周波数応答
強制振動では「△Hzで揺らしたとき、振幅が○倍になりタイミングが□ずれる」という性質がある。
この○と□を周波数応答と呼ぶ。
応答の数式表現
外力として調和入力(三角関数)
である強制振動の数式モデルは次式となる
この解は、自由振動成分
、強制振動成分
として次のように分解される
ハーモニックバランス法(調和平衡法)
定常応答
は調和入力と同じく三角関数であり、振動数も等しいため、
次のように表現できる。
これを微分して
これを数式モデルに代入して
それぞれcos,sinで整理すると、
となる。ここで、cosとsinの係数が常に0である必要があるため、
この未知数
についての連立方程式を解くことで解が得られる。
以上をハーモニックバランス法という。
振幅比、位相差の導入
上式を解いてa1,a2は次のようになる。
これより定常応答の解は次のようになる。
ここで、次のような振幅比、位相差を導入する。
これより定常応答の解を書き直すと、
つまり、強制振動の性質はこの2つの関数
、
によって完全に数値化される。
振幅比
同じ機械でも運転速度ωを変えると、振動の大きさが変わることを表す
例)
車を運転中、ある速度からハンドルがぶれはじめ、さらに速度を上げるとぶれが止まるのは''共振現象''が原因
位相差
同じ機械でも運転速度ωを変えると、動作タイミングがずれることを表す
例)
毎秒2往復させていた装置を、毎秒4往復にして同様に動く保証はない
複素数によるハーモニックバランス
運動方程式に複素数を代入し、実部と虚部をそれぞれ比較して解を求める。
- 励振力


- 定常解

励振力は振幅と位相が変化することを踏まえて、次のように表す

定常解を微分して
これらを運動方程式に代入して、
整理すると、
さらに、

よって
これより振幅比
、位相差
は、
これは先の方法による結果と一致する。
参考文献
- 短期集中:振動論と制御理論[工学系の数学入門](吉田勝俊,2003,日本評論社)