復職支援の手引き
厚生労働省は2004年4月に「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を発表した。この手引きは、2009年3月に改定された。事業者はこれを参考に、職場復帰支援プログラムやルールを策定するよう求められている。
この手引きでは、職場復帰支援の基本的な流れを5つのステップで進めることを提唱しているが、いくつかのステップをまとめたり、再構成したりして事業場の都合に合わせて実施してよい。
<第1ステップ>
病気休業開始および休業中のケア
職場復帰への支援は、休業の判断がなされた時点からする必要がある。
ケアの内容としては、職場状況や職場復帰支援に関する仕組みなどの情報提供があげられる。(不安や孤立感を和らげる。)うつ状態にあるときに、辞職や役職辞退の判断はさせない。
<第2ステップ>
主治医による職場復帰可能の判断
復職診断書には、、必要と思われる就業上の配慮事項について、できるだけ具体的に記載してもらえるよう労働者にアドバイスする。
<第3ステップ>
職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成
主治医による職場復帰可能の判断は、症状評価が中心となる。それに加えて、労働者側の評価と職場環境との評価の組み合わせで判断することが大切。
試し出勤(リハビリ出勤)制度などで準備期間を設ける。
<第4ステップ>
最終的な職場復帰の決定
<第5ステップ>
職場復帰後のフォローアップ
復職支援とキャリアカウンセリング
職場復帰への道筋
復職過程の全体的なあり方については、「個人の特性」、「職場環境」そして「社会復帰システム」の3つの側面から捉える必要がある。(この3つの視点から課題が浮き彫りになる。)
「個人の特性」
1.特性と技能
2.自己イメージ(自分が抱いている自分自身の価値や有用性)
3.目標
成長とともに「特性と技能」は学習して習熟していくが、それと同時に「自己イメージ」も「目標」も変化する
精神疾患
うつ病
生涯有病率は男性5~12%、女性は10~25%である。
メランコリー型性格や執着型性格と呼ばれる几帳面でまじめなタイプの人がなりやすい。
神経症
心理的葛藤により、不安、恐怖、脅迫、不定愁訴などの症状を示す心因性の機能障害。不安障害、身体表現性障害、解離性障害などそれぞれの特徴にあわせて呼ばれている。
統合失調症
かつては精神分裂病と呼ばれていた。出現頻度は100人に1人弱。
ドーパミン仮説、「脆弱性-ストレス」モデルがあるが、原因はいまだに不明。
人格障害(パーソナリティ障害)
人格(認知、感情、対人関係の持ち方などの行動様式)が歪んでひどく偏っているために、適切な判断・行動や感情抑制ができず、社会生活や対人関係が円滑に営めない人のことをいう。最近ではパーソナリティ障害と呼ばれている。