Jupiter・DRAMATIC STARS・Altessimo |
Beit・W・FRAME |
彩・High×Joker |
神速一魂・Cafe Parade |
もふもふえん・S.E.M・THE虎牙道 |
F-LAGS・Legenders |
F-LAGS
秋月 涼
第1話 それはかつての物語 | |
---|---|
第2話 いつだって本気で | |
第3話 鋭い視線 | |
第4話 告白の代償 | |
第5話 僕でいること | |
第6話 夢への覚悟 | |
第7話 大切な仲間たちと | |
第8話 「F-LAGS」の秋月 涼 | |
第9話 それぞれが目指す場所 | |
最終話 夢への一歩、踏みしめて | |
兜 大吾
第1話 友からの電子手紙 | |
---|---|
兜 大吾 | (♪) |
うん?ワシ宛にメールか。なになに…… | |
「だいご、柘榴をか。いす、ぎたたから」…? | |
ん、んんー? | |
あっ、ボス! | |
なぁ、この「柘榴」って感じは何て読むんじゃ? | |
ザクロ | |
兜 大吾 | おおー、これザクロって読むんか!ありがとな、ボス! |
…しかし、 | |
勉強は得意なつもりじゃったが、やっぱり年寄りには敵わんのぉー! | |
誰からのメールか尋ねた | |
兜 大吾 | ああ!最近仲良くしとる、じ…… |
そうじゃ!ボスにも紹介するけぇ、これから一緒に会いに行かんか? | |
第2話 眉雪のファン | |
兜 大吾 | おーい、爺さーん!ワシじゃ!遊びに来たぞー! |
お爺さん | おお大吾、よく来たねぇ… |
うん?そちらの方は… | |
兜 大吾 | 紹介するぞ、爺さん!この人が、ワシのボスじゃ! |
お爺さん | おお、おお。初めましてボスさん。いつも大吾から話は聞いとるよ。 |
ワシは大吾のファンをやっとる、80歳のお爺ちゃんじゃ。 | |
いつもあんたたちの活躍、応援しとるよ… | |
そうじゃ、昨日のTVも見たよ。 | |
兜 大吾 | おお、あの歌番組か!どうじゃった?ワシ、男前じゃったろー! |
お爺さん | ああ。大吾の歌を聞いとったら、元気が出たよ… |
ありがとう。 | |
兜 大吾 | …ほうか。元気が出たか! |
その言葉を聞けて、ワシも嬉しいぞ! | |
??? | ………… |
第3話 交流の理由 | |
お爺さんと別れた後、帰り道 | |
兜 大吾 | ………… |
…なぁ、ボス。スマンのぉー。 | |
本当は、ああやって…無闇にファンと交流したらいけんはずじゃ。 | |
でも…ほれ、あの家。 | |
道から部屋の中が見えるじゃろ? | |
いつ中を覗いても、あの爺さん、1人でぼーっとTVを見とってのぉ。 | |
ほんで…どうにも気になって、つい声をかけてしもうたんじゃ。 | |
一応爺さんにも、家族が… | |
孫が1人おるらしいんじゃが。 | |
そいつがなかなかのイタズラ坊主で、ちぃとも家に寄り付かんらしい。 | |
…そういうワケで、孫が留守の間は、ワシが爺さんを笑顔にしたいんじゃ! | |
ボス、頼む!その間だけでも、爺さんと仲良くさせてくれんか? | |
もちろん! | |
兜 大吾 | ありがとな、ボス! |
よし、明日も収録じゃったな…気合いが入ってきたぞ! | |
第4話 笑顔を届けて | |
翌日、F-LAGSのライブステージ | |
九十九 一希 | (♪) |
秋月 涼 | (♪) |
兜 大吾 | (♪) |
MC | いやぁ、大吾君のダンスはいつもダイナミックだね! |
近くで見ると、こんなに小さいのになぁ。何か、大きく見せるコツはあるの? | |
兜 大吾 | コツか?コツはのぉー… |
…手と足を、いーっぱい伸ばすことじゃな! | |
「ここにおるファンにも、おらんファンにも、1人残らず笑顔を届ける!」 | |
そう思いながら踊っとるけぇ、ワシの動きはでっかいんじゃ! | |
九十九 一希 | …大吾はまだ14才だ。そのうち、本当に背も伸びるだろう。 |
秋月 涼 | ふふ。そしたら僕たち、もっと遠くまで笑顔を届けられるね! |
??? | ……ヘッド、コイツです!ヘッドの爺さんに近付いてるヤツは! |
ヘッドと呼ばれた男 | 何ィ…? |
よーし、子分ども!この大吾とか言うガキの素性を調べるんだ! | |
…このガキ、いったい何を考えてやがる…? | |
第5話 騒動の朝 | |
黒服 | 六代目、大変です! |
兜 大吾 | なんじゃ、朝から騒々しいのぉー。それにワシは、「元」六代目… |
黒服 | 実は…プロデューサーさんが、妙なワゴン車に連れ去られました! |
兜 大吾 | 何じゃとぉ!? |
黒服 | どうやら、連中、プロデューサーさんのことを六代目のボス… |
つまり、俺たちの組織のトップだと勘違いしてるようで… | |
兜 大吾 | …ほうか、わかった。ほいじゃあ、ちぃと電話を渡してくれるか。 |
(本当はこんなこと、やりとーないが…) | |
…ワシじゃ、突然スマンのぉ。実は、元六代目として頼みが… | |
とあるワゴンの車内 | |
ヘッドと呼ばれた男 | オイコラ!オマエら俺の爺ちゃんに近付いて、何するつもりだったんだ! |
いや、当ててやる。大方、俺たちのグループとやりあうつもりなんだろ? | |
オマエの持ち物を調べりゃ、スグ証拠が… | |
んん!?名刺しか出てこねえ…!? | |
第6話 信望の元に | |
ヘッドと呼ばれた男 | アンタ、兜大吾のボスなんだろ?それなのに、どうして丸腰なんだ! |
