エッタ

エッタ「うーむ、これは難敵だな～……、」
ユウ「あれ、エッタ。そんなに難しい顔をして、何の本を読んでるんだ?」
エッタ「あっ、ユウ!えっとね、これ!」
ユウ「えーっと?『流星の王子さまとひとりぼっちのお姫さま』……?」
エッタ「うん!お菓子の国で有名な絵本なんだって!紹介所のお姉さんがくれたんだよ～っ!」
ユウ「そうなのか。それで、なんで首を傾げて唸ってたんだ?」
エッタ「それがねえ、ここが分からなくて……、」
ユウ「なになに……?」
ユウ「『間一髪!その次の瞬間、お姫さまの暮らしていたお城は、静かに崩れ去っていたのです!』」
エッタ「その、かんいっぱつ、の意味がわからないんだよ～。ユウはわかる?」
ユウ「えっと、なんかこう……、」
ユウ「やばい!」
ユウ「……って時……?」
エッタ「やばい?」
ユウ「うーん、なんていうか……、もうちょっとで大変なことになりそうってこと、かなあ?」
エッタ「なるほど……。」
エッタ「なんかわかった気がする!ありがとう!」
ユウ「う、うん……。たぶん間違ってないと思い、たい……。」
エッタ「ユウは物知りだねっ!ユウ先生って呼んじゃおっかな!また何かわからないことがあったら聞いていい?」
ユウ「えっ!」
エッタ「だめ?」
ユウ「い、いや、いいよ。」
エッタ「やったあ!」
ユウ(普段は何気なく使ってるけど、意外と意味を聞かれると困るな……。俺も勉強しないと……!)

ユウ「意外と勉強しているみると面白いことも多いんだな。」
ユウ「結構はかどったし、これでエッタに何か聞かれても何かしらは答えられるはず……!」
エッタ「あっ、ユウ先生、ちょうどいいところに!」
ユウ「エッタ、今日はなにを勉強してたんだ?」
エッタ「えへへ、今日は手紙を書く練習をしてたんだ～!」
ユウ「手紙?」
エッタ「うん!それでね、また添削してほしいんだけど……、」
ユウ(よかった、そんなに難しくなさそうだ……)
ユウ「もちろん、いいよ。どれどれ……、」
ユウ「……き、きんけ……、謹啓?じ、時下、ますますごせ、ごせーえーのことととお喜びもうしあげ……。」
エッタ「どうかな?」
ユウ「エ、エッタ……、これ、どんな相手に送る手紙の練習なんだ?」
エッタ「えっとね、取引先の人とかに送れるような手紙!」
ユウ「……。」
ユウ「こ、こういうのはパン屋のおやじさんの方が詳しいんじゃないか?ほら、商売してるし!」
エッタ「それもそっかあ……。ユウ先生は商人じゃなくて、癒術士だもんね!専門外だよね!」
ユウ「そ、そうそう。」
エッタ「わかった!おやじさんに聞くことにするね!ありがとう～!」
ユウ「うん……。」
ユウ「……。(も、もっと勉強するしかない……!)」

ユウ「よ、よし!かつてないほど勉強したし、手紙の書き方の本も読んだ……!これでエッタの質問にも答えられるはず……!」
エッタ「あ、ユウ先生!」
ユウ「うむ、なんでも聞いてくれたまえ!今は何を勉強してるんだ?」
エッタ「今はねえ、マルクシア経済論における商品価格の高騰と原材料の相場価格の変動の相互関係について勉強してるよ!」
エッタ「あ、ユウ先生は、ロビーダストって人が書いた『経済発展とそれに伴う雇用体制の変化』って読んだことある?」
エッタ「それからアルゼルダ著の『モンスターとの共存と労働の新制度』とか!」
エッタ「ちょっとわかりにくいところがあって、ユウ先生に聞きたいところがあるんだけど……、」
エッタ「って、あれ……?」
ユウ「俺が教えようなんておこがましかったです!」

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