2010年セ・リーグ優勝チームの中日ドラゴンズが、レギュラーシーズン最終戦からCSファイナルステージまで10日以上開いていたことを利用して、全選手の一軍出場選手登録を抹消したこと。
解説 
プロ野球ではシーズン中に登録抹消されると原則10日間は再登録が不可能というルールがある*1。
もしある登録選手が試合直前に故障した場合、数日後の復帰を期待して1枠を潰したまま戦うか、即抹消して別の選手を登録するかの二択が迫られる。
しかし全ての選手をあらかじめ抹消しておけば、シリーズ開始時に故障している選手の登録を見送り、完治と同時に登録することができるので、ベストな状態で闘うことができる。
この方法がとられたのはCSの出場選手登録の方式がレギュラーシーズンと同じためであり*2、CS制度が誕生したことによる一種の戦略とも言える。
問題点 
選手達にとっては追加参稼報酬*3やFA権取得日数などへの影響が出てしまう。
そのため2011年より試合間隔が10日開いたチームは自動的に全選手の出場選手登録が抹消され、再登録時にこの期間が追加参稼報酬やFA権の日数として計算されるようになった。このルールは2010年の中日にも遡って適用されている。
余談 
当時中日の監督だった落合博満はルールの盲点を突くことが多く、2007年には投手としてプレーしていた金本明博をシーズン途中から野手転向させることになった。これにより金本はシーズン中に一軍へ昇格する見込みが無くなった事から、シーズン途中でありながら金本を自由契約にしてウェイバー公示で他球団が金本を獲得しなかったら育成選手契約することとなった。
これは支配下登録の70人の枠を1人分でも多く空けて補強の際に役立てる目論見があり、シーズン中の自由契約や育成選手契約は禁止されている行為ではないためルールに則った措置であった*4。しかし選手会からの抗議を受け、セ・リーグから金本のウェイバー公示を野球協約違反として取り消される事態になり、これを不服とした中日がコミッショナーに提訴を検討するまで至る。結局他球団との関係悪化が懸念されることから提訴を断念。金本は育成契約されることなく支配下のまま留まることとなった*5。
また落合は2010年に日本シリーズの監督会議にて、日程の規定に「もし引き分けが4、5試合あったらどうするの」と問いかけたことがある。
日本シリーズは追加日程の無いCSとは異なって先に4勝したチームが優勝と定められている。これに対して複数の引き分けを想定した第9戦までの規定がされていたものの第10戦以降の規定は無かった。第1戦~第7戦は延長15回まで、第8戦以降は延長無制限(事実上の引き分け無し)という当時の規定から、もし第1戦~第7戦が全て引き分けだった場合、最大第14戦まで行われる可能性を考えての指摘だった。
また、当時の日程を限りなく詰めたとしても第13戦までもつれた場合、当時日本シリーズ後に行われていた日韓クラブチャンピオンシップと日程が重なってしまうため、これについても危惧される問題であったが、第8戦まで行われたケースですら1986年の1回のみであり、可能性としては限りなく低いことからこの問題はお茶を濁す形で解決されることがなかった。
しかし2021年になって東京五輪開催やコロナウイルスによりこの年の日本シリーズが11月20日開始になったことで野球協約173条に規定されている11月以内にシリーズが決着しない可能性が現実味を帯びて浮上。NPBは「30日の試合終了後に両チームの勝利数が並んだ場合、当日にタイブレーク方式で決着をつける」と決め(当日が雨天中止になった場合の例外など複雑な条件があるので詳しくはこちら。)、当時の落合の問いかけの正当性が11年の時を経て証明される形になった。
五輪開催に伴い2021年にも 
2021年には、東京オリンピックが開催される影響で7月15日から8月12日まで一軍公式戦が行われない為、7月15日に全球団の全選手が同時に抹消される珍事となった。翌日と翌々日にオールスターゲームが開催されたのち、通常の二軍戦の他、「エキシビションマッチ」として各球団10試合前後のセパ交流戦が行われた*6。あくまで一軍公式戦ではないことから試合出場にあたり一軍出場選手登録は勿論支配下選手登録の必要もなく、育成選手も多数出場した。
一軍公式戦の再開初日となった8月13日には、この日に試合予定が無かったDeNAとヤクルトを除く10球団総勢276名の一軍出場選手登録が公示された。