もっと強そうな武器とか持っとくべきだろ! | |
運転手 | そうだそうだ!ボスっぽくねえぞ! |
…って、あれ…どうもおかしいぞ…? | |
兜 大吾 | …ああ、よろしく頼む! |
よし、次は… | |
…もしもし?……のとこの息子か? | |
おお、ワシじゃ!急にスマン、ちぃと協力してもらいたいことがあってのぉー。 | |
…ああ、そういう怪しい車を探しとるんじゃ。見つけたら… | |
見つけたら、空地にでも誘導してくれんか。 | |
いや、手は出さんでええ。 | |
その車には… | |
ワシの、大切な人が乗っとるんじゃ。 | |
第7話 念いへの道 | |
兜 大吾 | その人は… |
「六代目」でも、「元六代目」でもない、「兜大吾」に夢をくれる。 | |
でっかくて、優しくて、大切な人なんじゃ。 | |
運転手 | お、おかしい… |
どこを走っても、なぜか行く手を邪魔されちまう!? | |
ヘッドと呼ばれた男 | お、おい、そこのおっさん!なんで工事中の看板なんか置くんだよ!? |
人相の悪いおじさん | 悪いな坊主ども。これも「親父」の指示でね。ククククク… |
男たち | (ひ、ひええ~~!) |
黒服 | 六代目!プロデューサーさんの乗っている車を追い詰めたそうです! |
兜 大吾 | ほうか、ようやった!恩に着ると伝えとってくれ! |
ほいじゃぁ… | |
悪坊主らに、お灸をすえに行くかのぉー! | |
第8話 それがけじめじゃ! | |
ヘッドと呼ばれた男 | こ、ここも行き止まり!? |
一体どうすりゃいいんだぁ!? | |
兜 大吾 | …いーや、何もせんでええ!全員そこまでじゃ! |
待たせたのぉ、ボス!助けに来たぞ! | |
ヘッドと呼ばれた男 | か、兜大吾! |
兜 大吾 | …ワシのボスを連れ出したんは、どこのどいつかと思ったら。 |
アンタ、中野の爺さんトコの悪ガキじゃな。顔がソックリじゃ! | |
爺さんの…友達の孫とあれば、他人とは言えん! | |
じゃけぇ… | |
ワシがしっかり、その尻を叩いちゃる!覚悟せぇー! | |
男たち | …す、すいませんでしたー!! |
兜 大吾 | ええか、みんな。これに懲りたら、もう二度と悪いことはしたらいけん! |
もし約束を破ったら、ワシが何度でもお仕置にくるけぇの! | |
恐ろしいじゃろー! | |
…それがイヤじゃったら、 | |
みんな、自分の家に…待っとる人がおる場所に帰るんじゃ。 | |
ほんで、ワシじゃのぉて… | |
優しい家族や友達に叱ってもらえ。 | |
……のぉ。 | |
スマンが、こいつらを送ってやってくれるかのぉー。 | |
…… | |
第9話 今、そしてこれから | |
兜 大吾 | …ボス、スマンかった!ワシのせいで、余計なことに巻き込んで… |
助けてくれてありがとう、と伝える | |
兜 大吾 | …なぁ、ボス。ハッキリ言うて、ワシは周りに色々と迷惑をかける男じゃ。 |
でも、ワシは… | |
これからも、涼と先生、ボスと一緒にアイドルを続けたいんじゃ。 | |
アイドルやっとる、今の自分が…人を笑顔にしとる自分が、大好きじゃけぇ。 | |
…じゃけぇ、ボス。改めてお願いしたい。 | |
これからも、ワシのことを…兜大吾を、任されてくれんか。 | |
もちろん! | |
兜 大吾 | …ありがとな、ボス! |
…あいつらを乗せた車、全部行ったみたいじゃな。 | |
なんだか急に、ワシも涼と先生の顔を見たくなったわ! | |
事務所に帰ろう | |
兜 大吾 | …うん、そうじゃ!ワシらも帰ろう、ボス! |
最終話 世界一の… | |
ある休日…大吾と、お爺さんの様子を見に来た。 | |
兜 大吾 | 元気かのぉ、爺さん… |
おっ?あれは… | |
元ヘッド | 爺ちゃん、大吾さんがテレビに出てるぜ!すっげえキレッキレなダンスだな! |
お爺さん | これこれ。あんまりテレビに近づくと、目が悪くなるじゃろう… |
兜 大吾 | …あの2人は、もう安心じゃな。 |
不良A | あっ、大吾さん…いや、ボス!お疲れさまです! |
不良B | ボス!お荷物お持ちしましょうか! |
兜 大吾 | あの一軒以来、なんか街に子分が増えた気がするのぉー? |
ボスは大変だね | |
兜 大吾 | わはは、そうじゃのぉー! |
じゃが… | |
ワシのボスは、ボスだけじゃ! | |
隣におるボスだけが、ワシの自慢の、世界一のボスじゃ! |
九十九 一希
第1話 ある午後の一幕 | |
---|---|
九十九 一希 | ………… |
兜 大吾 | …のぉ、先生。読書中のとこ悪いが、ちぃとええか? |
九十九 一希 | ……ん。大吾、涼…それにプロデューサーまで。どうかしたか。 |
兜 大吾 | …さっきから読んどるその小説、ちっともページが進んどらんじゃろう? |
秋月 涼 | ボーっとしてるみたいだから、何かあったのかなって、心配で…あれ? |
その小説の作者さんの名前、聞いたことあります。確か、昨日のニュースで… | |
九十九 一希 | …ああ。この小説は、先日亡くなった作家の代表作だ。 |
…好きな作家の1人でな。読んでいるうちに、色々考え込んでしまった。 | |
兜 大吾 | おお…そうじゃったか… |
秋月 涼 | …あの。僕、その作家さんの小説を読んでみたいです! |
兜 大吾 | …ワシもじゃ!先生、オススメはないかのぉ? |
九十九 一希 | …そうか。なら今度、2人が気に入りそうなものを選んでこよう。 |
…数多くの作品を残した人だ。気に入る本がきっとあるはずだ。 | |
