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Last-modified: 2025-05-23 (金) 23:08:07

アルデント「私の“妹”たち……か。彼女たちは、それぞれどんな子だったんだろう?」
クロネッカー「――いずれも一言では語り尽くせぬ、興味深い方々でしたよ。強く、時に脆く、そして、誰よりも“人間らしい”葛藤を抱えておられました。ここに3枚、記録用の古い写真があります。まずは、“時”を見つめ続けた、つぐみさんの話から致しましょうか」
(クロネッカーが一枚目の写真をそっと机に置く。そこには白衣をまとった理知的な雰囲気の少女が、どこか儚げな微笑みを浮かべていた)
クロネッカー「彼女の神としての名は、“時空神カルティムルト”。ですが、私たちは敬愛を込めて“つぐみさん”とお呼びしていました。彼女が何を成し、何を見つめてこられたのか……その詳細な記録は、残念ながらほとんど残されていません。ただ、“彼女は疲弊した世界に対し、ある種の救済を試みた”という記述だけが、断片的に見つかっているのみです」
アルデント「そう……彼女の記録は、私が眠りにつくよりも、ずっと以前のものなんでしょう? 失われていても……無理はないよね」
クロネッカー「時の流れによる風化だけではなく、彼女自身が意図的に記録を“抹消”した可能性も否定できません。かの時空神にとって、“記憶”という概念すら、目的を果たすための“道具”の一つに過ぎなかったのかもしれませんから」

(次にクロネッカーが置いた2枚目の写真には、鋭い意志を宿した瞳を持つ少女が写っている。その背後には、重力法則を無視したかのように歪んだ都市の残骸と、崩れかけた壮大な空中庭園が描かれていた)
クロネッカー「そしてこちらが、ネクワさん。正式には空間神エーティミア。かつて全次元に覇を唱えた“グァルーダ天空帝国”に対し、ただ一人、真正面から“反旗”を翻したとされる烈女です」
ドゥンケル「その反乱が引き金となって、あの大グァルーダ帝国はあっけなく瓦解した。俺が物心ついた頃にゃ、もう“天空”なんつう言葉は、おとぎ話の中にしか存在しねえ代物だったがな」
アルデント「……つまり、ここは……“かつての帝国”が墜ちた……その影響でできた、全く別の星、ってことなの?」
クロネッカー「ええ。帝国の巨大な浮遊都市群は制御を失い“墜落”――その衝撃は地表構造を根底から覆し、生態系すらも変質させました。この惑星の現在の環境は、その大破壊の後に“再構成”されたものと言ってよいでしょう。あなたが今おられるこの場所は、旧帝国の首都中枢であった“第十一都市 聖廟階”の、さらに地下深くに埋もれた区画にあたります」

(クロネッカーが最後の写真を置く。そこに写る少女は、新生を象徴するかのような純白の旗を手に、果てしない虚空を背にして凛と立っていた)
クロネッカー「そして、この方が初代総統、天宮(あまみや)様。神としての御名は“創造神ポリティム”――あなたの妹君にあたり、この混沌とした世界を“再編”し、新たな秩序を築き上げた指導者です」
アルデント「……あなたたちは、その天宮(あまみや)総統の下で……」
クロネッカー「はい。私も、ドゥンケルも、天宮総統が率いる新政府の下で、それぞれの専門分野における研究、及び実務に携わっておりました。天宮総統は、ご自身を“神”としてではなく、あくまで“人類を導く最後の指導者”として振る舞い、混迷の時代に光明を灯してくださったのです」
ドゥンケル「見た目は華奢な小娘だったが、その実、幾多の修羅場を潜り抜けてきた老練な将帥そのものだったな。理想を掲げつつも現実から目を逸らさず、時には血も涙もない決断を下すこともあったが、最後の最後まで民を見捨てることはなかった……そういう御方だったぜ」
アルデント「……そっか。創造の神、空間の神、そして時空の神……みんな、私の妹たち。そして、私がもし本当に“破壊の神”だとしたら……。あの子たちは、ちゃんとそれぞれの役割を背負って、この世界と向き合ってきたんだね」
クロネッカー「その“役割”の帰結として、あるいは世界のバランスを保つために、彼女たちがあなたを永い眠りにつかせた……という可能性は否定できません。もしくは――他ならぬあなたご自身が、それを望んで選ばれたのかもしれませんが」
アルデント「どちらの理由だったとしても……私は今、こうして再び目覚めた。この目で、あの子たちが命を懸けて紡いだ世界の“その先”を……しっかりと見届けなきゃいけない。そんな使命みたいなものを感じるんだ」