機械工学/周波数応答

Last-modified: 2010-10-02 (土) 01:08:12

周波数応答

強制振動では「△Hzで揺らしたとき、振幅が○倍になりタイミングが□ずれる」という性質がある。
この○と□を周波数応答と呼ぶ。

応答の数式表現

外力として調和入力(三角関数) 調和入力.png である強制振動の数式モデルは次式となる

調和入力の強制振動.png
 

この解は、自由振動成分自由振動成分.png 、強制振動成分強制振動成分.png として次のように分解される

強制振動の解.png

ハーモニックバランス法(調和平衡法)

定常応答 強制振動成分.png は調和入力と同じく三角関数であり、振動数も等しいため、
次のように表現できる。

定常応答の解(未定).png

これを微分して

定常応答の解(未定)の一回微分.png
定常応答の解(未定)の二回微分.png

これを数式モデルに代入して

運動方程式に定常応答の解を代入.png

それぞれcos,sinで整理すると、

運動方程式に定常応答の解を代入(整理後).png

となる。ここで、cosとsinの係数が常に0である必要があるため、

cosの係数=0.png
sinの係数=0.png

この未知数 a1a2.png についての連立方程式を解くことで解が得られる。
以上をハーモニックバランス法という。

振幅比、位相差の導入

 上式を解いてa1,a2は次のようになる。

a1.png
a2.png

これより定常応答の解は次のようになる。

定常応答の解.png

ここで、次のような振幅比位相差を導入する。

振幅比.png
位相差.png

これより定常応答の解を書き直すと、

定常応答の解(振幅比、位相差).png

つまり、強制振動の性質はこの2つの関数K(w).pngphi(w).pngによって完全に数値化される。

振幅比K(w).png

同じ機械でも運転速度ωを変えると、振動の大きさが変わることを表す
 例)

車を運転中、ある速度からハンドルがぶれはじめ、さらに速度を上げるとぶれが止まるのは''共振現象''が原因

位相差phi(w).png

同じ機械でも運転速度ωを変えると、動作タイミングがずれることを表す
 例)

毎秒2往復させていた装置を、毎秒4往復にして同様に動く保証はない

複素数によるハーモニックバランス

運動方程式に複素数を代入し、実部と虚部をそれぞれ比較して解を求める。

  • 励振力 f(t).png
    複素数による励振力.png
  • 定常解 強制振動成分.png
    励振力は振幅と位相が変化することを踏まえて、次のように表す
    複素数による定常解.png
 

定常解を微分して

定常解(複素数)一回微分.png
定常解(複素数)二回微分.png

これらを運動方程式に代入して、

運動方程式に複素数の定常解を代入.png

整理すると、

運動方程式に複素数の定常解を代入(整理後).png

さらに、

運動方程式に複素数の定常解を代入(整理後2).png

よって

運動方程式に複素数の定常解を代入(整理後3).png

これより振幅比 K(w).png 、位相差 phi(w).png は、

振幅比.png
位相差.png

これは先の方法による結果と一致する。

 

参考文献

  • 短期集中:振動論と制御理論[工学系の数学入門](吉田勝俊,2003,日本評論社)