わせのインパクトが強いためか、毒しか接点がない状況でもマリオの毒の話そのものを蒸し返されることがある。

さらには、マリオでも毒でもなく単に「○○の△△の話」という形ですら「マリオの毒の話」を意識していると思われる場合もある。
「マリオの毒の話」回の動画版では、毒の話が落ち着いた少し後、別のやりとりに対して「スターの喉元の話」とコメントされている。
『aisssyさんと_纏さんの スーパーマリオ64【実況プレイ】その22』(11:22~)

余談

aisssyさんの疑問の回答は、ま視聴者たちの見解がコメントで提示されたものの、2人の間では答えが出ることなく終わったため、この場を借りて補足してみたいと思う。
放送内ではマリオが毒を持つと仮定されたが、上述の通りマリオのキャラクター的・ゲーム的性質は現実の生物と大きく異なるため、進化生物学的に論じることは困難である……が、なるべくマリオの世界観に沿って説明を試みたい。
ただし、必ずしも学術的正当性を保証するものではないことをお断りさせて頂く。

専門用語はわけわかんないよね

毒の効果

現実の有毒生物は、何のために毒を持っているのだろうか。
今回は元の会話の文脈に則り、ヘビのように毒を攻撃に利用する毒液動物ではなく、捕食者に中毒をもたらす有毒動物について、毒の活用例を挙げる。

a「例えばだよ?このマリオに毒があったとしてだよ?でもさ、たぶんさ、あのプクプク(注:バクバクのこと)はマリオ食べるでしょ?」

a「ってことは、このマリオは死ぬわけじゃん」

生物毒には、細菌や寄生虫等、またその媒介者による病害から身を守る役割を持つものがある。
自分より大きな動物に捕食されれば共倒れだが、小さな生物からの攻撃なら、相手だけを毒殺できることもあるのだ。
マリオを丸呑みにするバクバクには通用しないとしても、クリボーのような弱い敵に接触ダメージを与えられるとするなら、マリオが毒を持つ価値もあると言えるだろう。
また、捕食側の方法として噛みちぎったりせず丸呑みの形であるならば、飲まれた側の体表に毒があるとすぐに吐き出されてほとんど無傷で助かる、というパターンもあるようだ。
参照:http://www.msr-nihon-university.org/press-release/20180506-2/
バクバクが嫌がるほどの毒をマリオがまとえるなら、という仮定での話ではあるが、バクバクがマリオを食べようとした上でマリオが(毒によって)助かる可能性もあるかもしれない。

a「毒があるっていうのを分かってもらわないといけないわけよ、食べる方にさ。『このマリオ毒あるよ』ってさ、誰かが看板でも立てておいてくれたらいいですけどそんなことしてくれないわけじゃん」

赤や青のビビッドな体色を持つヤドクガエルのように、警告色を用いて自身の体を看板代わりにして、食べられる前に毒をアピールする種はよく知られている。
こうした生物は、進化の過程において毒そのものと同時に、見た目などで警告する機能を獲得している。マリオが進化によって毒を獲得しているのであれば、マリオを食べる数少ない生物であるバクバクに対して、同じ機能を獲得している可能性もある(マリオ自身は毒を持たず、外見の似た別の有毒種に擬態しているパターンも考えられる)。あるいは『MM2』のくさったキノコが無敵マリオから逃げるのは、点滅する派手な見た目が警告色の役割を果たしている故かもしれない。

ところでaisssyさんの疑問の出発点は、「食べられにくくなる機能」という前提の上で「毒は非効率的ではないか?」というものだったはずである。
それに対する回答としては、有毒生物だからといって、その種が持つ防衛機能は毒だけではない、ということが指摘できる。
上で挙げた警告色が良い例だが、実際に毒があるかどうかとは別の「食べられにくくなる」要因と組み合わさることで、毒という特性がより効果的に働くこともあるだろう。
もしバクバクがマリオの赤と青のカラーリングを嫌うのであれば捕食に慎重になり、その隙にマリオが残機を増やしてしまえば、たとえ食べられたときに毒で道連れという形になったとしても、理論上はゲームオーバーにならないのである(ゲーム的には敵もすぐ復活して意味なさそうだけど)。
以上のように考えれば、ある種が持っている様々な特性から毒だけを取り出して着目した場合、それが非効率的に思えても何らおかしくはないのである。