秋月 涼 | ありがとうございます!一希さんのオススメ、読むのが楽しみです! |
第2話 一冊との向き合い | |
翌日、一希は再び上の空で本を読んでいる… | |
声をかける | |
九十九 一希 | …ん?プロデューサー、来ていたのか。 |
…ああ、今日もあの作家の小説を読もうとしていたんだ。 | |
…どうやら、まだおれの中でも完全に整理がついていないらしい。 | |
大丈夫ですか? | |
九十九 一希 | …余計な心配をかけてしまったか。すまない。 |
…彼とは幼い頃、何度か会ったことがある。父の知り合いだったんだ。 | |
…家に遊びに来たこともある。優しくて面白い人だったよ… | |
…む。プロデューサー、賢が呼んでいる。仕事の電話のようだ。 | |
仕事の依頼でした | |
九十九 一希 | …おれへの仕事の依頼? |
…わかった。詳細を教えてくれ。 | |
第3話 未完の作品 | |
九十九 一希 | …はじめまして。あなたが、あの人の… |
編集者 | はい。担当編集です。本日はどうぞ、よろしくお願いいたします。 |
九十九 一希 | …ええ。よろしくお願いします。それで、おれへの依頼というのは一体… |
編集者 | 実は、先生は亡くなる前に、遺言を残していたんです。 |
現在執筆中の作品を書き上げる前に自分が力尽きた場合… | |
自分の代わりに、九十九一希さんに最後まで執筆してほしい、と。 | |
九十九 一希 | ……おれに、ですか?何かの間違いでは? |
…おれは、何冊かライトノベルを書きましたが…どれも駄作です。 | |
…それに、友人である父ではなく、なぜそこでおれの名前が… | |
編集者 | 私にもわかりません。けれど、これは、彼の最期の願いなんです。 |
アイドルとして活動をしながら執筆するのは、とても大変でしょう。 | |
ですが…どうか、彼の最期の願いを叶えてほしいのです…! | |
九十九 一希 | …最期の願い、ですか… |
…すみません。少し、考える時間をいただけませんか。 | |
第4話 押し迫る過去 | |
編集者が帰ってからずっと、一希は考え込んでいるようだ。 | |
九十九 一希 | …プロデューサー。あの依頼を、もし仮に受けるとして… |
…スケジュールは問題ないだろうか? | |
できる限り調整します | |
九十九 一希 | …そうか。ありがとう。あとは…おれの気持ち次第、か。 |
(アイドルになってからも、作詞など、文章を扱う仕事はあった) | |
(自分で考え、紡ぎだした言葉を伝える仕事も行ってきた) | |
(だが…それが「小説」となれば、話が変わってくる…) | |
(それも…敬愛していた作家の続きを書くとなれば、その責任は重い) | |
(小説家として筆を折ったおれに、アイドルという道を選んだおれに…) | |
(この仕事を受ける資格があるのだろうか) | |
(仮に受けたとして、あの人の期待に応えられるのだろうか…) | |
第5話 「おれ」である意味 | |
九十九 一希 | (もう夜か…ずいぶん悩んだが、まだ答えは出ない…) |
…あの人は、なぜ、父さんではなくおれの名を記したんだろうか。 | |
飲み物を差し入れる | |
九十九 一希 | …ありがとう、いただくよ。 |
…なあ、プロデューサー…よければ、意見を聞かせてくれないか。 | |
…世間的に、ベストセラー作家として名の売れた父さんではなく、 | |
…「九十九一希」でなければいけない意味が、あると思うか。 | |
きっと、理由はあるはず | |
九十九 一希 | ……そうか。だとすれば、おれはその理由を知りたい。 |
…アイドルになった今、もう小説は書かないと思っていた。 | |
…だから、これを機に小説家として復帰するわけではない。 | |
…あくまで、未完の作品を補完する協力をするだけだ。 | |
…それにおれは、文体模写の経験がそれなりにある。 | |
…プロデューサー。この依頼の話、進めてもらえるだろうか。 | |
第6話 紙の上の対話 | |
九十九 一希 | (編集者の方から、あの人の原稿とネタ帳を受け取ったが…) |
(まずは原稿の方を読むとするか) | |
九十九 一希 | (いつのまにか一読者として夢中になってしまっていた…) |
(相変わらず、彼の小説の世界へ引き込む筆力は確かだ) | |
(この作品の続きを、おれに書けるのだろうか…?) | |
…ともかく。次はネタ帳を確認するとしよう。 | |
九十九 一希 | (ネタ帳に書かれているのは断片的な情報ばかりだ) |
(あの人が何を考えていたのか…推測するのは至難の業だ) | |
(簡単な仕事になるとは思っていなかったが…苦労しそうだな) | |
…正直、この原稿の続きを書くことにはプレッシャーを感じる。 | |
…しかし、一度引き受けた仕事だ。締切までに終わらせてみせる。 | |
…さて。まずは、思いついたアイデアを書き出していくか。 | |
第7話 誰がために筆を執るか | |
九十九 一希 | (あれからしばらく経った。原稿は終盤に差しかかったところだが…) |
(この物語をどう終わらせるべきなのか…それがわからない) | |
…行き詰まった時は、一度原点に戻るとしよう。 | |
…そうだな…改めて、登場人物について振り返ってみると… | |
…この主人公は心優しくて芯が強い。まるで、涼のようだな。 | |
…主人公の友人は、いつも笑顔でパワフルで…大吾に通じる部分がある。 | |
…そう考え始めると…物語の登場人物たちを身近に感じてくるな。 | |
