メンタルヘルス2

Last-modified: 2013-09-15 (日) 22:47:54

職場のメンタルヘルスマネジメント

労働省(現、厚生労働省)は、平成12年8月に「事業場における労働者のこころの健康づくりのための指針」を発表しました。そこで示された「こころの健康づくり計画の策定」「4つのケア」は、職場のメンタルヘルス・マネジメントの基本的な指針となっています。
その後、2005年の労働安全衛生法改正により、この指針は廃止され「労働者の心の健康の保持増進のための指針」が示されています。

メンタルヘルス実施の手順

産業保健スタッフや産業医が職場でメンタルヘルスを実際に行う場合、次の5つの段階に沿って実施するよう指針では、提唱されている。


<第一段階>
事業場が自らの取り組み姿勢を表明するように支援。
職場のメンタルヘルス対策は従業員ばかりでなく事業場にとっても有益な活動である事、またリスクマネジメントとしても必要であることを事業者や人事・労務担当者に説明する。
事業者をメンタルヘルス対策に積極的にさせる。

<第二段階>
事業場内の体制づくり。
1、産業医、産業保健スタッフ+労働者、管理監督者も参加した組織作り
2、事業場内での関係者の役割分担を定めた基本的なマニュアルや規則の整備

<第三段階>
目標の設定:短期(年間)及び中長期(数年間)対策の目標を設定。

<第四段階>
「こころの健康づくり計画」の立案。
1、責任者と組織及び担当者を決定して、役割や権限、責任を明確にすること。
2、社内のメンタルヘルスの実態を調査した上で、問題解決のための対策を作成、実行。
3、対策を行うスタッフや、産業保健スタッフの育成。外部スタッフの活用。
4、個人情報を扱う際のルール、情報管理の基準を定める。

<第5段階>
実施状況を評価して改善。

4つのケア

「心の健康づくり計画」を策定した上で、実際の活動として行うもの。

セルフケア

・メンタルヘルスに対する総合的な理解の促進
・メンタルヘルスへの気付きの促進
・ストレス対処法についての教育
・自発的な健康相談の促進

(個々がセルフケアを心がけると同時に、職場全体の雰囲気がセルフケアを大切にするように仕向けることが大切。→仕事のあいまの体操、互いの声かけ、セルフケアに関する情報提供・呼びかけ、職務外活動、残業を少なくするような働きかけなど)

ラインによるケア

①職場環境等の問題点の把握と改善
残業時間が月45時間を超える場合は注意が必要。100時間を超え、疲労の蓄積が認められる場合には医師による面接指導を実施しなければならない。
②部下の事例性の把握(職場の平均的な姿からのズレ、本人の通常の行動様式からのズレ)
③労働者からの相談への対応
④職場復帰への支援

産業保健スタッフ等によるケア

・健康障害を起こさないようにするための一次予防
・健康障害を起こしかけている労働者の早期発見と早期対策を行う二次予防
・健康障害を起こしてしまった労働者に対して、疾病管理や職場復帰の支援を行う三次予防

事業場外資源によるケア

・都道府県産業保健センター、労災病院メンタルヘルスセンター、精神保健福祉センター(公的機関)などの専門的な医療機関、保健機関の利用。そのためのつながり。
・EAP(従業員に対する援助プログラム)サービス等を提供する、メンタルヘルスマネジメントをサポートする会社の利用

4つのケアの実践

1、相談体制の確立
2、職場環境の改善
3、教育研修と情報提供(労働者向けと、管理監督者向けで研修は異なる。)
4、健康相談・健康診断などの機会の活用(職業性ストレス簡易調査票の実施など)

メンタルヘルスの予防対策

一次予防

1.健康の管理(定期健康診断が重要)
2.快適職場の構築(物理的環境の管理、作業管理、労働衛生教育)
3.教育研修(従業員向けと管理監督者向けに分かれる。)
4.ストレス・コーピングの援助(ストレス解消とリラクゼーションの2つの方法を理解する。)
  ストレス解消:何か別のことをすることで溜まっているストレスを解消すること
  リラクゼーション:気分を落ち着かせ、自律神経のバランスを整える

二次予防・三次予防

○二次予防では
1.メンタルヘルス不調者の早期発見と対処のための教育研修、及び、
2.相談窓口の充実が課題。
職場不適応状態が生じやすい時期(入社1~2年目、昇進・管理職になった後、配置転換や職務内容に変化が生じたとき、出向・転籍の後など)を把握しておく。
○三次予防では
1.疾病管理
2.復職の審査と支援
が課題となる。