毒を持つ理由

有毒生物がなぜ毒を持っているのか、すなわちある生物がなぜ現在の生体機能を有しているのかは、aisssyさんも言及した通り、進化論における「変異」と「自然選択(自然淘汰)」によって、おおよその説明が可能である。
概要は生物(理科)の授業などで既知の方も多いと思われるが、誤った認識が広まっている部分も少なからずある。
「進化は目的をもって起きるものではない」という点はその最たるものである。

a「なんで毒持ってんでしょうね?」

という疑問は「何の目的で毒を獲得したのか」とも解釈できてしまうが、その考え方は誤りである。
マリオが、敵に食べられたくないという意思のもとに毒を獲得したにもかかわらず食べられたのであれば、毒は無意味だったといえるだろう。
だが、遺伝による先天的な機能である生物毒を、同じように断ずることはできない。捕食されにくくなるのは結果であり、目的ではないのである。
したがって、有毒生物が他の生物に捕食されて死んだとしても、食物連鎖の犠牲になったという以上の意味はなく、運が悪かったというだけの話である。

また、「毒を食べて苦しんだ記憶が遺伝的に子孫に伝わる」とか「種の保存のために、少数の個が犠牲になって多数を守っている」という言い方も正確ではない。

シ「だからさー、隣でさー、食ったやつがいてさ、死んだの見てさ、食おうと思う?」
a「いやだからさ、それは隣にいたらそう思うかもしれないよ?だけど大多数の人は知らないじゃん」

シーガさんが挙げた例を食べられる側から見れば、一個体が死んだ結果、同種の多くの個体の存続に寄与することがあるという事実を表す意味では正しい。
捕食側の別個体が隣で見ていなかったとしても、有毒生物の群生地で食べてそのまま死んだ現場に後からやって来て、それを見て食べるのをやめることがあるかもしれない。
それ以前に、実際に食べた一個体が中毒死しなければ将来的に多くの個体を食べ続けた可能性を考慮すると、やはり毒が種の生存において有利に働いたといえる。

だが、それが生物自身の意思や、種に備わった遺伝的プログラムに因るものかのような表現は不適当である。
プレイヤーの立場なら残機にまかせたゴリ押しプレイも可能だが、マリオ本人が人身御供を志願し無謀なプレイに走っているわけではない……というようなものだろうか(マリオ本人にとって「残り人数」の概念がどのようなものなのかにもよるが)。

結論

a「最初に毒を持って、実験台になった奴は、どういう気持ちだったのかなと思わんでもない」

生物は環境に適応して進化を遂げてきたが、生き残り子孫を残せるかどうかは環境のあらゆる要素に左右される。
毒は生存競争において有利な武器になり得るが、全ての外敵を排除できるとは限らないし、環境が変わって突然役に立たなくなることもある。
アクションを磨きパワーアップアイテムを集めても、高速ベルトコンベアやクレーンを避けようがなかったり、画面外からのバブルやハンマーブロスに屠られてしまうマリオもまた同様である。
太古に毒を食べた生物の気持ちは想像するほかないが、マリオを操作する我々は、不運にも横死した彼らの生を疑似体験しているといえるかもしれない。


関連項目

謎会話シリーズ

毒の話してくださいよ!


*1 PS『北斗の拳 世紀末救世主伝説』のシュウのセリフ。がもうさん枠で音声コメントとして登録されており、「○○食べていいすか?」へのランダム応答の1つでもある(全文は「まて!!それを食べてはいかん!!毒が入っている!!」)。