…身近に……待てよ?涼といえば…そういえば中盤のこのシーン… | |
…覚悟を以て秘密を告白する…これは、涼の過去を彷彿とさせる。 | |
…こちらは…大吾の仁義という信念に通ずる部分がある… | |
…ここまで来ると、偶然の一致ではないな。意図して描かれている… | |
…そうか。なぜ彼がおれの名を記したのか、ようやく合点がいった。 | |
…彼は最期に「F-LAGS」をモチーフにした作品を作っていたんだ。 | |
…だとすれば、なるほど。おれなら、この物語を紡ぐことができる。 | |
…応援してくれていたのかもしれないな。おれたちのことを。 | |
…なら、おれのやるべきことは1つだ。執筆作業へと戻ろう。 | |
第8話 仮題「天に掲げし旗印」 | |
九十九 一希 | …プロデューサー。例の依頼の件だが、初稿が完成した。 |
…時間がある時にでも、一度、読んでみてくれないか。 | |
任せてください | |
それから数時間後、初稿を読み終えたことを伝えた。 | |
九十九 一希 | …もう読んでくれたのか。ありがとう。それで、どう、だろうか? |
この作品、もしかして… | |
九十九 一希 | …さすがだな。F-LAGSをモチーフに執筆されていることに気付いたか。 |
…わかりやすい描写ではないのに、そこまで読み解くとは… | |
…やはり、プロデューサーはおれたちのことをよく見ているんだな。 | |
…この原稿はまだ初稿… | |
…おれが担当した箇所については、これから推敲する。 | |
…気になるところがあれば、何でも言ってほしい。 | |
…F-LAGSについて一番詳しいのは、プロデューサーだからな。 | |
頷く | |
九十九 一希 | …心強いよ。この作品、良いものに仕上げてみせる。妥協はしない。 |
第9話 九十九に沿えた一筆 | |
九十九 一希 | (無事に原稿を書き終えて、数ヶ月が経った) |
(今日は、いよいよ彼の最期の小説が発売する日だ…) | |
(作者は彼で、おれは編纂への協力という形で名が出ている…) | |
声をかける | |
九十九 一希 | …プロデューサーか。ああ、おれは少し風にあたっていたんだ。 |
あの小説について、世間で話題になっていることを伝えた。 | |
九十九 一希 | …そうか。多くの人に彼の本が手に取ってもらえるなら良かったよ。 |
…おれが担当した箇所は、おれのF-LAGSとしての経験… | |
…そして、これからF-LAGSとしてやりたいことを書き記した。 | |
…多分、それをあの人は望んでいたと思うから。 | |
…今、やれるだけのことはやった。いい作品になったのなら幸いだ。 | |
最終話 偶像の物語、未だ未完にして | |
九十九 一希 | …仮面をかぶり、ずっと…己という個を封じてきたおれが… |
…多少なりとも変わり始めることができたのは、アイドルになったからだ。 | |
…そして、涼や大吾、それにプロデューサー… | |
…かけがえのない人たちと、出会うことができたからだ。 | |
…おれは、アイドルとしてはまだ未熟なところも多いだろう。 | |
…これからも歌やダンス、自分の言葉を通して、みんなに想いを伝えたい。 | |
…そして、1人では届かない高みへ、涼と大吾と共に行きたい… | |
…他にも、目指していきたいことや、挑戦したいことはあるが… | |
…それが、あの本で描いた、おれがF-LAGSとして達成したい目標の1つだ。 | |
やりたいことは全部やりましょう | |
九十九 一希 | …ああ。そうだな。 |
…トップアイドルになるには、プロデューサーのプロデュースが必要不可欠だ。 | |
…どうか、これからもよろしくお願いします、プロデューサー。 |
Legenders
葛之葉 雨彦
第1話 妙な噂を吹き飛ばせ | |
---|---|
葛之葉 雨彦 | ほう。俺たちに祭り会場でライブの依頼か。 |
古論 クリス | 企業主体の町おこしイベントの一環のようですね。 |
葛之葉 雨彦 | へぇ、これが祭りをやってる神社か。随分立派なお社だな。 |
北村 想楽 | そうだねー。あれ、これは昔のお祭りの写真かなー?盛況だねー。 |
古論 クリス | どうして客足が遠のいてしまったのでしょう? |
妙な噂が原因だと伝える | |
葛之葉 雨彦 | なるほど、何年か前から祭りの時期になると怪しい影が目撃される...ね。 |
北村 想楽 | 幽霊の正体見たり枯れ尾花って昔から言うし、見間違いじゃないかなー。 |
古論 クリス | ええ。勘違いに尾びれや背びれがついてしまったのかもしれません。 |
葛之葉 雨彦 | 何にせよ、俺たちで祭りに人が戻ってくる手助けができりゃいいな。 |
古論 クリス | はい、頑張りましょう! |
葛之葉 雨彦 | (...掃除の必要があるか、少し調べる必要があるかもしれないな) |
第2話 アイドルは楽しい? | |
町内会会長 | ...それでは祭りの最終日、皆さんのライブで会場を盛り上げてください! |
古論 クリス | はい、お任せください。全力を尽くしましょう、雨彦、想楽。 |
北村 想楽 | そうだねー。みんなが楽しめるように頑張るよー。 |
葛之葉 雨彦 | おおよその方針は固まって、いったん休憩か。さて、どうしたもんか... |
会長の娘 | あの...葛之葉さん、今ちょっといいですか? |
葛之葉 雨彦 | ん?確かお前さんは町内会会長の...どうしたんだいお嬢さん。 |
