ナンシー・K・シュロスバーグの理論

Last-modified: 2013-04-28 (日) 20:17:10

イベントとノンイベント

シュロスバーグの転機の定義には
 ☆ある出来事が起こること = イベント
  予期したことが起こらないこと = ノンイベント
   と
 ☆その結果として生活/人生の変化
の2つの部分がある


##シュロスバーグ理論におけるイベントとノンイベントについて説明せよ。
 シュロスバーグはキャリア・デベロップメントは転機の連続だと考えた、転機とは、何らかの出来事が起きること(イベント)、予期したことが起きないこと(ノンイベント)によって引き起こされる変化である。
 大学を卒業する、子供が生まれるのはイベント、志望した大学に入れない、子供が授からないのはノンイベント。


転機は通常、次の4つのうちの1つまたは2つ以上の変化を伴う。
 役割・・・人生の役割のうち、どれかがなくなるか、または大きく変化する。
 関係・・・大切な人との関係が強まったり、薄れたりする。
 日常生活・・・物事をいつ、どのように行うかが変化する。
 自分自身に対する見方・・・自己概念が影響を受ける。

転機は当人にプラスに働く場合もあれば、マイナスに働く場合もある。

転機の影響度を決める3要因

  1. 転機(イベント・ノンイベント)そのもの
  2. 転機を体験する本人(対処するスキルや方策)
  3. 支援システム(本人が対処できるように援助する人や資源)

転機そのもの

転機の起こり方は主に3種類
1.予期していなかった転機(事故、死、病気、失業等)
2.自分自身が決断して生じさせた転機(結婚、転勤等)
3.正常な発達過程の通過点として生じる転機(子供が家をでていく、退職等)


転機を評価する4つの視点
1.転機の深刻さ(役割、関係、日常生活等をどの程度変えなければならないか)
2.転機のタイミング(人生の中で時期的に良いときか悪いときか、準備期間はあるか)
3.転機に対するコントロール(本人は転機に対してなんらかのコントロールやができるか)→次のポイントと重なる。。。
4.転機の持続性(永続的なものか、一過性のものか)

転機を体験する本人

人によって、転機に対する反応がだいぶ違う。これは当事者本人のリソース(内的資源)の違いによるもの。

転機に対処する能力を左右する特徴は4つある。
1・人生全体に対する見通し(転機を体験している本人が人生を肯定的にとらえているか、否定的にとらえているか。)
2.コントロール(転機を体験している本人が、自分が人生をコントロールできると思っているか、それとも宿命としてあきらめているか。)
3.対処スキル(転機を体験している本人が、ストレスの解消の仕方や、意思決定を通じた行動の取り方を知っているか。)
4.過去の経験(転機を体験している本人が、以前の転機にうまく対処でき、経験を積んでいるか。)

 

##社会経済環境や職場環境が大きく変化している現在、従業員はどのように対応していったらいいのかをシュロスバーグの理論から説明せよ。
 転機を避けようとするよりも、転機によるマイナスの影響を最小限に抑えることが大事である。それには、4つのリソース(状況、自己、支援、戦略)を点検し、主体的、計画的、積極的に立ち向かっていくことだ。

支援システム

支援があれば転機の難度は減少する。
○人(心理的な支えとなる家族や友人はいるか?)
○物的資源(転機を乗り越えるための十分なお金や物的資源はあるか?)
○公的機関や民間団体(転機を支援する機関やサービス団体はあるか。)

転機の乗り切り方を教える

転機に対処するには、リソースを点検し、変化を受け止めるという2段階の方法が提案される。

第1段階 リソースを点検する(4S)

 転機を乗り切るためのリソースはどのようなものがあるか。

状況(situation)

状況の本質に対する自分自身の見解を評価する。

自己(self)

自分自身で活用できる内面的な資質を探る。

支援(supports)

支援がどのくらい得られる可能性があるか。

戦略(strategies)

状況、自己、支援を把握した後は、可能な対処戦略を評価する必要がある。

第2段階 変化を受け止める

 転機を乗り切るための戦略を立て、そのためのリソースを強化する。