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Last-modified: 2025-05-23 (金) 23:06:37

【連合歴 6999年0月0日 アルデントの目覚めから3時間後】

クロネッカー「さて、これからあなたにはいくつか質問させていただきます。無理に答える必要はありませんから、答えたくないものはそうおっしゃってください」
アルデント「うん、わかったよ」
クロネッカー「まず最初に、あなたを“眠らせた”人物について、何か心当たりはありますか?」
アルデント「……正直なところ、はっきりとは分からないんだ。でも……当時の状況をかすかに思い出すと、“神”と呼ばれるような存在に眠らされた……そんな気がする」
クロネッカー「……ということは、つぐみさん、もしくはネクワさん……そのどちらかの可能性が高い、ということですね。記録によれば、つぐみさんは“時間”を統べる神、ネクワさんは“空間”を司る神とされています」
アルデント「もし、仮に……私自身も“神”に近いような存在だったとしたら、どうなるのかな?」
クロネッカー「……可能性として残されているのは、“破壊神”という存在です。創造の座には、既に初代総統閣下が就いておられますから」
アルデント「“破壊神”か……それって、なんだか悪者みたいに聞こえるね」
クロネッカー「ですが、破壊とは必ずしも悪を意味するものではありません。創造の前には、多くの場合、既存の何かの破壊が伴います。歴史を振り返っても、大きな変革は旧い秩序や価値観を打ち破ることから始まっています。もしあなたが本当に“破壊神”であるならば……それは“新たな始まりを告げる存在”とも言えるでしょう」
アルデント「……でも、その“神”っていうのが本当なら、私は彼らの“お姉さん”ってことになるんでしょ? 初代総統閣下、つぐみさん、ネクワさん……その全員の」
クロネッカー「はい。古くからの伝承や系譜では、“破壊”が最初にあり、そこから“創造”、“時間”、“空間”が派生したと解釈されることが多いのです。あなたがもし“破壊”を司るなら、他の神々より先に存在していた可能性は十分に考えられます。つまり――あなたは“始まりそのもの”、あるいは“原初の存在”と言えるかもしれません」
アルデント「……お姉さん、ねえ。全然そんな実感ないけど。記憶もないし……むしろ誰かの妹の方がしっくりくる感じだよ」
ドゥンケル(※部屋の隅で壁にもたれたまま、腕を組んで)「記憶がねえってのは、ある意味“自由”ってことさ。過去に縛られねえってのは、ちっとは羨ましいもんだ」
アルデント「そう思えるのは、ドゥンケルが今をちゃんと生きてるからじゃないかな」
ドゥンケル「そりゃどうも」
クロネッカー「……ともあれ、あなたは今も私たちの観察下にありますが、もはや“被検体”として扱うつもりはありません。あなたが真実を思い出すその日まで、私たちはあなたの“味方”であり、理解者でありたいと思っています」
アルデント「ありがとう。そう言ってもらえると、少し心強いよ」
クロネッカー「それと――これはまだ確証はありませんが、先ほどのコールドスリープ装置のさらに奥に、もう一つ、“封印されたカプセル”が見つかりました」
アルデント「えっ……?」
クロネッカー「気になるのは、その封印に使われていた“文字の様式”が、あなたの装置のものと非常によく似ていたことです。私の推測に過ぎませんが……そこに眠っているのは、あなたと極めて近しい関係の人物か。あるいは――あなたにとって“敵”となる存在かもしれません」
アルデント「……それ、開けたりするの?」
クロネッカー「まだ断定はできません。その封印を解く鍵があなたにあるのか、それとも……彼らがかつて、あなたを恐れて封じ込めた側なのか。見極めが必要です」

(室内の空気が一瞬、張り詰めたように静まり返る)

ドゥンケル「ま、いずれ分かることさ。時が満ちれば、空間がねじ曲がってでも、答えの方からお前に寄ってくるだろうよ」
アルデント「……うん、待つよ、その時を。でも……自由に動けるようになったら、まずはこの世界を自分の目で見て回りたい。私が眠ってた長い間に、何が変わって、何が失われたのか……それを知りたいから」
クロネッカー「ええ、承知しました。では、その時は私が喜んで案内役を務めさせていただきますよ、“破壊神”さん」
アルデント「だから、その呼び方はやめてってば……。普通に“アルデント”でお願いするよ」