会長の娘 | 葛之葉さんがアイドルになったきっかけとか、色々聞かせてほしいんです。 |
葛之葉 雨彦 | 色々と?また唐突な話だな。 |
会長の娘 | すみません、アイドルに会うのって初めてで...アイドルについて知りたくて。 |
葛之葉 雨彦 | はは、まあいいさ。俺で答えられることなら答えさせてもらうぜ。 |
会長の娘 | 色々とお話ありがとうございます!あの...アイドルって楽しいですか? |
葛之葉 雨彦 | 楽しいか...か。そうだな。俺なりに楽しませてもらっているぜ。 |
ところでお前さん、随分と熱心だな。余程アイドルに興味があるらしい。 | |
会長の娘 | はい!お姉ちゃんが大のアイドル好きだったんです。その影響で私も... |
うちのお祭りにアイドルが来るなんて、姉が生きてたら喜んだと思います! | |
葛之葉 雨彦 | 生きてたらっていうと...すまない、辛いことを話させちまったな。 |
会長の娘 | 大丈夫です。ずっと昔の話ですから。当日は私が姉の分まで楽しみます! |
葛之葉 雨彦 | ...ああ、楽しみにしていてくれ。 |
第3話 ちょいと散歩がてら | |
古論 クリス | ...おや?音が止まってしまったようです。 |
機材トラブルみたいだと伝える | |
北村 想楽 | リハ中に予期せぬ事態で小休止。少し休んでくるよー。 |
古論 クリス | そうですね、時間もかかりような様子ですし... |
私も、週末に撮影した海の写真の整理でもして待つことにしましょう。 | |
葛之葉 雨彦 | なら俺はちょいと散歩にでも行ってこよう。プロデューサー、構わないかい? |
大丈夫です | |
葛之葉 雨彦 | (町内会会長の家はこっちの方か...怪しい影の目撃情報と一致してるな) |
(この先の神社が祭りの会場...祭りに行くにはここを通ることになる) | |
(噂の原因はおおよそ俺の予想通りみたいだが。さて、どうするか...) | |
ん?これは... | |
第4話 心の中の大きさ | |
葛之葉 雨彦 | これは...俺たちのポスターか。 |
よく見りゃ何枚も貼ってあるじゃないか。随分歓迎されてるみたいだな。 | |
期待に応えられるようなステージを見せてやらないとな。 | |
(そうだ、戻ったら改めてサビの演出を...) | |
...ふっ。 | |
(掃除の必要があるかどうか見に来たはずなのに、) | |
(いつの間にかステージのことを考えてるとはな) | |
(...思い返せば、昔以上にアイドルについて考える時間が増えたもんだ) | |
(俺自身も気付かないうちに、俺の中でアイドルって存在が大きく...) | |
(ふと考えちまうぐらいに面白いもんだと思うようになっていたんだな) | |
(仕事にやりがいがあり、面白く感じる。それ自体はいいことだ。だが...) | |
(俺は...いつの間にここまで変わっていたんだろうか...?) | |
第5話 表には出さずとも | |
葛之葉 雨彦 | 戻ったぜ。まだスタッフが忙しそうにしてるみたいだな。 |
北村 想楽 | おかえりー。まだリハは再開できないみたいだよー。 |
古論 クリス | 私たちにもなにか手伝えることがあればいいのですが... |
葛之葉 雨彦 | そうだな...ま、俺たちは気持ちを切らさないように、 |
振り付けの確認でもしておくとしよう。 | |
雨彦の様子について尋ねる | |
古論 クリス | 雨彦の様子がおかしい?特に思い当たることはありませんが... |
北村 想楽 | でも確かに、ちょっと変な感じはしたかなー。 |
ぎこちないっていうか、なんか思うところありっていうかー。 | |
古論 クリス | なるほど...もしかすると、散歩中に何かあったのかもしれませんね。 |
それとなく気にかけてみると2人へ伝えた。 | |
古論 クリス | はい、よろしくお願いします。我々も気にかけてみますね。 |
第6話 少し世話話を | |
雨彦は1人、どこか物憂げに佇んでいる... | |
葛之葉 雨彦 | ん?ああ、お前さんか。リハの再開...ってわけじゃなさそうだな。 |
ああ、祭りの様子を眺めてたのさ。みんな楽しんでるみたいで何よりだ。 | |
実は、さっき散歩の途中で俺たちのポスターをたくさん見かけてな。 | |
町おこしの祭りに俺たちを頼ってくれるなんてありがたいことだ。 | |
つまり、それだけ人が呼べると期待されてるってことだろう。 | |
...これだけ期待をかけられているんだ。必ず応えてやらないとな。 | |
散歩から戻ってきた雨彦の様子がいつもと違うように見えたと伝えた。 | |
葛之葉 雨彦 | ...そうかい?別に体調が悪いわけでもないし、俺はいつも通りさ。 |
ならいいんですが... | |
葛之葉 雨彦 | (納得したって顔じゃないな。さすがはプロデューサーってとこか) |
...そうさな、時間もあるし、ちょいとたとえ話に付き合ってくれるかい? | |
第7話 とある男の話 | |
葛之葉 雨彦 | ...あるところに男がいて、そいつにはやるべきことがあったとする。 |
そいつはそのやるべきことに対して、誇りと責任感を持っていたそうだ。 | |
そのためなら自分の気持ちや希望なんかも厳しく律するぐらいにはな。 | |
...ところが、やるべきことしかなかったそいつにとある変化が起きた。 | |
やるべきことを成し遂げるために始めたことが、最近はすこぶる面白い。 | |
自分でも気付かないうちに、やるべきことと新たに始めたことが、 | |
同じぐらい大切な存在になっていたことを自覚して...さぁ困った。 | |
それまで自分の感情を抑えてきた男からすれば、戸惑うばかりだろう。 | |
...さて。もしお前さんだったら、そいつになんて言葉をかけてやる? | |
大事なものは、いくつあってもいい | |
葛之葉 雨彦 | ...へぇ。 |
そうだな...お前さんの言う通りかもしれない。 | |
そいつは、そんな簡単なこともわからなくなっていたんだな。はは。 | |
参考になった、ありがとよ。そいつに会ったら俺から伝えておくぜ。 | |
(...もう少し、欲張ってみてもいいのかもしれないな) | |
ところでプロデューサー、ちょいとライブの演出で思いついたことがあってな... | |
...そう、祭りの最後に打ち上がる予定のやつだ。その発射時間をだな... | |
第8話 アイドルの姿を | |
古論 クリス | いよいよライブですね。たくさんの方々が来てくださっているようですよ! |
北村 想楽 | 良からぬ噂はどこに行っちゃったんだろうねー。 |
葛之葉 雨彦 | 噂...か。それについてはこのライブでなんとかなるんじゃないか。 |
古論 クリス | 雨彦は噂について何かご存知なのですか? |
葛之葉 雨彦 | さてね。ともかく観客は誰一人、噂なんて気にしてないようだぜ。 |
古論 クリス | そのようですね。ともかく...私たちのライブを成功させることで、 |
悪評など吹き飛ばしてみせましょう! | |
北村 想楽 | 雨彦さんからの例の提案も、そのための演出なのかなー? |
雨彦さんからああいう提案があるのって、なんか珍しいよねー。 | |
葛之葉 雨彦 | ふっ、ちょっと欲張ってみようと思っただけさ。 |
古論 クリス | 欲張ってみよう、ですか?演出とのつながりがよくわかりませんが... |
北村 想楽 | 僕もよくわからないけど、盛り上がりそうだしいいんじゃないかなー。 |
もうすぐライブ開始です | |
葛之葉 雨彦 | おっと、もうそんな時間か。早いとこ衣装に着替えないとな。 |
さて、会場のみんなに、俺たちのライブを見せてやろうじゃないか。 | |
第9話 想いよ届け、空高く | |
北村 想楽 | みんな、声援ありがとー。次はいよいよ最後の曲だよー。 |
古論 クリス | ふふ、ありがとうございます。私たちも名残惜しいのですが... |
葛之葉 雨彦 | 最後の曲の前に、こいつを見ていってくれ。3、2、1...! |
北村 想楽 | 熱狂の夜を彩る揚花火。僕たちから打ち上げ花火の贈り物だよー。 |
葛之葉 雨彦 | あの花火にも負けないぐらいまぶしいアイドルの姿を見せてやるぜ。 |
(随分と派手な送り火になっちまったが...) | |
(アイドルのステージと一緒に送られるなら、きっと満足してもらえるだろう) | |
北村、古論。最後のこの曲で、もっと盛り上げてやろうぜ。 | |
古論 クリス | お任せください。黒潮の流れのように力強く盛り上げてみせます! |
北村 想楽 | うん。花火には負けていられないからねー。 |
葛之葉 雨彦 | (このライブを見てる全ての「人」たちに、この光が届くように...) |
最終話 また次も一緒に | |
お祭り会場でのライブが成功して、しばらくが経ったある日... | |
葛之葉 雨彦 | プロデューサー、お疲れさん。 |
この間の祭り会場、怪しい影はその後なりを潜めたって聞いたぜ。 | |
ライブが話題になり、その後もファンが訪れているらしいと伝える。 | |
葛之葉 雨彦 | はは、そいつは良かった。町おこしは大成功ってわけだ。 |
万事うまくいったのはお前さんが無茶な提案に乗ってくれたからさ。 | |
打ち上げ花火は祭りの目玉、そのタイミングをズラすのは大変だっただろう。 | |
色々と企業側に掛け合ってくれたおかげさ。本当にありがとな。 | |
(...俺の中でアイドルって存在が想定以上に大きくなっていたことに) | |
(お前さんは、大事なものはいくつあってもいい、と言ってくれた) | |
(掃除とアイドル、どちらも欲張っていいと、お前さんが気付かせてくれた) | |
(...この感謝の気持ちを、口にするのは野暮ってもんだな) | |
(この件に関しての礼は、アイドルの仕事ぶりで返すのがきっと一番良い) | |
さて、お前さん。次はどんな仕事を俺たちに持ってきてくれるんだい? | |
またお前さんと一緒に、面白い仕事ができるのを楽しみにしているぜ。 |
北村 想楽
第1話 ご覧あれ 我が歩しは アイドル道 | |
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第2話 文届く 見せる姿は 変わらない | |
第3話 先行きの 見えぬ進路は 道なのか | |
第4話 せわしなく 働き続け 無理をして | |
第5話 延々と 心亡くして 身を壊す | |
第6話 未来へと 感じる失意 漠然と | |
第7話 心から 想う気持ちを ぶつけよう | |
第8話 ありのまま 輝く姿 見せつけて | |
第9話 僕らしく いられる場所へ これからも | |
最終話 この道を 歩み続ける 覚悟かな | |
古論 クリス
第1話 どうして海はしょっぱいの? | |
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司会者 | 「教えて!科学電話教室」のお時間です!今週のテーマは、海! |
海って楽しい!けど不思議!そんな子どもたちからの質問を大募集! | |
答えてくれるのは海洋学の元助教、Legendersの古論クリスさんです! | |
古論 クリス | 海とは、私たちの1番身近にある未知です。 |
好奇心のボートで、共に知識の大海へと漕ぎ出しましょう!! | |
司会者 | それでは最初の質問のお電話来ております。さぁ、質問をどうぞ! |
電話越しの子ども | はーい!海はどうしてしょっぱいんですか! |
古論 クリス | 良い質問です!その質問に答えるにはまず海の成り立ちからお話を… |
…水蒸気や塩素ガスに被われて…ああ、塩素というのはハロゲン元素の… | |
…雨になって降り注いだことで、46億年前の地球に最初の海が… | |
司会者 | な、長いお話になりそうですね!それではいったんCMです!! |
番組終了後… | |
古論 クリス | なんと充実した時間だったのでしょうか…夢のような仕事でした。 |
ちょっと情熱的すぎたかも? | |
古論 クリス | 語りすぎてしまいましたか…次は気をつけなくてはいけませんね。 |
第2話 この身を以て海の魅力を | |
古論 クリス | (本日は撮影の仕事ですね。正直、未だ苦手意識はありますが…) |
(先日の電話教室での失敗を挽回するためにも、頑張らなくては!) | |
古論 クリス | シロナガスクジラのポーズ!いかがでしょう、イメージに合っていますか? |
カメラマン | うんうん。クジラってのはよくわからないけど、いいポーズっすね! |
古論 クリス | 水泳大会のポスターで使うと聞き、スピード感と力強さを意識しております! |
シロナガスクジラはその巨体からゆったりとした印象を持たれがちですが、 | |
その泳ぎは時速にして約50kmとかなり速く、上あごのひげ板を使い… | |
カメラマン | へぇー、そうなんすね…おっ!またいいポーズいただいてますよー! |
古論 クリス | ふぅ…今日も仕事を通じ、海の魅力を伝えることができました。 |
素晴らしい撮影でした | |
古論 クリス | ありがとうございます。これでまた一歩、海の魅力を世の中に…おや? |
あの少女、ずっとこちらを見ていますね…もしや、ファンの方でしょうか? | |
育ちの良さそうな少女 | あ…あの!お兄さん、海について、私に教えていただけませんか!? |
古論 クリス | …!! |
第3話 不思議な少女 | |
古論 クリス | なんと!海のない国で育ったのですか。 |
それで、生まれ故郷の日本で海に興味を…素晴らしい好奇心ですね! | |
育ちの良さそうな少女 | シロナガス…?とか海について、楽しそうに話しているお兄さんを見かけて… |
古論 クリス | それで、私に海について聞いてみようと思った、というわけですか。 |
育ちの良さそうな少女 | そう…です。えっと、お兄さんは学者か…もしくは先生なのでしょうか? |
古論 クリス | いえ、私はアイドルです。先程も、撮影を通して海の魅力を伝えていました。 |
育ちの良さそうな少女 | えっ、アイドル!?すいません、私そういった知識に疎くて… |
古論 クリス | 構いませんよ。ところで、随分若く見えますが…おひとりでここまで? |
ご家族は一緒じゃないの? | |
育ちの良さそうな少女 | ……私は… |
古論 クリス | …なるほど、何か事情がおありなのですね。なら、これ以上は聞きません。 |
海に興味を持つ人に、悪い人がいるはずはありませんからね! | |
育ちの良さそうな少女 | …あの、お兄さん。海についてもっとよく知れる場所とか、ありませんか? |
古論 クリス | 近くに水族館があるはずですが…お連れしても大丈夫でしょうか? |
一緒に案内しましょう | |
古論 クリス | はい!ありがとうございます。では、早速参りましょうか! |
第4話 深く深く深い話 | |
育ちの良さそうな少女 | お魚がたくさん…図鑑で見た通り、お魚は様々な色があるんですね。 |
古論 クリス | ええ。魚には非常にカラフルな体色をしている種が少なくありません。 |
サンゴやイソギンチャクと共生し、カモフラージュに利用する個体も多く存在します。 | |
育ちの良さそうな少女 | わあ…そうなんですね。 |
古論 クリス | 魚は目が悪いのですが、色覚を司るオプシンの多様さで言えば… |
…ですから、深海生物には赤い体色をしている種が多く存在し…! | |
育ちの良さそうな少女 | あ、あの、すみません。私、あっちの水槽を見てきますね。はは… |
古論 クリス | …あ…行ってしまいましたか… |
私の説明の仕方が悪かったのでしょうか。それに… | |
あの、困ったような笑顔には…覚えがあります。 | |
第5話 建前の笑顔 | |
古論 クリス | 私が至らないばかりに、彼女を困らせてしまいました。 |
それに、海に興味があるという割には展示への関心が薄そうで、 | |
どこか上の空だったようにも見えました。 | |
古論さんを拒絶していたわけではなさそうだったと伝えた。 | |
古論 クリス | それは…ええ。私に対して、気を遣ってくれたのでしょう。 |
あれが心からの笑みではないことは、私にもわかります。 | |
私は昔から、どちらかと言えば無神経な人間のようでして… | |
助教時代に、研究に興味があるという学生に研究の説明をしたときにも、 | |
ああいった、少し困った笑顔をさせてしまったことがありました。 | |
その後、その学生が私の講義に出てくることはありませんでした。 | |
…今にして思えば、彼は単位が欲しかっただけなのかもしれません。 | |
あの時、彼の真意を汲み取り、もっとうまく説明ができていれば… | |
真に海に興味を持ってもらえる機会に繋げられたのかもしれないのに… | |
ん?…真意…困った笑顔…もしや、あの少女にも他の真意が? | |
「海に興味がある」と言った理由が、何かあるのでしょうか…? | |
第6話 情熱が眩しくて | |
古論 クリス | ここにいらっしゃったのですね。 |
育ちの良さそうな少女 | …!さっきは…逃げてしまってごめんなさい… |
古論 クリス | いえ、それはもういいのです。それより、気になったことがありまして。 |
先程、あなたは海に興味があるとおっしゃっていましたが… | |
あなたの様子は…正直、海に興味があるようには見えないのです。 | |
何か理由があるなら、教えていただけませんか? | |
育ちの良さそうな少女 | …それは…… |
古論 クリス | なんと、滞在中のホテルから家出してきてしまったのですか! |
育ちの良さそうな少女 | はい…私の家は厳しくて、日頃から勉強ばかりやらされていて… |
今までの人生で、何かに夢中になったことなんて、なかったんです。 | |
古論 クリス | それで両親と喧嘩になって、勢いで飛び出してきてしまったと… |
育ちの良さそうな少女 | …はい。それで海を歩いていたら、楽しそうに話してるお兄さんがいて。 |
あんなに熱中できるって、どういう感じなのか…気になったんです。 | |
第7話 「未知」と「ロマン」 | |
育ちの良さそうな少女 | 海について教えてもらえば、私も情熱を持てると思ったんですが… |
実際は難しくて。お兄さんは、どうしてそんなに海が好きなんですか? | |
古論 クリス | 挙げようと思えば無限に理由を列挙できますが…そうですね… |
幼少期を、スペインの美しい海と共に過ごしたというのもありますが… | |
…海は何者も拒みません。それが、大きな理由のひとつだと思います。 | |
現代においてさえ、海は未知とロマンに溢れたフロンティアです。 | |
誰にでも…例えば小さな子どもや、ご老体でさえも、 | |
その神秘に挑戦することができるのです。 | |
海は、私の人生において、様々な発見や出会いのきっかけになりました。 | |
海は私に次々と新たな冒険を与えてくれる、特別な存在… | |
だから私は、こうも海に焦がれるのでしょう。 | |
育ちの良さそうな少女 | 新たな冒険を与えてくれる存在… |
第8話 新しい世界 | |
育ちの良さそうな少女 | …私、もう1度ちゃんと海が見たくなりました。 |
今からだと、日が暮れてしまいますが…大丈夫でしょうか? | |
古論 クリス | ええ、もちろんです!一緒に行きましょう! |
育ちの良さそうな少女 | これが、お兄さんが焦がれた「海」… |
改めて見ても、とても広い…ここに、未知とロマンが、無限にあるんですね。 | |
古論 クリス | ええ。まさしくそうです。 |
…ですが、それは海に限ったことではないのかもしれません。 | |
海への情熱から、1度は教鞭をとることになった私ですが… | |
今はこうして、アイドルという新たな大海に漕ぎ出している… | |
かつての自分では想像もつかないであろう、アイドルという世界ですが… | |
ここもまた、海のように、未知とロマンに満ちています。 | |
今では、アイドルという仕事が、海と同じぐらいに大好きなのです。 | |
アイドルという仕事に、海に対するのと同等の情熱を燃やしています。 | |
きっとあなたにも、そんな…情熱を燃やせる何かが見つかるはずです。 | |
第9話 波及する情熱 | |
育ちの良さそうな少女 | 私…お兄さんの海みたいに、情熱を燃やせるものが見つけられるか… |
わからないけど…絶対見つけたいって、強く思いました。 | |
古論 クリス | はい…きっとあなたにも、見つかります! |
育ちの良さそうな少女 | ありがとうございます。私…大きくなったら、またこの海を見に来ます! |
古論 クリス | ええ…海はいつでも、あなたを迎えてくれます。 |
慌てることはありませんが、いつかまた…海は、逃げませんからね。 | |
古論 クリス | …彼女にも、夢中になれる何かが見つかるといいのですが。 |
いずれ、本当に海を好きになってくれるかもしれないと伝えた。 | |
古論 クリス | そうですね。彼女も海を愛する同志になってくれたら、嬉しいです。 |
海を隔てた地に、同志が増えるかもしれない…ふふ、心が躍りますね。 | |
最終話 無限に続く探求とロマン | |
古論 クリス | 今日は1日連れ回してしまいましたが、お疲れではありませんか? |
古論さんの情熱が伝わってよかった | |
古論 クリス | …はい!ありがとうございます! |
私が、アイドルという未知の海路で迷わず航海を進めていけるのは… | |
プロデューサーさん、あなたが海路を切り開いてくれているからです。 | |
海の魅力を広めるために、アイドルになるという選択をし… | |
フグの泳ぎのようにおぼつかないながらも、少しずつ前進できました。 | |
私は、これからももっと新しい世界が知りたいのです。 | |
そのために…力を貸していただけますか? | |
頷く | |
古論 クリス | とても心強いです…!そうだ、よければ今度、共に素潜りへ行きましょう。 |
プロデューサーさんもまた、私の大切な同志。より親睦を深めたいのです。 | |
その時はもちろん、様々な観点から魅力を語らせていただきますね! |